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娼婦に堕とされたけど前世を思い出したら天職だったと思ったら、いつの間にか『国』を作っていたのだが

作者:柊 風水
「あ、これ天職だわ」



フローレン・メイリス・シフォンズは路地裏で真っ赤になったオデコを撫でながらそう呟いた。



フローレンは由緒正しき公爵令嬢であった。社交界ではその名を知らない者がいない程美しい娘だった。
『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』とは、まさしくフローレンにぴったりと言う程だ。性格も大人しく穏やかで男を立て、男が理想とする女性そのものだった。
そんなフローレンはこの国の跡取りである第一王子と結婚する予定だった。

それが崩れたのは王子が一人の伯爵令嬢に出会った時だった。

その伯爵令嬢は元々、伯爵と平民のメイドとの間に出来た娘で、母親であるメイドが流行り病で亡くなり、不憫に思った伯爵が娘を引き取ったのだ。
令嬢は母親に似たのか、可愛らしい顔立ちだった。フローレンと張り合って良い程だが、フローレンは特に令嬢の事を気にはしなかった。
王子が令嬢と親しくなったと聞くと、フローレンは令嬢を本当に善意で愛妾になる事を王子に進めた。
この時王子は激怒して、フローレンの使用人が止めなければ彼女を殴った事だろう。
フローレンはてっきり王子と令嬢は相思相愛の仲だったと思っていた。だから令嬢を愛妾に迎えて、二人の子供を産んでも構わないと思ったのだ。勿論王妃である自分の子が跡取りになるのは変わらないのだが。
だが、王子の態度から見て、どうもそんな関係ではないと思い、フローレンは素直に謝罪してこの件はなかった事になったのだが。





『まさかあの人が願ったのは愛妾ではなく、王妃だったなんて当時は思いもしなかったわね』
フローレンは昔を思い出し、しばしの感傷に浸っていた。
「フローレンス様。そろそろお時間です」
「は~い」
しかし、従業員に呼ばれると、フローレン、『フローレンス』は浸るのを止めて自分の仕事に向かった。

『さあ! 皆様大変お待たせいたしました!! トリを務めますのは我らが女帝であるフローーーレンス!!!!!」

司会の合図と共に出てきたフローレンス。その途端老若男女、娼婦や男娼達までも熱狂している。
「フローレンスー!!」
「キャー!! 私達の女神ーー!!!」
「ちょっと今、フローレンス様、私を見たわよ!」
「ちげーよ俺だよ!」

熱狂している全ての眼がフローレンスに一心に向けている。その快感に酔いしれながらも、観客達が楽しめるようにポールダンスに勤しんでいた。






あの後、フローレンは伯爵令嬢をいじめた罪で婚約破棄をされ、しかも実家にも絶縁され、気づいたら娼婦になっていたのだ。

事実無根だし、伯爵令嬢がイジメられていた事は初めて知ったのだ。
ただ、弁解を述べようとしたが王子は碌に聞いてはくれず、しかも伯爵令嬢のお友達・・・と名乗る見ず知らずの男達からも責められるし、そのお友達の中にまさかフローレンの兄がいるとは思わなかったし、その実兄によって絶縁されるとは思いもしなかった。しかも兄と王子によって娼婦にまで堕とされたのだと教えたのは彼女を買った高級娼館の女将だった。
取りあえず今日は閨をしなくても良いから、客寄せして来いと、フローレンに化粧と派手なドレスを着させるとさっさと客寄せの為に店に出された。

フローレンは最初、悲しみ怒ったりもした。しかし、元来フローレンは諦めの良さと真面目さのお陰か、早くこの生活に慣れようと腹をくくり、客を呼ぶ為に店から一歩出た時に、うっかりドレスの裾を踏んでしまい、オデコから転んでしまったのだ。
その時にフローレンは前世の記憶を思い出したのである。

フローレンの前世。

それはそれは淫乱のバイのドビッチであった。

別に家庭環境とか人的要因でそうなったのではない。生まれつきそういう性質だったのだ。
大学を卒業するとすぐに風俗の世界に入ったのは必然の事だった。
そこから色々と波乱万丈な人生を送り、いつしか『風俗界の女帝』と裏の世界ではその名を知らない者がいないと言われる程。
前世を思い出して彼女の今の状況を改めて見直すと、これも運命だと理解した。

それからフローレンはこの世界の性常識について調べてみた。
前世の様な性病はこの世界にはなかったが、いつ出てきても可笑しくはない。最悪梅毒の様な死の病が出たら大変だ。しかもコンドームの様な避妊具もない。
これでは性病以前に妊娠のリスクが高い。一応この世界でも避妊方法があるが、それは前世では嘘と証明されたばかりのモノばかりだ。
これはどうにかしないと思ったフローレンは直ぐに行動を起こした。

前世のフローレンは飽き性ではあるが、興味がある事はとことんと極める女だった。性病の原因、治療法どころか、避妊具の材料とその製造の仕方を全部勉強したのだ。そして今世のフローレンが王妃教育のお陰で今世でも避妊具を作れる材料がある事が分かった。そしてソレを製造できる事も。
しかし一介の娼婦、しかも現王妃をいじめたとされる(冤罪であるが)元公爵令嬢がそうやすやすと出来るとは思えない。

そこでフローレンは自分がいる女将に相談することにした。
前世の経験上女将の様な人間は自分の利益になる事なら、どんなに突拍子もない事でも協力してくれる可能性が高い。
その感は大当たりで、女将はその話を乗ってくれた。ただ、やはり娼婦が一人で出来る問題ではないと言われてしまった。
「それじゃあ、これは実現出来ないの?」
「い~や。一つだけ出来る事はあるよ」
「どうやって?」
「あたしら娼婦しか出来ない事さ。……これは此処にやってくる客の名簿」
机に放り出された客名簿。新人の娼婦である自分にはけして簡単には見せて良いものではない筈。女将の考えを察したフローレンは直ぐに協力できる客を調べた。
結果、五名程使える有能な男達を見繕うと、直ぐにこの男達を前世で取得した(性の)技能で心も身体も籠絡した段階でフローレンは件の話をした。

男達は直ぐにその計画に乗り結果、コンドームやピルなどの避妊具を前世レベルの質のままでの大量生産に成功した。
お陰で望まれない妊娠をする女性がグンッと減った。勿論100%避妊出来るわけではないが、それでも避妊具が出来る前と比べるとかなり減った事は間違いない。

しかも嬉しい事に男達は避妊具の売上の半分をフローレンがいる高級娼館に譲り渡したのだ。
これには女将は大喜び。そのお金を元手に娼館を大きくしたり、他の事業に手を出したりした。フローレンは『女将は娼婦ではなく、商人になった方が良かったのでは?』と思ったが、その訳は同僚の娼婦達から聞いた。
女将が心から惚れた男が商人で、その人から色々と商売について教えて貰ったが、身請けする前にその男が不慮の事故で亡くなり、それ以降身請け話は全て断ったそうだ。

前世から愛とか恋とか無縁の生活をしていたフローレン。彼女は自分の欲に忠実な生活をしていたから無理もないだろう。
今世では王子に淡い思いを抱いていたが、婚約破棄後はそんな思いは木端微塵に消え去った。
記憶を思いだした後はもう恋愛は懲り懲りと一生独身を決めているフローレンには理解できない話だ。だけど女将はフローレンの理解出来ない事を平然とやり、しかも死んだ男に操を立てる為に自由になる権利を全て放棄したのだ。これ以降、フローレンは女将の事を心の底から尊敬するようになったのだ。

女将は新事業に乗り出した。風俗系から食品産業まで手を広げるようになった。これはフローレンのお陰でもある。
風俗関係はソープやキャバクラ、ホストクラブの様な前世の商売を始めた。これが大成功で人がより集まる様になった。それと彼女の趣味だったポールダンスを始めた途端これも話題を呼んだ。何人か弟子入りした子がいるが、その子達から他の子に教えていきその子達からまた……いつの間にか大陸の女性達に大流行したのであった。ポールダンスはエクササイズとして最適で、元々前世のフローレンもエクササイズ目的で始めたのだがその楽しさに目覚め、極めに極めてついには国際的に有名なサーカス団にスカウトされるまでになったのだ。(この時は自分の住む世界が違うと断った)
それからこの街は欲を求める客の中にはフローレンのポールダンスを見たい客が増えたのは言うまでもない。
食品産業はフローレンには関係のない話の様だが、オリーブの実で油を作る様に油問屋の大旦那に勧めたり、ほとんど家畜の餌にされていたジャガイモを料理で作った所、これが意外に大人気で、街に住んでいた元農業者達が生産し始めたりと大活躍だ。この世界の食生活は前世と同じだが、あちらで食べられた物や加工できる物が此方ではまだまだ手につけていない物ばかり。女将にそれとなく言ってみたところ、元貴族様の戯言を女将は一つずつ聞き、それとなく助言をし、実現できる協力者を見つけるなどお世話をしてくれた。
フローレンはその恩を報いる為に協力者を籠絡したり、客寄せの為にポールダンスに勤しんだり、弟子達にポールダンスを教えたり、後輩達に娼婦のイロハを教えたり幼子達に勉強を教えたり、パトロンを作ったり新商品や新店舗を企画したり。
十年間女将の為に頑張った時間だった。後にも先にも人に尽くしたのはこの時だけである。

しかし、ある日女将が重い病に倒れたのである。それは古びた淋しい街が、豪華絢爛なネオン街の様な街に変わり、フローレンの生まれ故郷である王国から独立した二年後の事だった。

手遅れだと医者に首を振られた。
「女将!」
フローレンは女将に縋った。女将は大きな手でフローレンの頬を撫でた。
「…………フローレン。私が死んだ後は、アンタがこの街の長だ」
「そんな! 私には無理よ。女将みたいな事出来ないよ!」
「大丈夫。経理の事やこの街の警備はアタシが信用できる人間に任してある。だから大丈夫」
「でも……でも! 女将が居たからこそこの街は発展したんだよ!?」
「この街がこうやって発展できたのはお前のお陰だよフローレン。アタシは土台を作っただけさ。ここまで大きくなったのはアンタとアンタの事を大切に思う人達のお陰さ。この人達の為にもお前がこの街の長になるのよ」
「女将……」
「アタシは十分楽しんだ。後はあの人のいる天国でゆっくりさせてもらうよ」

女将はそれだけを言うとゆっくり瞼を閉じ、フローレンの握っていた手を落とした。

そのまま永遠の眠りについた。

女将の葬儀を終わらせた後、彼女はこの街『ヨシワラ』の長となった。そして敬愛する女将の本名でもあり、自分の名前と一文字違いの『フローレンス』と名乗る様になった。




「よ~フローレンス。今日は一段と綺麗だったぞ」
「いやだ先生。今日も来たのですか?」
「可愛い元生徒の晴れ舞台を見にきちゃ駄目かい?」
「先生の場合はエロい事しか興味ないのでしょう?」
「ハハハ!! バレたか!」
ショーが終わり、フローレンスは何時も通りに観客達にお礼のあいさつをした後、VIP席のお客さんの相手をしていた。先程フローレンスと話しているのは彼女が通っていた学園の元教師であり、今では理事長になっているルエ・カマガである。
見た目がガマカエルみたいな醜い容姿で、しかもスケベ親父だから生徒間での評判は最悪だった。フローレンもルエ・カマガの事を苦手と思っていた。
しかし、ルエ・カマガが偶然にもこの街に来てフローレンスと再会したのだが、彼は一度たりとも閨を共にする所か、一度たりともフローレンスの肌に触れる事はなかった。腐っても教師であったルエ・カマガは元教え子とそう言った仲になるのは流石に嫌だった。……その代わり、自分の娘か孫あたりの娼婦と閨を共にすることはあるが。

「ところで先生。こんなに毎日お店に来てよろしいの? 学校とヨシワラここの距離けっこうあるでしょ?」
「ふん! 運営できなきゃ理事長の名もゴミ屑同然だ!!」
苛々とそう吐き捨てると、ルエ・カマガはウイスキーを一気に飲み干した。
「どう言う事ですか? あそこは他国の留学生が来る唯一の学校で、優秀な生徒を輩出した名門校じゃなかったのですか?」
「昔はだ。だが、ある日・・・を境に留学生の入学希望者数が減り、代わりに入学してくるのは素行が悪い生徒ばかり。将来有望な在学生や優秀な教師は他の学校に転校・転任した。事件ばかり起こすからついに休校するはめになったわい。まったく! 何でワシが理事長になった時期にこんなに悪化するんだ!」
『悪化しているからこそルエ・カマガみたいなのが理事長になれんじゃないの?』とフローレンスは心の中で思ったが、流石に口にできないので適当に慰めた。







「それじゃあ、私、他の用事があるから。また来てねせーんせい」
「おお! またな」
フローレンスに手を振って別れた後、ウイスキーを手酌してもう一度飲み干した。
愛着のあった学校の今を聞いても、少し悲しそうな顔をした後で、あとはほとんど気にしている様子はなかった。フローレンスにとって『フローレン・メイリス・シフォンズ』としての時代はもう過去の出来事であろう。少しだけチクリと胸が痛んだが、まあ、当然だとルエ・カマガは思う。
「よー。ガマカエルのオッサン。景気はどうだ?」

ルエ・カマガの隣に遠慮もナシにドガッと誰かが座った。
見るとそこには中々精悍な顔をした鳶色の髪に金の瞳の青年が座っていた。青年の左の目に眼帯、着崩したシャツから無数の傷跡を見ると堅気ではないと分かる。

「それは嫌味と受け取っていいのか?」
「そんなつもりはねえよ。アンタのところはあの国の領地内だから大変だろうと思ってよ」
「大変ですむ問題か。ワシが休校にしなければ最悪死人が出ていたぞ」
「……そこまで荒れてんの?」
「生徒の中にウチの国と戦争をしたがる他国の工作員が紛れ込んでいるんだ。工作員の作戦にまんまと嵌る馬鹿が多い」
「………大変だな。オッサン」
青年は心の底から同情した様な声で慰めた。
「貴様の方はどうだ。ロード?」
「難民の数が増えたな。仕事さえ選ばなければ娼婦の仕事もあるし、ソレが嫌なら他の職も少なからずあるぜ。でもこのまま増えれば供給が需要を超えてしまうけどな。今のとこ事件は少ないけどこのまま難民が増えればそれも時間の問題……」
「違う違う。俺が言いたいのはそれではない。難民の中で一体何人・・・・スパイがいたのだ・・・・・・・・?」
ルエ・カマガの言いたい事を察したロードは少し眉をひそめて、ウォッカのストレートを一気飲みした。

「……十人前後。最初の頃より隠密スキルは上がったと思うがな。それでもまだまだ子供だましなレベルだ。ウチの下っ端でも簡単に捕まえられる」
「そりゃあそうだ。何せウチの国は平和ボケした馬鹿達の集まりだ。まともな奴はフローレンの婚約破棄の件で国を見捨てて余所の国に移り住んだか、さもなくばヨシワラで働いているかのどっちかだな」
「……何時も思うけど、たかが公爵令嬢の婚約破棄でどうしてそこまで国が破綻する?」

ロードはフローレンス達の生まれた国出身ではない。彼が育った国は(多少荒れている面があるが)王権もしっかりしていた為、たかが一貴族の娘と王子の婚約破棄でここまで荒れ果てるなんて理解出来ない。

「……元々影が見えていたんだ。ワシが言うのも何だが、貴族共だけではなく王族まで腐敗が進んでいた。
先代の王はこの状況を打破し、膿を吐きだそうとある計画を立てた」
「それがフローレンスと自分の息子の結婚?」
「そう。フローレンスの親父さんの手腕は素晴らしかった。親族になってその手腕を借りて膿を吐きだすつもりが……」
「例の婚約破棄か」
「あの馬鹿息子達が勝手に決めた事だ。先代は馬鹿共を排斥して他の王族と結婚させようと考えたが……お前、何であの馬鹿王子が王になれたのだっけ?」
「そりゃあ、先代の王様が病気で……まさか!!」
「……ある毒草による中毒死に間違いなかった。そしてフローレンスの両親も先代王と王妃と同じ病で……」
「自分の実の親を……」
ロードは絶句する。ルエ・カマガは呆れるように顔を横に振る。
「恋は盲目と言うべきか。そのせいで王妃としての勉強もしてない元は平民出身の、しかも股が緩い娘が王妃になった訳だ」
「それをきっかけに腐敗が進んで今の状態になった訳か」
「先代がいたお陰で何とか保っていたのが、死んでから腐敗が今まで以上に進んだ訳だ」
「何となく分かったよ。オッサンの国が崩壊したのは」
ロードは溜息を吐いた。恋一つで簡単にこの世界の禁忌タブーを犯した王とその取り巻きに恐怖を抱いた。

この世界では親殺しと子殺しは禁忌タブーとされている。その禁忌を破った者は、一族もろともその血一滴残さずこの世から消されると言われている。
庶民貴族神官王族どんな階級の人間でもこの禁忌から逃れられた人間はおらず、何代にも渡りこの風習が廃れる事はなかった。つまり、もうあの国は……

「……なあ、このままだとフローレンスの命もヤバいんじゃないのか?」
「あのな。禁忌を破った人間が全員死ぬと思うな。どう言う因果が分からないが、罪が軽かったり血が遠い人間は一生独身だったり、子宝に恵まれない程度の呪いだ。それにその家の名を捨てれば解ける可能性もある。ただ、フローレンスは血が一番近いからな。名を捨てただけで呪いから離れられるかは分からんが……ワシらがアレコレ言うのもお門違いだろう」
「そうだな。……その事フローレンスは知っていんの?」
「言ってはいないが、自然に耳に入る環境だからな。それにあの子は聡い子だから言わずとも分かるだろう」
二人にしばしの沈黙が流れた。

「しかし、フローレンスと件の王妃様。似ているようで全然似ていないな」
「はあ? 何言っているんだ?」
ロードの発言にルエ・カマガは思わず眉をひそめる。
「だって。フローレンスも王妃もビッチでしかも国のお偉いさんジャン。そんで重要な仕事は全部他人に任せている所も一緒。だけどフローレンスはこの街を国として独立させている。一方王妃様の方は崩壊目前。禁忌を破っただけじゃあ此処まで酷くならなくない?」
「……これはワシの考えだが、本質的に二人は同じ性質だろう。だが、フローレンスは男を立たせ、成長させる。一方、王妃の方は男を堕落させる。それが二人の今の差だろう」
「あー納得したわ。フローレンスは飴と鞭の使い方をよーく分かっているからな」
「だからこそ先代はフローレンスを嫁に欲しかったのだよ……もう二度と叶わぬ願いだがな」
しんみりとするルエ・カマガ。慰めるようにロードはお酌をした。





そんな話をしているとはつゆ知らず、フローレンスはと言うと……

「う~ん。ミーナが身請けされた後の後継者が中々見つからないわねー」
「ミーナはあの店では毛並みが違いますからね」
「そうよね……新しい子を雇おうかしら」
「その方がよろしいかと。最近では娘を身売りする所が増えていますので、そこからお選びしたらよろしいと」
私は執務室で秘書さん(女。眼鏡巨乳なお姉さん)と色々お話をしていた。
「最近この周辺荒れているからねー。独立を宣言した女将さんの判断は正しかったわね」
「……フローレンス様。その、生まれ故郷についてどう思われますか」
言いにくそうに言う秘書さん。
「んー……正直予想できたのよねー。あの人、私と婚約中でも結構自分勝手な所があったから。いつも私が窘めていたからなんとか普通にしていられたけど……あの子は甘やかすタイプだから」
「そうですか」
「できれば早いうちに革命が起きればいいわ。上が馬鹿なせいで罪もない国民が苦しめられるのは流石の私も忍びないわ」
「でしたら革命軍に秘密裏に資金源をお渡しした方がよろしいかと」
「そうね。そうしてちょうだい」
それだけ言うと私は深いため息を吐いた。


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