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魔導の真髄、それは全裸!

作者:さいとうけつ系ひすみ
「そうか、分かったぞ!」

 私はついに真理の一端を垣間見、大声で叫んだ。
 あまりにも奇想天外な発見ではある。しかし、その実用性は論理的に説明可能なのだ。
 事もなく丸石の底を削って安定させたかの大魔導師パステラのように、ただひとつ固定観念を捨て去るだけでこれほどの知見が得られるとは誰が想像し得ただろうか。
 そう、魔導の神髄、それは――

「全裸だ!」

 私はマントの留め金を外し、脱ぎ捨てる。

「そも、魔導とは、魔法とは何か」

 魔法とは、生物が持つ魔力を放出し、役割を与えて現象を引き起こす技術の総称だ。
 より効率的に、より効果的に、発展し、継承されてきた人類の英知である。
 私は上着のボタンを一つずつはずしていき、脱ぎ捨てた。

「魔法の威力を高めるにはいかなる手段を用いるか」

 一般的には、魔法に込める魔力をより多くする。または密度を高めるといった工程を踏むか、詠唱を行うとよいとされている。
 だがここに、私は新たな方法論を開拓したのだ!
 私はベルトを外し、見事なまでに洗練された動きでズボンを脱ぎ捨てる。

「魔力の放出は手の平から、なぜそのような固定観念にとらわれていたのか。あぁ、私は未熟であった!」

 今になって考えてみれば、私の周囲にはいくつものヒントが転がっていた。
 鎧を着こみ、滑り止めを兼ねた革のグローブに手甲を身に付けた騎士たちが何故、魔法を行使できないのか。なぜ、身体強化だけは可能であったのか。
 今までは鎧に使われる金属が魔法に悪影響を与えていると言われ、神秘主義の教会共に言わせれば、争いに使う道具を身に纏う者どもから神が魔法を取り上げたのだとか。
 愚にもつかない論理である。ハッ、笑止千万! 愚かなり、愚かなり!
 私は優雅にシャツを脱ぎ捨てる。ふわりと、真理に至った私を祝福するように宙に放ったシャツが舞った。
 魔術師たちは一般的に布等の服を着る。さらに言えば、一般的に女性の方が魔術師に向いているとされている。
 それはなぜか、簡単だ。布面積である。
 私は最後の砦、履いていたパンツを脱ぎ捨て、腰に手を当てた。感動のあまり、涙が零れそうになり、天井を仰ぐ。

「あぁ、これが真理に至った幸福。解放感か!」

 魔力とは、手の平だけではなく体表面全てから放出が可能だったのだ。
 女性魔術師たちはその露出した足や腕から微量に放出する魔力により無意識化で魔法の威力を高めていたのである。
 金属鎧など着ていては、体表面から放出された魔力は鎧の内部に籠る。だからこそ、内向きの魔法である身体強化だけは発動し、あまつさえ効率を高めていた。
 縫い目のある布の服であれば、金属鎧よりは魔力が外に出てきやすい。だからこそ、魔術師たちは経験則で布の服を選択した。
 面積の少ない女性用の服であれば、より魔力が外に放出されやすい。だからこそ、女性の方が魔術の才が優れているとの誤解が生まれた。

「ふふふはははっは!」

 なれば、魔法の威力を挙げる魔力放出の最も効率的な方法論は導き出せる。
 すなわち――

「全裸だ!」

 体中から意識して魔力を放出し、それらを阻害しない格好をすればよい――すなわち全裸が至高!
 服を纏う者は魔術師にふさわしい装いをしていないのだ!
 体表面積が広くなるほど魔力放出の効率が高まる。

「ふむ、より効率を求めるのならば口を開け放しておく方が効果的か」

 全裸に加え、顎が外れたように大きく口を開けば完璧である。これが魔導師の完成形だ。

「明日の魔法舞踏会で私の理論が実証できる。あぁ、なんと素晴らしい舞台であろうか!」

 ふははははははは!


 翌日、猥褻物陳列罪により魔導師を名乗る男が逮捕された。
 彼の理論は間違ってこそいなかったが、社会的に致命的な間違いを犯していたのだ。
 後の魔導師たちは妥協点として女装を正装とするのはまた別のお話。

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