第51.5話 スキル統合
事実上のステータス回です。
基本的にメインメンバー以外のステータスは逐一表示しません。
クロードなりシンシアなりのステータスが気になる方には申し訳ありませんが、それを始めるとキリがなくなるので……。
話に出るたびに加算分の算出をするのはきついです。
「と言うわけで今から各種スキルを統合しようと思います」
「おー」
《ぱちぱちぱち》
俺の茶番にミオとドーラが付き合ってくれた。この茶番をするのは従魔のスキルを確認して以来だな。
ここにはメインメンバー(さくら、ドーラ、ミオ、マリア、セラ)が揃っている。
「で、ご主人様、スキル統合の方針を教えてもらってもいい?」
「ああ、わかった。まず第1にスキルの統合には結構なスキルポイントが必要になる。だから最初の内はここにいるメインメンバーに優先的に統合したスキルを与えようと考えている。簡単に言えば長い付き合いのメンバーに対する贔屓だ」
「おー、早いうちにご主人様の配下になれてよかったー」
「そうですわね。特別扱いは少し嬉しいですわ。他の子に少し悪い気もしますけど……」
他のメンバーにはもっとポイントに余裕が出来てから考えるつもりだ。
「第2に全てのスキルをレベル10にするのは大変だから、せいぜいレベル5までにしておく。それ以外のスキルは統合前のスキルをそのまま使うことにする」
「統合スキルはレベル5まででそこから上は各人で差別化ってことね。……よかった。皆の<弓術>スキルがレベル10になったら、私の存在価値がなくなるところだった」
ミオが最後に小声で寂しい事を言っていたのを拾ってしまった。そんなこと言ったら、『マリア1人でOK』ってことになりかねないよ?
「第3に統合スキルは成長しないから、各人よく使うスキルは統合前のスキルも所持させる。あ、マリアは基本全てのスキルを持っておくように」
「はい、お任せください」
使用するスキルのレベルは、統合の前後両方所持していた場合には高い方が優先され、統合前スキルのポイントに経験値が加算される。かなり有利なので、両方所持しておくのが吉と言うことだ。
「こんなところかな。じゃあ、早速スキルを統合するぞ」
「えっと、まずは武術スキルでしょうか?」
さくらが聞いてきた。順番通りに行くなら武術スキルだろうな。
「そうだな。武術スキルから行こう」
統合スキル:<武術>=
<剣術>+<槍術>+<棒術>+<盾術>+<弓術>+<暗器術>+<投擲術>+<格闘術>+<斧術>+<騎乗戦闘>+<槌術>+<鞭術>
「よし、できた」
「あれ?<暗殺術>が入ってないわよ?」
「教育とか体面の悪いものは俺の判断で入れないことにした」
とりあえず、ドーラに暗殺術とか覚えてほしくないからな。盗賊御用達みたいなスキルも弾いて行くつもりだ。
「まあ、覚えていて気持ちのいいものじゃないしね」
「後、<魔法剣>と<神聖剣>は統合できなかった」
「仁君の言い方ではユニークスキル、でしたっけ」
「ああ、統合出来ないモノも結構多そうだな。……じゃあ、次は魔法スキルだな」
統合スキル:<魔法>=
<火魔法>+<水魔法>+<風魔法>+<土魔法>+<雷魔法>+<氷魔法>+<光魔法>+<闇魔法>+<回復魔法>+<生活魔法>+<空間魔法>+<無詠唱>+<詠唱省略>+<精霊魔法>+<精霊術>+<幻影魔法>
「ここでも教育に悪いスキルをいくつか弾かせてもらった。それとユニークの<無属性魔法>、<魔導>。種族固有の<竜魔法>も統合されていないな」
「あれ?もしかして武術スキルが1番数が少ないんじゃない?」
「そうだな。技能系と身体系も数が多いからな。と言うわけだ、マリア武術系のスキルを取得してくれ」
「お任せください」
「そんな簡単に取得できるモノでもないと思うんですけど……」
そこはほら、マリアだから……。
「次は技能スキルだな」
統合スキル:<技能>=
<調剤>+<料理>+<統率>+<鼓舞>+<家事>+<伐採>+<狩猟>+<裁縫>+<採掘>+<鑑定>+<鍛冶>+<庭師>+<乗馬術>+<作法>+<手加減>+<言語解読>+<算術>+<忍び足>+<魔道具作成>+<栽培>+<歌唱>+<舞踊>+<演算>+<建築>+<交渉>+<話術>+<釣り>+<彫刻>+<絵描き>+<美術>
「凄い多いですわ」
「ああ、意外と結構な量になったな。ここにあるのはスキルの他にある程度心得がないと厳しいものばかりだな。正直に言うと統合にそれ程のメリットを感じないな」
「まあ、全部上げても使いこなせる気がしないわよね。……マリアちゃん以外」
「そうだな。これに関しては全員レベル3くらいで渡しておけばいいかな」
レベルが3あれば技能スキルに関しては不足と言うことはないだろう。ここは本当の専門家が高レベルになっていればいいスキルばかりだからな。
「あ、そう言えば<魔物調教>とかは統合できなかったな。多分、魔物には使えないからだろうな。でも<奴隷術>は統合できるんだよな。教育に悪いから統合しないけど」
「多分、同種の魔物だったら魔物相手でも使えるからだと思います。元々持っていたのがゴブリン・キングですし」
「あ、そっか。ゴブリン・キングはゴブリン相手に<奴隷術>を使えるんだっけ」
マリアの説明にミオが納得する。
「さて、最後は身体スキルだな」
統合スキル:<身体>=
<身体強化>+<HP自動回復>+<MP自動回復>+<跳躍>+<気配察知>+<夜目>+<覇気>+<闘気>+<気品>+<索敵>+<心眼>+<覚醒>+<強靭>+<不動>+<逃走>+<混乱耐性>+<麻痺耐性>+<毒耐性>+<状態異常耐性>+<物理攻撃耐性>+<火属性耐性>+<水属性耐性>+<風属性耐性>+<土属性耐性>+<雷属性耐性>+<氷属性耐性>+<光属性耐性>+<闇属性耐性>+<根性>+<魔法耐性>
《たいりょー》
「こっちはこっちで多いな。あ、そう言えばちゃっかり<縮地法>もユニーク枠で統合できなかったな」
「え?あれユニークスキルなの?マリアちゃんと冒険者組のクロードが自力習得してたけど……」
「凄いですね。未だに自力の新規スキル習得0の私とは大違いですね……」
あ、さくらさんが少し凹んでしまった。
「大丈夫だ。俺も0だから」
自分で言って少し凹んでしまった。
「あれ?でも仁君は異能のデメリットでスキル習得できないだけですよね?」
「まあ、そうなんだけどな。さくらの場合、チャンスはあるんだから、何か狙いを絞って習得してみればいい。絶対に無理な俺とは違うんだから」
「そう、ですね。可能性があるなら挑戦してみるのも有りですね。わかりました。何か考えて実践してみます」
少しさくらが前向きになってくれたようだ。この頃は暗い顔も大分減ってきたようで何よりだ。
「さて、じゃあ今までのスキルを基準に統合スキルを振りなおしていこう。統合スキル未満であまり使わないスキルは回収するからな。マリア以外」
「はい」×4
《はーい》
「じゃあ、まずは俺のスキルから見ていこう」
進堂仁
LV72
スキル:
武術系
<武術LV5><剣術LV10><格闘術LV10>
魔法系
<魔法LV5><呪術LV4><憑依術LV4><奴隷術LV7><無属性魔法LV1><固有魔法>「リバイブ」「ルーム」「ワープ」「ポータル」「エナジーボール」「アンク」「サモン」
技能系
<技能LV3><魔物調教LV7><獣調教LV1><鍵開けLV3><泥棒LV5><恐喝LV4><統率LV10><鼓舞LV10><拷問LV3>
身体系
<身体LV5><身体強化LV10><縮地法LV5><気配察知LV6><索敵LV6>
その他
<幸運LV1>
異能:<生殺与奪LV6><千里眼LV-><無限収納LV-><契約の絆LV-><多重存在LV2><???><???>
装備:霊刀・未完
「ご主人様……」
「なんだ、ミオ?」
「統合スキルから教育に悪いスキルを弾いたせいで、スキル欄がやたら盗賊チックになってるんだけど……」
「あー、うん。統合してないからこそ、逆に目立つんだよな。そればっかりは仕方がないな」
盗賊御用達の<鍵開け><泥棒><恐喝>辺りがやたら目立つ。<鍵開け>、<泥棒>はともかく<恐喝>は外せないかな。
「さて、特に欲しいスキルはないから、俺はこのままでいいかな」
「私としては仁様には安全のため全ての統合スキルをレベル10にしていてほしいのですが……」
マリアが無茶を言う。
「ポイントが足らん」
「わかりました。私が稼いできますので、仁様はそれまで休んでいてください」
「その言い方、俺がヒモみたいに聞こえるから止めてくれ……」
ヒモになりたいって言ったら、マリアは普通に喜びそうなんだよな……。本来だったら危険なことは何1つしてほしくないみたいだし……。俺の主義とかけ離れているから言わないだけで……。
「次はさくらの番だな」
「はい。よろしくお願いします」
木ノ下さくら
LV56
スキル:
武術系
<武術LV5><棒術LV10>
魔法系
<魔法LV5><火魔法LV9><水魔法LV9><風魔法LV9><土魔法LV9><雷魔法LV9><氷魔法LV9><闇魔法LV9><回復魔法LV9><魔導LV1><発動待機LV1><固有魔法>「リバイブ」「ルーム」「ワープ」「ポータル」「エナジーボール」「アンク」「サモン」
技能系
<技能LV3>
身体系
<身体LV5><身体強化LV10>
その他
<幸運LV1>
異能:<魔法創造LV->
装備:星杖・スターダスト
「魔法特化だな。近接戦闘は<棒術>のみだ」
「そうですね。まあ、上級魔法を使う機会はないんですけどね」
「俺らの魔力で最上級とか使ったら、結構大変なことになるぞ」
「今後も使う機会がないといいですよね」
「そだな」
過剰な威力の魔法なんて、使う機会がないに越したことはないからな。
「で、欲しいスキルは何かあるか?」
「えーと、さっきの話ですけど、自分で新しいスキルを習得するのを目指すので、今は不要です。こうしてみるとわかりますけど、技能系が統合したもの以外ないんですよね。まるで無趣味って言われているみたいで悲しいので、この辺のスキルを狙っていこうと思います」
「わかった。スキル習得頑張れよ。……俺にはできないからな」
「あ……、はい」
さくらさんに空返事をさせてしまった。自虐ネタみたいなものでそれほど気にしているわけではないんだけどな。一応、異能はレベルアップするし……。
「次はドーラだ」
《おー!》
ドーラ
LV52
スキル:
武術系
<武術LV5><棒術LV10><盾術LV7>
魔法系
<魔法LV5><竜魔法LV5><固有魔法>「リバイブ」「ルーム」「ワープ」「ポータル」「エナジーボール」「アンク」「サモン」
技能系
<技能LV3><調剤LV6>
身体系
<身体LV5><身体強化LV10><突進LV10><咆哮LV10><飛行LV10><噛みつきLV10>
その他
<幸運LV1>
装備:ミスリルスタッフ、ミスリルの円盾
「ドーラには魔物の使うスキルを一部与えているな」
《でも<かみつき>とかつかったことないよー?》
「そりゃあ、汚いものに噛みつくのはバッチいからダメだからな」
《じゃあ、なんでドーラに<かみつき>をくれたのー?》
「可愛いからな。ドーラの<噛みつき>って響きが」
《それだけ!?》
できれば甘噛みとかしてほしいけど、竜人種の文化には無いようだ。残念。
「欲しいスキルはあるか?」
《<ちょうざい>がほしいー。もっとお薬作りがんばるからー》
「ドーラの薬は高品質だからな。もしかしたら、ミドリの<秘薬調合>に届く伝説級の薬が作れる日が来るかもしれないな」
《がんばるー》
まあ、どのみち売れないんですけどね。
「次、ミオ」
「なんか雑じゃない!?」
ミオ
LV51
スキル:
武術系
<武術LV5><剣術LV6><弓術LV10>
魔法系
<魔法LV5><固有魔法>「リバイブ」「ルーム」「ワープ」「ポータル」「エナジーボール」「アンク」「サモン」
技能系
<技能LV3><魔物調教LV3><料理LV7><家事LV4>
身体系
<身体LV5><身体強化LV10>
その他
<幸運LV1>
装備:ミスリルの弓
「戦闘は<弓術>が基本、接近されたときのために<剣術>を少々。<魔物調教>は本人の希望で、<料理>と<家事>が元からだな」
「<魔物調教>はありがとうございますです」
「そう言えば最近あまりスキル変換を頼んでこないけど、いいのか?」
「そこらの魔物が相手なら3で十分だからね。ご主人様が一緒の時はご主人様がテイムするし……。それに1匹テイムしたら少し満足しちゃって、それほど重視しなくなったのよね」
今はこっちの屋敷で室内犬となっているポテチがテイムした魔物である。暗殺者が忍び込んできたとき、ポテチは寝たままだった。番犬にはならないようだ。
「欲しいスキルは?」
「<料理>をお願い!本当は自力で上げたい気持ちもあるんだけど、やっぱりみんなには美味しい料理を食べて欲しいし……。機会があるなら上げてもらおうと思ってたの……」
「俺としてはミオがそれでいいならスキルをあげること自体は問題ないな。スキルが上がるとどんだけ美味くなるのかも興味あるし」
「じゃあ、お願いします」
後に食べた料理は、明確に違いが分かるほど美味くなっていた。カスタールから遊びに来たサクヤがミオの料理を食べて感動で涙を流すほどである。そしてスカウトしようとしたので軽くチョップを決めた。
「さて、次はマリアだな。ポイントを残すから少し大変だな」
「お手数おかけします」
マリア
LV62
スキル:
武術系
<武術LV5><剣術LV10><暗殺術LV5><魔法剣LV3><神聖剣LV3>
魔法系
<魔法LV5><光魔法LV6><結界術LV1><固有魔法>「リバイブ」「ルーム」「ワープ」「ポータル」「エナジーボール」「アンク」「サモン」
技能系
<技能LV3><執事LV6><忠誠LV5>
身体系
<身体LV5><身体強化LV10><縮地法LV5><HP自動回復LV6>
その他
<勇者LV6><幸運LV1>
統合された元のスキルポイントを全て所持。
装備:宝剣・常闇
「<神聖剣>と<魔法剣>は順調に上がっているみたいだな」
「はい、意識して使うようにすれば、上げるのは比較的容易ですね」
「多分それ、マリアだけだぞ。……そう言えば、あまり考えなかったんだけど、何でマリアのスキルに<執事>があるんだ?これ、男性限定だったと思うんだけど……」
「私は女ですよ。もう1度確認いたしますか?」
「いや、いいけど……」
「多分、頑張れば習得できるんじゃないでしょうか」
「それでいいのか、スキルシステム?」
アルタに聞いたところ、性別は習得の有利・不利に影響するだけで、取得不能ではないとのこと。統合できないのは魔物には習得できないかららしい。
「欲しいスキルは……」
「ありません。必要とあらば自力で習得いたします」
それができるのはマリアだけだからね。
「あれ?<勇者>のスキルレベル上がってないか?」
「あ、本当ですね。言われるまで気づかなかったです」
マリアも気づいていなかった。
「自分の事には本当に興味がないのね……」
「まあ、そうですね」
ミオの呆れた声に対して、マリアは肯定してしまった。
「で、今回得たスキルは……」
<勇者>スキルはレベルが上がるごとに新しいスキルを取得できる。
LV6までくると固有のスキルになるらしく、統合は出来なかった。折角なのでマリアに付けたままにすることにした。
<結界術>
支援効果のある結界を張れる。3次元空間上の任意の個所に結界を張れる。
「じゃあ、最後はセラだな」
「お願いしますわ」
セラ
LV47
スキル:
武術系
<武術LV5><剣術LV10><槍術LV9><盾術LV6>
魔法系
<魔法LV5><固有魔法>「リバイブ」「ルーム」「ワープ」「ポータル」「エナジーボール」「アンク」「サモン」
技能系
<技能LV3><作法LV5>
身体系
<身体LV5><身体強化LV10><HP自動回復LV6><跳躍LV10>
その他
<幸運LV1><英雄の証LV5><敵性魔法無効LV->
装備:守護者の大剣、守護者の大楯
「若干、直接戦闘のスキルが多いな」
「最近、槍の方は使っていませんけどね。剣のセット装備がありますから」
「そりゃあ、そうだ」
「一応、訓練は続けていますけどね」
「それにしても、直接戦闘に特化しているよな。所謂ノーキンスタイルだな」
「ノーキン?なんですの、それ?」
「確か『脳ミソまで筋肉』の略だな」
「凄い失礼な言い分ですわね……」
でも、セラって基本ノーキンな構成だと思うんだよな。
「で、欲しいスキルはあるか?」
「ノーキンと言われないようなものをお願いしますわ」
「……じゃあ、<作法>でも加えておくよ」
「ありがとうございます」
問題はスキル構成だけじゃなくて、セラの資質だというのは黙っておこう。
「じゃあ、スキルの再編集も終了したことだし、墓地エリアに行くとするか」
「ひー!」
あ、最後のはミオの悲鳴です。
補足なのですが、この回で表示したのは基本的には仁が取得したスキルだけです。
実際には裏でルセアを含む配下が様々なスキルを取得していたりします(列伝でブライト・ファルコンが持っていたスキルなど)。
話の裏側のスキルを考えるのがめんど……、どうかご了承ください。