第14話 戦闘準備と奴隷達の初戦闘
毎週日曜は更新しますけど、それ以外にも余力があれば更新します。
あと先日、HDDが壊れました。運よく数日前にバックアップを取っていたのですが、およそ2話分が時空の狭間に消え去りました。
さらば、22話、23話。
次は武器屋に向かった。ドーラの装備を整えた武器屋だ。店主が選んだ武器には間違いがなかったからな、こんな国になければ常連になっていたかもしれないほどのいい店だ。
「いらっしゃい。…ああ、この間の兄ちゃんか。どうだ、武器の調子は?」
「いいですよ。使いやすいよな?」
《うん!》
ドーラも頷く。店主のおっちゃんは、この国では貴重な普通に挨拶できる相手だ。
「今日は新しいメンバーに武器を用意しようと思いまして」
「ふむ、どんな奴だ…。…まさかそっちの娘2人か?」
「ええ。背の高い方の子には片手剣、低い方の子には弓をお願いします」
呆れたような顔をする店主。幼女と少女しか武器を買わせてないもんね。
「この間いなかったってことは、この街で奴隷でも買ったのか?」
「はい。俺たちの旅に同行させるので、とりあえずは武器を与えようと思いまして…」
まあ、盗賊のとこにあった武器もあるんだけど、この店のおっちゃんに任せた方が安心できるし。
「兄ちゃんがどんな理由でそんな小さい子供を買ったのかは知らないが、普通はそんな子供に戦闘はさせないぞ?」
「ええ、でも戦える力はありますよ」
「本当に謎だよな、兄ちゃん…」
説明なしじゃあそうなるか。
「まあいい。片手剣と弓だな。えーっと…。これとこれでどうだ?」
ワンハンドアイアンソード
分類:片手剣
レア度:一般級
フェアリーショートボウ
分類:短弓
レア度:一般級
備考:妖精の加護による命中補正
「手になじむ感じがします」
「持ちやすーい。あ、弦も引きやすいわ」
2人も好感触のようだ。買わない理由はないな。
「わかりました。買います。後、適当に軽装の防具を見繕ってもらえませんか?」
「即決かよ。防具だな、ちょっと待ってろ」
そういうと俺たちの体を簡単に採寸し、体形に合った防具を用意してくれた。
「ありがとうございます。丁度いいからさくらの武器も新調しよう」
「その子の武器は何だ?」
「杖ですね。魔法メインで一応殴れる感じの杖ってあります?」
「じゃあ、これだな」
マジックロッド
分類:杖
レア度:一般級
備考:魔力が少し上がる。
「それも買います。後は…」
店内を見て回り、いくつかめぼしい武器を持ってくる。
「これも合わせて会計をお願いします」
「結構な量だな…。お前さん見かけによらず金持ちだな…。えっと、全部で28万ゴールドと…細かいのは負けてやる。28万ゴールドだ」
「はい、30万ゴールドです。お釣りはいりません」
「…」
おまけしようとしたら多めに払われたので、店主が苦い顔をしている。すいません。この国での自分ルールなんで…。これで盗賊退治の報奨金は大分なくなったけど、まだ2000万ゴールドがあるから平気だ。
「はあ、わかったよ。受け取っとく。これはサービスだ。5000ゴールドくらいする砥石だ。武器の手入れにでも使え」
そう言って砥石を渡す店主。うん、これくらいなら貰っておこう。
「ありがとうございます。ではこれで…」
「おう、武器持ったからって油断すんじゃねえぞ。人間なんて簡単に死んじまうんだからな」
店主にお礼をして店から出る。この店だけは評価できるな。もうこの国に来る気はないが、この店だけは惜しく感じてしまう。
「いい武器屋だったわね」
「ああ、この国唯一の気に入った店だ。武器も準備したし、街の外で戦闘開始だ」
「「はい」」
街の外に出てしばらく移動する。当たり前だが街周辺にはほとんど魔物はいない。10分ほど移動すると魔物がちらほら見え始めた。まあ、マップを使って魔物のいる方向に歩いただけなんだけど。
向こうに見えるのは何度か倒している魔物だけだ。手こずることもないだろう。
「ご主人様!魔物がいるわよ!弓で撃ってもいい?」
スキルと武器を得たミオが弓を撃ちたそうにしている。先制攻撃は弓使いと魔法使いの仕事だ。初戦闘だしミオに任せてみよう。
ゴブリン・ソードマン×2
ゴブリン・ナイト
「いいぞ、3匹いるから2匹までなら倒してOKだ。2匹以上残ったら1匹は俺が倒すから、最後の1匹をマリアが倒すんだ」
「「はい」」
まずは個人で戦いに慣れさせて、その後で連携の練習をするつもりだ。
「えいっ!」
ミオの弓は無事、ゴブリン・ソードマンに当たる。一撃で倒せたようだ。スキル補正ってすごいな。ちょっと前まで戦ったこともない奴隷幼女(見た目)が、一撃でゴブリン上位種を倒せるようになるとは。
「もういっちょ!」
掛け声とともに2発目を射る。こちらも的中し絶命させる。20m以上離れているが、この距離でもスキル強奪は有効なようだ。
「1匹残したわよ。マリアちゃん、頑張って!」
「はい、行きます!」
駆け出すマリア。最後に残ったゴブリン・ナイトに切りかかる。ゴブリン・ナイトは粗末ではあるが鎧を着ている。マリアは剣を鎧で守られていない顔面に当てようとする。しかし、ナイトの槍に阻まれてしまった。1度距離を取り、再度顔を狙う。同じように防御するナイトだが、顔面狙いはフェイクで、鎧のない足を切り付ける。
「ぐぎい!」
叫び、片膝をつくナイト。顔を守る槍が下がったので、のどに一撃を入れ絶命させる。
「やりました!」
凄くいい笑顔で戻ってくるマリア。うん、いきなりの魔物との接近戦。しかも魔物にトラウマがあるはずなのにこの圧勝。あ、実戦経験を積ませるためにステータスをあまり高くはしていないよ。
勇者の称号は伊達ではないということか、すさまじい戦闘センスだ。
「よくやった。もう何回か同じように戦闘し、その後は連携の練習を開始するぞ」
「「はい」」
その後も数回同じように戦闘をしたが、言うまでもなく同じような結果となった。十分だと判断した俺は連携を練習することにした。
「じゃあ、連携の練習だ。向こうに魔物の集団がいるので、それを殲滅する。前衛は俺、ドーラ、マリアだ。後衛はさくらとミオだ。まず遠距離から後衛の魔法と弓で先制攻撃をする」
「ステータスを全力で使えば、それだけで殲滅できませんか?」
さくらが質問してくる。
「雑魚ならそれだけで十分だが、それだと練習にならないからな。今回はステータスの上限を決めておこう」
「そうですね。私たちにはまだまだ戦闘経験が足りませんからね」
「ああ、できれば個人戦闘の訓練も並行しておきたいな。パーティが分断されただけで戦えなくなるとか情けないからな」
理想は個人でも戦え、パーティになると相乗効果で強くなる、というものだ。
「遠距離攻撃で前線の数を減らしたら、ドーラが盾を持って最前列に出る。そのまま竜魔法による範囲攻撃。盾で敵の攻撃を受けつつバトルスタッフで応戦。俺とマリアが周囲の敵を殲滅する」
「はい、お任せください!」
《うつよー、まもるよー、なぐるよー》
2人も理解してくれたようだ。多分。
「これを基本パターンとして、後は念話で随時指示を出す。俺も周りは気にするが、できれば後衛は戦局全体を見て、それを伝えるようにしてくれ」
「「はい」」
さくらとミオが返事をする。
「ミオは接近されると厳しいだろうから。いざというときは<無限収納>内の魔法を使ってくれ」
「いいの?私が使っちゃって?」
「ああ、念のためミオ専用の魔法ストックを作っておいた。緊急用だから気を付けてくれよな?」
「ありがとー。私専用かー。えへへー」
余裕があるときにストックを増やして、いずれ全員分用意するつもりなんだけど…。今は言わなくていいな。
連携を踏まえた戦闘を開始する。最初に戦ったのはいつものお約束、ゴブリンの群れだ。しかし、こちらの戦力が上がった今、10匹程度のゴブリンの群れでは相手にならずほとんど瞬殺と言っていい状態だった。
ゴブリン・ソードマン×4
ゴブリン・ナイト×4
ゴブリン・アーチャー×3
「これじゃあ練習にならないから、皆のステータスとスキルを少し落とすぞ」
「そうですね。凄く弱く感じました。一撃で倒れていく相手ばかりでしたし」
「遠距離攻撃もそうよね。今のところ1発撃つごとに1匹は倒しているもの。本来はそこまでは期待できず、とどめは運が良ければって話だと思うのよね」
皆も練習になっていないと感じたようなので、能力値を落として再戦する。今度は狼の群れだ。
ファングウルフ×8
シルバーウルフ×3
LV5
<身体強化LV2><咆哮LV2><噛みつきLV1>
ブラックウルフ×2
ビッグブラックウルフ
LV11
<身体強化LV3><咆哮LV3><統率LV1><噛みつきLV2>
備考:大型のブラックウルフ。狼系統ではかなり強い。
群れのリーダーっぽい個体もいるので多少は手ごわそうだ。
戦闘を開始した。威力を落とした魔法と矢が前列にいるファングウルフ数匹に襲い掛かる。矢は急所に当たり絶命させたが、魔法はとどめまではいかないようだ。傷をつけるだけに留まった。こちらの先制攻撃に対し、リーダーが咆哮を上げ、群れ全体が俺たちを敵と認識したようだ。
「ドーラ!前へ!」
《はーい》
俺の指示に従いドーラが前へ出て、<竜魔法>のブレスを放つ。数匹のウルフを倒し、同じくらいの相手に傷を負わせた。そこからは盾をメインにして、攻撃を防ぐ係となっている。
「マリア!行くぞ!」
「はい!仰せのままに!」
ちょっと違う気がしないでもないマリアの掛け声とともに俺たちも飛び出す。マリアは個人戦が終わる前には短剣を渡し、二刀流を試させたら、思った通りすぐにコツをつかんだので、そのまま二刀流で戦わせている。俺は片手剣1本のままだ。
「せい!」
マリアが一撃でブラックウルフを仕留めていた。いや、俺も一撃で仕留めているんだけど、マリアとは若干意味が違う。ステータス的には若干俺の方が高いくらいで、マリアとほとんど変わらないのだが、俺がウルフをぶった切るのに対し、マリアは最小限の動きで急所に攻撃を与えてクリティカルで倒しているようだ。集団戦で簡単に狙えることではないんだけど…。
混戦になり、俺が少々の傷を負ってしまう。すると…。
「「「ヒール」」」
さくら、マリア、ミオから同時にヒールが飛んできた。うん、無駄だ。ドーラはその瞬間を見逃していたようで何もしてこなかった。
《回復役は回復する前に一言入れろ!ダブりはMPの無駄になるぞ》
ちなみに混戦になっているが、マリアはダメージを受けていない。それどころかさっき俺にヒールをかけていた気がする。
ほどなく戦闘が終了した。リーダーのビッグブラックウルフはマリアが瞬殺していた。現在のステータスから見たら、強力そうな敵なんだけどね。
「ステータスをここまで落としても勝つこと自体は難しくなかったな。連携の練習にもなった。しかし、回復魔法の同時打ちだけは良くなかったな」
俺が戦闘への感想を言うと、回復魔法を使ってしまった3人がしょぼんとする。
「申し訳ありません。前線での戦闘中に回復魔法の使用はよくなかったですよね。後衛に回復魔法を任せてもよいところなのに、体が勝手に動いてました…」
マリアが申し訳なさそうに言う。
「私もです。仁君が傷ついたのを見て次の瞬間には回復魔法を唱えていました」
「私もよ。まさかここまでご主人様にぞっこんだとは思わなかったわ」
ぞっこんっていまどき使わねえな…。
「さっきも言ったが一声かけてくれ。もしくは各人に回復の主担当を決めるかだな。もしそうするなら、申し訳ないが前衛3人の中で1番被弾する可能性があるのは俺だから、俺1人の担当とマリアとドーラの担当で1人ずつだな。状況によって難しい場合は、声をかけてからその辺の変更をするんだ」
「じゃあ私が仁君の担当をします」
「となると私が2人の担当ね。わかったわ」
分担が決まったようだ。一応全員回復魔法が使えるからな。多すぎて逆に競合してしまうとは思わなかった。
「前衛も状況によっては少し下がって回復を使うのはありだからな」
「はい、今回のは良くなかったですが、手数の多さは武器になると思います」
戦闘後の反省会を終え、何度か戦闘を繰り返す。大きなダメージを負うこともなく、戦闘を終えることが出来た。
しばらく魔物を倒していたら、この辺の魔物は狩りつくしてしまったようだ。マップ上でもほとんど反応がない。そういえば、魔物ってどこから来るのだろう。ヘルプ先生に聞いてみる。
Q:魔物はどこから来るの?
A:繁殖、もしくは瘴気溜まりなど、魔力の濃度が濃い場所からの自然発生で生まれます。前者は遺伝などの影響を受けます。繁殖・自然発生のどちらかでしか生まれない魔物も数多くいます。
なるほど、狩りつくしても次の日にはいる理由の1つがそれか。もうしばらく進めば小さな森がある。そこでも狩りを続けよう。
「少し歩くと森がある、そこで続きをしよう」
「「「はい」」」
森に入ると結構木々が生い茂っていた。上を見ても空がはっきりとは見えない。
「森は見通しが悪いから、奇襲に十分注意して戦うんだ」
「わかりました。獣人は感覚が鋭いので、索敵ならお任せください」
耳がピコピコ動いている、可愛い。これが索敵中の動きなのだろうか。もしそうなら、ずっと索敵していてもらいたいものだ。
「マリアは元気がいいな。そんなに戦うのが楽しいのか?」
まさか、戦闘狂だったのか。勇者なのに…。
「違いますよ。ただ仁様の役に立てると考えると嬉しくって」
戦闘狂ではありません。盲信者でした。マリアの忠誠は相変わらずだな。その様子をニヤニヤ笑いながら見ていたミオが急にはっとした顔をする。
「あれ?ご主人様はマップで索敵できるんじゃなかったっけ?」
「あっ!そういえばそうでした…私の索敵なんていらないんですね…」
目に見えてしょんぼりとするマリア。だからミオは余計なことを言うなと…。
「そんなことないぞ。俺も常にマップを見ているわけではないからな。他に索敵できる仲間がいるのは心強いぞ」
しっかりとフォローをしておかないと。
「ミオも弓を使うなら索敵能力は鍛えておけよ」
「げっ、とばっちりが来た!」
索敵能力は仲間任せのつもりだったミオが、気まずそうな顔をしている。いや、今のは自業自得だろうに。
《さくてきなら私もできるよー》
そりゃドラゴンだし、出来てもおかしくはないが…。
「索敵の意味わかっているか?」
《うん。敵をサクサクたおすのー》
全く違いました。
「違いますよ、索敵っていうのはですね…」
さくらが索敵についてドーラに教える。さくらさんマジお姉さん。
「それにいつでも行動を共にするとは限らないからな。索敵できる奴が多くて困ることはない」
「それは仁様抜きで狩りに行くことがあるかもしれないということですか?」
戦力に余裕ができたら、そういったことも考えている。俺の異能の特性を考えるに、分散して戦った方が効率がいいからだ。
「ああ、その可能性は十分にある」
「わかりました。…私が強くなるということはそれに伴って仁様も強くなるということ。私が強くなるのは仁様のためになる…」
理解が早くて助かるよ。でも後半、だんだんと目がマジになっていくのは少し怖いから。
「そうと決まれば狩って狩って狩りまくりましょう!ミオちゃん、弓の準備を。ドーラちゃん、向こうから敵が来ます。盾を構えてください」
すごいやる気だ。指示も的確だ。勇者だけあって、リーダーシップもあるのかもしれないな。おっと、いかんな。何でもかんでも勇者の称号のせいにして、マリア自体の努力を見ないところだった。
森の中でも問題なく戦えることがわかったので、少し趣向を変えてみた。『5匹くらいの敵を相手に1人で戦ってもらう』、『10匹以上の場合は俺抜きで集団戦をする』等といったことをやらせてみた。集団戦で俺の存在は有利すぎるからな。地力を鍛えるためには俺抜きというのも必要だろう。
個人戦闘の結果だが、マリアは何の問題もなかった。むしろ10匹近くまで敵が増えても傷1つなく戦闘を終えていた。…この子怖い。ドーラも十分に余裕があった。盾で攻撃が通らない上にバトルスタッフを振り回せば距離をとれるし、<竜魔法>の有効性は今更語る必要もないだろう。ミオは中距離を保って弓で数を減らせるようになった。最初の方はすぐに接近されて、ストックの魔法を使う羽目になっていたが、慣れてきたころには弓だけで敵を殲滅できるようになっていた。問題のさくらだが、魔法を使いながら攻撃を避けるのは苦手らしく、被弾もしてしまった。杖を振り回しながら詠唱して何とか魔物を倒せるようだった。少々課題があるな…。体術の訓練でもしておくか。
もちろんその後は落ち込むさくらを慰める仕事が待っている。
「私、また足手まといに…」
「大丈夫だって、さくらが戦い苦手なのはわかっているから。それに命を奪うことだってなんとかできる様なったじゃないか。これも慣れれば大丈夫だって…」
「う、うん。私…頑張る」
撫でまくって、褒めまくってなんとか自信を取り戻させた。手強かったぜ。
ちなみにミオとマリア、ドーラは人型だろうが何だろうが、最初から躊躇なく魔物を殺していた。ミオ、前世は女子高生だったんじゃないのか?完全にこっちの価値観を受け入れているぞ…。
俺の個人戦闘?久しぶりに腹パンがうなったよ。
「奥にいる道着姿のゴブリンは絶対に倒せ!貴重な回復魔法を持っている!」
ゴブリン・モンク
LV8
<回復魔法LV1><格闘術LV2><身体強化LV1>
備考:道着を着たゴブリン。
集団戦闘で面白い魔物を見つけたので、皆に指示を出す。俺は戦闘に参加していないが、貴重なスキルのポイントだ。絶対逃がしてなるものか。こういう美味しい魔物もちらほらいるからな、狩りが楽しくなってきたよ。
しばらくの間色々な戦闘方法で戦い、戦い方が形になったと思えたので、帰路に就くことにした。移動時間も考えると、そろそろ戻らないと買戻しの時間に間に合わないしな。
「だいぶ戦えたことだし、今日はこの辺で止めにしよう」
「はい、わかりました。仁様、剥ぎ取った魔石です」
魔石は<無限収納>を隠すために、布製の袋に入れている。<無限収納>の効果で、剥ぎ取りが必要ないのだが、これも練習ということで全員にやらせている。
「だいぶ弓も手に馴染んできた気がするわ」
スキルってすごいね。村娘(犯罪奴隷)がもういっぱしの弓使いですよ。
「仁様に頂いたステータスのおかげで、体がとても軽いです」
もともと戦闘センスが尋常じゃないから、ちょっと後押ししただけで、立派なアタッカーとなってくれた。
《たてを使ってまもってー、よゆうがあったらブレスうつー》
わかってはいたがドーラは強力だ。竜魔法を持った盾職とか強すぎる。予想外の効果といえば、竜魔法を使った後は、ドーラが脅威と分かるらしく、ドーラを集中的に狙おうとする。ゲーム的に言えば盾職の仕事は敵愾心を上げて、できるだけ攻撃を集めることなので、まさに天職と言える、かもしれない。
冷静に考えたら、ドラゴンに人間形態で盾持たせているのは、邪道という気もするけど…。
行きで大量に戦ったせいか、帰りはほとんど魔物に会わなかった。しかし、そんな中1匹だけ遭遇した魔物がこれだ。
ゴブリン・キング
LV15
<身体強化LV4)><剣術LV4><統率LV3><鼓舞LV3><奴隷術LV2><HP自動回復LV2>
「ゴブリン王の剣」、「ゴブリン王の鎧」、「ゴブリン王の盾」
備考:ゴブリン族の王。戦闘力もトップクラス。
ゴブリン王の剣
分類:片手剣
レア度:希少級
備考:ノックバック効果、武器破壊
ゴブリン王の鎧
分類:全身鎧
レア度:希少級
備考:ノックバック低減、自動修復(極小)
ゴブリン王の盾
分類:片手盾
レア度:希少級
備考:シールドアタック強化
突っ込みどころが多い。今まで見たことのない種だし、武器・防具も全部希少級だし、<奴隷術>を持っている。基本的にはゴブリン・ジェネラルがベースっぽいが確実にジェネラルよりは強い。
もしかして、ゴブリンを奴隷化するのかな。いや、俺はゴブリンの奴隷とかほしくはないし…。
「あれはゴブリン・キング。そこらのゴブリンとは、比べられないほど強いぞ」
「大丈夫です。連携をうまくすればきっと勝てます」
マリアはステータス画面が見えるわけでもないのに実力を把握している。何この子、才能の塊みたいなんだけど。魔物に襲われたとき囮にされつつも生きていたのは、戦闘勘自体は高かったからじゃないのかね。
「キング…。王様…。ボッチ…。ぷぷぷ…」
ミオがツボに入ってしまった。そういやお供がいない。将軍にはいたのに王様にいないのはおかしいだろう。
Q:ゴブリン・キングが単騎で現れたけどなぜ?
A:周囲の魔物の数が少ないときには、レアな魔物が自然発生する確率が上昇するからです。
なるほど、お供になりそうなゴブリンが発生したら、<奴隷術>を仕掛けるんだな。今回はその前に移動して、運悪く俺たちの前に現れたというわけか。
ここまで準備されたら、奪ってやるしかないよな。本音を言えば、瞬☆殺してスキルを奪いたいけど、実戦経験のためにみんなに戦わせる。逃げられそうになったら、すぐ殺せるように戦闘準備しておこう。
集団戦が主体の魔物が複数人を相手にまともに戦えるはずもなく、せっかくの武器・防具を活かす間もなくやられる。1番効いたのはドーラの近距離ブレスでした。盾の面積よりも広い範囲で攻撃が入るから、足とかに普通にブレスが決まって、後は動けない相手をボコるだけの簡単なお仕事だったからね。部下付のジェネラルの方が強かった気がする。
武器は結構いいものなので、ジェネラルの物と交換する。
「あっけなかったわね。指揮個体が単独で出て来るとこんなモノなのかしら?」
「多分ドーラちゃんだけで倒せましたよね…」
《ぶれすつよいー》
10分もかからなかったので、予定通り街に帰ることができた。買戻しがいるかもしれないので、俺だけギルドに向かう。皆には買い出しや魔石の売却をお願いしている。
ギルドに着いたのはほぼ6時だった。受付嬢に買戻しの件を伝えると、1人買戻しをしたいという人が来ていた。
前回と同じように応接室の方へ向かう。今回は以前のように高慢な貴族とかじゃないといいな。
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進堂仁
LV25
スキル:
武術系
<剣術LV7 up><槍術LV5 up><棒術LV6><弓術LV5><格闘術LV6 up><暗殺術LV2><斧術LV5>
魔法系
<火魔法LV2><水魔法LV2><風魔法LV2><土魔法LV2><雷魔法LV2><氷魔法LV2><闇魔法LV3><回復魔法LV2><呪術LV1><憑依術LV1><固有魔法>「リバイブ」
技能系
<統率LV4 up><鼓舞LV4 up><魔物調教LV3><鍵開けLV3><泥棒LV4><恐喝LV4><拷問LV2><調剤LV2>
身体系
<身体強化LV10 up><跳躍LV4><夜目LV3><狂戦士化LV1><索敵LV6>
異能:<生殺与奪LV3><千里眼LV><無限収納LV-><契約の絆LV-><???><???><???>
装備:ゴブリン王の剣
木ノ下さくら
LV17
スキル:
武術系
<棒術LV7 up><格闘術LV2 new>
魔法系
<火魔法LV3><水魔法LV2><風魔法LV2><土魔法LV2><雷魔法LV3><氷魔法LV2><闇魔法LV5 up>
身体系
<身体強化LV7 up><跳躍LV3>
異能:<魔法創造>
装備:マジックロッド
ドーラ
LV15
スキル:
武術系
<棒術LV5><盾術LV3>
魔法系
<竜魔法LV3>
身体系
<身体強化LV9 up><飛行LV5><突進LV5><咆哮LV5><噛みつきLV4><跳躍LV3>
装備:僧兵のバトルスタッフ、鋼の楯
ミオ
LV9
スキル:
武術系
<弓術LV7 new><格闘術LV2 new>
技能系
<魔物調教LV1 new><鍵開けLV1 new><料理LV5><家事LV4>
身体系
<身体強化LV8 new>
装備:フェアリーショートボウ
マリア
LV13
スキル:
武術系
<剣術LV7 up><投擲術LV1><格闘術LV3 up><斧術LV1>
魔法系
<火魔法LV3><水魔法LV3><光魔法LV5><回復魔法LV3><生活魔法LV1>
技能系
<魔物調教LV4><調剤LV2><料理LV1><家事LV1><伐採LV1><狩猟LV2><裁縫LV2><採掘LV1><鑑定LV3><鍛冶LV2>
身体系
<身体強化LV10 up><HP自動回復LV5><MP自動回復LV5><跳躍LV4><覇気LV5><心眼LV4><覚醒LV2><強靭LV2><不動LV2>
その他
<勇者LV5>
装備:ワンハンドアイアンソード
ここから下のスキルは各人に1ポイントずつ与えているもの。LV2以上だった場合、LV1だが占有している場合は個別で記載。
武術系
<剣術><槍術><棒術><盾術><弓術><格闘術><斧術>
魔法系
<火魔法><水魔法><風魔法><土魔法><雷魔法><氷魔法><光魔法><闇魔法><回復魔法>
身体系
<索敵>
20150808改稿:
ロードが王というのは紛らわしいので、ゴブリン・キングに変更
20150912改稿:
修正(6)の内容を反映。