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フォーンキャッスル冷徹の姫 作者:佐久野宗希
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15話 帰路


馬車に揺られながら、シュネリアはウルリアとマヌスの戦いを思い返していた。
あの鮮麗された凄まじい動きは、シュネリアでも見抜けなかった。
手合わせどころではない強さに、先ほどからただ呆然としている。
そんな事など知る由もないオーキスとウルリアは、シュネリアの美しさと強さについて談笑していた。

「なんという凄まじい戦い!いやぁ凄かった……!し、しかし姫様はお美しい……うん……!」
「姫様は美しさだけでなく、とんでもない実力もお持ちで……素晴らしいですね……!」
「だなぁ……!っと、早いとこヘイアス様を医者に見せないとな……!」
「そうですね……急がなければ」

ヘイアスはまだ眠り続けている。
ポーションのおかげか背中の傷は塞がりつつあった。

「……オーキス、ウルリア、ありがとう」

2人に向けて、シュネリアは頭を下げた。
突然声をかけられた2人――オーキスは馬車の操縦を誤り、ウルリアは持っていた盾を落としそうになりながら慌てふためく。

「と、当然の事をしたまでですぜ!!頭を下げるなんて、なんて事をしてるんですか姫様!!」
「わ、私は当然の事をしたまでです!!それよりも頭を上げてくださいシュネリア姫!!」

同じような事を同じタイミングで言われた言葉を聞きながら、薄く微笑み返した。
それを見た2人はしばらく呆然としていたがそんな事など気づかず、シュネリアは今もなお戦い続けている兵士達の事を考え始めていた。







馬車は順調にフォーン城の裏側……氷の洞窟付近まで行く事が出来た。

「本当に助かりました」

シュネリアは2人に向かって頭を下げる。

「よ、よしてくださいよ!」

オーキスは慌てるが、ウルリアは城の方を見ていた。

「ちょ、ちょっと嬢ちゃんも何か……って、どうしたんだ?」
「いえ……なんだか城の様子が……妙な気配がします」
「へ?」

オーキスは城を見上げた。
シュネリアも城を見つめる。

「おかしい……こんなに静かなのは」

だが城下町も城も破壊された所はない。
となると……城が占拠されている可能性があるとシュネリアは思った。

「もしかしたら……城は占拠されているかもしれませんね……」

ウルリアも同じことを思っていたようで、城を見つめながら呟いた。
それを聞いたオーキスは、驚愕していた。

「な、なんですと……!あのフォーン城が、占拠された……!?」
「……遅かったみたいです」

シュネリアは顔を伏せた。
今なお馬車で寝ているヘイアスにどんな顔をして会えばいいのか。
そんな事を思っていた。

「ならば、奪還しましょう、姫」

ウルリアが片膝をつき、シュネリアをまっすぐ見る。

「このウルリアが協力します」
「……いいの?」
「……私の野望も、叶えられそうですから」

そう言うと、ウルリアは立ち上がった。
野望……それはあるダークエルフを討つ事だったな……と、シュネリアは思い返す。
という事は、対峙したあの2人のどちらかなのだろうか?
だが、それなら簡単に逃がすのかと考え始めるが、今はそれよりも城の奪還が先だとシュネリアは思った。

「分かりました。私は、私のやるべき事を。貴女は、貴女のやるべき事を」
「はい……!」
「んじゃ俺は、ヘイアス様を見てます!」

オーキスは自分の胸を叩いた。
その姿は自信満々だったが、それを見たウルリアはため息を1つ。

「……さっき戦えないと言っていたじゃないですか」
「おう!やばくなったらヘイアス様を叩き起こす!」

そう言って、ニカリと歯を見せながら笑った。

「……全くもぅ」
「ま、まぁ、それよりも!お二方、お気をつけて……!」

そう言ってオーキスは2人に一礼した。
ウルリアは微笑み、シュネリアは頷く。
2人は裏門からフォーン城へ突入した。
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