第17.5話 道中
短編2話同時更新の1話目です。
ブックマーク2万件突破の感謝でもあります(なくても出しましたけど)。
テーマは今後の予定です。17.5話なのでどうしてもここに入れたくて2話同時掲載になりました。
ケース①:さくらの場合
「ちょっとさくらに聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「何でしょうか?」
「さくらは元の世界に帰りたいか?」
以前から気になっていたことを聞くことにした。さくらの過去を断片ながら推測したが、決して幸せとは言えない環境だっただろう。そんな世界に戻りたいのか聞いておきたかった。
さくらは俺の言いたいことに気が付いて、しばらく考えてから答えた。
「正直言うと、今はほとんど帰りたいという気持ちがありません」
「理由を聞いてもいいか?」
「はい、この世界に呼ばれた当初は生きるか死ぬかわからない状況でしたから、帰りたいと願いました。ですけど、仁君と行動を共にしている内に考えが変わってきました」
思った通り、あまり帰りたいとは願っていないようだ。
「冷静になって元の世界とこの世界を比較してみたら、いつ死ぬかわからないという意味では大差がないことに気が付きました」
「いや、こちらの方が死にやすいだろう…」
「そうでしょうか?向うの世界では非力な女子高生ですけど、こちらの世界では魔物を殴り倒せるくらいの戦闘力があり、自分の身を自分で守ることができます。向こうのような漠然とした悪意に比べれば、こちらの悪意の方がわかりやすくていいです」
さくらの言いたいことがわかってきた。暴力には暴力で対抗すればいい。でも、元の世界のような悪意に対抗するのは難しいからな。
「じゃあ、交友関係で帰りたいと願うような相手はいないのか?」
「そちらもありませんね。友人なんていませんでしたし、尊敬できるような教師もいません。両親?その話はやめてくれませんか?」
…思ってた以上に闇は深いのかもしれないな。
「こちらの世界には仁君がいます。ドーラちゃんやミオちゃん、マリアちゃんともそれなりに仲良くなれました。ほら、こちらの世界の方がいいじゃないですか」
仲のいい人間の数を比べたら、こちらの世界の方が勝ってしまったようだ。
「私の答えは以上ですけど、仁君の方はどうなのですか?仁君が元の世界に帰られるというのでしたら、私もついて行きます。元の世界でも、仁君がいるのでしたら我慢して生きていけますから…」
「俺か…、実は俺もそれほど帰りたいという気持ちがないんだよな。俺1人がこちらの世界に来たとしたら、何としても帰ろうとしただろうけど、こちらに来たのが学校ごとだからな…」
「どういうことですか?」
「…それについては機会があったらと言うことで…」
「…?、はあ…」
「それと両親も気にする必要はないな。だから俺もどうしても帰りたいという気持ちはない。でも、『帰れない』と『帰らない』は違うからな。絶対的な優先度ではないけど、帰る方法は探していくつもりだ」
「わかりました。とりあえず私は仁君について行くということだけは覚えておいてください」
「ああ」
ケース②:ミオの場合
「そういえばミオはもし俺たちが元の世界に帰るって言ったらどうするんだ?」
「え?そりゃあついて行くわよ」
少し意外だ。結構この世界を楽しんでいると思ったのだが。
「この世界はこの世界で楽しいけれど、元の世界の方も好きだからね。幸い日本人と言い張れるような見た目だし」
「この世界に思い入れはなさそうだな」
「そうね。故郷がアレだし、ご主人様について行く方がいいと思うわ。とは言え、前世の家族には会えないだろうから、ご主人様が養ってね?」
「金は何とかするから家のことは任せるぞ」
「もっちろん!私の本気を見せてあげるわ!」
そうだ。少し言い忘れていたことがあった。
「あ、前世の家族とか、戸籍とかの話は俺の方で何とかするから安心しろよ」
「え、ご主人様、そんなことできるの?」
「まあ、いくつか伝手があるから…」
ケース③:マリアの場合
「マリアは俺たちが元の世界に帰るって言ったらどうするんだ?」
「ついて行きます」
ある意味予想通りの答えだ。
「でも向こうには獣人はいないから、生きにくいとは思うぞ」
「でしたら耳と尻尾をお切りしましょう」
「そこまでしなくても…」
相変わらず重いです。
「もしついてくるなと言うのであれば、ついて行きません」
「いいのか?」
「仁様の御心が優先ですから。ですがその場合、お情けをいただけないでしょうか」
お情けってあれだよな。
「仁様との間にできた子供を、代わりに生きがいにさせていただきますので…」
「か、考えておこう…」
それしか言えないよね。
ケース④:ドーラの場合
「ドーラは連れていきます。以上」
《なんのはなしー?》
「ドーラが可愛いって話だよ」
《えへへー》
「で、なんでそんなことを聞いて回っていたんですか?」
さくらが質問してきた。
「ああ、今後の方針について考えていたんだよ」
「今後の話ですか?仁様は元の世界にお帰りになられるのでしょうか?」
マリアが少し不安そうに言う。
「わからない。でも、それを最優先の目標にする予定はない」
「どうゆうこと?この世界が嫌いだから。さっさと帰ろうっていうんじゃないの?」
ミオからはそう見えていた部分があるのだろう。
「いや、別にこの世界自体は嫌いじゃないぞ。と言うか嫌うほど情報が集まっていないというべきか」
まだ判断がついていないんだよな。
「この国が嫌いなのは間違いないけど、この世界もそうかと言われるとわからない。できればその辺の判断をするためにも、この国を出た後は観光気分であちこち見て回ろうと思っている」
「ふむふむ、それで帰ることが最優先目標ではないっていうのは?」
「俺もさくらもそこまで帰りたい理由がないことがわかったんだ。さくらが帰りたいなら、全力で方法を見つけようとも思っていたけど、そうでもないみたいだしな」
さくらの方を見る。さくらも頷きながら話を引き継ぐ。
「私は向こうでイジメられていました。こっちの世界では仁君もいるし、力もあるから、向こうより酷いことにはなりません。だったらこっちの方がマシです」
「俺もいろいろあってこっちにいても問題ないからな。帰ることに必死になる理由はないんだ。念のため帰る方法は探すが、最優先にするつもりはない。もっと言えば観光の結果次第と言うところか…」
観光し、この世界があまりにも救いようがなく愚かだった場合、無理をしてでも向こうの世界に帰ることが必要となるだろう。
「では、観光というのはこの世界に残るかどうかの判断をつけるためと言うことですね?」
「そうだ。帰る場合のみんなの気持ち自体はさっき聞いたからな。それに沿うようにしてやる予定だ」
《なんのはなしー?》
ドーラは問答無用で連れていくので関係ないね。
「ドーラは俺が遠い所に行くって言ったらついてくるよな?」
《うん!とうぜんだよー》
ほら、やっぱり関係ない。
「後、俺の異能をうまく使って、どんな相手が敵にまわってもいいようにするつもりだ」
「さらっと言ったけど、それ、最強宣言よね…」
「一応、そこを目指している」
どんな相手が敵になっても負けない。大切なものをあらゆる脅威から守る。それが目標になった場合、行きつく先は最強だよな。
「なので、優先順位は観光、戦力増強、帰る方法を探す、の順番になる」
「わかりました。私は仁君について行くので、行先についてはお任せします。正直、この国でなければどこでも…」
「私もこの国を出たことはないから、観光って言われたら、楽しみなのは確かよね」
「仁様が行く場所でしたら、どんなところでもついて行きます」
《おいしいものがいっぱいあるばしょにいきたいー》
とりあえず、今後の目標は定まった。後はさっさと国境を越えるだけだな。
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進堂仁
LV31
スキル:
武術系
<剣術LV7><槍術LV5><棒術LV6><盾術LV2 new><弓術LV3 down><格闘術LV6><暗殺術LV2><斧術LV5>
魔法系
<火魔法LV2><水魔法LV2><風魔法LV2><土魔法LV2><雷魔法LV2><氷魔法LV2><闇魔法LV3><回復魔法LV2><呪術LV1><憑依術LV1><奴隷術LV2 new><空間魔法LV2 new><無詠唱LV2 new><固有魔法>「リバイブ」
技能系
<魔物調教LV5><調剤LV3 up><鍵開けLV3><泥棒LV4><恐喝LV4><統率LV4><鼓舞LV4><拷問LV2>
身体系
<身体強化LV10><縮地法LV5 new><HP自動回復LV5 new><MP自動回復LV2 new><跳躍LV4><気配察知LV5 new><夜目LV3><覇気LV1 new><闘気LV5 new><狂戦士化LV1><索敵LV6>
異能:<生殺与奪LV4 up><千里眼LV><無限収納LV-><契約の絆LV-><???><???><???>
装備:霊刀・未完
木ノ下さくら
LV21
スキル:
武術系
<棒術LV7><格闘術LV2>
魔法系
<火魔法LV3><水魔法LV2><風魔法LV2><土魔法LV2><雷魔法LV3><氷魔法LV2><闇魔法LV5><空間魔法LV2 new><無詠唱LV2 new>
身体系
<身体強化LV7><MP自動回復LV2 new><跳躍LV3>
異能:<魔法創造>
装備:マジックロッド
ドーラ
LV19
スキル:
武術系
<棒術LV5><盾術LV3>
魔法系
<竜魔法LV3>
身体系
<身体強化LV9><HP自動回復LV2 new><飛行LV7 up><突進LV5><咆哮LV5><噛みつきLV8 up><跳躍LV3>
装備:僧兵のバトルスタッフ、鋼の楯
ミオ
LV14
スキル:
武術系
<弓術LV8 up><格闘術LV2>
技能系
<魔物調教LV1><鍵開けLV1><料理LV5><家事LV4>
身体系
<身体強化LV8>
装備:フェアリーショートボウ
マリア
LV21
スキル:
武術系
<剣術LV7><投擲術LV1><格闘術LV3><斧術LV1>
魔法系
<火魔法LV3><水魔法LV3><光魔法LV5><回復魔法LV3><生活魔法LV1>
技能系
<魔物調教LV1><調剤LV2><料理LV1><家事LV1><伐採LV1><狩猟LV2><裁縫LV2><採掘LV1><鑑定LV3><鍛冶LV2><乗馬術LV3 new><作法LV5 new><執事LV6 new>
身体系
<身体強化LV10><縮地法LV5 new><HP自動回復LV6 up><MP自動回復LV4 down><跳躍LV4><覇気LV5><闘気LV5 new><索敵LV5 up><心眼LV4><覚醒LV2><強靭LV2><不動LV2>
その他
<勇者LV5>
装備:ワンハンドアイアンソード
ここから下のスキルは各人に1ポイントずつ与えているもの。LV2以上だった場合、LV1だが占有している場合は個別で記載。
武術系
<剣術><槍術><棒術><盾術><弓術><投擲術><暗器術><格闘術><斧術><騎乗戦闘>
魔法系
<火魔法><水魔法><風魔法><土魔法><雷魔法><氷魔法><光魔法><闇魔法><回復魔法><生活魔法>
技能系
<調剤>
身体系
<HP自動回復><MP自動回復><気配察知><夜目><索敵><心眼><覚醒><強靭><不動>
その他
<幸運>
主人公が思わせぶりなことを言っていますが、設定はあるけど話にまで昇華されてない内容なので機会があればと言うことで…。
20150912改稿:
修正(6)の内容を反映。