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皇帝アーシェント・ルクツヘイム=カイザー・ネーヴェル 視点
幕間02:即位式典の夜
19.皇帝の思考
 私の召喚で、その娘は今目の前に立っている。
 南方によく見られる鮮やかな赤銅色の髪に今だかつて見たこともない鮮やかな翡翠の瞳。
 珍しい色組の容姿をもったまだ少女といってもいい位の娘。
 緊張のためか、はたから見てもガチガチに固まっているのがわかる。
 色合いは稀だが、普通の娘。
 それが、私の第一印象だった。
 だが、彼女が特級裁縫士というのは事実だろう。
 王太子の時から私直属である諜報機関からの確かな情報を娘と対面する前に耳に入れていたのだから。
 それも、あの忌々しい異母妹いもうとの犠牲者の一人。
 出来ることならこの娘に異母妹に代わって謝罪したいくらいなのだか、私の今の地位では無理だ。
 皇帝である者が如何なることがあったとしてもこの世界を創造した精霊以外に頭を垂れることは許されないのだから。
 だから、誠意を込めて労いの言葉を掛け彼女が作りルフィト卿が私に忠誠と共に捧げてくれたカフスの出来栄えに賛辞を送った。
 公的な書類は後で整えるとして、これで彼女は私のお墨付きで黒騎士の専属特級裁縫士として公認されたことになる。
 これで、何人たりともこの事実を覆すことはできない。
 例え、あの異母妹であってもだ。
 そもそも私が皇帝の座に就いたからには、その心配はしなくて済むのだが。
 彼女はあと数日で皇族でなく代替わりの為その身分は貴族へ降下して皇族貴族と呼ばれる権力のない公爵位になるのだから。
 私は最後にもう一度二人に労いの言葉を掛けた後、緊張しっぱなしであろう彼女を思い退出させた。
 残ったのは、私と近辺護衛のホイティエ卿のみ。
 そのホイティエ卿を促して祝賀会の会場へ移動しようと彼を見ると、彼は何かに耐えるような苦面の表情で二人の消えた扉を見つめていた。
 そんな顔を見てしまえば、なにかあるなと思ってしまう。
 けれどそれは私的プライベートであるだろうから気付かない振りをして彼に声を掛けてから席を立った。

 祝賀会場は、三段構造の宮廷の大広間で執り行われている。
 第一階層は、先の戦で功労があった三位以下の騎士や貴族付きのそれなりの地位に就いている者たち専用のフロア。
 第二階層は、侯爵以下の貴族達専用フロア。
 第三階層は、皇帝と皇族、侯爵以上の貴族達専用のフロアとなっている。
 私は、元老院の重鎮やホイティエ卿の父であるヴェルツ公爵に囲まれ賛辞を贈られている異母妹を視界に入れないようにしながら祝杯を片手に玉座に座って祝賀の様子を眺めていた。
 一番遠い第一階層にいてもそれとわかる。
 目を引く赤銅色の髪の毛。
 こんな場所は初めてだろうと一目わかる。
 帝都ではあまり見かけない北方特有の暗色色の髪を持つ者が傍にいることからルフィト卿の従者が付き添っているのだろ。
 さて、どうしたものかとしばし思案する。
 彼女が、本当に真の血族なれば私は彼女を守護しなければならない。
 それが皇帝の隠された義務の一つ。
 つまりは、表立って助けることはできない。
 なぜなら、皇帝以外知らない真実があるから。
 国民に明かせないことが多々とあるのだから。
 だが、都合がいいことに彼女は黒騎士であるルフィト卿の専属特級裁縫士だ。
 これほど、身辺護衛として適任な者はいない。
 ましてや黒騎士は、これから大いにそのことにかかわることになるのだから。
 彼女がそれと確証されるまでの間の盾ともなる。
 血族は何があっても存続させなければならない。
 それは、世界創生の時代よりの不文律。
 『奴ら』の標的となる血族を死守することこそが世界存亡につながるのだから。


















短いですorz
そもそも幕間な話なので長くはないのですが(汗
後一話幕間のあと、第三幕開始となります
第三幕で、二人がらぶらぶまで届くといいなと思ってたりします(滝汗

※誤字のご指摘ありがとうございました!
修正いたしました
※設定追加に伴い若干加筆修正しました
【紡ぎ唄のように -世界設定-】
【紡ぎ唄のように -イメージ画集-】



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