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守護山娘シリーズ 作者:白上 しろ
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葛城は咲く⑥

渉はサンドイッチまみれの葛城の顔を拭いてあげました。
「ひどいな、伊織は」
伊織は謝りました。
「ごめん」
「ごめんね、葛城ちゃん」
渉も謝ると、伊織は面白くなさそうに目をそらしました。葛城もなんだか申し訳なさそうにいいました。
「いいえ、全然平気です!」
渉は不思議そうにいいました。
「普段はこんなひどい事しないだけどなぁ・・・・・・」
伊織は反論しました。
「だから、わざとじゃないから!」
「わざとじゃなくて、こんな風になるか?」
段々と二人の間に険悪な空気が流れ始めていました。葛城はどうしていいか分からず、焦っていました。と、そこへ
「喧嘩はいけないぜ、ベイビー」
足下から声がしました。見るとサングラスをかけた鴨がいました。
「気まずい空気じゃ、この心地良い風が台無しだぜぇ」
鴨はキザっぽい口調で言いました。伊織は信じられず声が出ませんでしたが、渉は感動したように言いました。
「葛城山の鴨はしゃべるんだ?」
葛城はサングラスの鴨を紹介しました。
「鴨さんはよくこの辺りをうろついています」
サングラスの鴨は怒りました。
「『うろついている』んじゃ無いぜ、ベイビー! 俺は旅をしているんだ。トラベルってやつだ。このワンダフルワールドに自分を探す旅に、な」
葛城はニッコリしていいました。
「鴨さんはまだこの葛城山を出たことがありません」

昼食の後、渉と伊織は山頂を散策していました。伊織は少し難しい顔で色々と納得のいかない様子でした。
「この山、やっぱり変だわ」
どこからか、うなり声のような声が聞こえました。姿は見えませんが声の主はオオクジラです。
「何!? この音?」
渉は驚きもせずに答えました。
「山だからね。色々な生き物がいるんだよ」
「一体、何の生き物なの?」
伊織はふと空を見ると巨大な鳥がいました。
「と、鳥!?」
伊織は驚いたようにいいました。渉は呆れた様子です。
「鳥がそんなに珍しいか?」
「とんでもなく大きいのよ!」
渉も空を見ますが、雲しか見えません。
「何もいないよ」
『うそ?』と言って再び伊織も空を見ますが、確かに雲しか見えません。渉が心配していいました。
「登山で少し疲れたんじゃないか?」
確かに伊織は疲れた表情でしたが、否定しました。
「そんな事ないわ。確かにいたのだけれど・・・・・・ ねぇ、やっぱり変よ」
「何が?」
「動物が鳴いたり、空に鳥がいたり・・・・・・」
「・・・・・・当たり前じゃないか?」
「え? あれ? まぁ、そうだけど! そう! 鴨がしゃべったり!」
渉は愉快そうにいいました。
「あぁ、あれね。あれは面白かったね」
伊織は目が点になりました。
「『面白い』で片づける?」

下山の時間が近づいてきました。渉と伊織は葛城にお別れをいいました。
「今日は楽しかった。ありがとう、葛城ちゃん」
伊織はため息をつきましたが、笑顔に切り替えました。
「ま、不思議な事もたくさんあったけれど、それはそれでこの山の魅力かも知れないわね」
葛城は笑顔で答えます。
「はい。ありがとうございます。また是非お越しください!」
渉は葛城高原を見渡しながらいいました。
「ツツジに紛れて、まだ笹が多い。笹は自然力が強いから、ツツジが負けなければいいけれど」
葛城はいいました。
「笹にも負けないように頑張ります!」
渉はニコリと笑いました。
「渉、行くわよ」
伊織に促され、渉は葛城山を後にしました。
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