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第28話:引き継ぎ
『これより、新生徒会の任命式を行います』
進行の人の合図とともに、生徒が一斉に礼をする。オレ達が生徒会を引き継ぐ時がきたのだ
『前生徒会長あいさつ』
……陸上部の部長であり、生徒会長でもあったあの先輩。どんな最後を飾るんだろう?
『去年の今日。私は生徒会長となりました』
部長が壇上に上がり話し出す
『正直言ってその時のことはほとんど憶えていません。ただ、その時から私はこの学校を変えていこうと努力してきました』
けっこうマジな感じで話が進む
『この学校は変われたんでしょうか?………陸上にロマンを感じれる学校に』
…………はい?
『私はそんな学校を目指してがんばってきました』
………何を真顔でふざけたこと言ってんですか?
『皆さんは今、陸上にロマンを感じていますか!?』
………こういうセンパイだったな
『もし感じているなら、私の役割は果たせたと思います。少しでも多くの人に陸上に対するロマンを持ってもらえたら私は満足です』
…………冗談で言ってないのが恐ろしいな
『皆さんに言う私の最後の言葉は一つです』
最後くらいまともなこと言ってくださいよ先輩?
『レッツ ランニング!』
部長は一礼して壇上を下りる
(………ワケわかんねぇ)
パチパチパチパチパチパチ!!
そして始まる大拍手
(……今ので拍手なら何を言っても拍手になるな)
ノリのいい生徒ばかりだ
『学校長あいさつ』
「カットします」
オレは反射的に止める
「アンタって怖いもの知らずよね。一応アレでもこの学校のトップよ?」
隣にいた相原が呆れたような感心したような声で話しかけてくる
「その校長を勝手に生徒会の会計にした相原には言われたくない」
「校長は一応トップだけど、実質的には私の方が偉いからね」
「どんだけ偉いんだよ?」
「森羅万象の頂点に位置するって前にも言ったでしょ?」
確かに言ってたような気はするが……
「それはそうと、こんなに話してるとまた……」
「あ〜ごほん……君たち、ちょっと職員室こようか?」
このわざとらしい咳払いは……
「……またですか?教頭先生……」
「むしろそのセリフはこちらのセリフだと思うのだが」
まぁ確かに
「ていうか教頭。一応私たち今回の主役なんだけど?」
……先生と呼んであげろ
「ふむ……そういえばそうだったね」
実際オレ達が居ないと始まらないよな
「それに君たちに紹介したい子もいるしね」
「紹介したい子?」
「まぁそんなことより、そろそろ君たちの出番ではないかね?」
『続きまして、校長先生に生徒会役員の任命を行なってもらいます』
「ほら、行くわよ?」
相原に押され、オレは壇上に上がる。
『任命賞授与。相原久乃。生徒会会長に任命する』
校長が賞状を読み、相原がそれを受け取る
『任命賞授与。哀川誠矢。生徒会副会長に任命する』
すぐにオレの番がきた。緊張する暇もなくオレは賞状を受け取った
『任命賞―――』
その後も滞りなく任命が続いていく。(途中校長が校長に自分で授与する場面もあったが)
『―――生徒会保健体育部長に任命する』
最後に要の任命が終わり、オレ達の任命が終わった。後は壇上を下りて、司会が式の終わりを告げるだけだった
(何事もなく終わりそうだな)
オレは壇上から下り、一安心する
『続きまして、監査委員の任命式を行います』
「…………………………はい?」
あれ?もう終わりじゃなかったのか?
「おい、相原。どういうことだ?オレは聞いてないぞ?」
「何で私に聞くのよ?アンタが知らないこと私が知るわけないじゃない」
………仮にも生徒会長の言葉か?
「まぁとにかく様子をみましょ?何だか面白そうじゃない」
「珍しいな。相原が大人しくするなんて」
「私が何もしなくても面白くなりそうだからね」
コイツは面白ければ何でもいいのか?
「ほら。壇上に誰か登るわよ?」
「ん?……女の子か?」
「組章からみて、私たちと同じ学年みたいね」
壇上にはオレ達と同じ学年らしい女の子が上がっていた
『任命賞授与。雛川優里ひなかわゆり。生徒会の監査を命じる』
雛川という子が任命賞を受け取る
「生徒会の監査?」
「ようするに、私たちのお目付け役ってことでしょ」
「そんな制度うちの学校にあったっけ?」
「新しく出来たんでしょ」
「……相原のせいだな」
「そうね。私のおかげで面白くなりそうね」
..............................楽観主義者め
『引き続き、監査委員となりました雛川さんに就任のあいさつをしてもらいます』
「うちの学校は生徒会の任命式に会長あいさつはないのに、監査委員あいさつがあるんだな」
「ふふん。私に恐れをなしてるのね」
まぁ、あながち間違っていないが
『皆さんこんにちは。監査委員になりました雛川優里です』
相原と不毛な会話をしているうちに雛川さんのあいさつが始まる
『なぜ、私が監査委員をやっているかというと、それは教頭先生からの依頼があったというのもありますが、二つの許せないことがあったからです』
なるほど。黒幕は教頭か
『一つは私が休んでいた間にふざけた選挙が行われ、それで決まった生徒会のこと』
確かにふざけた選挙だったよな。真面目なやつなら確かに許せないだろう
『そして何より許せないのは、そのふざけた生徒会にあの哀川誠矢がいること』
……………………………は?
『私の目の上のたんこぶ。女の敵。女ったらし。………とにかくムカつきます』
支離滅裂だが怒っているらしい
『だから……私は哀川誠矢とその他大勢の生徒会を監視するために監査委員になりました。よろしくお願いします』
そして雛川さんは一礼をして壇上を下りてきた。
「覚悟しなさい」
オレの前を通る時に雛川さんは静かに告げて、さっさと自分の場所に帰って行った
「………いったい何なんだ?」
なぜオレは恨まれているんだろう?
「ほら。面白くなったでしょ?」
隣から無責任極まりないセリフが聞こえた
「……………はぁ」
何でもいいから勘弁してくれ…………


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