「時に兄よ」
「何だ妹よ。自室から半日ぶりに這いだしてきていきなり」
「生命保険に入って死んではくれまいか」
「流石だな愚妹。実兄に向かってそこまで明確かつ現実的死を望むとは」
「褒めるな照れる」
「照れるなら頬を朱に染めるとか少しは可愛らしい事はできないのか?
無表情で生命保険の種類を突き出されながら言っても説得力はないぞ」
「冗談なのだから当たり前ではないか」
「何だ。先刻の言葉が罵詈雑言だと分かったのか」
「それは私に対する挑戦状か?」
「いや、素直に驚きを表現しただけだが」
「死んでしまえ」
「待て刃物は待て。本当に死ぬぞ。というかその日本刀どこで買った?
何故我が家にそんな銃刀法違反な代物がおいてある」
「作った」
「さり気にすごいな妹。そして我が家に鍛冶が可能なスペースがあったのだな」
「ちなみに銘は『兄殺し』だ」
「察するに大分前から俺を殺すことを考えていたか。
妹の機微に気づかなんだとは兄として不覚をとったな」
「安心しろ兄よ。物心つくころからずっと思っていた。
最近の話でもあるまいて、機微など分かるはずもない」
「異国の父と母はお前に一体どういった教育を施したのだ?」
「天上天下唯我独尊」
「引きこもりの分際で随分だな」
「引きこもりではない。自宅警備員と言え」
「自宅警備員」
「ルビを振るな」
「何故分かった」
「勘」
「愚妹よ。お前は本当に俺の妹か?いや、そもそも人間か?」
「お前の妹というのは信じがたい事実だが人間だ」
「そうやって兄の心を踏みにじるのは楽しいか?」
「ファミコンよりは」
「それはどの辺だ?楽しいのか?つまらんのか?
いや、確かにファミコンには隠れた名作や、古きよき名作があるが、
次々と目新しいゲームが新出する今のご時勢的にどうなんだ?」
「ファミコンを馬鹿にするな」
「刀を振り下ろすな」
「かわすな」
「無理を言うな」
「無理などという諦めの言葉なんて聞きたくない。
そもそも無理などという言葉自体存在が疑わしい。
過去を見るがいい。不可能といわれた飛行ですら今では当然のごとく可能なのだ。
人は諦めないことで少しずつ進化してきた生き物だぞ」
「ならば諦めずに学校へ通え」
「無理を言うな」
「おい」
「正義はわれにあり」
「妹よ。お前は一体どこの独裁者だ」
「兄よ。この世界は私を中心に回っているのだ。覚えておけ」
「あぁ、次のテストに出そうだったら覚えておこう」
「時に兄よ。本題なのだが」
「今までのは余興だったのか」
「保険に入って死んでくr――「結局それに帰るのか」
「仕方ないではないか。新しいパソコンが欲しいのだ」
「働け」
「私はまだ中学生なのだが」
「さば読みすぎだ」
「・・・・・・・・本当なのだが」
「・・・・・・・・・・・・・・え?」
「死んでしまえ」
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