第18話:神隠し??
「ご苦労様。蓮香ちゃん」
「蓮香さんありがとうございます」
「どういたしまして。……それで、この後兄ちゃんどうします?」
オレの周りで聞きなれた声がする。今オレは体を何かで拘束されている。目も隠されているのでよく分からないが……少なくともオレをそんなめに会わせているのはいつものアイツ等らしい
「そうね……とりあえずこちょこちょをするわ。誠矢が発狂するまで」
地味に壮大で、いやだな
「私は普通に蝋燭をたらしたいです。誠矢君が熱さに悶える姿……考えるだけでゾクゾクします」
……えっと……暁さん?実は危険人物?
「私は兄ちゃんにダメージを与えるには放置するのが一番だと思うよ」
……この状況で放置ってマジで酷くない?
「ん〜……それじゃ間をとってこちょこちょね」
「間とってねぇだろ!」
「あら?誠矢起きてたの?」
「……他に言うことないのか?」
「それじゃ大人しく私たちのおもちゃになりなさい」
「はい。私たちの奴隷になってください」
「うん。私たちの兄ちゃんになって」
……いろんな意味で無理だ
「つうか、目隠しとってくれ。ここがどこかも分からない」
「しょうがないわね……イヤよ」
「話の流れ的にとれよ!」
「そんなの私たちの間にあるわけないでしょ」
……正論だな
「誠矢君?私がとりましょうか?」
「暁?何を企んでんだ?」
「いえいえ。ただ、目隠しがあると、誠矢君の苦しむ顔がよくわからないからですよ」
「…………もうとってくれるなら何でもいいよ」
「それでは失礼して…」
衣擦れの音がして、オレの視界が開く
「……で?ここどこよ?」
「田辺さん家だよ?兄ちゃん」
「そうか……田辺さん家か……で、田辺さんってだれ?」
「御近所で、内職の鬼と言われてる田辺さんだよ」
………知らねぇよ
「つうか、何なんだ?この本格的な拘束具は?」
「田辺とやらの趣味らしいわ」
……何の趣味なんだ?
「それでその田辺さんは?」
「私たちに家を貸して、今公園で内職してるらしいわ」
シュールな光景だな
「田辺さんよく家を貸してくれたな」
「それは、あそこにいるのが宝物を提供してくれて、それと引き替えにね」
そう言って相原の指差した先には腐れオタクの姿があった。
「……僕の宝物が……美奈ちゃん佳奈ちゃん佐奈ちゃん……」
何か呟いてる。どうやら宝物というのは腐れオタクのギャルゲーらしい。それを相原が無理やり奪ったんだろう。……ていうかヒロインの名前に『奈』が多いな
「暁、ちょっとこれ外してくれ」
「そうですね。当初の目的は果たしましたし」
そう言って暁はオレの拘束具を外してくれた。よく分からないが、腐れオタクどうしても言いたいことがあるのでちょうどいい
「腐れオタク……」
「うぅ……せっちゃん……僕の…僕の!」
泣きながら腐れオタクはオレの足に抱きついてくる。よっぽど相原にギャルゲーを奪われたのがショックだったのか……。そんな腐れオタクにオレは……
「マジで気持ち悪いからとりあえず帰れ」
という言葉しか思いつかなかった。
「ひどっ!ひどいよせっちゃん!」
「……今の自分を客観的に見つめ直してみろ」
「………………………」
「気持ち悪いだろ?」
「う、うぅ……僕っていったい……」
どうやら自分の存在の痛さを認識してくれたらしい
「心配するな。例えどんなにお前が気持ち悪かろうと、オレ達は知り合いだ」
「友達じゃないんだね……」
「友達になってもいいが、オレのお前に対する本音を聞くことになるぞ?」
「やっぱり友達じゃなくていいです」
「まぁ、何でもいいから帰れ。お前と話してると疲れる」
「分かったよ……けど帰ってから何しよう……ギャルゲー全部取られたし……」
普通のゲームはないのか?……流石腐れオタクだな
「まぁ、とにかくこれで面倒なヤツもいなくなったし、今回の目的を教えてもらおうか」
「目的?……そんなの私は知らないわよ」
「知らないってどういうことだよ?」
「私は暁さんが誠矢を神隠しに会わせたいって言うから、面白そうだったから付き合ったのよ」
「私も同じだよ?兄ちゃん」
……つまり?
「暁が主犯なのか?」
「計画立てたのは私だけどね」
まぁそんな悪巧みができそうなのは相原くらいだしな
「つうか、暁は何が目的でこんなことを?」
「理由は誠矢君の今日の言動にあります」
「?……なんかあったっけ?」
今日は陸上の大会があって……それくらいしか思いつかないな
「……なんと言いますか。誠矢君が憶えてないと、糾弾すらできませんね」
「悪いなぁ暁」
オレはごまかすように笑う
「悪いと思ってませんよね」
性分だからな
「ふぅ……でもまぁいいです。有言実行はできましたから」
よく分からないが、暁の目的は果たせたらしい
「じゃ、帰るか。夕飯もまだだし」
「そういえば兄ちゃん。今日はマオウヤキだよ」
「マオウヤキ?なによそれ?」
「母さんの創作料理だ」
「……気になるわね。私にも食べさせなさい」
「とりあえず聞こう。相原には常識はないのか?」
「アンタに対してはね」
すごく嬉しくない特別扱いだな
「久乃さんならぜんぜんOKだよ」
「蓮香?」
「お母さんも久乃さんに会いたがってたし」
「……よく分からないが、相原がオレん家来るのは確定か?」
「確定みたいですね。ついでに私も連れて行ってください」
「……………………」
「誠矢?」
「誠矢君?」
「兄ちゃん?」
なんて言うかアレだな……
「もうどうにでもなりやがれ」
オレは自暴自棄で家に帰るのだった
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