メモリアル・デー(4/7)PDFで表示縦書き表示RDF


メモリアル・デー
作:ぺロコ



星に願いを


「「「「「七夕パーティー?」」」」」
「うん!」

 本日のイベントは、中森青子の提案からスタートした。
 7月7日、晴れ。時刻はもうすぐ昼の1時になろうかという頃。
 大学の食堂に集まったいつものメンバーに、青子が七夕パーティーをやろうと笑顔で提案した。
「いいね!」と賛成を示したのは、女性陣だ。一方、男性陣はどこか渋っている。

「七夕パーティーって何するんだ?」
「せや。別にパーティーにしやんでもえぇやん」

 と、パーティーに対して新一と平次は疑問を持っている。

「子供じゃねぇんだし」

 イベント好きの快斗も反対のようだ。

「笹を飾って、みんなで願い事書いて……」
「あとは普通のパーティーみたいなものよね」
「何か食べたり飲んだりとかな」
「笹は青子が準備するから大丈夫だよ」
「ケーキ屋とか行ったら何か売ってるかもな」
「帰り寄る?」

 男性陣の意見はそっちのけで、女性陣の中では、既にパーティーをやることは決定のようだ。

「ふーん、まぁえぇんちゃう?」
「晴れだし、一応星も見えるだろ。天の川は厳しいかもしんねぇけど」

 新一と平次は、やる事自体は大丈夫のようだ。残るは……

「オレはいいよ」

 快斗だけだ。

「どうしたんだよ快斗? あんなにイベント好きのやつが」
「……ちょっと、ね」

 歯切れが悪い。だが、口を閉ざした天下の元怪盗は、幼なじみの涙にだけは弱かった。

「快斗、参加しないの? 一緒にやりたいのに……」

 目を潤ませ、青子が上目遣いで尋ねると、快斗は目をそらしながら、たどたどしく答えた。

「先月以来、さ。ちょっとトラウマみたいなのが……」
「トラウマ? 何かあったのか?」
「…………オレの誕生日パーティー」

 快斗が白状した時、5人の顔は納得の表情を浮かべた。先月の一件は、快斗の中では忘れたくても忘れられない出来事なのだろう。それほどまでに、新一の仕返しは強烈だったのだ。
 全員の視線が新一に集まる。

「……オレのせい?」

 自分を指差し、小さく呟く新一に、5人は頷いた。

「新一が何とかしてよ?」
「何とかって……」
「新一のせいでしょ?」
「ぐっ……」

 言い返せないのは事実だから。何とかするしかない。そう思い、快斗に声をかける。

「快斗、やろうぜ。中森さん泣かせたくないだろ?」

 半ば脅しのようで卑怯ではあるが、手段は選んでいられない。そうでなかったら、自分に全てが襲い掛かってくるのだ。蘭ににらまれたが、文句は言われなかった。青子を泣かせたくないのは、同じだからか。

「な?」
「………分かったよ」

 決断するのに間があったが、承諾はさせた。

「よかったぁ! それじゃぁ、笹もらったら行くね! あ、もう授業始まっちゃう! それじゃぁまた後でね!」

 今までの涙は何だったのか、突然宣言するだけして、青子は立ち去った。

「行くって……どこへや?」
「さぁ?」

 この問いに答えられる人は、この場にはいなかった。







 そして、時間は過ぎ去り夜8時。空には薄雲がかかっているが、星は少なからず輝いている。

「……で。何でオレの家なんだ?」

 場所は工藤邸。いつもと変わらず工藤邸。

「え、だって広いし」

 ……だそうだ。

「分かった。広いのは認める」

 一般人からすれば、何とも怒りの湧き上がることをさらっと言った新一は、次なる疑問を口にした。

「何でコイツ等がいるんだよ?」
「「「おじゃましてまーす!!」」」

 今はもう3年生になった探偵団である。
 授業の関係で帰宅時間が遅かった新一は、工藤邸に明かりが灯っているのを不思議に思い、笹があるのに首をかしげ、家の中で行われているパーティーの準備を見て納得し、探偵団の姿を見て頬を引きつらせた。

「ケーキ買いに行った時に偶然会ったの」
「それで話したら来たいって言うたから」

 話していた通り、ケーキ屋に寄った時に会って、そのまま一緒に帰ってきたらしい。

「迷惑だったかしら?」

 もちろん灰原も一緒である。

「イエ、トンデモアリマセン」

 かなり棒読みだったが、灰原はフッと笑っただけだった。

「もうみんな願い事書こうかって言ってたところなの!」
「新一お兄さんも、はい。短冊です!」

 折り紙を切ったものに、みんなで願い事を書いていたようだ。

「オレはもう書いたぞ!」
「え、何て書いたの?」

 青子が嬉しそうに元太に聞くと、

「うな重がいっぱい食えますように!」

 実に彼らしい答えが返ってきた。

「またですか……」
「元太くんってば、いつも同じこと願ってるじゃないの!」
「う、うるせー!」

 やり取りは1年生から変わっていなかった。何だか微笑ましくもある。

「平次は何て書いたん?」
「オレか? まだ決めてへん。和葉は?」
「アタシは、みんなが仲良く過ごせますようにって」
「あ、あたしと一緒!」
「ホンマ? じゃぁ、絶対叶うな!」
「うん!」

 蘭と和葉は笑いながら、自分の書いた短冊を見せ合った。一方……

「快斗は何て書いた?」
「世界一のマジシャンになる! ってね」
「なーんだ。さか……」
「ストップ! また気絶する! 青子は?」
「快斗のさかな……」
「だぁぁぁっ!! 冗談はいいから!」
「まだ決めてないの」
「早くしろよ、言いだしっぺ!」

 ……子供の会話である。

「灰原は書かねぇのか?」
「そうねぇ……。どこかの探偵さんがきちんと検診を受けてくれますように、かしら?」
「……申し訳アリマセン」
「光彦は何て書いたんだ?」
「僕ですか? 僕は探偵になりたいって」
「へぇー、何で?」
「ライバルがいますから。永遠の」
「? ふーん?」

 すると、快斗と蘭も新一の側にやって来た。

「歩美ちゃんは?」
「歩美はねぇ、コナンくんが元気に頑張ってくれますようにって」

 一気に静かになった。

「歩美ね。何となくもうコナンくんには会えないような気がするの。でもね? ずーっと元気でいてほしいって今でも思ってるから。どこにいても」

 真剣で、でもやっぱりどこか悲しそうな歩美の側に、灰原が近寄って、

「……そうね」

 とだけ言って、微笑んだ。その時。

「よっしゃー! 決まったで! あの時の中坊に勝つ! これで決まりや!」

 平次の声が静かな工藤邸に響いた。

「……平次。もうちょっと空気読もうよ」
「は?」
「今、歩美ちゃんの願いを聞いてたんだよ。いい話だったのに、平次のせいで空気ぶち壊れちゃった」
「あ、そらスマン」

 あはは、と笑いが広がる。

「平次、あの時の中坊……ってスキーん時の?」
「せや。探偵やっとったら会える思てたのに、アイツ姿現しよらへん。えぇ探偵になっとる思うねんけどなぁ」
「スキーってもしかして……新一じゃない!?」
「そうだろうな。前に服部から聞いたときもそう思ったし」
「…………は?」
「え、工藤くんやったん!?」
「そうだと思うぜ? あの時解決はしたけど、あれはどっちの事件でもねぇよ」
「どういうことや?」

 眉をひそめ、思わず声が低くなる平次に、

「オメェは親父さんにヒント聞いたんだろ? オレもだから」

 サラッと新一は言い返した。

「え、工藤くんのおっちゃんも来てはったん!?」
「あぁ、姿は見てねぇけど、あの夫婦は揃って来てたろうな」

 心なしか遠くを見ているような新一はお構い無しに、蘭と和葉は盛り上がる。

「でもビックリだね! 和葉ちゃんたちもいたなんて!」
「なぁ! すごい偶然やんな」

 すると、それを聞いていた青子は思いついたのか、短冊に願いを書き始めた。一方、

「んなアホなーーーー!! 何で教えてくれへんかったんや、あの時に!」
「オメェ、聞く耳持たなかったじゃねぇか」

 大絶叫の平次に、快斗がとどめの一言。

「平次、新一に勝ったと思える日は来んの?」

 何せ、色んな意味で最強だからなぁ……と心の中で付け加える。

「うっさいわボケ! 絶対負けへん! 工藤は何て書いたんや!?」
「ん? あぁ、いっぱい本が読めるようにって」
「……さよか」
「なんか、予想通りというか期待はずれというか……」
「いつもと変わらないじゃないの」
「まぁ工藤くんやしな。はよ飾ってパーティーしよ」

 新一の願い事に冷めた反応を返す一同。

「あ、青子ちゃんは?」
「エヘへー、秘密だよ」

 嬉しそうに言う青子だが、

「んなもん、飾ったら見えるだろ」

 快斗の言うとおりである。

「うん、でも口には出したくないの」
「ま、えぇんちゃう?」
「早く飾ろうぜ。腹減った」

 それぞれ短冊を思い思いの場所に飾る。1番上に誰が飾るか、平次と快斗と元太の間で一悶着あったのは、ご愛嬌だ。結局、ジャンケンで元太が飾ることとなった。

「早く食おうぜ」
「うん、今から準備するからちょっと待ってね」
「歩美、お腹ペコペコ〜」
「僕もです!」

 窓際に飾られた笹から離れ、リビングのテーブルへ向かう途中、青子はふと立ち止まり振り返った。笹の下の方に飾られた控えめな願い。でも、1番叶ってほしい願い。

「青子、何してんだよ?」
「何でもない!」

 そう言って、軽い足取りで快斗の後に続いた。





 これから先、たくさんの偶然が必然に変わりますように。青子







 いつの間にか雲は晴れ、星が夜空に輝いていた。


【どうしてか異常な長さに……】
みなさま、こんにちは。ペロコです。本日は七夕〜♪ みなさまのところは晴れでしょうか? 星は見えますでしょうか?

前回までの話がギャグ要素満点でしたので、七夕というロマンチックなイベントぐらい平和に……と思っていたら、なかなかまとまらず、この長さに。ようやく「ほのぼの」という雰囲気になったと安心しています(笑)
メイン6人+探偵団を出してみました。しかしアレですね。人が多いと、喋らない人が出てくる! 灰原さんのセリフなんて、数える程しか……。あれれ〜? (笑)うまく振り分けられませんでした。まだまだです。スイマセン。

中学生の話も絡めつつ、今回は平次に叫んでいただきました。今思えば、毎回誰かが叫んでるよ(笑)次は誰に叫ばせようか(爆)

そんな感じで書いた七夕ですが、快斗のトラウマは解消されず、平次は過去の真実を知り、そして次回は……? 何だろう。イベント的には、9月までないんですよね〜。夏休みの彼らを書きたくなれば、8月辺りに書きます。9月まで無いって寂しすぎですよね? その頃にはもう少し時間はあるハズだ! ……多分。
その時は彼らを見て、笑ってやって下さい。(笑うのは決定か?)

では、次に会う時まで。感想はいつでもお待ちしていますv
キッドside2は、もうすぐキリのいいところに! 長かったー。

これからもよろしくお願いしますね。











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう