第29話 恐竜とスタンピードの結末
「しかしそれは禁止する」
「はい?」
呆けた顔をするマリア。
「マリアは戦うな。あいつは俺が倒す」
「え、えーと、あのティラノサウルスという魔物は、勇者以外の攻撃が1%のダメージになるのですよね?仁様の攻撃もあまり効かないのでは?」
「逆に言えば、1%は通るというわけだ。完全に効かないならともかく、1%でも通る以上、戦うのに何の問題もないな」
『無効』ではなく『軽減』である以上、決して0にはならない。だったら、ステータスに任せてぶん殴れば倒すことだってできるはずだ。
「そんなことをしなくても、私が戦えばよいのではないでしょうか?折角簡単に倒せる条件が揃っているのですし…」
「だからだよ」
「?」
小首を傾げるマリア、可愛い。
「コイツの本来の敵は恐らく『異界の勇者』だ。マリアの称号にある『獣人の勇者』は、本来の勘定には入っていないだろう」
「私たちが近くにいたことは、偶然だとお考えなのですね」
「ああ、コイツの存在が本来誰と戦うことを前提としているのかを考えたら、他にないと思う」
特に呪印だ。祝福と対になる、つまり祝福にぶつけるのに丁度いいということだ。これを持っている段階で、『異界の勇者』の敵対者であると考えられる。
「それを俺たちが横からかっさらうように倒すというのが、今回の目的の1つだ」
「はい、そこまでは分かりました」
「少しズレるが、『獣人の勇者』であるマリアがコイツを倒したら、コイツの役割はある意味で果たされてしまうじゃないか」
「と言うことは、仁様はこの魔物の役割を台無しにするおつもりなのですね?」
ここまででわかってくれたようだ。その通り、コイツには何も成すことなく退場してもらう。
猛威を振るうこともなく、勇者と戦うこともなく、フラッとあらわれた俺に何の見せ場もなくやられるのだ。明らかにボスなのに、見せ場も価値も示せないまま倒れる。これこそが俺の考える1番の回答だ。明示的な解答の斜め上を行くって、マジ楽しい。
「その通りだ。だから俺1人に任せてくれ。大した相手でもないしな…」
「わかりました。では、お気をつけて」
「ああ」
そういうと俺は気負うことなく、ティラノサウルスに近づく。さすがに気付いたのティラノサウルスが俺の方を見やる。
「GYAOOOOOOOOOO!」
咆哮を上げ、襲い掛かってくるティラノ。マリアはティラノの認識できる範囲からは外れてもらっているので、俺の方に一直線だ。
…これも勿体無いな。手に持っていた冷凍ミカンを<無限収納>の中にしまう。武器をもって相対する必要もない。
俺は地面を蹴りティラノサウルスに向けて突進する。ティラノは近づく俺に対して、噛みつこうと咢を開く。俺は噛みつかれる直前に加速して躱す。
ティラノの懐に飛び込んだ俺がとる行動は当然1つだ。
腹パン。
-ドゴッ-
当然のように固いものを殴る音が聞こえる。ティラノサウルスは若干浮き上がり、そのまま倒れこむ。HPが3分の1くらい減っているな。後2発くらいか…。
「GYOEEEEEEEEEEEE!」
とんでもない大きな声で絶叫?するティラノ。地面を転げ回っている。すごいシュールだ。
「さて…」
俺が拳を握り近づくと、ティラノはぴたりと転がるのを止め、俺の方をすがるような目で見つめてくる。目が潤んでいる。
「ダメ」
「GYAOOOOOOON!」
あ、ティラノが逃げ出した。わき目も振らずに俺から離れようとするティラノサウルス。いや、お前ボスだろう。<暴君>で相手を逃げられないようにするのに、お前は逃げるのかよ…。
走って追いかける。追い抜いて正面から腹パン。
-ドゴッ-
「GYOEEEEEEEEEEEE!GYAOOOOOOON!」
さっきの焼き直しのように転げまわるティラノ。後1発で倒せるな。
転げまわっている間に、こちらに腹を見せる瞬間がある。なので腹パン。
-ドゴッ-
「GYOOOOO…」
そのまま動かなくなるティラノサウルス。
「もう終わったのですか?」
マリアが近づいてきた。5分も経ってないからね。ボス相手にタイムアタックとか、リアルでやることになるとは思わなかったよ。
「ああ、死体はタモさんに喰わせようと思う。いけっ、タモさん。あ、魔石だけは残しておいて」
俺がけしかけると、(ついてきてた)タモさんがティラノサウルスを吸収し始める。
「あまり時間がたっていませんね。来た時と同じ方法で戻りますか?」
「いや、途中まではそれを使うが、ギルバートが来ているかもしれないから、途中からは歩くぞ」
「わかりました」
「あと、この森でやることは全滅ボーナスの魔物を退治、もしくはテイムすることだな」
エリアの魔物を全滅させると、1度だけレアな魔物が出るということがわかっているので、しばらくポップを待ってみる。ドリアードのミドリのような当たりだったらテイム。仲間にしたくないような奴なら討伐してレアスキルとかを奪うのだ。
待つことしばし。ティラノ退治してから10分後くらいについにポップする。
恐竜の卵
<孵化>
備考:恐竜種魔物の卵。何が生まれるかはランダム。
卵がポップしました。これは少し予想外だったかな。魔物にはポップするものと、交配により生まれるものがいるのは知っているが、まさか卵状態でポップするものがいるとは思わなかったな。
とりあえず卵に近づく。最初からマップ上で緑色で表示されているな。30cm位の小さな卵だ。というか、この状態で何か活動できるのか?
A:出来ません。<孵化>スキルによる待機時間が終了するまでは何もできません。
<孵化>
時間経過で孵るまでに保持するスキル。これを奪うと卵が孵らなくなる。
無抵抗というわけですな…。
へっへっへっ、抵抗する気力もなくなったようだな(ゲス顔)。
テイムしてみる。
>恐竜の卵をテイムしました。
>恐竜の卵に名前を付けてください。
卵に名前を付けるのって、無意味だと思うんだ。
>恐竜の卵への命名を保留しますか?
あ、はい。お願いします。
保留とかできるんだね。とりあえず恐竜の卵は無抵抗にテイムされました。ちなみにこれでティラノが生まれて<暴君>を持っていた場合テイムの扱いはどうなるの?
A:<暴君>は無効になります。
じゃあ安心だね。ランダムって書いてあるから、楽しみに待つとしよう。あ、<無限収納>に入った。ますますこの魔物の立ち位置がわからない。
A:卵は有精卵でも無精卵でも食材扱いで収納可能です。
…とりあえず、時間設定は「進む」にしておこう。孵りそうならアラームを出すように設定だ。
A:わかりました。
え、今タイミングおかしくなかった?
>新たな異能が解放されました。
<多重存在LV1>
並列思考・高速思考を可能にする異能。並列思考の1つに擬似的な人格を与え、異能に関するインターフェースとすることもできる。
新しい異能に目覚めたようだな。どんな異能なのか…。
ふむ、わからん。とりあえず異能に関するインターフェースって書いてあるし、これをONにしてみよう。
A:擬似的な人格が確立されました。以後、対話型インターフェースとして仁様のサポートをさせていただきます。
あれ?ヘルプ先生が普通に話しているぞ?
A:はい。<千里眼>と<多重存在>の擬似人格が統合され、対話できるようになりました。
もともとそれっぽい兆候はあったしな。まあ、情報が確認しやすくなったと思えばいいか…。でも、言っちゃ悪いがそれだけの能力なのか?異能1つ分の力にしてはしょぼいけど?
A:いいえ、これはあくまでもオマケです。本来の機能は、並列思考&高速思考の方です。平たく言えば、物事を同時にいくつも高速で考えられるというものです。
別にそれができなくても困ることはないよな?俺のどんな望みがその異能の雛型になっているんだ?
A:所有欲です。自分の物を守りたいという感情です。具体的に言えば、配下が自分と離れて行動しているときに傷つかないようにということです。
もしかして、並列思考っていうのは、配下に取り付けることができるのか?
A:はい。私が同時にすべての配下を見守り、危機の際には仁様に報告したり、多少でしたら私の方で対処することもできます。
配下を作ることの懸念点である、俺に管理しきれるか?守り切れるのか?と言った感情を雛型にして生まれた異能なのだろう。自重することなく配下を増やしていったから、徐々に不安が大きくなってきていたということだろう。
それに多少なら何とかするということは、俺の異能も一部使えるということだろう?
A:はい。<生殺与奪><千里眼><無限収納><契約の絆>全てにアクセス権があります。<千里眼>だけは100%の機能が使え、他の異能に関しては部分的ですが、利用可能です。
言い換えればメチャクチャ有能な秘書を手に入れた感じだろうか。でも、裏切ったりしないのかね?こういった人格って裏切るのがお約束みたいなところあるし…。
A:恐らく大丈夫でしょう。雛型が雛型ですし…。裏切られるの嫌いですよね?異能の持ち主の望まぬ方向には発現しないと思いますよ。
確かに裏切られるのは嫌いだな。俺の人格ベースで異能が発現するのなら、それだけはないと言えるだろうな。でも、断言はしないんだな。
A:まあ、人格ができてしまった以上、可能性は0ではありませんから…。
仕方ないか…。後は呼び方だな。丁寧な口調で仁様呼びだとマリアと紛らわしいから、…マスターと呼んでくれ。なんかそれっぽいし。
A:わかりました。マスター。
で、後はそっちの呼び方だな。ヘルプ先生っていうのもあくまで冗談だし…。Q&AのAの方だから…、後、アバターとか並列思考とかのワードを考えると…。
決めた。アルタと呼ぶことにする。
A:「アルターエゴ」ですか?
アルターエゴ。別人格のことだ。オルターエゴとも言う。
まあ、オルタでもよかったんだが、Q&Aの響きからそっちにすることにした。
A:わかりました。以後、アルタと名乗らせていただきます。
よろしく頼む。あ、出てほしくないときはそういうから、その時は引っ込んでろよな?
A:心得ております。
とまあ、ここまで事実上の自問自答をしていたわけだが、その間なんと1秒にも満たない。これが、並列+高速思考というわけだ。凄いね。
「いかがいたしましたか?」
「いや、新しい異能に目覚めただけだ」
「また、チートというモノでしょうか?」
「ああ、詳しいことは後でみんなが集まってから話そうと思う」
「わかりました。今度はどんな素晴らしい力なのでしょうか…」
頬を赤く染めてうっとりとした表情を見せるマリア。口にこそ出さないけど、絶対に俺のこと神様扱いしてるよな…。
「しまったな…。異能が目覚めてしまったから、ある意味ティラノに仕事をさせてしまったことになる…」
「…いえ、あの最期を見て仕事をしたと感じる者はいないと思いますよ…」
のたうち回っている間にとどめを刺されるティラノサウルス。うん、仕事してないね。
この森ですることも本格的になくなったので、高速移動により元の村近くまで戻る。途中からは歩きだ。
村に近づくとこちらに気付いたギルバートが駆け寄ってくる。
「これはどうしたんだ!?まさか君たちがやったのか!?」
近くまで来るなり魔物の死体(取りこぼし)を指さし、捲し立てるギルバートに少し引いてしまう。
「まあ、そういうことだな」
「そんな馬鹿な!200を超える魔物のスタンピードを2名で討伐するなんて、Sランク冒険者でもなければできないことだぞ!」
あ、正確には236匹ですね。ほとんどは<無限収納>の中ですけど。
「それだけの実力があるってだけの話だろ?それよりももう脅威は去ったんだから、街とか村人に大丈夫だって伝えてやらないと…」
「そ、そうだな。しかし、本当に信じられん。まだこんな実力者を見落としていたなんて…」
おや、何か訳ありそうな香りがしますね。
「お、俺たちの仲間の馬車も来たみたいだな」
見れば、仲間の乗った馬車がこちらに近づいてきていた。全員乗っているみたいだな。
「ご主人様、お疲れ様!」
「怪我はありませんか?」
《きょうりゅうみせてー》
「マリアさんもお疲れ様です」
馬車から降りて俺たちがそんな話をしていると、ギルバートがまたこちらに近づいてきた。
「すまない。取り乱した。今から、アタリメの街に報告しに行くんだが、当事者である君たちもついてきてくれるか?」
これに関しては覚悟の上だ。ここまでしておいて、目立たないなんて考えていない。
「ああ、ここの死体はどうする?」
「そのことだが、魔物の死体がずいぶん少ないように感じるのだが…」
「『格納』に入れてある。魔力量は自慢だからな。ここに残っているのは取りこぼしだ」
あらかじめ考えていた言い訳?を説明する。魔力量が多ければ『格納』にもモノが多く入る。まあ、200匹に近い魔物を『格納』するにはどれだけの魔力が必要かは考えない方がいいだろう。
A:Sランク冒険者でも不可能です。
「そ、そうか。それも凄まじいな…」
驚愕が顔に張り付いて戻らなくなっているギルバート。
「残ったものについても回収するつもりか?」
「いや、そのつもりはないな」
「では、残りは街で準備している冒険者に与えても良いだろうか?彼らの準備が肩透かしになってしまったから、その詫びも兼ねて…」
「ああ、構わない。ただ、もうしまってある奴を振るまえとか言われても渡さないぞ?」
<無限収納>を誤魔化すのも面倒だしな。
「それは問題ない。ここにあるもので十分だろう。50匹分にはなるからな」
そう言ったギルバートは(多分)部下に指示して魔石を回収させる。
回収も終わり、とりあえず死体は放置するとのことで、俺たちはアタリメの街へと向かう。あ、もちろん人が戻った後で死体は処理するよ。今のメンバーだけでやるのが大変だから、魔石を優先しただけだからね。
《…と、言うわけでティラノサウルスを腹パンで倒した俺は新しい異能を手にするのだった》
《…簡単に言えば、ヘルプ先生が人格を持ったようなものだな》
《…これで俺と離れているときでも俺の並列思考アルタが配下たちを見守ることになる》
馬車の中でメインのメンバーにだけ念話で報告をした。
《仁君の5つ目の異能が開眼したんですね。でも並列思考ですか…》
《ご主人様に常に見られるってことでしょ?うー、奴隷のプライベートはどこへ行ったー!》
奴隷にはプライベートってないと思うんだけど?
《また、ご主人様が近くに…》
《いつでもいっしょー、どこでもいっしょー》
《まあ、今更ご主人様相手に隠すものもありませんし?》
やっぱり、この世界の住人と元の世界の住人では、感覚に多少の差があるようだった。この世界組は特に問題視しないみたいだ。
プライベートの概念のあるさくらとミオは若干の抵抗があるようだ。
《いえ!何でもするといったのです!今更裸やトイレを見られたくらいでへこたれるわけにはいきません!》
《そうよね!全てを捧げるんだから、恥ずかしいシーンを見られても我慢よね!》
あ、2人とも吹っ切れたみたいだ。と言うか、覚悟のレベルが結構高いな。俺がそれだけ変態に見られているということだろうか…。並列存在を配下に与えた状態で、アルタの感覚を共有すれば出来なくはない辺りがさらに恐ろしいよな。
《さくらたちにはデメリットが目立っているみたいだけど、メリットとしては俺が別件で動いていても、俺に相当する判断をアルタが代行してくれるとことかな。話のレベルをアルタが判断してクッションになってくれるんだ》
俺につなぐ前にアルタが整理してくれるから、最終的に俺のところに来る情報が洗練されることになる。
《まあ、これからもどんどん増える配下のことを考えれば、必要な異能ですよね》
《ああ、これで配下の管理がだいぶ楽になるからな。自重しないで行くぞ》
《自重は、してください》
アタリメの街に近づくと、冒険者たちの防衛線が見えてきた。馬車に乗っている俺たちを見て警戒を解いたようだ。さっき見かけたギルドマスターが声をかけてくる。
「ギルバート。ずいぶん遅かったじゃないか。ついさっき、最後の村人が到着したぞ?」
「申し訳ない。ちょっと村の方で時間を食ったのだよ」
「…何があった?」
良くない知らせだと思ったのか、ギルド長の声が一段低くなる。
「こちらの冒険者が、スタンピードを全滅させていたのだ」
「何?そんな馬鹿な?200匹規模のスタンピードだぞ?」
え、200匹ってそんなに多いの?
「本当だ。もう警戒を解いても大丈夫だ」
「にわかには信じられんな。だが、しばらく前からスタンピード特有の砂煙が上がっていないから、不自然だとは思っていたのだ…。君、名前とランクを教えてくれないか?」
俺の方に顔を向けるギルド長。
「仁、ランクはEだ」
「Eだと!いや、登録が最近なだけか…」
すぐに実力とランクに差がある理由を察する。
「話は分かった。だが、いくらなんでも荒唐無稽すぎる。一応しばらくの間戦線はこのままにしようと思う」
まあ、信じられないならそれくらいは仕方ないよな。
とは言え、村の方から来た俺たちと、今の話を聞いてずいぶんと周りの空気が弛緩した。当然ではあるが、俺の方を信じられないものを見る目で見ているものも多い。
「後、彼から50匹分くらいの魔石を、集まった者たちに配っても良いと言われたので、夕飯代にでも当ててくれ」
「そいつはありがたい。午後の稼ぎが少し減っちまったからな」
ここに集まった段階で午後の仕事はほとんどできないからな。強制依頼だから報酬もほとんどないし…。
40~50名くらいの冒険者がいるから、1人1つくらいは行き渡るだろう。
「しかし、なんでまた全滅なんか…。馬車があるということは、村人の救助に行ったのだと思うが…」
「ああ、救助ついでに間引こうとしたら、勢い余って全滅させてしまったんだよ」
これはある意味嘘じゃないですよ。
「村への被害も0にできたし…」
「スタンピードがあった後の状況としては最高じゃないか…」
そんな風に状況を説明してから30分くらいで、様子を見に行った者がスタンピード壊滅の確認を取ったとして帰ってきた。
「悪かったな。信じてやれなくて」
「いや、この状況では当然だ。それよりも早く村人たちを返してやろう。また馬車に乗せるのだし…」
「君たちは今回の立役者だ。もうそこまでのことはしなくてもよいのだぞ?」
「物のついでだよ」
そう言って順に村人たちを村へと送り返した。俺たちも歩きの遅い村人を数回乗せていった。
冒険者には魔石を配っただけで解散させたが、俺やギルバートなど村人の救出に手を貸したメンバーは村に呼ばれて料理を振る舞われることになった。
細かい後処理の話は後日ということだ。
「ありがとうございます。間引くどころか全滅させるなんて…」
そういったのは馬車にも乗せた病弱そうな女の人だ。
ちなみに俺たちの世界では異常なほど強ければ恐怖の対象になりかねないが、この世界ではSランク冒険者や勇者と言った圧倒的強者の存在から、『異常な強さ』というモノを受け入れる土壌があるようだ。
「気にするな。この村が無事でよかったよ」
「ふふっ、お米のためですか?」
「それもあるが、この村の気質が気に入ったんだよ」
ピンチの時ほど人は本性が出る。ピンチになっても他人を思いやれる人間は貴重だ。
「そうですか。そう言ってもらえるとうれしいですね。あ、お米はしっかりお渡ししますので、安心してくださいね」
「ああ、楽しみにしてるよ」
他にも馬車に乗せた人や畑が無事だったのを見た人から次々と声がかけられる。この世界ではお酒は15歳くらいから飲み始めるように推奨されているが(法はあったりなかったり)、俺としては元の世界の風習を大事にしたいので断ることにした。
そのまま村の宿に止められて、朝も美味い白米をごちそうになった。
「これ、お約束のお米です」
そう言って用意されたのは米俵だ。それも7つ。
「本当にいいのか?別にここまでくれとは言っていないのだけど…」
「構いませんよ。お礼の話をしたらどんどん俵が集まってきたんです。村人皆あなたには感謝しているのですから」
そんな理由があるのなら、受け取らないのもむしろ悪い気がする。
「…わかった。ありがたく食わせてもらう。足りなくなったら今度は買いに来るよ」
「ええ、その時はお安くしますね」
「ああ、その時はよろしく頼むよ」
午前中に村を出てアタリメの街へと向かう。ギルバートも同時刻に村を出ることにしたようだ。
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ステータス
変更点のみ記載
進堂仁
LV60
スキル:<剣術LV10 up><統率LV10 up><鼓舞LV10 up>
異能:<多重存在LV1 new>
装備:なし
木ノ下さくら
LV44
スキル:<火魔法LV5 up><水魔法LV5 up><風魔法LV5 up><土魔法LV4 up><雷魔法LV5up><氷魔法LV5 up><身体強化LV10 up>
装備:ルビーの杖
ドーラ
LV42
スキル:
<棒術LV10 up><盾術LV5 up><身体強化LV10 up><飛行LV8 up><突進LV9 up><咆哮LV10><噛みつきLV10 up>
装備:僧兵のバトルスタッフ、鋼の楯
ミオ
LV36
スキル:<身体強化LV10 up>
装備:フェアリーショートボウ
マリア
LV49
スキル:<剣術LV10 up><暗殺術LV5 new><忠誠LV4 up>
装備:宝剣・常闇
セラ
LV31
スキル:<剣術LV10 up><槍術LV9 up><盾術LV5 up>
装備:グレートソード、パルチザン、カイトシールド
タモ
LV19
ミドリ
LV41
ついにヘルプ先生が普通に喋りだしました。配下の管理はお任せです。これで自重せずに配下を増やせる。
後、卵から生まれるのをただの恐竜にするか、恐竜少女にするか悩み中。恐竜少女にする場合、若干ドーラとポジションが被る。困った。多分最後はダイスで決めます。ランダム!