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第55話:料理大会調理
「誠矢! 今日こそ勝負だ!」
「………だれ?」
料理大会の途中。絶賛料理中のオレに見ず知らずの男子生徒が話しかけてきた
「俺だ俺!」
「………詐欺にようはない」
何なんだろう? この頭の悪そうな生徒
「忘れたのか俺を!?」
「いや、むしろ知らない。自己紹介を要請………する必要ないか」
別に友達にもならないだろうし
「あれ? センパイに光じゃないですか? 何してるんですか?」
「ん? ……あぁ要か。何か知らない奴にからまれててな。要はこいつのこと知ってるのか?」
「うぅ……誠矢ひどいじゃないか」
「あ、あはは……えっと……知り合いも何も光はボクの双子の弟です」
「へぇ……要って兄弟いたんだな」
しかも双子なんて珍しい
「兄もいるんですが……センパイ覚えてます?」
「覚えてないというか知らないな」
「確かに教えたはずなんですが………」
「でも記憶にないぜ?」
「だからセンパイが忘れているんですよ」
「そうだったのか……悪いな」
オレは最大限の笑顔で謝る
「………悪いと思ってないですね」
性分だからな
「まぁいいです。ところでセンパイ。センパイは何を作ってるんですか?」
「あんまり料理は得意じゃないからな。牛筋ぎゅうすじをオリジナルのタレで煮込んでる」
「牛筋? どんなのですか?」
「あれ? 要って牛筋知らないのか? 牛の筋肉すじにくのことだよ」
「それは分かるんですけど、食べられるんですか? 筋肉すじにくってすごく硬いイメージがあるんですけど……」
「そのままじゃとても無理だな。1・2時間煮ただけでも一緒だ。日単位で煮た時に初めて美味しく食べられる」
「……すごく手間がかかるんですね。でもだったらこの時間以内じゃ作れないんじゃないですか?」
「そこは心配ないな。既に1週間近く煮込んできた」
おかげでとろとろで、学校に持って来るときに型崩れしすぎないよう気をつけるのに大変だった
「………なんて言うか、すごいですね」
「料理は得意じゃないからな。時間かけて勝負するしかないんだよ」
「……この間、作ってもらった料理、とても美味しかったですよ?」
この間の勉強会のことか
「人並みだったろ?」
「はい。普通に美味しいでした。3分クッキングを実践してあの美味しさは異常です」
「要の弁当に比べたらまだまだだけどな」
オレは手軽に作る料理はそれなりに得意だが、丁寧に時間をかけての料理は少し苦手だ
「ところでそういう要は何を作ってるんだ?」
「誠矢! 俺は……」
「ボクですか? シチューです。センパイと同じで後は煮込むだけなので暇です」
「……俺は何を作ったらいいんだ?」
知るかよ
「要のシチューか……食べてみたいな」
「センパイは審査員ですから食べられますよ」
「普通に食べたいんだよ。かなりの数の料理食べるから少しずつしか食べられないからな」
「そ、そういう事だったらボクがまた今度作りますっ!」
「あ、ありがとう……」
たまに要のテンションについていけないことがあるな
「なぁ……誠矢。俺は何を作ればいいんだ?」
「大根おろし」
「分かった! 大根おろしだな! 作ってくるぜ!」
「ああ。とっとといなくなれ」
「ありがとな! 誠矢!」
そして謎の少年、光はいなくなった
(……可哀想な奴だ)
オレは心の中で(むしろ心の底から)哀れみ、アイツの今後を心配した
「それじゃ、センパイ。ボクも行きますね」
「ああ。要の料理、楽しみにしてるよ」
「ボクもセンパイが気に入ってくれるか心待ちにしてます」
そう言って要もいなくなり、一人になる
「暇だ……」
実際、弱火で煮込むだけなのでやることがない
「誠矢君? 暇なんですか?」
丁寧な発音と言葉遣い。その二つを兼ね備えた人に話しかけられる
「暇は暇だが……黎奈、いつの間に来たんだ?」
「来るも何も、初めから誠矢君の隣で作ってましたよ」
…………いやいや、気づいてましたよ?
「それにしても楽しそうですね誠矢君。次から次へと可愛い女の子がやって来て。それでいなくなったら『暇』ですか。まるで隣に誰かがいるのが当然のような発言ですね」
「………あの〜……黎奈さん? 何故怒ってるのですか?」
「怒っていません。別に『この女ったらし!』とか欠片も思ってません」
「そっか……なら良かった」
オレの気のせいだったんだな
「………怒るのが無意味な気がしてきました」
「あれ? やっぱり黎奈怒ってるのか?」
「別に怒っていません。ただ私が優勝したら覚悟してください」
………軍事金がなくなったらどうしよう
「と、ところで黎奈は何を作ってるんだ?」
「フグの刺し身です」
「………それって料理?」
いや、免許とかも必要で難しいのは知ってるけど
「文句があるのでしたら誠矢君は食べなくてもいいです」
「すみません食べさせてください」
変わり身の速いオレだった


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