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フォーンキャッスル冷徹の姫 作者:佐久野宗希
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10話 失われていく命


エルフ軍……ロマール軍の残党エルフとダークエルフ軍が荒野に布陣し、攻撃を仕掛けてきた。
報告を受けたシュネリアはすぐに出陣したが、戦況は圧倒的に不利だった。
ダークエルフの素早い攻撃に対応しきれない兵士は次々と倒れ、ベアーダークネスの強撃には盾も飾りかのように引き裂かれ、ロマール軍の残党エルフにも翻弄されている。

そんな中、剣を振るうシュネリアは襲いかかるベアーダ―クネスを次々と絶命させていき、エルフ軍の剣や槍も簡単に弾きながら、1人、また1人と戦闘不能にしていく。
素早く強いと恐れられているダークエルフの兵も、シュネリアの前では赤子も同然のようだった。
盾を持っていれば、動きが追いつけずいつの間にか後ろから首を斬られ、槍兵は素早い突きを繰り出すがいとも簡単に弾かれ、胴を斬られる。
剣士は言わずもがな敵う者などいなかった。
しかし、敵の数は恐ろしいほど多く、いくら倒しても次から次へと押し寄せてくる。
体力が限界に達するのも時間の問題であった。

「このままじゃ……ヘイアス……も」

シュネリアとは少し離れた所で戦うヘイアスの実力もかなりのものだが、戦っている相手を見た瞬間、シュネリアはすぐに駈け出した。

「よりによって、グランと戦っているなんて……!」









ヘイアスが戦っている相手はエルフ軍騎士長のグランであった。
フォーン軍の兵士ならば、その実力を知らない者はいない。
そして昨日までは味方だったのだ。
誰も戦おうとする者は……いない。

「まさか……グラン殿が先陣だったとは……!」
「……すまんヘイアス」

グランは自分の背丈と同じぐらいある大斧を構える。
ヘイアスも槍を構える。
グランが一歩踏み込む。

「いくぞ……!」

大斧を振り下ろす。
ヘイアスは素早く避ける……が。
繰り出された斧は地面をえぐりながら、ヘイアスを追いかけるように繰り出された。

「おおお!!!」
「……なんという!」

それを見たヘイアスは驚きつつも槍を地面に突き刺し、力を込めて飛び上がった。
グランの大斧は風をきっただけに終わった。

「……さすがは、兵士長……!フレデリックの息子だ」
「……!」

着地し、グランを見た瞬間。
大斧は、気づけばヘイアスの頭上にあった。

「ばか……な!」
「すまん……ヘイアス……!」

どうにか避けようと頭は考えるのだが、体は着地した体勢のままだった。

「リア……!」

この状況でも、ヘイアスは自分の事よりもシュネリアを気遣っていた。
目を閉じ、覚悟を決めた時。
激しい金属音が耳に響いた。








シュネリアが辿り着いた時、グランの大斧はヘイアスの頭を捉えていた。
振り下ろされる大斧。
シュネリアは考えるよりも先に飛び出していた。
剣 [ウクソルインペラートーリア]を下段から助走と共に渾身の力で繰り出す。
次の瞬間、大斧の刃は宙を舞い……地面へ刺さった。

「宝剣の力……凄まじいな」
「させません……!」

シュネリアは大斧の根本を断ち切ると、剣を構え直した。
得物をなくしたグランは、両手を挙げる。

「……俺を、拘束してくれ」
「……」

その姿を見て、シュネリアはまたもや……固まってしまった。
もしここで捉えてしまったら。
グランの家族が本当に人質として捕まっていたら。

「……」

兵士達の戦う声、音が聞こえる。
フォーン軍は懸命に敵を城下町へ入れまいと必死に迎え撃っている。

「……リア」

ヘイアスはシュネリアに声をかける。
もう逃がしてはいけない……そう言っているような気がした。
でも。
シュネリアは、どうしても捕らえる事が出来なかった。

「……行きなさい」
「……!?」
「……いいのか、リアの嬢ちゃん……」
「分かりません……。でも……ここで貴方を捕らえたら……私は後悔する気がします」
「……リアの嬢ちゃん……本当に……本当に……!」

涙を流すグランは、その場から走り去った。

「リア……これで良かったのか」
「……ヘイアス……数では圧倒的に不利……城下町を捨てようと思うの」
「……分かった」

このまま町の外で戦っていたのでは、勝機が見えない。
シュネリアは剣を構え直した。
ヘイアスはそれを見て、命令を下す。

「弓兵、盾兵、槍兵は城の中へ!剣兵は援護しつつ、同じく撤退!……城下町を捨てる!」

兵士達は迷わず行動に移した。
町の人々は既に城の中。
迷う者は居なかった。

「では姫、私達も……」
「はい……」

シュネリアは身を翻し、城へ向かう。
単身で突撃したものだから、近衛兵は居なかった。

「ちゃんと命令通り、近衛兵達も町に戻っていればいいのだけれど」

顔を俯かせながら、呟く。

「リア!!」
「!?」

突然ヘイアスに呼ばれ、シュネリアは顔を上げる。

「ヘ、ヘイアス!?」

ヘイアスはシュネリアに抱きついていた。

「……!?」

シュネリアは突然の事で目を見開く。
次の瞬間。
ヘイアスの背中から鮮血が吹き出していた。
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