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白い時間の中で
 本当は気づいていたのに僕は気づかないふりをしていた。
 きっとこのミルクには毒が入っている。
 けれど、そんな事を言ったって誰も信じないだろう。
 大人達は嘘をついている。
 そして、嘘をつき続けることでそれが本当だと自分達も信じこんでいる。
「さぁ、お食事の時間は終わりなんですよ」
 僕と数人が食べるのが遅くて残されている。
 それ以外のみんなはすでにグラウンドに出て遊んでいる。
 ゆうくんは滑り台、かなちゃんとこうじくんはお砂場で遊んでいる。
 食べるのが遅いのには理由があった。
 たくまくんは苦手なにんじんに手を焼いていたし、ゆりちゃんはお箸を上手く使えないでいた。
 僕の場合はきっと、昨日読んだ絵本のせいだと思う。
「先生、今日だけミルクを残してもいいですか? 」
「どうして? いつもは隣りの子の分も欲しがる癖に」
「なんだか、今日は飲みたくないんです」
「そう」
 新井先生は思案顔で椿先生の方を見た。
 何か、目配せをして椿先生が頷いた。
 僕はそれを見ないようにしてゆりちゃんの方を見ていた。
「はるきくんだけ特別扱いはできないわね。たくまくんだって、頑張ってにんじん食べてるじゃない? わがままは良くないよね? 」
「はい」
 僕は、たくまくんとは違うんだけど、どういっていいのか分からずに返事をした。
「どうしても飲めないなら、あなたはもう此処には要られないわね」
 椿先生がそう呟いたのを僕は聞き逃さなかった。
「それは必要な事なんですか? 」
「そう、とても大切な事なのよ」
「分かりました」
 僕は瓶に入っているミルクをゆっくりと飲み始めた。
 飲み干すと、すぐに喉が渇いてきて、もっとたくさん飲みたくなった。
 頭の中で今まではっきりしていた事が急に霞みはじめて、何か悩んでいたような気がするんだけどそれも分からなくなる。
「さぁ、おしょくじのじかんはおわりなんですよ」
と声が聞こえる。
 ぼくは、はやくみんなといっしょにあそびたくなって立ち上がる。
「はるきくん、ごちそうさまがまだでしょう」
 せんせいのこえがうしろのほうできこえる。
 おすなばでこうじくんとトンネルをほらないといけないからぼくはきこえないふりをしている。
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