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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

短編

山奥から下山した魔法使い、嫌われ者の令嬢を嫁にする

ハーレムタグ追加しました
ご指摘ありがとうございます。
訂正ついでに微加筆しました。(7/24 16:40)
 俺の名はクリス、家名はない、幼い頃近所に住んでた胡散臭い爺さんの『魔法を使えるようになればモテモテじゃ』とかいう巫山戯た口車に乗り、当時から、まぁ一言で言えばエロガキだった俺は愚かにもジジイの弟子となり、18歳の現在まで山奥で修行漬けの生活だった。

 幸いにも食料などを運んできてくれる猟師の皆さんは親切にも色々と教えてくれたお陰で、魔法しか能のないジジイのような社会不適合者にならず、それなりに常識を弁えてるつもりだ。

 さて、そんな生活に終止符を打ち、猟師の皆さんに惜しまれつつ、いざ都会に出て成り上がってやる! と気合をいれ旅立った、近所の田舎は魔物が多く出没するはずだったが、俺とジジイが魔術実験のモルモッ……じゃなくてお世話になった村人に僅かでも恩を返そうと、周囲の魔物を根こそぎ駆除したから、今じゃこのマーニュ王国で一番の安全地帯だ。

 旅路は順調、さてもうすぐ王室直轄地入る少し前のことだった。

   ―――いやぁぁぁぁ!

 街道から外れた茂みから、女の子の悲鳴が聞こえ、俺は即座に駆けつけた。

 そこにいたのは、身なりはそれなりに整ってるが、悪鬼のような形相でナイフを振りかざす男と……奴隷が着るような襤褸を纏った少女だった。

 男は憎悪のあまり俺に気がついていないのか、俺という乱入者が居るにもかかわらず少女の太股にナイフを突き立て、狂ったように笑い出したのだ。

(正気じゃねぇ)

 明らかな被害者である少女を見捨てるわけにもいかず、背後から魔術を用い意識を刈り取る、数日は目が覚めないだろうが、万が一に備え男の両手足を縛っておく。

「大丈夫か? 俺は魔法が使える、怪我を治してやるから落ち着くんだ」

 女の子の目にはまだ怯えがあるが、騒いだりはせず、小さくお願いしますと呟いた……


   ~~~~~


「あの……わたくしに嫌悪を抱かないのですか?」

 治療が終わったあと、少女は奇妙な事を尋ねてきた。

「それは奴隷だからか? いや不幸な身の上だとは思うけど嫌悪とかはないぞ」

 オリヴィエと名乗った少女は体は汚れているし、虐待されていたのか体の所々に痣があったが、濡れタオルで顔を拭ったら、田舎じゃ絶対に見れないような極上の美少女だったのだ。

 こんな子に嫌悪を抱くとかありえんだろ、やばいドキドキが止まらない、こんな可愛い子生まれて初めて見た。

 ちらりと男を見て、所有者がこいつなら始末して、俺が貰うのもアリだな、ナイフで刺すような男より俺のほうが彼女も幸せだ、間違いない、彼女もそう思ってるだろう、よし今すぐ始末を……

「い、いえ、わたくしは何をしても殿方から嫌悪感を向けられまして……幼い頃から、それこそお父様からも……」

 イヤありえんだろう、もう一度言うが、この美少女を嫌悪ってありえんだろ、こんな娘が近所に住んでたら俺だったら毎日アプローチかけてるぞ……ん?

「ひょっとして、『奴隷化』の呪いの他に別な呪いを受けてる?」

「分かりません、ただ幼い頃からいつも殿方には嫌われてまして……お母様や侍女には可愛がって頂きましたが……」

 俺はオリヴィエに一言断ってから、体に触れ調べてみる……奴隷化の呪いはあった、更に魂の奥深くに……

「まず一つ、好感情を向けられると悪感情に反転する呪いがかかってる」

「そ、そんなっ!」

「もう一つ、こっちのが悪質なんだけど、誰かに向けられた悪意を押し付けられて、君に向けられる好意を奪われてる、これは近くに居ないと効果はないっぽいけどな」

 つまり、彼女は好かれるように行動しても、その好意は近くにいる誰かに向けられ、彼女に向けられるのは無関心だ、逆に近くにいる誰かが嫌われるような行動をすればするほど、彼女は嫌われるのだ。

 だったら無関係になればいいと、逃げても今度は感情の好悪反転で嫌われる……ここまでくると殺したほうが慈悲深いんじゃないかとも思えるくらい悪意に満ちた呪いだ。

 なんでわかったかって? ふふ……あのクソジジイ、魔法が使えればモテモテとか吐かしやがったが……呪い専門の呪術なんてどこにモテる要素があるんだクソ野郎! 呪術師なんて胸張って名乗れない上に、女の子にドン引きされるわ! 猟師さんが指摘してくれなきゃ今頃非モテの根暗野郎とか言われてたに違いない、一応本を読んで一般的な魔法は大半使いこなせるから魔法使いを名乗っても問題ないのだ。

 呪いの専門家である呪術師は、呪いへの耐性は高いんで、凶悪ではあっても範囲が広い―――恐らく異性限定―――この呪いに簡単に抵抗できたのだ。

「とりあえずだ、背景を知れば呪いを解くにも楽だから洗いざらい喋ってみな、奴隷にされた経緯もな」

 ……と、オリヴィエはいきなり泣き出した、そして嗚咽を堪えながらポツリポツリと話し出す。



   ~~~~~



「づ、づらがっだんだなぁ……グスグス……ぢぐじょう! クソ野郎どもが!」

「ヒック! ヒック! クリスざまぁぁぁ、わだっ私のために泣いてくださるなんてぇぇ……うぇぇぇん!」

 わたくしが胸の内を全て明かす頃には、クリス様の目からは滝にように涙が流れておりました、殿方が涙を流すのを見るのは初めてですので、ビックリしてしまいました、それと同時にわたくしの為に悲しんで下さるこの方を見て、わたくしは嬉しくて胸が温かくなるのが分かりました、ついでに涙が止まりません。

 わたくしのかつての名はオリヴィエ・ヘルトール、マーニュ王国に3家ある公爵家の一員でございました。

 幼い頃から……いえ物心ついた頃から、わたくしは二つ年下の妹であるアンジェリカと比較され生きておりました。

 父は常に妹だけを可愛がり、兄も、弟もわたくしのことは邪険にして妹ばかりを構っておりました。

 ただ、母や祖母、女性の使用人たちはわたくしを構ってくださり、公爵家の者として恥ずかしくない程度の立ち振る舞いは学ぶことができました……父はわたくしに割く人材があるなら妹の養育に当てろなどと言っていたそうですが、母や祖母が何とかしてくれました。

 母たちからすると、父らがなぜわたくしにこれほど辛く当たるのか、全く理解の外であり、なんとかしようとしても貴族の家の権力は家長が全て握っているので、取り付く島も無かったそうです。

 成長し、他家の子女たちと交流するようになると、少年たちは全て妹ばかりを見て、わたくしは謂れのない誹謗ばかりを受けてました、それでも仲の良い令嬢たちとの交流はあり、全く孤立というわけではありませんでした。

 さらに年頃となり、婚約の話が出るようになると、妹には縁談が殺到し、かなり揉めたようです。

 その頃わたくしは王妃様に気に入られ、王太子殿下との婚約が……妹に夢中だった王太子殿下自らの強硬な反対で成立はしませんでした、それだけであればそれで終わったのですが……

 父は、わたくしが当家の恥さらしだと……追放し、あまつさえ奴隷として……

「グスグス……ズッ……信じらんねぇゴミ野郎どもめ! とりあえず移動に制限のかかる奴隷化の呪いは解いちまおう」

 奴隷とは主である所有者から逃げられないように、あまり離れることのできないように魔法で制限される存在です、クリス様に倒され縛られたこの男から100メートルも離れると、全身が焼かれるような激痛で苛まされるのです。

 他にも、質問に沈黙する事もできませんし、反抗などすれば死あるのみ、他にも無数の制限があり、およそ考えられる人間の尊厳を全て奪われるのが奴隷というものです。

 呪いを解くと簡単にクリス様は仰いますが、この呪いは非常に高度な特別性の呪いで……

   ―――パチンッ

「ふん、胸糞悪ぃ、ほら解けたぞ」

 え? あ? あれ? 胸元にあった呪いの文様が消えてる……

「流石にもう一個の呪いは、力尽くで抑えるだけで解除まではいかないな、できる限り弱らせた上で神殿でなんとかして貰うしかないな」

 呪い……解けた? もう奴隷じゃないのですか?

「おっし、王都で成り上がってやるつもりだったけど、クソ野郎どもと同じ空気吸う気になれないからな、どっかデカい神殿がある街に行く、心当たりあるか?」

「そ、そうですね……それではここから北のラーロン地方は如何でしょう? 『法の女神大神殿』を擁し、大規模な開拓計画が近々始まるので、実力次第では叙爵もありえますわ」

 わたくしは面識がありませんが、確か第二王子カール様が旗頭になって開拓を進める計画が進んでいます、時期的にそろそろだと王妃様が話してました。

 今から向かえば募集が始まるかどうかといったところではないでしょうか?

「地理とかは詳しくないから助かる、それじゃ一緒に行こう、神殿でオリヴィエの呪いを解いたらガンガン手柄立てて偉くなってやる」

「で、ですが……わたくしなど連れてはご迷惑ではないですか? それにわたくしは嫌われ者ですし、お返しできるものを持っておりません」

 家を追放されたわたくしのような小娘になど何の価値もありません、足でまといになるくらいなら……と思ってましたら、いきなり抱きしめられてしまいました。

「そうか、じゃ呪いを解いたら嫁さんになってくれ」

「なっななな……で、ですが家が決めた……あ……」

「色々屁理屈が欲しいなら言ってやるが、そんなもんはあくまでも屁理屈だ、俺がオリヴィエに惚れたから嫁にしたい……じゃダメか?」

 さっきまで大泣きだったので、お互いに顔がグシャグシャでしたが、真っ直ぐにわたくしを見据えるクリス様は……これまで見た誰より綺麗で、凛々しく……いつの間にかわたくしは小さく、はい、と呟き頷いておりました。



   ~~~~~



 あぁ俺の嫁可愛い、奴隷の服なんてさっさと捨てた、今彼女が着てるのは裾を詰めた俺の予備の服だ、ダボダボなのに胸元だけがパッツンしてるのが素晴らしい、サラシを巻いていても隠しきれないナイスバディである。

 北のラーロン地方に向かう途中、最初は旅慣れない彼女は歩きにくそうだった―――まぁ旅慣れないだけが理由じゃないが―――が、行商人の馬車に乗せてもらったりして意外と早く到着した。

 さて、早速大神殿に向かった俺たちは、神殿の正門前でいかにも偉そうなオッサンが仁王立ちしているのを見た、正門は広いから邪魔にはなってないけど、偉そうな服を着てるのでとにかく目立っている。

 まぁ俺たちのような善良極まる旅人にはなにも関係ないだろう、旅人の礼儀としてすれ違う時に軽く会釈だけして通り過ぎようとしたのだが……

「待ちなされ、クリス様、オリヴィエ様で相違ござらんか?」

 俺とオリヴィエを見た瞬間、いきなりオッサンのやたらと響く大きな声で呼び止められ、気がつくとオッサンと同じような意匠の神官服? を着た人達に囲まれていた。

「確かに俺はクリスだが、えぇっと……アンタ、いや貴方は?」

 とりあえず偉そうな人なので、俺のできる最大限の敬語で話してみる。

「これは失礼、儂はトラバントと申す、大神官の職責を、法の女神トライア様より賜る者です」

 大神官って実質この大神殿のトップだったような……オリヴィエを見ると驚きで固まってる。

「実は今朝女神様より神託を受け、クリス様とオリヴィエ様を案内するよう仰せつかりました」

 はい? 女神の神託ってなんじゃい?! 俺らってそんな重要人物の訳ないと思うんだけど。

「クリス様、神託を受けた以上、神官の皆様にとって絶対です、ここは大人しくついて行きましょう」

 まぁね、普段の行いが良い俺だし、探られて痛い腹なんて無いからな、尤も嫁との道中、特に野宿の時にナニしてたとか詳しく話せとか言われても困るが。



   ~~~~~



 案内された先で何があったかというと……まず呪いを解いて貰えた、まるで肩についたイモムシをひょいと取ってぽいっと投げ捨てるかのようにあっさりと。

 そして解いてくれたご本人(?)は俺らの目の前でピカピカと輝いております。

 そう、ここは大神殿、『降臨の間』と呼ばれる大神官だって滅多に入れない大神殿の最重要区画になぜか連れてこられ、女神さまとご対面しております。

「愛の女神ディアの軽率な行いをまず詫びよう」

 神官の皆さんは絶賛土下座中、謝られたオリヴィエも恐縮しまくって俺の腕にしがみつき、ほぼフリーズ状態。

 なんで女神様が謝ってるのかというと、要するに神様の中で愛の女神とかいうのが、お気に入りの女の子に自分の意識をリンクさせモテモテ人生を疑似体験するとかいう遊びをしてたのが発端らしい。

 それだけなら何も問題なかった、愛の女神に気に入られた女の子は単にモテるというだけで、結婚したあたりでリンクが途切れるから害はほぼない……が、エスカレートしてしまった。

 お気に入りの少女に加護を与え、更なる好意、愛情を集めようと考え、結果近くにいた姉を生贄にしてしまったのだ、その結果が好悪感情反転の呪い。

 神様世界の決まりとかは知らないが、この件で法の女神様は愛の女神を罰する事を決定、呪いの期間が15年間だから、何もない空間に1500年封印されるのだそうだ。

 ……で、ここからが本題、封印を決定したのは良いけど、最低でも一柱は神の加護が無いと、国は荒れてしまうらしいので、法の女神様自ら加護を与えてくれるそうだ。

 女神さまのありがたいお言葉に背後の神官のおっちゃん達なんか、男泣きしてるっぽい、嗚咽がここまで聞こえる。

「よって魔法使いクリス、汝に我が加護を与え今代の勇者とする」

 ……マテ、ちょっと待て! 聞いてないぞ女神さんよ……あぁ!もういねぇ、爆弾発言だけ残して消えやがった!

「おっおぉぉぉ! 勇者様! 女神の地上代理人たる勇者がこの地でお生まれになったぞ!」

 やばい、大神官のオッサンがテンション上がりすぎてハイになってる!

「……」

 オリヴィエは展開についていけずにまだフリーズしたままだ、ど、どうしよう?



   ~~~~~



 それから、勇者となった俺は予定通り開拓計画に名乗り出た、勇者のチート能力に加え、元々法の女神大神殿がある土地柄なせいか、大神官を始め神殿関係者の先を競うようになサポートも加わり開拓は順調に進んだ。

 開拓が進み、落ち着いたところで、第二王子カールは大公となり、俺はなんか侯爵になって欲しいとか言われたので了解した、そういえば家名がないので大神官に考えさせたところ女神トライアの名をいただき、『アストライア侯爵家』を名乗ることになった。

 半分独立国家みたいなものだけど良く王国が許したもんだと思った、まぁ色々暗闘はあったらしい、その中でも(勇者)が第二王子に仕えてる形なのが大きかったらしい。

 ものすごく上機嫌で交渉の席から帰ってきた時、満面の笑みで礼を言われたな、俺は何もやってないんだが。

 いやぁ貴族の生活なんて良く分からんからオリヴィエがいてくれて助かった、彼女は今アストライア侯爵夫人として公私ともにサポートしてくれている、うん最高の嫁だ。

 今一番困るのが、俺と誼を結びたい連中が側室とか勧めてくる事だ、まぁ美人を侍らせたい野望は確かにあるが、家同士の関係なんか知らんし、なによりオリヴィエに悪いからな、相談したら、侯爵家としては何人か貰わないといけないと言われたので、側室に関しては嫁に一任する事にした。

 数日後、嫁が増えた。

 大神官の孫娘、アルテナ……まぁ分かる、俺って血縁的な後ろ盾無いからな、大神殿との関係強化は必須だろう。

 マーニュ王国侯爵令嬢、ディアーネ……オリヴィエの親友で、アンジェリカに婚約者が夢中なのでさっさと縁を切り、他所に嫁ぎたかったらしい。

 宮廷魔術師の孫娘、マルフィーザ……アンジェリカ被害者その2

 マーニュ王国王女、アルチーナ……ちょっと待て。

「いやぁ公国としては一致団結しないといけないから、ボクの妹貰ってね、そうそう、オリヴィエとの間に娘ができたら、僕の息子と婚約させるから宜しくね」

「カール公、ひょっとしてだが」

「うん、アルチーナと婚約してた男がアンジェリカに夢中でさっさと婚約破棄したってさ、それで改めて嫁ぎ先を探してた矢先に君という優良物件があったのだよ」

 そんなこんなで、新しい嫁さん達と仲良くなりつつ、公国で忙しい毎日を送っていたある日、いきなり招かれざる客がやってきた。



   ~~~~~



「貴方が勇者クリス様ですね、初めましてアンジェリカです、気軽にアンと呼んでくださっても構いませんよ」

 なんだこの馴れ馴れしい女は、ベタベタ触ってくるな、俺は今妊娠したオリヴィエを膝枕してるんだから静かにしろ。

 他の嫁さんも引いてる、俺たちは今中庭の東屋で寛いでいた、右の太ももでオリヴィエを膝枕して、左の太ももではアルチーナが午睡の最中、アルテナ、ディアーネ、マルフィーザはお茶を飲みながら子供の名前はどうしようかと話してる時に、いきなり乱入してきたのだ。

 とりあえず寝てる二人は寝かしておいて……ディアーネが乱入女に注意していた。

「アンジェリカさん、いきなりなんの約束もなく侯爵家の屋敷に立ち入るとは何を考えてるのですか?!」

 ちなみにこの屋敷は開拓地に行ったり来たりの俺が寝泊まりする家で本宅ではないので、使用人とかはほぼいない、たまに法の女神の神官さんが掃除に来る程度か。

 夜間の警備は呪術で何とかしており、昼間はほぼ無防備だったりするので、まぁ勝手に入ろうと思えば入れる、貴重品なんか無いしな。

「あれ? なんでアンタいるの?  シャルローに振られてどっか行ったはずでしょ」

 どうでもいいが、すぐ近くで姉と自国の王女がいるのになんで普通に会話できるんだこの女?

「それにしても勇者様は流石に綺麗な顔してますね、どうでしょう一緒に遊びに……」

「アン! 我々を置いていくんじゃない」

 と、ゾロゾロとなんかイケメンどもが入ってきたな、だからお前ら勝手に入ってくるなよ、俺んちだぞここ。

 そしてなんか知らんがいきなり自分らの世界に入ってイチャイチャしだす、とりあえず嫁さんたちは俺の背後に移動させる。

 要約すると、この女は時期王妃として、勇者の俺と誼を結びたいからやってきたと、ついでに取り巻きゾロゾロと連れてきたと。

 触られた拍子に分かった、この女オリヴィエに掛かってた呪いと真逆の呪いにかかってる、つまり何をしようが好感情を向けられ、愛される呪いだ。

 まともな感覚持ってたら、逃げたくなるもんだと思うけど……まぁこのメンタルの強さだけは認めてやってもいいか。

「と、いう訳で勇者様も仲良くしましょう、お近づきの証に……あれ? なんでソレ生きてるの?」

 ようやく俺に膝枕されてる姉に気がついたのか、ソレ呼ばわりなのは……もういいやこの女の言い分を聞いてたら脳みそが腐る、オリヴィエのお腹の子に悪影響があるかもしれん。

「勇者様、ソレは子供の頃から誰からも嫌われるような……」

 ―――パチンッ

 愛の女神が封印されてる現状、勇者の能力を持つ俺にとって呪いを解くのに触れるまでもない、ほれ、義理の兄として呪いを解いてやったぞ、誰からも無条件に愛されるなんて気持ち悪いだろうから感謝しろよ、そして帰れ。

 瞬間、なんか取り巻きのイケメンどもがドン引きしていた。

「どうしたのみんな?」

 さて、この女は幼い頃から悪感情を好感情に反転させられ、何をしようが愛されてきた、要するに……

 不摂生な生活と禄に手入れもしない髪や肌はとても十五歳とは思えないほど、荒れ果てていた。

 貰った香水の類は意見を言ってくれる筈の男性は、なにをどうしようが褒め称えるし、女性の意見は最初から聞く気がなかったせいで、相性無視で大量にふりかけてるものだから気分が悪くなる程の悪臭を放っていた。

 服装も同様、異性の目がないとどうしても適当になる、結果、貰い物を適当に身につけてるだけなので、はっきり言って成金っぽくて悪趣味だった。

 なによりも……そのような環境で育った人間が、他人を対等乃至目上の人間として敬うだろうか? 否だ、女は口では聞こえの良い尤もらしい言葉を吐くが、腹の底では自分以外を見下し蔑んでいる、顔とは性根を写す鏡であり―――まぁ隠すのが上手い人間も居るが、この女はそういうタイプではない―――呪いが解け、改めて見たこの顔は……

 世界一可愛いオリヴィエの妹なのだし、多少造作も似てないことはないはずなのだが……その女は有り体に言って醜かった。
補足
オリヴィエの実家:娘の愛されチートのすべてを失い、没落しかけるがオリヴィエママの機転により強制隠居、兄跡を継ぐが実権はすべてオリヴィエママが握る、ついでに兄は嫁に尻に敷かれ、公爵家において男の立場は最下層に落ちる

取り巻きズ:一瞬で恋が醒めるが、元婚約者には愛想を尽かされているか、既によそに嫁いでいた。

主人公嫁の元婚約者:本当だったら自分の妻になってる女性が勇者とイチャイチャしてるのを見せられ寝込む。

王太子&妹:婚約破棄が不可能なほど話が進んでいたので結婚することに……どうなったかは読者の皆様のご想像にお任せします。

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