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第8話:にぎやかな登校風景
「おはようせっちゃん」
鼻が痛い。何があったかは聞くな。…何故目覚ましをふたつセットしたのか忘れてたのは失策だった。
「せっちゃんおはよう」
ちなみにオレの鼻を痛めつけた妹はオレが起きた時、うちの高校の制服を着ていた。その姿にドキッとしたのは、けして可愛かったからではなく、不意打ちだったからだ。…本当だからな。
「うぅ…仕方ない。誠矢おはよう」
「なんだ腐れオタクか。おはようさん」
「…その呼び方やめない?僕には久遠翔くおんしょうって名前があるんだよ?」
「嘘つきは泥棒と窃盗犯の始まりだぞ?オタクの名前がそんな微妙に古い感じがするけどかっこいいわけないだろ」
「せっちゃんってなんていうか思い込みが激しいんだね」
…自覚がないわけではないが
「うるさい。腐れオタク」
コイツに言われるとムカツク。
「せ、誠矢君お、おはよう」
「ん?…あぁ佐倉おはよう」
「(昨日話しかけられたし、勇気だして声かけてみたけど、ちゃんと返してくれた〜)」
…またなんか言ってる。佐倉大丈夫か?
「え〜とまぁ…佐倉元気でな?」
「えっ?…あ、うん。またね誠矢君」
そういえば昨日も佐倉と会った気がするな。偶然ってけっこうあるんだな
「ねぇ…ところでせっちゃん」
「あん?腐れオタクいたのか?」
「…普通に酷いからね。…じゃなくて、さっきからいろんな人に見られてる気がするンだけど?」
「ふ〜ん…ついにお前犯罪犯したか」
「…どうしてそうなるの?」
「いや、犯罪者として新聞とか回覧板にお前の顔写真が載ったんじゃないのか?」
「…そんなわけないよ。ていうか視線集めてるのせっちゃんだよ?」
やだなぁーオレみたいな善良市民が何で人々の視線を集めるんだ?別にボランティアをした訳じゃあるまいし
「気のせいだろ気のせい」
「そっかなぁ…確かに―あっ…」
「あん?どうかしたか?」
「せっちゃん…無駄に怖いよ…」
「そんなことよりどうしたよ?」
「アレ見てみて」
「そう言って指差した腐れオタクの指先には爪があった」
「せっちゃん…何を説明口調でつまらないこと言ってるの?」
「うるさい!…ん?電柱があるな」
「そこに張り紙があるでしょ?」
「あるみたいだけど、ここからじゃオレは見えないぞ?」
「…そっか…僕が見る限り、そこにはせっちゃんの顔写真と、大きな字で『触るな!妊娠の危険!』って書かれてるのが見えるんだけど…」
…オレはいったい何者なんだ?
「というか人権侵害だろっ!」
「…けどせっちゃんが裁判しても負けそうだよ?」
「何でだよ?」
「…自覚がない時点でもう…」
何なんだ?いったい?
「あら?誠矢じゃない。私の下僕の。…挨拶は?」
…全力で無視していいですか?というか先にオレが挨拶しろと?
「挨拶しないと…結ぶわよ?」
何を!?まさかアレ!?
「あんたと私の赤い糸」
はぁ…良かった…アレじゃなかった…
「…って!何でオレが相原と赤い糸で結ばれないといけないんだ!?」
「心配しなくてもあんたの想像してる気持ち悪いものじゃないわ。…あんたと私の血でできた繋がりのことよ」
「おはようございます!相原さん!」
「気持ち悪い。さん付けなんかすんな!」
「………………………」
「?何を黙ってんのよ?」
「…ところでお前は挨拶返さないの?」
「あんたに何で私が挨拶しないといけないのよ?」
「人の礼儀として当然だろ!?」
「私の辞書にあんたに対する礼儀なんてないわよ」
「………………………」
「………………………」
「え〜と…そこのお二人さん…仲良さそうなのはいいんだけど…」
「「誰と誰が仲良いって!」」
「…やっぱり仲良いし…」
「って、コイツ誰?あんたの知り合い?」
「さぁ?オレは知らないよ。こんなオタク。相原の知り合いなんじゃねぇの?」
「…僕は二人ともきちんと知ってるんだけど」
「はぁ?何で腐れオタクが相原のこと知ってんだ?」
「相原久乃さんでしょ?小学校で一緒だったの憶えてるよ」
「………………………」
「………………………」
「ん?二人とも何で黙ってるの?」
「いや…よく憶えてるなぁって…もしかしてお前相原のストーカーだったとか?」
「私はこんな子いたかなぁって」
「…憶えてないのはせっちゃんくらいだよ。相原さん目立ってたんだから。…相原さんが僕のこと覚えてないのは…」
「やっぱりお前がオタクだからか…」
かわいそうな奴だ。
「ひどいよせっちゃん…」
「…たぶん私が憶えてないのは誠矢が言ったようなバカな理由じゃなくて、私にとってどうでも良かったからね」
「………………………」
「………………………」
「ん?どうかした?」
「相原…それはフォローのつもりか?」
「そうだけど?」
「…僕っていったい…?」
…哀れな奴だ
「おはようございます。誠矢君。相原さん。久遠君」
?この丁寧な挨拶は…
「暁か。おはよう」
「…また、相原さんと仲よさそうですね」
「どこをどう見たらそうなるんだ?…というか暁、相原のこと知ってんのか?」
「同じクラスのかたは、昨日できちんと名前を把握してます」
「てことは、暁とまた同じクラスだったんだなオレ」
いや、昨日きちんと確認しとけば良かったな
「...いろいろ言いたいことはありますが...。とりあえず、遅刻しそうなので、急ぎませんか?」
「そ、そうだった!僕それ言おうとしてたんだった!」
「あん?腐れオタクいたのか?」
「それ何度目!?」
「いらっしゃったんですね久遠君」
「暁さん僕にも挨拶してなかった!?」
…どうでもいいが、暁オレ以外には更に話し方丁寧になるよな…オレなめられてる?腐れオタク以下かよ
「………………………」
「ん?相原さっきから何を黙ってんだ?」
「いや、この子もなんだろうなぁって」
「は?何を言ってんだ?」
「…もういいから暁さんの言う通り、さっさと行くわよ!」
「はいはい分かったよ」
まったく横暴な奴だ。少しは暁のことを見習って欲しい。
「あんた失礼なこと考えてない?」
...余計なこと考えず急ぐか
「あぁ、後誠矢」
「なんだ?」
「おはよう」
…今日はいいことあるかもな
そう思いながらオレは学校へと向かうのだった


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