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大便小僧

「ねー。とれぼー」

「なんだー」


 テレビを観ながら、こたつでみかん。

 剥いた半分を、ろとのやつにパスしながら、俺は言った。


「小便小僧って、あるよねー」

「あるなー」


 ちょうどテレビのなかでは、天使の石像が立ちション――ではなくて、水をちょろちょろと先っちょから出している噴水のようすが映っている。


「じゃあ、大便小僧って……、ないのかなー?」

「は?」


 俺は固まった。

 なんか変なことを言われた。大便……小僧? 小便ではなくて?


「それは――、あれか? 前を向いて、つまんで、ショーッ、ってやるのではなくて――」

「うん。後ろ向きだよ。こっちにお尻向けて座っているの。そんでもって――」

「うわー! うわー! うわー! やめろ! 想像する!」


 身振り手振りで説明しようとする、ろとを、俺は止めた。

 だけど、止まらなかった。


「水もねー。太っといのー。ちょろろろ、じゃなくて……。どどどどー、って、流れてくるのー」

「それはー。太そうだなー」

「うん。バナナくらいあると思うよー」

「そうか。バナナくらいか」


 嬉々として、指先で輪っかまで作って、大便の太さを論じる美少女とゆーのは、いかがなものであろうか……?


「ていっ」

「!?」


 おでこに、ちょっぷを入れられて、ろとは、びっくりとした顔になっている。


「えいっ」


 もういちど、ちょっぷ。


「!……?」


 さらに、ちょっぷ。


 連打連打連打。あくまで軽く――「チョップ」ではなくて「ちょっぷ」のほうで、ろとのおでこを成敗する。

 美少女が「うんこ」の話をしちゃいけません。残念すぎます。


「やあ。たあ。とお」

「???」


 どうだ。まいったか。


 ろとが、まいったようなので、俺はちょっぷをやめた。


 ろとは無言で、ノートパソコンを引き寄せ――。

 ゲーム画面のなかで、ざっしゅざっしゅと、俺に剣をふりはじめた。


「うお! おまえそれPK!? やめ! やめやめ! ネームが真っ赤になるぞ!」


 俺は逃げ回った。ゲームの中で。


「まいった。まいったまいった。まいった」


 ろとをゲームの中で殺人者にしないために、俺は逃げ回った。

 追いかけっこが一段落する。


 ろとのやつが無言でぶんぶん剣を振り回さなくなり――。

 すいっと、立ちあがった。


 これはゲームの中ではなくて、現実のほうの話。こたつから立ちあがって、歩いて行く。


「どこ行く?」

「トイレ」

「ああ」


 俺は自分のキャラにヒール、ヒール、ヒール、ろとをPKにしないために、自己回復。


 しゃー、ぱたん、とてとてとて、すとん。


 ろとがこたつに戻ってくる。俺は入れ替わりに立ちあがった。


「え? どこいくの?」

「トイレだけど」


 俺は、ろとにそう答えた。トイレに向かおうとすると――。


「だめー! いま入っちゃ! だめーっ!!」


 ろとのやつが、俺の足にすがりついてきた。

 重たい。

 しかし、ずるずると引っぱって歩くことはできる。ろとは子供みたいに軽いので、成人男性である俺の歩みを止めることなどできない。


「だめー! だめったら! だめーっ!」


 ろと。しつこい。

 六畳間を出てキッチンまで引きずってきてしまった。人間ぞうきんだ。


「じゃあ、何分したら……、いいんだよ?」


「さ……、30分!」

「待てんわ」

「じゃ……じゃあ! 1時間!」

「増えてるし」


 ったく。もう……。

 しかたなく、こたつに戻る。


 さっき大便小僧の話をしていたろ。嬉々として。

 ぶっとい「うんこ」の話をしていたろ。嬉々として。

 美少女として失格してたろ。


 なのにだめなのか。


「えい。やあ。たあ」

「うお! HP減ってるし!」


 画面のなかで俺のキャラが、びしばし、叩かれていた。


「どうだ。まいったか」


 ろとが言う。

 俺は、まいったと、そう言った。


    ◇


 1時間も待つと、俺が小便小僧になってしまいそうだったので……。

 近くのコンビニに行って解決した。

 帰りに肉まんを買ってきた。あとミカンも一袋補充した。


 本日の出費。

 肉まん2個。120円×2。

 みかん。1袋。480円。

 総計720円。


 現在の俺たちの、財産残り――。

 3億9972万2329円。


4億円ロトは、当面、毎日更新の予定です。

ただストックゼロ状態で踏ん張って降りますので、更新時間は一定しません。

あと数日内に、うれしい「発表」ができる予定です!

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