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空色の約束  作者: 吉乃
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イベントサークル代表の男達

二階に上がると事務所兼応接室といった感じの部屋でソファーが4つあり、正面に米倉さんが座っていた。

米倉さんの周りにはあと2人の男がいた。

左のソファーにはヒゲ坊主でサングラスをかけた色の黒い男。

右のソファーには金髪をピンで留めたジャニーズ系の男。

何かの打ち合わせの最中だったらしく、それぞれ書類をペラペラとめくっている。

ここまで案内してくれたギャル男はデカイ鏡の前でもくもくとトラパラのフリの練習をしている。

米倉さんは電話片手にバドワイザーを飲んでいた。

突っ立っている俺達の存在に気付き手招きすると、「後でかけ直す」といって電話を切った。

「おぉ、いきなり女連れかぁ。忍も大人になったもんだ。まぁそこ座れよ」

と俺達を米倉さんの正面の空いているソファーに促してくれた。

とりあえず、瞳ちゃんと並んで座る。チラッと横見たら完全に緊張してる瞳ちゃんがいた。ちょっとウケた。

「すごいっすねぇ、この雰囲気。なんかロックのPVみたいっすよ」

緊張感のまるでない俺の発言に周りの男が書類を見ながら吹き出した。

「あれ?なんか間違えました?あ、俺、半村忍です。この子は中谷瞳ちゃん。今日は米倉さんにクラブ連れてってくれるって言われたんで来ました。よろしくっす」

そうしたら、左の坊主男が書類から目を離し聞いてきた。

「俺、フュージョンってサークルの代表やってる榊。よろしく。隣の子は彼女?」

「あ、全然違います。俺、クラブ行ったことなくて怖かったんでついてきてもらいました」

何故か爆笑された。

米倉さんなんかバドワイザー噴き出してた。

テーブルにこぼれたバドワイザー拭きながら

「こいつおもしれーだろ。俺の後輩。まだ16だけどその辺のガキとはちょっと違うから俺んとこに混ぜることにしたんだ。まぁ、面倒見てやってくれよ」

米倉さんがそういうともう一人のジャニーズ系も喋ってくれた。

「クラブ行くのに保護者同伴って、確かにちょっと違うわ。あーおもしれぇ。気に入ったわ。あ、俺は誠ね。そっちのお姉ちゃんはいくつなの?」

「わ、私も16です」

「マジで!?」

みんなが一斉に驚いた。何となく俺も驚いてみた。

そしたらすかさず榊さんが突っ込んでくれた。

なんか速攻で打ち解けていった。瞳ちゃんもいくぶん緊張が解けたようでちょっと安心した。

その後、米倉さんとこの人達の関係を教えてくれた。4人ともそれぞれ自分のサークルを持っていて互いに協力しあってるうちに1つの連合になったらしい。

で、一番影響力が強く色々な繋がりが多い米倉さんが総代表になったみたい。

そんな話をしている最中もずっと鏡の前で踊り続けるギャル男が気になり米倉さんに聞いてみると、

「あいつ、絶対混ざるタイミング逃して、仕方なくああやってんだよ。おもしれーからもうちょっと放置な」

そう言って笑ってると榊さんも、

「そうそう、だってあいつ鏡越しにチラチラこっち見てるのバレバレ」

今度は誠さんが、

「あいつあー見えてシャイだからなぁ。でもすんげー女好きだから瞳ちゃん気を付けてね。目が合うだけで妊娠しちゃうって噂だから」

そんなことを言いながらゲラゲラ笑ってた。

俺は笑っていいのか迷いながらも、何かいいなぁこの雰囲気って思った。

ギャル男が若干顔を赤くしながら踊ってるのを見かねて米倉さんが助け船を出した。

「ほら、てっちゃん。ちゃんとご挨拶しなさい」

そう言われたギャル男はフリを止め、こっちを向き、きをつけをしてちょっと頭の足りない子のふりをしながら、

「小林哲です!19しゃいです!B-トラの代表やってます!」

そこまで言って耐えきれなくなったのか、

「もー勘弁してくれー。放置プレーにもほどがあるだろ。お前らどんだけドSな

んだよ~」

と言いながら、ちゃっかり瞳ちゃんの隣に座ると、

「まぁ、君のドSプレイなら大歓迎だよ」

と無駄にイイ声で言った。

「…」

無言でちょっと俺の方に寄る瞳ちゃん。

さらに爆笑した。

最近、全然笑うことなんてなかった俺は一時でもこういう気持ちにさせてくれたみんなに感謝していた。

気づいたらみんなでバドワイザー飲んでて、0時近くなりそろそろ行こうかってなった。


俺は周りに気づかれないように一瞬顔を引き締めた。

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