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第22話 依頼引継ぎと森の異変

ちょくちょく感想にあるので補足をします。

<精霊術>などのスキルは、「持っているけど誰も覚えていない」という状態です。

皆いらないってさ。

 村に入った俺たちは、早速村長の家への向かうことにした。この村は農村のようで、家1軒につき畑が1個はついているといった感じだ。米、ないかね?


A:ありません。


 あ、そう…。


「すいません、依頼を引き継ぎに来ました」


 村長宅の前でそう切り出すと、すぐに扉が開く。


「おお、待っていましたぞ。ささ、中へ入ってくだされ」

「失礼します」


 そういって中に入る。もちろん、ユリーカもついてくる。席に着くと、村長が話を始めた。


「いやー、そちらの御嬢さんが、依頼失敗を宣言した時はどうなることかと思いましたよ」

「すいません…」


 ユリーカが申し訳なさそうに謝る。そういえばコイツ、依頼失敗して、その報告の前にポーション作ろうとしてたんだよな。報告が遅れるほど次の冒険者が不利になるのに…。


「まあ、ファングウルフを倒してくださる冒険者さんが見つかったようなので安心しました。皆さん、ファングウルフとの戦闘経験の方は?」

「何度も倒しています。2匹くらい、1人でも全く問題はありませんね」


 おっと、『ユリーカ以外』を付け忘れたか。


「それは頼もしい。討伐はいつ行いますか?本日中でしょうか?明日からというのなら、本日はこの家に泊まっていってください。この村には宿がありませんので」

「本日中に討伐してきます。なので、詳しい話をお聞きしてもいいですか?ユリーカの調査結果も合わせて」


 頷く村長とユリーカ。


「はい。まず、荒らされた畑はこの村の結界の外にある畑です」


 通常、街や村には魔物除けの結界石という魔法の道具マジックアイテムが置いてある。これは、その石を中心に円形に結界を張り、その中には魔物が近づけないというものだ。もちろんいくつか例外があり、従魔には完全に効かないし、知性の高い魔物や強い(レベルの高すぎる)魔物、暴走状態の魔物には効果が薄かったりする。はぐれドラゴンやスタンピードに村が襲われたりするのは、この例外のせいらしい。

 そして、ここは農村だ。裕福と言えないわりに面積が広い。なので一部の畑は結界の範囲外になってしまうらしい。もっと高くて効果範囲の広い結界石を買うお金もないらしいからな。

 とはいえ、範囲外と言っても完全に効果がないわけではなく、近づくと嫌な気持ちにはなるらしいので、普段は結界外の畑にも魔物は近寄ってこない。


「この辺には通常の野生動物はあまりいませんし、魔物は結界付近にはあまり近寄りません。荒らされた理由がわからないので冒険者さんに依頼をしました」

「で、私が張り込んだ結果、ファングウルフが犯人ってわかったの。とりえず戦いを挑んだんだけど、2匹目が出てきた段階で勝てそうにないから逃げることにしたの」


 ユリーカの弱さは分かっている。ゴブリン相手に死闘を繰り広げるらしいからな。


「ファングウルフがなぜ畑を荒らしたのかは分かったのですか?」


 俺の質問に、村長は困ったような顔をする。


「それなんですが、恐らくトルテの森に何か異常があったのではないかと考えております」

「トルテの森?」

「はい、この村から東にしばらく行くとある森です。この辺りでは、本来はそこにしかファングウルフがいないのです。加えて森には食料もあるので、わざわざ村の畑を狙う必要はないはずなのです」

「森に異常があって食料が取れないから、わざわざ結界付近の畑を狙ったということか…」

「恐らく…」


 とは言え、俺たちへの依頼は、畑を荒らした犯人であるファングウルフの討伐だ。あまり関係のないことで深く考えていてもしょうがないだろうな。


「今、ファングウルフの居場所は分かっているのですか?」


 マップを見ればわかることを聞く。


「はい。今は件の畑に居座っています。我々に追い出せる程の力がないと判断したようです」


 やっぱりか、村の中に敵の反応があるから、何事かと思ったよ。


「そうですか。では今から退治しますので、どなたか確認に来ていただけますか?」

「では、私が行きましょう」


 村長がそう言ってついてくることになった。


「わ、私も行くから!」


 ユリーカもついてくるようだ。いや、別にユリーカはいらないけど?

 俺たちは村はずれの畑へと向かった。


「さて、どうやって倒そうか」

「普通に近づいて、普通に切り捨てればいいと思います」


 マリアが冷静に答える。まあ、それでもいいんだけどね。


「いや、折角だからミオに倒させよう」

「え?なんで私?」


 まさか自分に話がくるとは思っていなかったミオが、驚いた声を上げる。


「<魔物調教>ポイント欲しくないのか?」

「あ!やる!私がやる!」


 ミオが倒した魔物のポイントの一部を、<魔物調教>スキルポイントに変換してミオに渡すという約束を思い出したようだ。


「乱戦の時はポイント計算が面倒だから無理だけど、こういったチャンスは与えてあげたいからな」

「ご主人様ありがとー!」


 喜んでくれて何よりです。


わたくしの活躍はまだですの?」

「う、ごめん。その内ちゃんと用意するから…」


 セラの活躍できる戦局って俺たちの冒険ではあまりない気がするんだよな。と言うか、他の誰でもできる状況しかないという感じか…。


「じゃあ離れた位置から矢で倒しましょ」


 ファングウルフが見えてきた。俺たちは20mくらい離れた茂みに隠れて様子を窺う。2匹はお食事中のようだ。


「じゃあ早速、えい!」


 そんな掛け声とともに矢を放つミオ。


「もういっちょ!」


 矢が当たる前から2射目をはなつ。

 1射目がファングウルフの頭部に当たる。そのまま倒れる1匹目。それに気づいた2匹目が食べかけの野菜から顔を上げた。その頭部に2射目が当たり、こちらも崩れ落ちる。

 ふむ、1射目の結果を予測して、そこに2射目を放ったのか。考えたな…。


「やるじゃないか」

「ふっふーん、ミオちゃんも日々進化しているのだ!」


 自信満々に(ない)胸を張るミオ。高いステータスに頼り切らず、プレイヤースキルも重視したいという方針が伝わっているようで何よりです。


「これは凄いですな。あっという間に倒してしまうとは…」

「うわー、こんな小さい子でも倒せるのに、私って…」


 驚いているな。まあ、ミオの見た目からはこの結果は想像できないだろうな。


「これで依頼達成ですね。ファングウルフの死体はどうしますか?討伐なので私たちが回収しますが、欲しければ安値でお売りしますよ」

「いえ、お持ちいただいて結構です。とりあえず、私の家に戻りましょう」


 そう促されたので、ファングウルフの死体をアイテムボックスの方に入れて村長について行く。

 再び村長宅。


「こちらが報酬と依頼達成の証書です。ありがとうございました」

「いえ、無事倒せてよかったですよ」

「それで…、なんですが、良ければもう1つ依頼を受けてもらえないでしょうか?」


 何だろうね?予測はできるんだけどさ。


「なんです?」

「トルテの森の異常を調査してほしいのです。ファングウルフが森から出てきた原因を突き止めてほしいのです。近くの森に異常があるとなると、この村も危険かもしれないですからな」


 確かにその調査は必要だろう。しかし…。


「なんで、それを俺たちに言うんです?普通に街まで行って依頼を出せばいいじゃないですか」

「それもそうなんですが、皆さんお強いようですし、事後報告として街まではいきますので、お願いできないでしょうか」

「依頼料と達成条件はどうするんです?」


 俺の言葉に村長が詰まる。


「それは、…その、実際に調査してからでないと何とも…」

「話になりませんね。依頼料も達成条件も決めずに、依頼を受けられるわけないじゃないですか」


 そもそも、ユリーカが受けた依頼だって不親切だった。調査と討伐が同じ依頼になっているのだ。通常は調査結果によって、討伐依頼のランクが決まるべきだろう。

 その点を考えると、調査依頼と言いながら達成には討伐が含まれる可能性だってある。不用意に依頼を受けるわけにはいかない。


 と言うか、なんでユリーカの受けた依頼は受理されたんだ?本来だったら冒険者ギルドの方で弾くべきじゃないのか?


A:Cランク以下の依頼の場合、ギルドの方では依頼内容とランクが合っているかしか確認しません。今回の場合は畑の被害だけで、被害の量も少ないから妥当だと判断されました。基本スタンスは『嫌なら依頼を受けなければいい』です。依頼は貼り出すけど、受けて貰えるかの保証はしません。


 身も蓋もないな。


「そんなこと言わずに、受けてあげなよ!あなた達強いんだから!」


 今まで黙っていたユリーカが、急にそんなことを言う。


「聞いていなかったのか?この依頼は依頼としての条件が不十分だ。こんなものを受けるわけにはいかない」

「でも、この村の人たちが困るかもしれないんだよ!冒険者なら、困っている人を助けないと!」


 ユリーカは冒険者というものを誤解しているようだな。変な正義感で動いている感じだ。


「その意見を間違っているとは言わないが、それはあくまでも依頼を受けた場合、そしてその依頼が正当性のある場合に限られるはずだ。冒険者は慈善事業ではないんだぞ。その辺を勘違いするなよ」

「でも、目の前で困っている人を助けるのは、人として当然のことだよ!」


 しつこいな。依頼を受けないとは言っていないじゃないか。本当は報酬や達成条件さえしっかりとしていれば、受けること自体には問題がないというのに…。村長も口を挟まない。この条件で受けて貰った方が村長的には得だろうからな。


「話をすり替えるな。冒険者が依頼として受けるか受けないかを論じているときに、人として云々を前に出して冒険者の理屈を誤魔化そうとするんじゃない」

「うっ、でも、だって、冒険者ってもっと格好いいもので…」


 ユリーカの言葉が弱くなってきた。正直うっとうしいな。もうこの依頼は受けなくていいや。あっ、今のうちにスキルコピーしておこう。<魔道具作成>と<逃走>1ポイント奪う。未返還ポイントを変換して、2ポイント返す。これで俺の手元には<魔道具作成>と<逃走>が1ポイント残った。

 ユリーカの<逃走>スキルはレベルアップギリギリだったようで、余分に返した1ポイントのおかげでレベルアップした。まあ、どうでもいいことだが…。


「少なくとも今のままで受けることはありません。今日は馬車の方に泊まるから、明日朝までに依頼票を作成すれば、街まで連れて行くくらいはしてもいいですよ」


 そういうと、俺たちは馬車へと戻った。村長宅に泊まるのは嫌だからな。というか、村長宅よりも馬車の方が快適かもしれないし…。


 ユリーカは村長宅の方に泊まるようで、馬車には戻ってこなかった。なので、こちらも気にせずに『人には言えない設備』を使いまくることにした。具体的には『ルーム』のキッチンと風呂と寝室だ。


 翌日、皆に出発の準備をしてもらい、俺1人で村長宅に声をかけに行く。


「もう帰りますけど、依頼票の準備はできましたか?」

「そ、それなんですが…」


 村長が挙動不審だ。まさか、この期に及んで依頼を受けさせようというのか?


「と言うか、ユリーカはどうした?」


 マップを見てみるとユリーカの姿がなかった。


「あのお嬢さんなら、『森の調査なら私がやる』と言って、今朝早くに森に向かってしまったのです」


 観念したように言う村長。なるほど、変に正義感が強そうだったからな。勝手に動いたというわけか。よかった。昨日のうちにスキル奪っておいて。もう無関係ってことでいいよな。

 薄情だって?勝手に動いた奴のフォローなんて関係ないだろ。仲間ってわけでもないんだし。


「で?依頼票は?」


 俺が依頼票を促すと、村長は意外そうな顔をした。


「助けに行かないんですか?」

「なんで?」

「仲間でしょう?」

「違いますよ。依頼を引き継いだ時に、説明をするってことでついてきただけです」


 どうやら、ユリーカが調査に行けば、俺たちも追いかけて行くと考えたようだ。もしかして、ユリーカのことを唆したりしたのかな。


「依頼票、作ってないんですか?」

「…ええ、彼女の調査を待ってからでいいと思いまして…」


 まあ、そうだろうな。村長の昨日のいい方からして、この時点では依頼票なんて作っていないだろうな。


「わかりました。じゃあ、俺たちはこのまま帰りますね」


 そういって踵を返す。


「ちょ、ちょっと待ってください!依頼票を作るのを待ってくださるのでは!?」

「それは朝までに完成していた場合だけです。ユリーカの調査結果を待つつもりも、今から依頼票を作るのを待つつもりもありません」

「そんな…」


 何も伝えずに勝手なことをして、その尻拭いをするつもりはありませんからね。さっさと街に戻って、次の街に行く準備でもしましょうかね…。

 村長宅を出て、馬車に戻ることにした。


「あれ?ユリーカちゃんと村の人は?」

「ユリーカは勝手に森に調査に行ったみたいだ。依頼票はその結果次第だとさ。だから俺たちはさっさと帰るぞ」

「そうですわね。わざわざ待っている必要もないですわね」

「じゃあ、街に戻ろうか」

「「「「はい」」」」

《はーい》


 御者をセラとマリアに任せて村の外に向かう。ユリーカがいないので、『ルーム』が自由に使える。

 村のエリアを出たので、マップを確認してみる。確かに付近にはトルテの森というエリアがあるな。村、道、森と2エリア離れたから、ユリーカの位置がわからなかったのか…。森の中を確認すると、ユリーカが確かにいた。


 どうでもいい話をしよう。俺のマップの機能の話だ。俺のマップ上では人の位置がわかるようになっており、俺との関係性によって色分けされている。

 俺の配下は青で表示される。正確には俺に友好的な人間は青で表示されるのだが、この条件はなかなか厳しくしており、配下以外では親友とか恋人クラスにならないと青にはならない。多分アイツは青にはならないだろうなー。

 敵対勢力は赤で表示される。こちらは程度を問わず、少しでも悪意、敵意があれば赤となるようにしている。

 無関係、無関心の場合は緑だ。大多数はこの勢力に分類される。実はこの分け方は最近設定できることに気が付いて、某手強いシミュレーションをパク…、リスペクトさせていただいた。そして、死体は灰色で表示される。枠には元々の勢力カラーも残っているので味方の死体、敵の死体などの判断もつくようになっている。


 今、緑色だったユリーカの表示が、緑枠の灰色に変化した。


「あ、ユリーカ死んだ」

「え、あ、本当だ」

《このはいいろがユリーカなのー?》

「そうですよ。死んじゃったみたいですね。仁様の話も聞かずに行動したのですから、ある意味当然の結果です」

「マリアちゃん、結構辛辣ですね」

「でも、最初に自己責任という話はしていましたわ。わたくしたちが関与する話ではありませんわね」


 割とみんな冷静だ。ドーラは分かっていないから除外しても、さくら以外のこの世界で生まれた(ミオも含む)人間にとって、命は軽いものとして扱われてしまうのだろう。もっと言えば、皆奴隷として死にかけていたから、死が身近なものになってしまったのかもしれない。


「で、ご主人様はどうするの?」

「どうするつもりもないな。昨日のうちにレアなスキルは回収したし、他の奴が殺した場合、スキルを奪うことはできないからな」


 ふと気になったので、ユリーカにとどめを刺した魔物を検索した。


マンイーター(異常種)

LV40

<毒攻撃LV5><酸攻撃LV5><触手LV5><HP自動回復LV3>

備考:人間を含めた動物、魔物を捕食する植物。


「マリア、セラ、トルテの森に向かってくれ」

「わかりました」

「え、ちょ、何?何ですの?」


 俺のあまりの変わり身の早さにセラが狼狽える。マリアはすぐに指示に従った。


「どうしたの急に?いきなり森に向かうなんて」

「ああ、ちょっとユリーカを倒した魔物に用があってな…」


 ミオもマップを確認する。


「マンイーター?異常種?なんか面白そうなことになってるわね」


 異常種自体にも興味はあるが、問題はそこではない。


「異常種は置いておく。それよりも名前だ。ちょっと嫌な奴を思い出させるんだよ」

「マンイーターで思い出す知り合いって何者よ…」

「すまんが、アイツのことは語りたくない。とにかく俺の中の何かが、絶対にマンイーターを倒せと叫んでいる。ユリーカのことは関係なく、私怨で倒させてもらう」


 まさかアイツが関係してるとも思えないが、少しでも可能性がある以上、絶対に潰しておかなけばならない。


Q:異常種って何?

A:ごく低確率で発生する魔物の突然変異体です。同型の通常の魔物より、遥かに強かったり、特殊なスキルを保持していたりします。


 馬車を走らせ10分ほどでトルテの森に到着した。馬車は入り口で待機、当然タモさんが護衛だ。


「正直、さっさと倒したいからステータスをかなり高めで渡すぞ」

「珍しいですね。仁君がここまでするの」

「どんだけ、マンイーター嫌いなのよ…」


 嫌いなのはマンイーターじゃないんだけどね。


「道中の魔物は移動しつつ殲滅するから、マリアとセラが前衛だ。打ち漏らしを俺とドーラが倒す。ミオとさくらは悪いけどついてくるだけだ」

「やっとわたくしの出番が来たようですわね!」

「仁様のお手を煩わせるわけにはいきません。私とセラちゃんだけで殲滅します」


 前衛2人はやる気満々のようだ。


《ごしゅじんさまといっしょー》


 ドーラは相変わらず可愛い。でも基本戦術がタンクだから、殲滅戦には向かない。


「移動しながらの攻撃は厳しいですね。後ろで大人しくしています」

「<魔物調教>ポイントがー」


 さくらは向き不向きを判断して大人しくするようだ。ミオ、混戦の時は計算に入れないって言ったよな?


 森に入った。トルテの森はゴブリンの森と違い、南国風の森だった。あちこちにカラフルな木の実や、キノコが生えている。カラフルなキノコの鑑定?嫌だな、毒だとわかっているものに鑑定するなんて時間の無駄じゃないか。


 ちなみに森の中にいる魔物は、すべて植物系の魔物だ。恐らく、マンイーターの異常種が発生し、森の中の力関係が変化し、植物系魔物優性の空間となってしまったのだろう。もしかしたら、元々の森の姿とはかけ離れているかもしれないな。ファングウルフが森の外に出てきたのもそれが原因ということだろうな。

 図らずとも森の異変の調査を達成してしまったが、報告するつもりはない。この森に来た理由の説明とかが面倒だからだ。それに依頼料が払われる気がしないからな。


 先ほど決めたフォーメーションで森を進んでいく。やはり、マリアとセラの殲滅力はすさまじく、ほとんど足を止めることなく進んでいる。マリアは急所を一突き、セラは一刀両断で魔物たちを次々と倒す。


 倒した魔物は後続の俺たちが<無限収納インベントリ>に格納する。速度重視とは言え、魔物の死骸を放置しておくのは勿体無いからね。幸い近づくだけで収納することはできるから、それほど時間ロスにはなっていない。


 一応、この森にいた魔物を列挙しておくかな。


茶マッシュー

LV8

<混乱攻撃LV3><混乱耐性LV3><胞子LV3>

備考:カサが茶色のキノコ。


緑マッシュー

LV8

<麻痺攻撃LV3><麻痺耐性LV3><胞子LV3>

備考:カサが緑色のキノコ。


紫マッシュー

LV8

<毒攻撃LV3><毒耐性LV3><胞子LV3>

備考:カサが紫色のキノコ。


虹マッシュー(レア)

LV15

<混乱攻撃LV3><麻痺攻撃LV3><毒攻撃LV3><状態異常耐性LV3><胞子LV5>

備考:カサが虹色のキノコ。


トレント

LV10

<擬態LV2>

備考:木に擬態する魔物。


凍虫火草

LV8

<火属性耐性LV2><氷属性耐性LV2><寄生LV4>

備考:虫に寄生する。寄生された魔物にも耐性は引き継がれる。


バースト・アップル

LV5

<自爆LV3><根性LV1>

備考:爆発するリンゴ。なぜ爆発するかは不明。


バースト・パイン

LV5

<自爆LV3><根性LV1>

備考:爆発するパイナップル。なぜ爆発するかは不明。


 初の耐性系スキルが手に入った。属性耐性と状態異常耐性はゲームとかではメジャーだし、あるのは分かっていたけど、今までなかなかご縁がなかったからな。特に虹マッシューの<状態異常耐性>は全ての状態異常に対して、一定確率でレジストするらしい。早速みんなに配っておいた。トレントの擬態はスライムの擬態とは意味合いが違うが、スキルとしては同じみたいなので、後でタモさんにあげようと思う。

 バーストとついている魔物は敵が接近すると自爆してくる。若干のタイムラグがあるので、その間に倒すのがミソだ。ちなみに自爆しても<根性>スキルでHPが1残るらしい。キャラが立っていると思う。なぜ、爆発するのかはヘルプ先生にもわからなかった。<自爆>スキルがあるから、としか言えないようだ。


 あっという間にマンイーターの近くまで来てしまったが、異常種がいるせいかやたら魔物の数が多かったな。よくユリーカここまでこれたよ。<逃走>スキルってそんなにすごいのかね。

ユリーカちゃんはここで退場です。本当は正義感うぜーキャラなんですけど、ちょっと表現する機会がありませんでした。そのせいで、無理やり退場させた感が高くなってしまいました。その辺の話は失伝行きかな…。


20151122改稿:

修正(9)対応

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マグコミ様にてコミカライズ連載中
コミカライズ
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ゲーム脳のミオが精霊術や精霊魔法を欲しがらないのは流石に不自然では?死蔵が決定してる狂戦士化は書いてあるのに精霊術が書いてないのも不自然。
[良い点] 読み返しには新しい発見がある (一周目に気付けなかった部分) [気になる点] 身の程を知る代償が自らの命とは バカは死ななきゃ治らないの典型か さんざん忠告しても向かったのは自己責任ですね…
[良い点] こういう正義感うぜーキャラをすぐに見捨ててくれるところが本当に大好き [一言] 一番好きな作品です
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