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あなたはUFOを信じますか
作者:SMILE
 佐藤は目を覚ますと、自分が椅子に座っていることを発見した。

(頭が重い……)

 薄暗い光の中で周りを見回した。丸いテーブルを挟んで向かい側には一人の男が自分と同じように椅子に座り、眠っている。床には大小さまざまな大きさの石が転がっていた。すべてが同じ種類の石ではないようだ。色や、石の構造にだいぶばらつきが見られる。奇妙な風景の部屋だ。天井はだいぶ高く造られている。一見してみたところドアらしきものは無い。

(ここは……どこだ?)

 佐藤は目の前の男を揺さぶり起こした。

「おい、あんた!」

 男はよく見ると、なかなか端正な顔立ちをしていた。二十代か三十代、いや高校生かもしれない。

「ん……あなたは、誰?」

 男は寝ぼけているようだったが、佐藤は構わずに続けた。

「あんた、ここがどこか知ってるか?」

 男は周りを見て、青ざめながらつぶやいた。

「……UFOですよ、ここ……」

 男は立ち上がり、興奮気味に話した。

「UFOの中ですよ……こないだTVで見たのとそっくりだ。アブダクションですよ! まさか、僕が選ばれるなんて……」

 アブダクション。その言葉なら佐藤も知っていた。

(宇宙人が地球人をさらうってあれか? ばかばかしい)
「あんなもん作り話だろ? まだ寝ぼけてんのか? しっかりしてくれよ。」

「なに言ってるんですか! UFOは実在しますよ! 現実ですよ! 現にこうやって……」

 男の鬼気せまる表情に気押された佐藤はとりあえず男の主張を認めた。

「……わかったよ、UFOにしろなんにしろ、今は脱出を考えよう。」

  
 部屋の中をあらかた調べ終わった佐藤は座ったままうなだれている男を見た。

「床や壁につなぎ目らしきものはないな。あんたはUFOからの脱出方法ってのは知らないのかい?」

 男は顔を上げ、何でも知っているかのように話した。

「何言ってるんですか、UFOですよ? 出られるわけ無いじゃないですか。出られたらUFOの意味ないでしょ。」

 またうつむいてしまった男を尻目に、佐藤は床に散らばった石に気をつけながら自分の椅子に戻った。そして男のあきらめた様子を不審に思いながら、これからどうするかを考え始めた。


 小一時間も経ったろうか、沈黙に耐え切れなくなった佐藤が切り出した。
「なあ、何か話さないか? こうして黙っていても何も変わらないだろ? そうだ、まだ名前を聞いてなかったな。俺は佐藤幸一。君の名前は?」

 すると男は急に顔を上げ、興味を持った様子で佐藤を見た。予想外の反応に驚きつつも佐藤は急ごしらえの笑顔で応える。

「サ……トウ……変わった名前ですね。」

「何言ってるんだ。日本のどこにでもある名前だろ。あんたはなんていうんだよ?」
 
 不思議そうな顔をしながら男は答えた。

「僕の名前はギンギン。」

「え……?」
(ギンギンって……?)

「ああ、日本人じゃないのか。それともハーフとか。」

 よく見てみれば日本人離れした顔つきをしている。気にするほどでもなかったが、言葉のイントネーションも特殊な気がする。

(ギンギン……どこの国の名前なんだ?)

 自称ギンギンは考える佐藤に向かって口を開いた。

「何を言ってるのかわからないな。それに、さっきからあなたが言っているニホンってなんなんですか?」

 佐藤は再び困惑に陥った。真っ暗闇に放り込まれた気分だ。

(どういうことだ??)

 混乱している佐藤を不思議そうに見つめながら男はふと思い出したようにつぶやいた。

「もう天球に戻れないなんて悲しいですね。あなたもそう思うでしょ?」

「ちょっと待てよ……何だよ天球って?」

 訝しげに佐藤を見ながらギンギンは答えた。

「何言ってるんですか、天球は天球ですよ。頭でも打ったんですか?」

 ギンギンの不可解な言葉に佐藤は三再び思慮を巡らせた。そして、素晴らしい答えを導き出した。

(これは夢かもしれないな)
「そうかもしれない。俺に一から説明してくれないか。」

 ギンギンは哀れむような表情で佐藤を眺め、やれやれといった感じで話しだした。

「ほんとに思い出せないんですか? 僕達は天球人じゃないですか。そして僕らは今UFOに乗っています。あのUFOですよ? 無作為に天球人から宇宙の神への生け贄を選び、宇宙を放浪する旅に出るUFO。天球人の常識じゃないですか。」

(天球人の常識ね……それじゃあ知らないはずだ。俺は地球人だからな。こりゃ完璧に夢だな。それにここに地球人の俺がいるのも妙な話だ。)
「何でも知っているみたいじゃないか、じゃあ、この床に散らばった石はなんだ?」

「まだ思い出しませんか? UFOは放浪しながら他の星から一つずつ物を集める。これも宇宙の神への贈り物な訳です。ま、他の星って言っても石ころばっかりですけどね。」

 ギンギンはすらすらと答えた。

「どうです? そろそろ思い出しましたか?」

 そこには愕然とした表情の佐藤の姿があった。

(……じゃあ俺は地球からの贈り物ってわけか……)

「僕はもう吹っ切れましたよ。今になって思えば、あなたがいてよかった。一人じゃ寂しいですからね。」

饒舌になったギンギンと、黙り込んだ佐藤を乗せてUFOは宇宙の彼方に消えた。
「あなたはUFOを信じますか?」という質問の「UFO=宇宙人の乗り物」という考えが気に入らなかったので書いてみました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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