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作:東河哲也



17.深夜の物音、隠れ家への移動




 小次郎が村の根城の屋敷のベッドで眠っていると、かすかな気配がした。彼は即座にそれに反応して目を覚ました。寝ている時にリンチを受け、鼻と片目を潰されてしまった経験の後、彼は完全に熟睡することが出来なくなった。どんなささいな物音にでも反応し、不安が収まらない時は物置に移動して睡眠を再開したり、いくつもある隠れ家の一つに移って睡眠を取ったりした。
 彼はあたりを長い間伺った。何も音はしない。もう一度眠ろうとするとやはり何かの気配を感じた気がした。彼はガバリと立ち上がり、いつも枕元に備えてある斧の柄をがっちりと握り締めた。そして彼はそのまま外に出た。彼は寝巻きは着なかった。いつでも戦える服装でいつも常に過ごしていた。隠れ家には村人に作らせた寝袋が備えてある。彼はどこの隠れ家にしようかとしばし迷った。とにかく追跡者がいないことを確認することだ。彼は早足で歩き出した。すべては気のせいかも知れなかった。しかしそれが完全に気のせいだと確信できるまでは油断はできなかった。曲がり角を曲がり、その片隅にじっと息を潜め、しばし待った。猫が視界に入った。さらにしばし待った。不気味な鳥が飛び去った。さらに待つ。誰も来ない。またさらに待つ。大丈夫な気がする。
 小次郎は曲がり角など、身を隠せるところを通りすぎるたびにこんな風にしばらく様子を見た。完全に眠気などは覚めていた。いつでもどこでも戦わなければならない。彼を恨んでいる人間は無数にいる。彼は残酷な処刑を極度に恐れていた。自分自身がいつもやっていることだった。
 ようやく安心した小次郎は森の中の隠れ家へと向かった。彼はとぼとぼと歩きながら考えていた。本当は眠っている間の警備が必要だった。しかし誰一人信用できなかった。ピートは彼に忠実だったが、やはり信用できなかった。むしろ一番恐ろしいのはピートではないかと思えた。ピートは今では成長し、昔のような子供ではなくなった。背丈は小次郎よりも高くなった。筋力も強かった。もしピートが敵にまわったらと思うとぞっとした。彼はピートを何かの理由をつけて処刑をしてしまうことも検討していた。しかしそうすると困る事もたくさんある。とにかくピートは役に立つ男だった。殺してしまうか、このまま利用し続けるか、難しい選択だった。













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