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守護山娘シリーズ 作者:白上 しろ
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金剛は駆ける②

金剛山の山頂。そこには樹齢数百年とも言われる大きな杉の木が一本一本悠然とそびえ立っています。
金剛山の守護山娘 ― 金剛 ―
彼女はその巨体杉の上の枝に立っていました。見た目は人間の年齢で言うと十二、三歳くらいですが、実際は何百年と生きており、その存在は金剛山と共にありました。
「うーん! 気持ちいいなぁ~、やっぱりここは最高だなぁ~」
両腕を伸ばして背伸びをした後、金剛は山頂に賑わう大勢の人たちを嬉しそうに見渡していました。そして両手を合わせ、目をつむりました。
「今日もお願いです。一つだけ願いを叶えてください。すべての人間様が幸せでありますように……」
金剛は静かに祈りました。

竜泉寺。
子角仙人と稲村、観音は泉の水面に映し出された金剛の様子を見ていました。稲村は感心したようにいいました。
「人間様の幸せを願うとは、なかなか真面目なやつだ」
観音は子角仙人を見ていいました。
「金剛ちゃんは仙人様とも修行をした事があると聞いた事がありますよ」
子角仙人は答えます。
「そうじゃ。タフで真面目なやつなのじゃが・・・・・・」
子角仙人の言葉が途中で止まったので、不自然に思った稲村と観音は、子角仙人の顔を見ました。

金剛山。
山頂付近の巨大杉の上で金剛はまだ手を合わせていました。
「後、もう一つだけお願いします。今年も稲がたくさん実りますように。最後に一つだけお願いします。災害が来ませんように。あっ、本当にこれが最後です。人間様が道に迷いませんように。山道にも人生の道にもです。後、それと・・・・・・」

竜泉寺の稲村は眉をひそめました。
「前言撤回だ! 一つだけと言っておきながら、何回願い事をしているのだ!」
観音は苦笑し、子角仙人はため息交じりに言いました。
「根は真面目なのじゃが、人間様のことになると欲が出てしまうのじゃ」

金剛山の山頂付近には先ほどの郵便局員さんの姿がありました。もうここまでたどり着いたのです。巨大杉の下から郵便局員さんは叫びました。
「郵便でーす!」
声を聞いた金剛は身軽に杉の上からジャンプして地面に着地すると、手紙を受け取りました。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして」
手紙を渡した郵便局員さんはすぐに次の配達先へと急いで走って行きました。金剛は送り主の名前を見ました。
「あれ? 仙人様からだ」
金剛は早速、手紙の封を開けて読み始めました。

~手紙~
各守護山娘へ。
挨拶は省略し、内容だけ伝えることにする。最近ヤッカイの動きが気になっておる。これまで感じたことのない異常な気の流れがこの一体を支配し始めておる。ヤッカイの力がこれまでにないくらいに高まっているように思われるのじゃ。天変地異の前兆でなければ良いのじゃが、原因はよく分かっておらぬ。じゃが、今まで以上の激戦が予想されるのは確かである。お前達、守護山娘達はくれぐれも気を引き締めてそれぞれの役目を全うするように!
                                         子角仙人より


『ヤッカイ』とは自然の大きな力により人間の生活に様々な災害をもたらす者達の名前です。それを最大限に防ぐのが守護山娘達の主な役割でした。

「ヤッカイの力が強まっている?確かに段々と強くなっているようには感じてはいたけれど。う~ん、ヤッカイだけに厄介だな、なんてね」
誰もつっこむ者がいないのに、金剛は一人、涼しげな風を受けながらダジャレを言って嬉しそうでした。

反対に竜泉寺の稲村は(普段からブッチョウ面ですが)不愉快そうでした。
「良いのですか? こんなので」
子角仙人は聞き返しました。
「『こんなので』とは?」
「気を引き締めるようにという意味もある事が、伝わっていないのではありませんか?」
隣で金剛のダジャレに笑いをこらえるのに必死な観音。それを横目で見ながら小角仙人は答えました。
「ま、良いのじゃないの? 手紙の意味が伝わったら、それで」
稲村は頭痛がしたように頭を抱えました。
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