挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
守護山娘シリーズ 作者:白上 しろ
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

17/43

葛城は咲く⑤

数年後。
大学生になった渉は、再び葛城山を登りました。この時はもう一人ではなく、同じ山岳部の仲間達と一緒でした。その中には、女性の姿もありました。渉は葛城の姿を見つけます。
「おーい!」
渉が叫ぶと、気がついた葛城は手を振りました。渉は成長して大きくなりましたが、葛城は変わらず、少女のままでした。しかし、髪は整えられて、もうかつてのような(野暮ったい)姿ではありません。渉がくれた髪飾りの似合う、かわいらしい姿でした。
「お久しぶりです」
葛城が挨拶しました。渉は葛城高原を見渡します。
「本当に素晴らしい眺めですね」
葛城は嬉しい返事をしました。
「はい!」
葛城の山にはたくさんの赤いツツジが咲いていたのです。真っ赤に彩られた山頂は、まるで天国にいるかのようでした。しかし渉の隣にいた女性、山口やまぐち 伊織いおりは何故か不機嫌そうにいいました。
「誰?」
葛城は伊織に挨拶をしました。
「初めまして。わたくし、葛城山の守護山娘の『葛城』と申します」
伊織と、そして渉も驚きました。伊織は渉の反応に対しても驚いて尋ねます。
「って! なんで渉が驚くの? 知り合いじゃないの?」
「いや、名前まで知らなかったから。ところで『守護山娘』って何?」
今度は反対に、渉が伊織に尋ねました。
「知らないわよ。私に聞かないでよ」
もめている二人の会話に、葛城が申し訳なさそうに割って入りました。
「今まで黙っていてごめんなさい。実はわたくし・・・・・・」
葛城は自分の正体について説明しました。
「ふーん、なるほど。それで姿が変わらないんだ。じゃ、改めて宜しく。葛城ちゃん」
「えぇ~!? この話、信じるの?」
葛城の話を、伊織は疑っているのに対して、渉はあっさり受け入れました。
「僕は水越 渉っていうんだ」
「えぇ? 渉も名乗っていなかったの? 本当に知り合い?」
伊織は呆れながら、名乗りました。
「私は山口 伊織」
葛城は深々と頭を下げました。
「渉様に伊織様ですね。宜しくお願いします」
伊織はまた面食らいました。
「伊織様? 『様』って何?」
一方の渉は、照れながらいいました。
「渉様かぁ。なんだか殿様になった気分だ」
伊織は、惚気る渉を横目で睨んでいました。
「(色々疑問に思わないのかしら? この人は!)」
とりあえず受け入れられた葛城は、渉達と一緒に過ごす事になりました。

伊織はお弁当を取り出しました。
「じゃ~ん! お弁当作ってきたんだ!」
色とりどりのサンドウィッチでした。それを見て、渉も続きました。
「じゃ~ん! 僕も作ってきた!」
「えぇ!?」
伊織が驚くと、急に怒り出しました。
「なんで作ってくるのよ! (渉の分も作ってきたのに!)」
渉も驚きました。
「えぇ! (何で怒られた?)」
二人のやり取りを葛城は楽しそうに見ていました。渉はおもむろにいいました。
「葛城ちゃんにもあげよう」
「えー?」
伊織は否定的な反応です。どうも葛城の存在が気に入らないようでした。
「だってこんなにたくさんあるんだからさ」
渉に促され、伊織は仕方なさそうに頷きました。
「そうね。あなたにもあげるわ」
葛城は遠慮気味にいいました。
「宜しいのですか?」
「いいわよ」
葛城は満面の笑みで『ありがとうございます!』と御礼をいいました。伊織はハッとしました。
「(あっ・・・・・・ 馬鹿だな、私。この子に嫉妬している。まだこんな無邪気な子どもなのに)」
そう思いながら、伊織は葛城を見ますが、身長に不釣り合いな程に大きな胸とお尻が目につきました。胸に至っては伊織よりも大きいかも知れません。
「(やっぱり油断できない!)」
「おいしいです!」
伊織の作ったサンドイッチを食べて、葛城は素直に言いました。
「あたり前よ。愛情込めて作ったんだから」
「愛情ですか?」
「そう」
と言って伊織は慌てました。もしかして渉に聞かれたのではないか、と思ったのです。ふと見ると渉は黙々と弁当を食べており、今の会話を聞いていない様子でした。伊織はホッとしましたが、渉が『ん?』と気がついて目が合いました。伊織は目を背けました。そんな伊織の様子に気がつかず、葛城は素直に笑顔で言いました。
「『愛情たっぷり』ですから、こんなにおいしいのですね?」
「え?」
渉の反応に、伊織は慌ててサンドイッチを葛城の口に放り込もうと思いました。
「さ、さ、いっぱい食べてね、か、つ、ら、ぎ、ちゃん!」
悪意は無かったのですが、伊織はサンドイッチを葛城の口より上に押しつけていました。
「そ、そこは顔です、伊織様」
「え? あっ・・・・・・」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ