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フォーンキャッスル冷徹の姫 作者:佐久野宗希
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11話 壊滅の策

すでに日は沈み、暗くなっていた。
夜。
フォーン軍の兵士はまだ撤退していなかった。
自分の主がいない。
そう気づいた時、町へ到着した者もまた戦場へ飛び出していた。

「シュネリア姫を探せ!!」
「兵士長も姿が見えん!!」
「探せ!探せーー!!」
「邪魔を……するなっ……ぐっ」
「ぐああ!!」

倒れていく兵士達。
ダークエルフの素早さに追いつける兵士は居なかった。
だが、フォーン城下町から繰り出される矢の雨に、ひとまず敵は動かなくなった。

「……ダメだ、あの数じゃとても突破などできない」
「しかし!姫を戦場へ置き去りなど……!」

兵士達は混乱していた。
弓兵は縦3列、横30の隊列を組み、矢を連続して放つ。
これは長年かけてヘイアスが編み出した手法だった。
長い訓練の中で鮮麗された動きに隙はない。

「……矢が切れた時が、我々の……」

1人の兵士が呟く。
その一言から、不安という闇に支配され始め、フォーン軍の士気はどんどん下がっていった。
それでも、なんとか希望を見出そうと必死に剣を握りしめ、思いつく限りの事を叫ぶ。

「……姫と兵士長は一騎当千の強者。だがあの数では……!」
「命など惜しくはないが……!だが……!我々がここを突破されれば、今度こそ本当に帰る場所が」

しかし、現状が現状だった。
今降り注いでいる矢が切れれば、遠くに見える大群が押し寄せてくる。
それは誰もが予想出来る事だった。

「慌てるな!」

1人の声に、フォーン軍兵士達が向く。

「案ずるな……!姫とヘイアス様が死ぬはずがなかろう!」
「ゴ、ゴルター様!?」
「遅くなってすまんな……!なんせファストブルーから走ってきたもんで」

フレデリックの親衛隊だったゴルター。
ヘイアスの父親でもある、今は亡きフレデリックの親衛隊だけあって剣の腕は相当なもので、姿を見た兵士達の不安は少し和らいだ。
今現在ゴルターは、ファストブルーという町で新人の冒険者をフォーン城へ導く役目を担っていた。

「い、いえ……!それよりも!」
「姫とヘイアス様が戦場に取り残されたと聞いたが……?」
「はい……!」
「アズィームファイマディーナには……フォーン軍壊滅を伝令させた」
「……そ、そんな事をすれば、いずれ敵の耳に入り雪崩れ込んでしまうのでは」
「これはヘイアス様の策だ」
「……え?」

ゴルターもどういう事なのかよく分かってはいなかったが……もし自分達の身に何かあればそう伝令させろと言われていた。

「我々は防衛に徹していればいい」
「し、しかし」
「先ほどお前達も言っていたではないか。今ここを飛び出したら、誰が城を守るんだ」
「……」
「心許ないかもしれないが、このゴルターが士気をとる。いいかな?」
「何を言います!むしろこちらからお願いしたいぐらいです……!」
「……よし、では最初の命令だ。武器庫から矢を全て運び、持ってこい。それから、弓兵の前に盾兵を並ばせるんだ。その後ろには槍兵を配置」
「は!!」
「それと……死ぬんじゃないぞ。全軍に伝えろ!」
「……はは!!」

矢が降り注ぐ空。
敵はまだ動かないが、いずれは突撃してくる。

「……頭の良い人につくと、自分も頭が良くなった気がするな」

ゴルターにも余裕はない。
だが、そんな姿を見せれば自分より階級が下の兵士達の士気がより下がってしまう。
それを分かっているゴルターは、無理にでも余裕のある姿を見せ続けようとしていた。
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