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野良怪談百物語

転ばす人

作者: 木下秋

 小学生の時、T君という友人がいた。


 彼の住んでいた家には、不思議なルールがあった。――それは、二階に上がる階段の四段目を踏んではいけないということ。


 踏むと、階段を転げ落ちてしまうのである。




 ――ある日、彼の家で遊んでいた時のこと。やることがなくなり、“かくれんぼ”をしようとなった。彼の家は広く、隠れるところがたくさんあったのだ。


 T君が最初の鬼に決まり、私たちは隠れるために家の中を駆けた。私も、隠れる場所を探す。


 私が目をつけたのは、階段下の収納スペースだった。扉を勢い良く、開ける。



 ――中には、男が居た。大人の、がりがりに痩せた男だ。


 男は、その中にある階段の段差――ちょうど四段目の辺りをジッと見つめている。


 しかし、扉を開けた私に気付いた様で、ゆっくりとこちらを向いた。


 私は、男が完全にこちらに顔を向けてしまう前に、扉を閉める。



「あっ」



 閉まる瞬間、中からそう聞こえた。



 ――私は目を瞑って数を数え続けるT君に「帰るね」とだけ言って、一人で帰った。



 二度と、T君の家には行かなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] す、凄いですね。100話書こうとしてるんですよね…… この作品も怪談として面白かったです。 いやはやホラーだけでここまでの作品数を書き上げるとは、感服しました。
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