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第一部 思い出編 1-1話 剣の扱いと魔法を覚えます
ワルド子爵家のエルです。
元は日本人の日野正人、転生者です。
そう、原作にはでてなかったワルド子爵の弟になってしまったのです。



原作ワルド子爵には、でてなかった弟になったことに気がついた時はしばらくウツでした。

だって、数年内に死ぬかもしれないって可能性が一番高いんだよ。
せっかく、前世の知識をもって生まれ変わったのに、寿命がもう少しだよと宣告されたようなものです。
それをのりこえられたとしたら、次は原作開始まで生きていられるかどうかも不明という状況です。

その後で肝心なのはジャン兄さん、原作のワルド子爵がレコン・キスタだったかに入ってそれが他のトリステイン貴族に知られるってことです。

それって、他の貴族に知られたら、最悪、家族一同が処罰の対象になるって可能性がありそうです。


『ゼロ魔』の世界は違うのかもしれないけれど、よくても爵位をとりあげられて財産没収で平民だろう。
平民になるのはよいとしても、ルイズ、サイト達はバッドエンドで、ガリアのジョゼフ王が勝つって可能性もあります。
そうしたらあの王様の性格なら、なんとなく世界征服をして恐怖政治はじめそうです。
そんな世界の平民なんて嫌だし、反抗勢力の貴族として処罰されるかもしれないのも嫌です。

なるべくいいのは何もしないでハッピーエンドが好ましいけれど、原作で読んで覚えている範囲ではジャン兄さんが伏線のこしたまま、途中で行方をくらませているっていうのが気にいりません。
確か、原作で読んだ最後はロマリアでサイトが、ルイズに眠らされたところまでで、何巻だったかも良く覚えていません。

ジャン兄さんはガリアでなくて、ロマリアともつながっている可能性も考えなきゃいけないと思っています。

本当にはた迷惑なところに生まれてきてしまったと感じます。



まず、自分でできる事を考えます。

今を一生懸命いきる事です。

途中で死んじゃっても、小さい子どもの時なら影響は少ないよね。

そんな目標ができたので、もう少し言葉を早く覚える事と文字を読み書きできるようにすることにします。
乳母が継続して教育してくれるようなので、早く文字を覚えたいっと一生懸命アピールします。

固有名詞や物体と密接に結びつく単語は、比較的早く覚えられて自分のフルネームもわかります。

『エル・シド・フェレーリ・ド・ワルド』


けど、文章を言葉にするのが苦手です。
なんていったらいいのか頭の中の思考は日本人なのに対して、ハルケギニア語って英語の文法っぽいのです。
前世の学生時代、英語は赤点常習者だったのを思い出して、ちょっと悲しいのです。


こういう時、口説く為なら早くその国の言語を覚えられるっていうけど、肉体年齢1歳ちょっとの自分がそんな教育も受けられるわけもありません。
どっかの幼稚園か保育園の子どもとは違います。
次は、その国の言葉で口喧嘩できるようになれっていうのもあります。
しかし、口喧嘩するのが肉体年齢が同じ子どもというのも、前世の記憶がある自分にとっては、本当に小さい子どもをいじめる気分になるのでそれもできません。
あとは、ジャン兄さんだけどそれにしても肉体年齢9歳差で、普通は相手にしてくれることはないでしょう。

そういうわけで、幼児向けの絵本を丹念に繰り返して覚えることにします。

後は、手の訓練のために、積み木はまじめにしましたよ。



文字が書けるようになりました。しかし、最初のうちはきちんと書けません。

やっぱり訓練がいるようで、日本語は書いてみましたがグニャグニャと文字が腸ねん転をおこしています。

自分の書いたこの文字が、後で読めるか自信はありません。


文字の学習の合間には、この世界の事もいろいろ考えてみます。
例えばこの世界、原作の世界でなかったらどうしようってのがあります。
まずは、自分が覚えている原作と二次小説のパターンの記憶を覚えている限り残しておきたいと考えます。

数年以内に死ぬなら無駄かもしれないけれど、生き残っていたら原作や二次小説の知識ってとても大切だと思います。
召還されるのがサイトでも、性格が異なるとか、違う人間がくるとか、はては特殊能力をもっているクロスオーバーものとかも考えられます。
読んでいないクロスオーバーの主人公がきたら今のところどうしようもないけれど、まだ10数年あるから何か対策をたてられる可能性はあります。


個人的にはルイズ、サイト達の話が終わったら、ほどほどに安全で美人の嫁さんと退廃的な貴族生活を送るのが今のところの夢です。
はやく、こんな生活をぬけだしたいのです。



そうはいってもいまだ幼児の身で、特に自分から多くのことはできません。
今のような生活ばかりでは飽きていますが、お城の中は家族3人と使用人です。
使用人は、家族のプライベートに関しては基本的にノータッチなのです。


さてそんな中、夜もランプがある生活です。

夜間室内で遊べるものはチェス、トランプ、すごろく、カルタぐらいなのです。
本もあるけれど絵本しかまだ与えられていないし、それも読みあきました。
その上、幼児の身だったので、まだワインを飲んで酔うということもできません。



ぶっちゃけ、現代日本人の大人だった記憶をもっている自分にとって、この夜の生活は暇だったんだ。

それで、何をやりだしたかというと、夜も遊べるゲームつくりを思いうかべます。
実際にはゲームそのものをつくれないので、乳母を経由して父に説明というかおねだりをしてゲームを作っていってもらいます。

お願いしていった順番は、現在風バックギャモン、将棋、リバーシー、囲碁、あとは百人一首風カルタです。

現在風バックギャモンはこの世界のすごろくと似ています。
この世界のすごろくの盤はバッグギャモンと同じなのですが、ルールがちょっとシンプルです。
まずは、ダブルという方法を入れてみます。少しだけ、動きがはやくなります。
現在風バックギャモンのダブルの特性に合わせる為に、サイコロもダブリングキューブ型を作ってみてもらいます。
動きは早くなったけど、こういう運にまかせたゲームはあまり好きにはなれませんでしたので、たまに遊ぶ程度になりました。

将棋は子どもらしく、まわり将棋や、はさみ将棋などからはじめてみます。
その後は将棋のルールを一部変更し、とった駒を使えるというのは無くしたので、チェスや多分日本に入る前の中国の将棋に似ていると思います。
とった駒を使えるようにするのは、前世で欧米ではそういうのが好かれないと聞いていたからそのようにします。
あとは、上記のルールだと桂馬の動きが単調なのでチェスの動きにします。
とった駒が使えないので現在将棋の定跡が使えません。
それなりに面白かったのですが、本来の将棋ほどのダイナミック性がないのが残念でした。

リバーシーは円形の駒の裏表が白と黒で、打つたびにパラパラと変わっていくのが周りにうけます。
最初の頃は、勝つことが多かったけれど最終的に家族の中では3すくみ状態におちつきました。

囲碁は碁盤の厚さは日本での1寸盤を想定して3サント、表を19路盤、裏を9路盤にして、まずは19路版側では五目並べを始めます。
囲碁は9路盤で石取りゲーム形式で始めます。なれてきたら19路盤でも行っていって置石も始めます。
本当は13路盤も用意したかったけれど、今はやめておこう。
指導碁できる程の棋力もないのと子どもだから論理だって話すのもおかしいので、とりあえず打つしかないのです。
ジャン兄さんとは8~9子まですぐにあがってきてくれたのに対して、父とは16~17子で打ちましたよ。
これだけ置石があるとつらいけど、本気で打つにはこれぐらい置石が無いと面白くないのですよ。
遊ぶのは本気だから面白いのです。

百人一首風カルタは、ハルケギニアの物語や歌の一部から抜き出して百人一首と同じようにします。
これで、文字を覚えたりの学習もできます。


少しは夜の娯楽が増えていき、昼間の乳兄弟や時々他の貴族がきた時にも遊びにも使えるものもあったので、外が雨だったりすると昼間も子どもっぽくゲームで遊びます。


これが浅はかだったのか、予測の範囲外だったのでしょう。
今となってはそうとしかいいようがないのだけど、父親がこれらのゲームを他の貴族に

「自分の息子が考え出した」

と伝えたのを知りました。
自分の知らない間に、いつのまにか大人”も”遊べるゲームのつくり手、囲碁に関しては大人以上の”指し手”と、自分の知らない間に広まっていて知らぬは自分ばかりというあり様です。
そう、他の貴族も、夜は暇だったのです。



確かに今、自分でできる事を行おうとは思っていましたよ。
しかし、目立つことをしたかったわけでもないので予想外のできごとです。
この事を知った時、たまに他の貴族も遊びにきて、一緒に遊んだこともあったというのに、なんてうかつだったんだと反省する事しきり。

もし近い将来に死ぬことがなかったのなら、ちょっとは考えていた将来の農地改革とか、コルベール先生との共同研究実験なんてやろうとすれば、必要以上に目立ちすぎると頭をかかえこみたくなりました。

ああ、目立ちたくなかったのは、ジョゼフ王に世界を動かせるかもしれない”差し手”になりうるかもしれないという存在として気がつかれたくはなかったのですよ。

ジャン兄さんは何とかしないといけない。
しかし、それ以外は裏でこそこそというのが理想ですが、こうなったのは仕方がない。
大人になったら『昔、神童、今、凡才』って違ったかな。
細かい間違いはどうでもいいけど、そんな感じなのもいいかもしれない。
まだ、ジョゼフ王の即位まで時間はあるはずなので、それまでどうするか考えよう。

だって、まだ2歳にもなってないから、あと8年ぐらいだったよな。




2歳をすぎたら、ラ・ヴァリエール公爵家に初めて行くことになりました。

馬車ででかけたけど、初めての馬車は気持ち悪くなります。
2歳の体では、この当時の馬車のゆれはまだちょっときつかったのです。


その後も2ヶ月に1回ぐらいのペースで、ラ・ヴァリエール公爵家に行きます。

大人の席の話を聞きたかったけど、子ども同士ということでエレオノールさん、カトレアさん、ジャン兄さんと含めて遊びます。
最初のころにあったルイズは、メイドと一緒に手をつないでいたけど、自分はそこへ時々、顔を見に行くぐらいです。

カトレアさんは外にでかけても、すぐ木陰などで休むのです。
家の中では、もう動物を飼い始めています。



3歳の時です。

さすがに、そろそろ、母親のことに気がついても良いかなと思い、乳母に聞いてみます。
そうすると「エルのお母様は遠くに行って帰ってこないのよ」と言ったのだと思います。
まだ完全に文脈をつかんでいませんからね。
だけど、これで、原作とを考えたならば、遠まわしに母親の死をつげたのでしょう。
普通にしていればさすがに3年もあわないということはないでしょう。
【ブリミル教】では不明ですが、あるいは離婚なのかもしれません。
しかし、原作でのジャン兄さんの挙動から考えてみると生きているとは考えづらいですからね。
そうして、家にある肖像画を見せて「エルのお母様の絵よ」と言ったのだと思います。
肖像画からの印象のせいかもしれませんが、どちらかというとこちらの普通の女性より彫りが浅い印象があります。



3歳も半ばの時です。

カトレアさんがちょっと体調悪そうにしてたので、ついつい病気の話になります。
さすがにつらそうなので自信は無かったけど、カトレアさんに「ラグドリアン湖の水の精霊に状態を聞けないかな」っと話をしてみます。

中間の事情はよく知らないけれど、半年後ぐらいにカトレアさんの病気が治りました。

この時は素直に喜びましたよ。
だって10歳の女の子がこういう状態って、かわいそうです。



この頃になって、ようやっと、ハルケギニア語を普通に違和感なく話せるようになってきました。

多分、今までは頭の中で日本語に訳して、それから考えた内容をハルケギニア語に訳しなおしていたのでしょう。
それが、ダイレクトにハルケギニア語を理解しだしてきたのじゃないのかな。


それとともに、ある時ラ・ヴァリエール公爵家からの帰りの馬車の中で父がうれしそうに

「ジャン兄さんがカトレア様と婚約」

と言いいました。

ここで、頭が一瞬パニックです。

顔をふせて『ちょっと、なぜ?』っと、頭をかかえこみます。
ジャン兄さんとルイズが婚約者だったはずと頭の中で思い返して考えてみたけど、もし実現すれば自分に悪い影響はそれほどない事に気がつきます。
だって、ハルケギニアでの女性の婚期は20歳前だし、結婚すれば男性は落ち着く事が多いのです。
ルイズとは義理の兄妹だから、アルビオン王国での結婚式騒ぎも無くなりそう。

身近な危険は遠ざかった気分に少しだけなります。

原作から離れた分、自分のもってる原作知識のアドバンテージが減っているのにも気がつきます。
しかし、まずは自分の身の安全です。


原作でのジャン兄さんはなぜか聖地、エルフに言わせれば悪魔の門だったかな。
それにこだわってた理由はわからないけれど、少しはリスクが減りそうだなとこの時は思います。

ここらあたりも忘れないように、今作っている計画書に記載しておこう。


この夜には珍しく父の過去の話を聞くことができました。
もともと男爵で、軍功をあげたので土地の買い増しをして子爵になったそうです。

そんな父の自慢話が、原作でのジャン兄さんの上昇志向の一因になったのかなと思ういます。


父と母の結婚の話もでてきて、父が子爵になってから子爵家の次女が母とのことです。
父方の祖父母はすでに死亡していて、いとこもいますが年に1度あうかどうかぐらいの頻度です。

母方の方は、親とは折り合いが悪いのか、母方の祖父母や親せきとはあったことがないのです。
このことは詳しく話を聞いたこともないので、それ以上は知らないし特に知ろうともしませんでした。
もしかしたら、聞いておくべきだったかもしれないですね。



5歳になった。

肉体をある程度本格的に鍛えはじめようと思い、具体的にはランニングを始めます。
ただしあまり子どもの頃から肉体を強化するのも成長に問題がでるので、ゆっくりと鍛えます。

その他には、剣を習うこともお願いします。
これもすんなりというか貴族の男の子でも剣にあこがれる事が、それなりに多いようで剣を習うことも聞いてもらえます。
これはどうも『イーヴァルディの勇者』の本の人気によるようです。

講師は衛兵ですが実際の剣は、小さな剣です。
5歳の子どもの体にはそれでも重かったな。



会話も普通にできるようになったので、魔法も普通の子どもよりも早く開始することになります。
杖は子ども向けの出来合いの物で、最初の頃の魔法の講師はジャン兄さんを教えていたメイジの人です。
最初はコモン・マジックから開始です。

スペルは完ぺきだったけど、なぜかうまくいきません。
しばらく工夫しながら練習していたら2週間程たってから成功しましたよ。

どうも、前世の日本人としての記憶が魔法を実行する為のイメージを阻害していたみたいです。

1つ成功すると、みるみるとコモン・マジックは習得していきます。



次は四系統魔法の開始です。

だけど、こちらはルーン文字を覚えなければいけません。
こちらも、ドットクラスの魔法の基礎から四系統とも習います。
いろいろと試してみましたが結局は風系統のドットクラスしか使用できません。

魔法の才能はないのかなと思ってしまいましたよ。


しかし、年齢的なものと杖をきちんと専用に契約したものでなければ、これ以上の上達は望めないだろうとのことです。
杖との契約までは、四系統魔法をひととおりのスペルと効果を頭にたたきこんでいきます。

それでも、父は早熟だと喜んでくれましたよ。

けれども、自分としてはジャン兄さんに対抗する為にスクウェアクラスのメイジになるのが目標です。



*****
あとがき

遊び関係は主に古典的なボードゲームを中心にチョイスしました。
囲碁で”指し手”と書きましたが、日本語としては”打ち手”が正しいのですが、ハルケギニア語としてスルーしてください。
『杖は子ども向けの出来合いの物』は、赤松健先生作の『魔法先生ネギま!』からのアイデア拝借です。


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