13.初めての殺人行為
日々を重ねるにつれ小次郎は憎しみの塊へと変貌していった。周りに居る人間のすべてが憎くて憎くて仕方がなかった。ピートは彼に忠実だったが、その子分たちはいつも小次郎を憎々しげに睨んでいた。そして小次郎と目が合うと引きつったような笑顔を向けた。誰もが小次郎を心底から憎んでいて、小次郎も彼らを憎んでいた。それでも小次郎グループとして団結力はあった。逆らうものは小次郎による残酷なリンチが待っていた。大人たちは小次郎が目障りでしょうがないようだった。
ある日、屈強な農民が道で小次郎と出くわした。小次郎のそばにはいつもピートが控えていた。農民はまっすぐに小次郎を睨みつけた。小次郎も憎々しげに睨み返した。農民は鍬を持っていた。
「なんだ手前この野郎。殺されてえのか」
農民は小次郎に凄んだ。小次郎は無言で顔を農民の顔の数センチのところまで突き出した。
「なんだこらあ」
農民は再び呟き、鍬を握り直した。小次郎は無言でニヤニヤと笑っていた。農民は突然、鍬を振りかぶった。小次郎はその瞬間を待っていたように農民に飛び掛かった。農民の両手首を掴み、そのまま足をかけて地面に倒した。そして鍬を取り上げた。
「殺すってか?じゃあ俺が手前を殺しても文句はねえもんな」
小次郎はそう呟いて、農民の胸目掛けて鍬を振り下ろした。ぐさりと突き刺さって農民は絶叫した。
「うるせえなあ、手前この野郎。静かに死ねねえのか、ふざけやがってよおおおおおおおお」
小次郎の中で何かが爆発した。彼は狂った様に鍬を農民に振り下ろし続けた。1回2回3回4回5回6回7回8回9回…
「ふざけやがって手前、殺すだとお。殺してみろよ。おー、こーろーしーてーみーろーよおおおおお、おおおお、こらあああああ、こらあああああ」
農民はとっくに完全に息絶えていた。小次郎はそれでも狂ったように鍬を打ち下ろし続けた。彼は強烈な快感の只中にいた。
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