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第二部 仮想敵は兄 1-3話 愛の詩になっちゃえ
エル・シド・フェレーリ・ド・ワルドです。
元は日本人の日野正人、転生者です。
そう、原作にはでてなかったワルド子爵の弟になってしまったのです。



最近というか、ここ数日で学院内での友だちが一気に減りました。
『もてない同士』達が離れていったのです。
原因は、自分あてに1年生の女の子が時々教室に声をかけにきているのですよ。


どんな女の子かって?

顔はきれいというよりはかわいいという感じの子です。
精神的な時間を元にした年齢からいえばクラスメートの女の子達も同じようなものなので誤差の範囲内でしょう。
ロリコンの趣味はないとは思っているのですが、肉体年齢で見れば仕方が無いでしょう。

どちらかというと肉体年齢的には上ですがミス・ロングビルが好みですね。
時間ができたら石橋をたたいてわたってみよう。


そうそう話はもどって、その女の子ですが声は澄んでいてきれいです。

プロポーションも、服の上から見ている限りはルイズと違ってそれなりにメリハリはあります。

キュルケの方がプロポーションはいいですけど原作ではミスタ・コルベールを気にいるはずだし、
その方が色々と都合がいいのでやっぱりキュルケとはお友だちのままがいいのです。
ラ・ヴァリエール公爵家が怖いというのもあります。


性格はどちらかというとお花畑が咲いているんじゃないかなというぐらい普通の女の子の貴族をしています。
ただ、猫をかぶっているって可能性はあります。

普通のトリステイン貴族の女の子は、自分には近寄ってこないはずなんだよな。
『蓼食う虫も好きずき』ということもあるが、短髪というだけでトリステイン貴族の美意識からは、はずれているのでトリステイン貴族の普通な性格の女の子は近寄ってくるはずがないんですよ。


そうなると裏があると見たほうがいいのです。
人を疑うなんて、嫌な癖ついちゃったかな。


そうそう、ゲルマニアの貴族は成り上がりとか多いから貴族が短髪でも気にしないとキュルケから聞きましたよ。

必要なことが終わったらゲルマニアで成り上がり貴族っていうのもいいかもな。



それで新入生の女の子の件に話はもどりましょう。
今年の『スレイプニィルの舞踏会』で、踊りました。しかし、自分の理想像がこれだったとは、思いだしたくありません。
一応、上級生は新入生を相手に踊りを誘うことになっているので、近くにいた新入生っぽそうな女の子と一緒に踊ります。

一応、貴族の嗜み程度には踊れます。
この学院ではそういう教育もしていますし、乳母で教育係のエレーヌと乳母の娘のカメリアにも相手してもらっていましたよ。
踊りがうまいかどうかは別ですけどね。

正直にいいます。
踊りは中の下ぐらいです。


その時に、名前をきかれたので、まあ、現物の自分を見たら、幻滅するだろうと思って素直に名前を言います。
そのあと2日後、一緒に踊ってもらったお礼にとお菓子を焼いてくれたので何も考えずいただきます。

はい、そこまではいいのです。


さらに3日後には手紙を持ってきて

「詩を書きましたの。これ読んでいただけますか」

ってあっけにとられているうちに、思わず手紙を受け取ってしまいました。


それをたまたまなのか『もてない同士』の友だち筆頭ともいえるマリコルヌが目撃していたようです。
彼を中心に当日の夜までには『もてない同士』連合に話は広まりましたよ。

「あの女の子とはどうなんだ」とか「手紙の中はどんなこと書いていたのか」とか問い詰められます。
とりあえず「前回の新入生歓迎会での踊りのお礼が書いてあったよ」と答えたけど、それは「この前お菓子もらっていただろう」ってつっこまれます。

『いったいどこで見てるんだー お前ら』

手紙の中身のことはうそですよ。
本当のこと言ったら、その場で全員に刺されそうでなくて、杖を振られそうです。

っということでまわりから「うらぎりものー」っという言葉とともに皆いなくなります。

ちなみに手紙の中身は、もう頭がお花畑になりそうなぐらいなトリステイン貴族の女の子が好みそうな愛の詩です。

こっち方面は前世を含めてそのスキルはほとんどもっておりません。
振られたことは数あれど、断ったことは1度しかありません。
「恋人がいるから、ごめんなさい」って断りましたが、その恋人にはすぐ振られた覚えがあります。
断らなきゃと後悔しましたよ。


それは前世としてこっちにきてからは自分が将来の退廃的な貴族生活をする為に、まずはジャン兄さんやルイズの周辺をどうしよう問題で頭をつかっています。
こっちでの若いうちのお断り方法までは手も頭もまわっていません。
仕方が無いのでゲーム友だちでもあるギーシュに、どうしたらうまくことわることができるだろうかって相談してみます。
ギーシュ曰く

「ようやく君という花の存在の意味を理解してくれる娘ができたんだ。受け入れたまえよ」

とギーシュの返答に、相談した自分が馬鹿だったと反省します。
他の残りのゲーム仲間も似たようなものです。

なんか自分の学院内の友だち関係に偏りを感じるな。


あと残りとなるとルイズへの相談は結果は聞くまでもない。

キュルケは「貸しね」とかいわれそう。
その前に、小ばかにされるのが落ちのような気もしますが。

タバサは一言も答えてくれるはずがありません。
友だちというよりは『餌付けの途中』段階といえましょう。

この年頃の女性の友だちはやっぱり少ないのです。


とりあえずはあの女の子の裏はとっておこう。
思考が恋愛方面より裏の話の方に頭がいく。なんかこっちの人生、別な意味で終わっているかも。

ちなみにその女の子の名前は『カスティーリャ・ド・ランカストル』で男爵家というところまではわかっています。
そこに男の子がいるか、姉がいれば交際相手としては普通ですがトリステイン貴族の女の子って嫉妬深い子が多いんですよね。



このカスティーリャの身辺調査は、手紙を見て少ししてから学院内にいるコードネーム・アシュタルトにお願いします。
手紙の件を話したら馬鹿にされたように笑われましたよ。
トリステイン流でなくてもいいなら教えてくれると言ってましたが、その笑顔がとっても素敵に見えたのでこっちについては引き上げます。


今日部屋に帰ったらメイドを経由してアシュタルトから手紙が届きます。
内容は例の女の子カスティーリャの身辺調査です。

そんなに量も無いのでさらっと読むと、男爵家の長女で、両親、兄の4人家族。
父親は、財務卿配下の文官。
特筆事項はなし。


これでカスティーリャが近寄ってくる可能性の高さからいうと3つくらいかな。

この父親が財務卿配下だから『昨年の事件から』どこの領地が購入されたか知って次男以下で領主になりえる貴族と縁をもたせようとして娘を接近させている。
同様の理由からカスティーリャ個人が打算で動いていることもありえる。
単純に『蓼食う虫も好きずき』という可能性も極わずかながらにはある。

父親がちょっかいをだしてきているだけなら、親の方に子爵家領主代理としてお土産に手紙でもつければ良い話だな。
カスティーリャ個人が打算で動いているなら、結婚はともかく未熟だけども育てようによっては計略を話せる仲間にはなりそう。
『蓼食う虫も好きずき』は単純にごめんなさいだ。将来はともかく今つきまとわれては色々と動きづらい。


話は関連するのだけど、魔法学院に貴族がそれぞれくる理由って次かな。

純粋に魔法や教育を習いにくるもの。
半分ぐらいは、こういうのがいるね。
理由はさまざまだけど、子どもが自分たちではうまく育てられなかったから、この魔法学院につっこまれる子とかもいます。

魔法学院卒業ってのは一種のステータスになる。
部屋代と馬代くらいは必要だからそれすら出すのが無理な貧乏貴族っているからね。
それに使い魔召喚っていうのも学院にくると必須だけど、こなければ使い魔を持たない貴族もけっこういます。
ジャン兄さんあたりが良い例だね。

貴族同士の社交の練習の場になる。
あまりそう意識している人間は見えないけど、どの大学卒業しましたとかで話をして集まるのを想像してみてもらえば良いかな。

あとはやっぱり結婚相手を見つけにきているというのもある。
これは女性だけでなくて、実は男性もそうなのです。
自領を継がない立場の人間は、そういうのが目的で入ってくるのも多い。
ギーシュにたわむれている女性もそういうのが結構多い。
ただ彼の家、貧乏っていうのが知れ渡っていないから元帥のところの息子というステータス目当ての娘も多いみたいです。
男性も、数少ない爵位継承権1位をもっている女性のところに集まっています。


さて、自分の方の問題はどうやって見極めるかだ。
百人一首の一句を思い浮かべて、少し改変しつつ手紙をしたためます。

あとは渡すタイミングです。


サイトとギーシュの決闘翌朝、カスティーリャが食堂をでたところで手紙を渡します。
それを、アリーにつけさせます。
アリーが得意の幻で、まわりから見つけられないよう景色や建物に溶け込んだようにしてもらって、つけていってもらいます。

アリーと片目だけ、視覚共有をしながら教室に戻ると、カスティーリャが手紙を開いて読んでいます。
それを読み終わったあと、なんか複雑そうな顔をしています。


なんだろう。普通そのような反応するかな。

あまり見ているのも趣味が悪いので、アリーとの視覚の共有は止めます。


どんな手紙をかいたかって。もとの百人一首の一句は

『今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな』

このままだと『振られたのにみれんがましくあなたに直接会いたい』ということになってしまう。
それに対して書いたのは

『あなたの可憐かれんさは自分には似合わないので、あなたのことをきっぱりとあきらめます。ただその決心を直接伝えるのは恥ずかしくて手紙にてお伝えします』

といったことを詩にして返しただけです。

センスがないって? ほっといてください。

これですぐにでもつきまとってくるようならカスティーリャ個人が動いてるのだろうけど、そうでなければ父親に一回連絡をとるだろう。
ちなみにすぐつきまとってくるようなら、少し話をする時間をみて本当に頭の中がお花畑か猫をかぶっているかどうかを確認してみよう。



教室では、多少眼をはらしていたルイズが剣のことはわからないので一緒に買いに行くでOKがでます。
サイトは筋肉痛がでているとなげいていたが、ギーシュの件で狙われるかもしれないので、サイトには誰か襲ってきたときようにと自分の予備のダガーを貸します。



いつものゲームの時間になったが、普段の半分くらいです。
『もてない同士』兼ゲーム友だちが部屋にこないのです。

そこまで自分に女の子が近寄ってくるのが悔しいのか。さみしい友情だ。
けど『もてない同士』だからしかたがないか。


その中、残ったゲーム友だちと話をしてみると例の女の子カスティーリャが自分のことを聞いていると言います。

えーと、完全に予想外です。
時間をおくか、すぐかは差があるけれど直接会いにくるのかなと思ってたのです。

何かつきまとわれる心配が出てきます。
今はそんな余裕がないのです。
勘弁してください。

気分がめいって久々に負け碁が多かったのでした。



翌日、虚無の曜日です。

ルイズ、サイトと一緒にでかけます。
アリーは町中でいたずらをされたら、かなわないのでお留守番です。
使い魔達用の餌場に預けます。

ちなみに、ルイズとサイトは一緒の馬に乗っています。
その横で並走していつものように城下町へ向かいます。


城下町へ向かう途中ルイズが、サイトとキュルケのことで愚痴を言ってたので、ひとつ自分の身の安全が保障されて一安心です。

来週のはずのキュルケイベントが1週間はやくなっているのが気にかかります。
キュルケたちがついてきてるかは後ろを振り向いて確認してみたが、視認距離外なのかわかりません。

途中、サイトにルーンのことを聞くと口をつぐんだので剣等の武器を使う為のルーンだと説明して『ガンダールヴ』とは言ってません。
けど、一応「他人に教えないほうが良いよ」と、口止めはしておきます。


剣屋は秘薬屋の近くとしか覚えていなかったので、1ヶ月前から剣屋めぐりをしてピエモンの秘薬屋の近くの武器屋でデルフリンガーを見つけた。
デルフリンガーをもったときには「未熟者」と言われました。

ちょっと悲しい。

まあ、自分は二刀使いなので1.5メイルもある大剣は、片手では持ちきれないし持つとしたら両手になります。
片手と、両手では剣技が変わってくるので未熟者といわれも仕方がない。
その時は平民の格好で今サイトに貸してあるダガーと鞘だけを買いましたよ。


今回は、きちんと魔法学院の制服できています。

ピエモンの秘薬屋の近くの武器屋までは、ルイズとサイトの後ろを歩きます。
ルイズは自分がお金をもっていないからと安心しきっているし、サイトは物珍しげにあちらこちらを見て聞いて『おのぼりさん状態』です。

明らかに隙の多い二人なので、スリの格好の的だからですよ。


裏通りに入ると、もうなれたけど臭いがきつくなります。
ゴミ類や動物の汚物もころがっているけれど下水の整備が中途半端なので、そこに生活廃水が流し込まれます。
上からおまるの中身が捨てられてこない分、中世フランスよりは良いとは思いますけどね。
大通り付近の下水はさすがに地中深くあるらしいので臭う事はありません。


武器屋に入ると、店主の親父が

「貴族の旦那。うちはまっとうな商売をしてまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
「客よ」

とルイズがやりとりを始めたので、その間にお目当てのデルフリンガーとダガーとダガーをベルトにつるすタイプの鞘を見繕います。
デルフリンガーに以前、持ったことを気付かれたときは「『使い手』をつれてきた」と言って気をそらせます。
選び終わると、調度フーケの話をしています。

「そうでさ。なんでも『土くれ』のフーケとかいう、メイジの盗賊が、貴族のお宝を散々盗みまくってるってうわさで。貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」

話がひと段落したようなので見繕った剣をもって「このあたりでどうだ」と話を切り出します。
ルイズがデルフリンガーを見たとき「もっと良いのがないの?」と言い出して、店主が宝石が散りばめられた両刃の大剣をもってきます。
しかし、サイトがフーケのゴーレムに使って折れたのに、原作ではその後キュルケが剣を修理していないことが気にかかっていて
『ディテクト・マジック』をかけたら魔法具です。

「この剣は魔法具で剣としての実用性はないよ」

と説明したら、ルイズはさらに他の剣ももってこさせようとしたので

「サイトの着替えの服とかどうするんだ」

と聞いたらうなっています。
先に剣の値段を聞いておいたし適正価格もだいたい知っているからね。
先日のサイトとギーシュの決闘で、サイトの怪我を治すのに秘薬を購入したらしくて手持ちの余裕が少ないらしい。
しかし怪我が原作より軽かっただろう分、治療の支出は減ったみたいですよ。

あとはサイトがデルフリンガーと会話をして

「しゃべる剣なんて面白い」

と言ったのと、自分が

「見た目はぼろいけど良い剣だ」

とルイズに言ってあげるとしぶしぶながら購入します。

見繕ったダガー、デルフリンガー、鞘の値段を尋ねると武器屋のおっさんがふっかけてきたので、
前回平民の服で買ったダガー等の値段とデルフリンガー分ぐらいの価格より少し低めに言って

「貴族を相手にふっかけるのか」

と言うと、ダガーとダガーをベルトにつるすタイプの鞘はだいたい適正価格帯で、デルフリンガーとその鞘は無料で譲り受けた。

デルフリンガー、本当にいらない剣扱いだったんだな。


ルイズとサイトとは一緒に昼食をとります。
ルイズとサイトはそのまま貴族が使用人用に利用する衣料店や靴屋によって帰るとのことだったので、念のため時間あわせをして分かれます。

いつもならジャン兄さんとカトレア義姉さんの家に行くところだが、使い魔のアリーを紹介することをすっかり忘れていたので、次回くる時にでも紹介することにしよう。
あとはいつものように借りている家で平民の服に着替えてあちらこちら寄れる範囲をよってから着替えなおしたら、それなりの時間になったのでルイズ、サイトたちと魔法学院に戻ります。
帰りの馬上では「明日あたりでも、サイトと剣で練習をしてみたい」というと「返り討ちにしてやる」と言っているよ。

有頂天になると、足元をすくわれますよ。
それに、とりあえず、サイトへの対策も万全だよ。多分。

予想外の事態が起こるので、油断だけはしないでおこう。

サイトは、帰路の後半は多少ぐったりしてたが。


夕食はアルヴィーズの食堂だが、虚無の曜日の夕食は皆の食事開始時間がずれたり外で食べて帰ってきたり買ったものを食べたりする者も多く比較的すいています。
いつも通りの時間に行くと、この時間帯でよく一緒に食べるキュルケとタバサを見かけない。

キュルケの取り巻きにわずらわされることもなく食事をとります。


夕食後は、原作や二次小説からの予測と対策を記帳した計画書を整理します。
虚無の曜日はゲームをしないのです。

計画書は日本語で書いているが忘れた漢字が多く『ひらがな』『カタカナ』の表記が多いな。

うーん、前世でのコンピュータ使用の弊害だな。

ルイズとキュルケの剣を使用したサイト落下系イベントは、原作だと来週の予定と計画書には記載されています。


しかし剣を買った今晩の可能性や、どっかの昼間かもしれないとのノートをみて大騒ぎになったら宝物庫に行ってみれば良いと思って眠りにつきます。

『うつらうつら』しているところに、爆発音となんらかの音が聞こえてきたので起きだします。
宝物庫の方に行ってみると、衛兵達と、ルイズ、サイト、キュルケがいて、タバサが一人で風竜にのっています。
ルイズたちに聞くと「ゴーレムが宝物庫に穴を開けた」とのこと。


『フーケは、毎晩調べていたんだな。ご苦労なこった。』

と、思いながらも教師達はぐっすり寝ているのか我関せずなのかこの場にいない。
ルイズが衛兵達に

「衛兵達の仕事でしょ!」

と寮の方へ向かって行ったので『明日は学院長室だったかな』と肩をすくめてから寮に戻って眠るのだった。



*****
あとがき

表題は川原由美子先生作の『すくらんぶるゲーム』の内容からパロってたはず(詩でなくて歌だったよな。自信無し)。
女の子の描写には、故みず谷なおき先生作の『人類ネコ科』からせりふを一部もってきています。


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