第83話 決闘と天空竜
前話の後半を少々修正しました。
詳しくは「活動報告・補足(11) 」をご確認ください。
話の大まかな流れは変わっていません。
『竜人種の秘境』、滞在4日目。
この日の目覚めは最悪と言ってもいいだろう。
「ええい、そこをどけ!決闘を邪魔するのか!」
「仁様はまだ就寝中です。そのような下らない理由で起こすことなど許しません」
「何!決闘を下らない理由だと!」
何故ならば、虫野郎の大声で起こされることになったのだから。……殺すか。
どうやら、朝早くから虫野郎の奴が押し掛けてきたようだ。
そして、マリアが屋敷の前でそれを止めているみたいだな。
ササッと着替えを終えて、声のする方に向かう。
ドーラはまだ寝ており、さくら、ミオ、マリア、セラの布団は空になっている。
マップを確認したところ、屋敷の入り口にさくら達4人と族長、虫野郎、それに加えて5人の竜人種がいる。
その内の1人が現在の族長候補第1位であるヒスイなので、他の4人は分家の連中なのだろう。
A:はい、その通りです。
と言うことは、虫野郎の奴、家族・親族同伴で決闘の申し込みに来たと言うことか。凄く情けないな、それ……。
虫野郎の評価はストップ安だよ。まあ、そもそも虫野郎の評価が上がったことなど1度もないんだけどな。
「ようやく出てきたか!私と決闘しろ!もう逃げられんぞ!」
俺が姿を見せると、案の定虫野郎が憎悪に満ちた目付きで決闘を申し込んできた。
見れば族長、虫野郎、分家の連中は全員貫頭衣を着ているようだ。
ここで虫野郎が全裸で決闘を申し込んできていたら、その場で瞬殺していたかもしれないな。野郎の全裸に価値はないだろう。
その後ろにいる分家の連中も、敵を見る目でこちらを見てきている。ああ、正確には『ヒスイを除く』分家の連中だが……。
ヒスイは20歳くらいの見た目で、髪は薄い緑色でゆるふわウェーブ?とかいう奴だ。
おっとり、ほんわかした雰囲気を身にまとった美少女で、胸は結構大きい。
周囲の剣呑な雰囲気を意にも介さず、こちらに向けて手を振ってきている。あまり頭が良くないのだろうか?それならば族長曰く『適性に欠ける』と言うのも納得である。
虫野郎と話をしていたマリアがこちらに歩いてくる。
「仁様、申し訳ありません。上手く殺さずに黙らせることが出来ませんでした」
「気にするな。それよりも族長、これはどういうことだ?」
「スマンのう……。昨日の段階で説得に失敗したことを伝えたら、今朝いきなり押しかけて来たのじゃよ。いくら何でも調子に乗り過ぎじゃ……」
そう思うのならば止めて欲しいモノだ。
調子に乗っているのを放置したという意味では、族長にも少なからず罪があると言える。
虫野郎が来るのは覚悟していたが、こんな朝早くから来なくてもいいだろうに……。
「本当に迷惑だな……。とは言え、ある意味で都合が良いのも事実か」
決闘に関係する者が全員揃っているのだから、余計な手間が省けるという意味で、だ。
「あの後、仲間達とも話したんだが、こちらの条件を呑むなら決闘を受けてもいいぞ」
「本当か!して、その条件とは何じゃ?」
「俺の要求は、決闘に俺が勝った場合、ドーラを除く5人の竜人種を、秘境の外に連れて行くことだ。条件は俺のテイムを受け入れること。連れて行く者はこちらが決めるが、本人が望まなければ連れて行かないことにする」
「何を勝手なことを言っている!そんなことはこの私が許さんぞ!」
またしても虫野郎が噛みついてくる。
……本当に鬱陶しいな。コイツがいるだけで話が進みにくいことこの上ない。
話をするだけ時間の無駄だし(そもそも話にならないし)、これからは無視して行こう。
「もしこの条件が受け入れられないというのなら、今すぐテイムした竜人種を全て連れてこの秘境を出て行く。当然、行く手を阻んだものは殺す」
虫野郎を無視し、族長に向けて冷たく言い放つ。
既にフリーパスが用をなしていないことは、族長も理解しているだろうからな。
無理矢理連れて行くというのは趣味じゃないが、こちらが本気と言う事を示すにはこれくらい言わないと駄目だろう。
「はぁ、仕方あるまい。お主の要求を受け入れよう。お主が勝った場合、5人の竜人種を秘境の外に連れて行くと良い」
族長がため息をつきながら俺の要求を受け入れる。
「族長!何を勝手なことを!その人間どもの要求など聞く必要……」
「じゃあ族長、決闘のルールを教えてくれ」
虫野郎が何やら騒ぎ立てていたので、それを無視して話を進めさせる。
虫は無視だ(どや!)。
「貴様!この私を無視する……」
「族長、早くしてくれ。決闘をする気がないのなら、俺達はテイムした竜人種を連れて出て行くぞ」
「ま、待つのじゃ。今、説明する。アカツキも黙っておれ!」
「ぐっ……!」
アカツキを黙らせた族長が説明した決闘のルールは次の通りだ。
・対戦相手の殺害は禁止。
・代理は出せない。
・どちらかが気絶、降参をすることで決着となる。
・武器の使用は可能。竜人種は変身も可能。
・死んでいなければ、肉体の欠損は許容される。
重要な部分はアルタに聞いていた通りだし、それ以外のルールも全く問題はないな。
こうして、俺は虫野郎と決闘することになるのだった。
『竜人種の秘境』には修練場がある。
この修練場には2つの役割があり、1つが竜人種の軍隊の訓練場であり、もう1つが決闘の舞台である。
俺からしてみれば下らない決闘ではあるが、竜人種的には一応、正式なモノになるため、その修練場を使うことになったのだ。
虫野郎と一緒に行動するのが嫌なので、虫野郎と分家の連中を先に修練場に向かわせ、俺達はその後で向かうことにした。
「さ、それじゃあ飯を食おうか」
「あ、そうね。じゃあ準備してくるわね」
「お手伝いします」
「私も手伝いますわ」
「私はドーラちゃんを起こしてきますね……」
ミオ、マリア、セラが食事の準備をして、俺同様に料理では役に立たないさくらがドーラを起こしに行く。
「お主ら、修練場に向かわんのか?」
残った俺に族長が質問してきた。
少し呆れたような顔をしているのは気のせいだろう。
「決闘は時間の指定なんてしてないだろ?それより、あいつの大声で起こされたせいで、まだ飯を食っていないんだ。それとも、族長は食事をとってない奴に決闘に出ろというのか?」
「それは、言えんのう……」
虫野郎との決闘が、朝食に優先されるわけがない。
決闘を行うにしても、朝食後に決まっている。
そもそも、決闘に関して時刻の指定はしていなかった。俺達は『虫野郎と分家の連中の後に行く』ので、具体的に何分後かなんて話をしていないのだから、多少遅れて行っても文句を言われる筋合いはない。
尤も、『竜人種の秘境』に時計なんてないのだから、最初から時間指定なんてできるわけがないのだが……。
それから少しして、ミオが丼をお盆に乗せてやって来た。
「決闘の前だからね!ミオちゃん特製のカツ丼よ!試合にカツってね」
「何か、おばちゃんみたいなことを言っているな」
「おばっ!?」
ミオのゲン担ぎにツッコミを入れると、かなり大げさにショックを受けていた。
「どうかしたのか?」
「な、何でもないわ。ミオちゃん8歳だから気にしてないから……」
もしかして、ミオは年齢を気にしているのか?
考えてみれば、ミオはメインパーティ最年長だからな(累計24歳)。
「はい、さくら様どうぞ」
「あ、ミオちゃん、少し減らしてもらってもいいでしょうか……?」
何とか復活したミオが配膳を始める中、さくらが申し訳なさそうに言う。
「あー、言われてみれば、確かに朝からカツ丼は少し重かったですね。わかりました。さくら様の分はハーフサイズにしますね」
「ありがとうございます……」
「その分は私が食べますわ」
「きゅ!《ドーラも!》」
「はいはい。じゃあ丼貸して。さくら様の分を移すから」
大食い担当のセラ、ドーラが当然のようにさくらの食べない分を要求する。
君達、朝からよく食うね……。
「いただきます」×5
「きゅ!《ます!》」
配膳も終わり、いつものように挨拶をして食べ始める。
大事な決闘(笑)の前だから、朝食はいつもよりよく噛んで食べた。
そのせいで少し時間がかかってしまったのは仕方がない事だろう。
「お主、本当に余裕じゃのう……」
ずっと近くにいた族長が呆れたような声を上げる。
そりゃあ、虫野郎の相手なんて朝飯前ですからね。あ、今朝飯食っている最中だったわ。
朝食後、十分に食休みをしてから不死者の翼で修練場まで飛ぶ。
食ってすぐに動くと、気分が悪くなる可能性があるから仕方ないよね。
修練場は『竜人種の秘境』にある集落の中、1番北側に存在し、1辺が1kmはある正方形の空間だ。魔物対策のためと思われる堀で周囲を囲まれている。
一応、観客席らしき空間も存在するのだが、当然のことながら観客はいない。
虫野郎が勝とうが負けようが、無理を押し通した決闘なんて、身内の恥以外の何物でもない。態々広めても何も良い事はないだろう。
「遅いぞ!!!族長、人間どもはいったい何をしていたのだ!」
修練場に着くと同時に虫野郎が文句を言って来た。
「飯を食っておった。お主達が朝から押しかけてきたせいで、まだ飯を食っていなかったようじゃからな」
「な、何だと!?決闘よりも食事を優先させたというのか!?そして族長、その場にいたのに、そんなことを許したのか!?」
憤慨する虫野郎だが、お前は飯を食わずにここに来たのかと問いたい。
A:食べています。
おい、コラ。
「当然じゃ。それより、お主は食事もしてない相手に無理矢理決闘をさせるというのか?もし、片方が一方的に不利になるような決闘ならば、ワシは掟に従って取り下げさせねばならなくなるのじゃぞ?」
「ぐっ……、仕方あるまい。貴様、早く準備をしろ!」
虫野郎としても決闘が取り下げられるのは困るのだろう。
渋々ながらも諦めて、俺に決闘の準備を促してくる。
族長に案内され、俺は修練場の中心へと向かう。
俺の仲間たちは西側、分家の連中は東側から観戦することになった。間接的に敵対しているのに、一緒にされても困るからな。
《がんばれー!ご主人様ー!》
《ごしゅじんさまー、やっちゃえー!》
ミオとドーラの応援が聞こえる。
観客席からは500m近く離れており肉声は届かない。代わりに念話での応援と言うことになる。つまり、虫野郎は応援してもらえない。
《仁様、差し出がましい事ですが、油断だけはなされないようにお願いいたします》
《ああマリア、わかっているさ》
正直な話、普通に戦って負ける相手ではない。
とは言え、油断をしていたせいで格下にあっさり負けるということは往々にして起こり得ることだ。
と言う訳で、久しぶりにステータスをほぼ最大値にしてみた。
この状態なら、『うさぎとかめ』のうさぎレベルで油断をしたとしても、虫野郎に負けることはないだろう。ある意味、これも油断なのだが……。
《マリアさんは本当に心配性ですわね。私には、ご主人様がアレに負ける姿が全く想像できないですわよ》
《負ける、とは欠片も思っていません。万が一、億が一くらいの確率で、軽傷を負う可能性くらいはあるかもしれないですから。その場合、決闘終了後に私が……》
セラとマリアの虫野郎に対する扱いも大概である。
そして、俺が怪我をすると自動的に虫野郎が死ぬことになるようだ。
俺は修練場の中心に、仲間たちは西側に到着した。
俺と虫野郎は修練場の中心に10mほど離れて立っている。
《すぐ終わらせるから、のんびり気楽に観戦しててくれ》
《はい》×4
《ぶっころせー!》
ドーラに教育上不適切な言葉を教えたのは誰だ!?
「……説明は以上じゃ。もう1度言うが、殺しはご法度じゃからな」
向かい合って立つ俺と虫野郎に対し、族長が再度ルールと条件の説明をした。
特に対戦相手の殺害禁止については、3~4回も念入りに説明された。
「ああ、わかっている。要は死んでいなければいいんだろ?半死半生でも、ギリギリでも何でも、とにかく生きていれば何も問題はないんだろ?」
「そこまで思い切った説明ではなかったはずじゃが……」
「…………」
俺の軽い冗談を真に受けたのか、族長は首を傾げながら渋い顔をする。
ちなみに虫野郎は、族長の言う『殺害禁止』に対して、『はい』とも『わかった』とも返さずに無言を貫いている。
これが何を意味するか、何となくは分かるよな。
「さて、そろそろ決闘を始めるとするかのう。アカツキ、お主は人間の姿で良いのか?決闘開始前に竜の姿になっておいても良いのじゃぞ?」
「不要だ。人間風情を相手に、竜の姿になる必要などない」
こちらが油断しないと言っているのに、どうして向こうが油断してくるのかね?
それに何処からこの自信が沸いてくるのだろう?俺達が『竜人種の秘境』に来てから、虫野郎には全く良い所がなかったはずなんだが……。
まあ、油断したい奴には好きなだけさせておけばいいか。
「お主は問題ないか?」
「ああ、俺の方は問題ない」
族長が今度は俺に尋ねてきたので、頷きながら返す。
既に戦闘準備は出来ている。今回の武器は……素手だ(ある意味最強武器)!
「ふむ、両者準備は出来ているようじゃな。これより竜人種のアカツキと、人間のジン殿による決闘を開始する」
そう言うと、族長はその右手を大きく上げた。
「では……、始め!!!」
「死ね!にんげぶらぎゃ!!!」
決闘の開始と同時に、虫野郎が<竜魔法>を放とうとしたので、<縮地法>と<加速>を用いて虫野郎に接近。そのまま顎にアッパーを食らわせた。
大きく仰け反って吹き飛ぶ虫野郎だが、当然の如く<手加減>はしているので死なない。……死ねない。
やっぱり、イケメンを殴るなら顔面が1番だよね(次点で腹パン)。
ほら、虫野郎の奴、顎が砕けて、血を吹いて、白目むいて倒れているよ。こうなるとイケメンも形無しだ。
余談だが、発動中の<竜魔法>が口の中で暴発したので、虫野郎の口内は凄いことになっているはずである。
「そ、そこまで!勝負あり!勝者ジン殿!」
族長が宣言することで、無事に俺の勝利が確定した。
……ああ、全く盛り上がらない決闘だったな。
決闘が終わった後、分家の連中が大慌てで駆け寄ってきて(のんびり屋っぽいヒスイ以外)、虫野郎を連れてどこかに去っていった。
恐らく、ボロボロになった虫野郎に、数少ないポーションを飲ませに行くのだろう。
分家の連中も、俺達が<回復魔法>を使えることは知っているはずだが、頼んでも断られると判断したようだ。勿論、正解だ。
それから少し遅れて、俺の仲間たちも俺の元に近づいてきた。
「仁君、お疲れ様です……」
「ご主人様、おめでとー!」
「おめでとうですわ」
「きゅー!《おめでとー!》」
仲間達が口々に労いの言葉をかけてくれる。
「仁様にお怪我がないようで何よりです」
「ああ、怪我をするような戦いじゃなかったからな」
顔パンの先制攻撃1発で沈めたんだから、かすり傷1つ負う訳が無いのは当然である。
どうでもいい話だが、例え虫野郎の開幕<竜魔法>に当たった場合でも、俺へのダメージは0でした。伝説級装備である不死者の翼が防いでくれるので、服すらダメージを受けません。
決闘前にも少し考えたのだが、どこまでの油断をすれば虫野郎に負ける未来があったのだろうか?むしろ気になってしまう。
「これで竜人種を連れて行けるのよね!ご主人様!少なくとも2人は料理担当の子にしていいって言ったわよね!」
「ああ、ミオの望む2人を連れて行って構わないぞ」
「やったー!」
ミオの弟子である竜人種を2人(状況によっては後1人)、『竜人種の秘境』の外に連れ出すことを許可していた。
これで、カスタールの屋敷などで本格的な料理修行をした竜人種が誕生することになり、『竜人種の秘境』の食文化ハザードが完了する。
「族長、これで竜人種を連れて行っていいんだよな?今更、約束を破るなんて言わないよな?」
念のため、近くに来ていた族長に確認を取る。
「うむ、勿論じゃ。決闘は文句なしにお主の勝ちじゃ。怪我は結構酷かったが、アカツキの奴も生きておるしな……。約束通り、竜人種5名を連れて行くことを認めよう」
これで合法的に竜人種を秘境の外に連れ出せるようになった。
連れて行く5人は既にほぼ決まっている。
1人はミカヅキだ。今、この場にはいないが、秘境の外に連れて行くという話をしたら、是非連れて行ってほしいと懇願してきたので、折角だから連れて行くことにしたのだ。一応、それなりの要職についているようだったので、本日は業務の引継ぎのため不在である。
2人目と3人目はミオに任せた料理担当だ。外の世界で料理を教わり、その技術を『竜人種の秘境』に伝えるのが仕事だ。
4人目は俺の趣味だ。
5人目は『致命的な1人』、もしくは料理担当だ。
後1回でも不愉快なイベントが起きたら、『致命的な1人』を連れて行くことにする。
「じゃあ、早速連れて行く竜人種の元に向かおうと思うんだけど、出来れば族長もついて来てくれないか?」
「ふむ、何か理由があるのかのう?まあ、良いじゃろう」
こうして、俺達は族長と共に『竜人種の秘境』から連れ出す者(4人目)の元へと向かうことにした。
到着したのは、竜人種達の集落の最南端にある建物である。
「どうして、よりにもよってここなのじゃ……?」
「決まっているだろう。ここに連れて行く奴がいるんだよ」
「しかし、この中には……」
族長が言い淀んでいるが、気にせずに建物の中を進む。
大勢で行くのも何なので、建物の中にはマリアと族長だけがついて来ている。
『竜人種の秘境』は、地下に迷宮があるため、地下室が存在しない。そのため、普通ならば地下に置かれるであろうこの施設も、地上に置かざるを得ないのだ。
あまり光が入ってこない建物の中を進み続ける。そろそろ、目的の竜人種がいる辺りだな。
「死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない」
かすれた声で呟き続けるのは、元族長候補のテンリだった。
綺麗な空色の髪はぼさぼさになっており、澄んだ青色の目は虚ろになって何も映しておらず、目元には酷い隈が出来ていた。
テンリは檻の中に入っており、当然全裸である。
そう、ここは『竜人種の秘境』にただ1つ存在する牢屋、あるいは監獄とも言うべき施設なのだ。
ここ何100年も使われていないようだが、俺達が秘境に来てから、虫野郎、テンリと立て続けに使われるようになったとか何とか……。
それにしても酷い顔だな。下手をすると処刑の前に死ぬんじゃねえか?
「死にたくない。死にたくない。死にたくな……んん?」
俺達がある程度近づいた所で、ようやくテンリは俺達の存在に気が付いた。
俺の顔をまじまじと見つめ、徐々にその顔が怒りに染まっていく。
「ああ!?あんたは!あんた達のせいで私はゲホッ、ゴホッ!」
テンリは苦しそうに咽て涙目になっている。
ずっと呟き続けて、声がかすれた状態で、急に大声を出したりすれば咽るのは当然のことである。
「はぁ……、はぁ……、何よ。私のことを笑いに来たの?馬鹿みたいに自爆して、死ぬのを待つだけの私を……」
激高しかけていたが、咽たことで強い感情が萎んでしまったようだ。
テンリの顔からは生気すらもほとんど感じられない。
そんな貴女に朗報です。
「そんな無駄なことはしないさ。俺はお前を誘いに来たんだ」
「やはり、そう言うことなのじゃな……」
族長も薄々感付いていたのだろうが、ここに来て確信に変わったようだ。
「誘う?今更私を何に誘うっていうのよ……」
「俺の騎獣として、テイムされないか?と言う誘いだ」
アルタに話を聞いたのだが、天空竜と言うのは、騎獣としては最高ランクの存在らしい。
『竜人種の秘境』にも、天空竜はテンリ1人しかいないし、出来ればテンリを騎獣にしてみたい。
「何を馬鹿なことを言っているのよ。テイム?もしその誘いを受け入れたとしても、私は秘境の掟に則って死ぬのよ。何の意味もないじゃない……」
あれだけ「死にたくない」と呟いていながらも、心のどこかで既に諦めてしまっているのだろう。テンリの目には何の希望を見えてはいなかった。
「ああ、確かにそのままでは意味がない。だけど、今の俺はテイムした竜人種を秘境の外に連れて行く権利を、族長に与えられている。約束してやろう。今、俺にテイムされるのなら、お前をこの秘境から連れ出してやる。そうすれば、極刑なんて関係なくなるぞ?」
「え……?」
テンリはその言葉を聞き、呆けたような顔をして固まった。
その後、再び動き出したテンリは族長の顔を見る。それに対して族長は渋々ながらも頷く。
「ふ、ふん!あんたがどうしてもって言うのなら、テイムされてあげないこともないわよ!」
テンリは座っていた状態から立ち上がり、長い髪を手で払いながら言う。
ここに来てさらにツンデレ属性も追加してくるのか。
下手をすると『ツン』だけの可能性もあるから、念のため『デレ』があるかの確認だけはしておかないといけないな。
「じゃあ、止めておこうかな。他にも候補はいるし……」
「どうかテイムしてください!騎獣にでも何にでもなります。ご主人様に従いますし、私の全てを捧げます」
俺のセリフが終わるや否や、テンリはその場に土下座をして、テイムしてもらえるように懇願してきた。
見事な掌返しである。少々、『デレ』をすっ飛ばしている感はあるが。
それにしても、テンリは色々と才能があるな……。
正直な話、プライドが高そうだからテイムを拒否される可能性もあった。
しかし、あれ程までに「死にたくない」と言っている者が、生き残れるチャンスを棒に振るとは思えなかった。この部屋に入った瞬間、テイムできると確信するには十分だったのだ。
「と言う訳だ。族長、俺はテンリをテイムして、『竜人種の秘境』から連れて行く。何か文句はあるか?受け付ける予定はないけど」
そして、これが連れて行く4人目、別名『掟に背いて死刑確定のテンリ、悪いけど俺が連れて行きます』作戦である。
余談だが、テンリの共犯者たちは死刑にはならず、こってり絞られた上に、しばらく過酷な労働に従事することで許されることになったらしい。
「はあ……。最初から、これが目的じゃったということか。連れて行く条件にあった『テイムを受け入れること』と言うのは、決闘に勝った後にテイムを受け入れた者も連れて行けるようにするための1文じゃったのか」
決闘が始まった時点でテイムしている者に限定したくなかったからな。
もしかしたら、テイムした竜人種が増える可能性もあったから。
「そして、料理によるテイムは止めたはずじゃが、これは料理とは関係がないテイム、禁止はされておらん。これは見事にしてやられたのう……」
単純に『テイムしない』とは言っておらず、あくまでも『料理と引き換えではテイムしない』と言う約束しかしていないのだ。
何か条件を付けるときは、出来るだけ制限が小さくなるように工夫しろって、死んだじっちゃんが言ってた。
「良かろう。テイムされて秘境の外に出るというのなら、極刑の件は無くしてもいいじゃろう。ただし、2度と『竜人種の秘境』の土を踏むことは許さん」
「わかったわ」
こうして、テンリは俺にテイムされる代わりに、死刑を免れることが出来たのだった。
その後、<魔物調教>を発動して、ササッとテンリをテイム用の陣をぶつける。
>天空竜をテイムしました。
>天空竜に名前を付けてください。
当然、何の抵抗もなくテンリがテイムされ、いつものように名前の設定を要求される。
同じく秘境内で(料理により)テイムした他の竜人種達の多くは、元の名前のままがいいと言ったので、元の名前を付け直している。
「あー、テンリ。テイムした後って名付けを要求されるんだが、お前はどうしたい?テンリのままが良いのなら、そのままにしておくけど?」
「ご主人様、貴方が新しく付け直してちょうだい。元族長候補のテンリはここで死ぬの。ご主人様の従魔として、ご主人様の所有物として生まれ変わるのだから、名前はご主人様に付けて欲しいわ」
さらっと重いことを言ってくるテンリである。
天空竜が最高の騎獣と言われているのは、じゃじゃ馬ではあるが1度主人と認めると、生涯を尽くすほどに従順であるという点にもある(そもそもテイムの前例が少なすぎて、統計はとれていないのだが……)。
竜人種だから、全ての性質が同じとは限らないのだが、元々ツンデレの素質はあったということである。
とりあえず、選択肢カモン!
>「ブルー」と名付ける
>「天子」と名付ける
>「ミソラ」と名付ける
>「ゆかり」と名付ける
また微妙な名前が出てきたな……。
「天子」は駄目だ、これは無い。「美空」も日本人風味が強すぎてどうかと思う。
正直な話、テンリを見た時の第1印象が「青」だったから、少々安直ではあるが「ブルー」が良いかもしれないな。
「よし、お前の新しい名前はブルーだ!」
「ブルー……。わかったわ。私の名前はブルーね。これからよろしくね。ご主人様!」
「ああ、よろしくな」
こうして、俺専用の騎獣としてブルーが配下に加わることになった。
「で、ご主人様、私はこれからどうすればいいの?」
テンリ改め、ブルーが質問してくる。
「そうだな。族長、どうせブルーは『竜人種の秘境』を出て行くんだから、俺達が出て行くまでは同行させてもいいか?」
「本来なら良いとは言えんのじゃが……。今更じゃな。良かろう、お主が監督するというのなら、テンリ……」
「ブルーよ。間違えないでちょうだい」
きっぱりと訂正するブルー。
既に俺の付けた名前に愛着を持ってくれているようだ。
「……そうじゃったな。お主が監督するのなら、ブルーを連れて行くことを許そう。故郷を最後に目に焼き付けると良い」
そう言って族長はブルーの入っていた檻を開けてくれた。
「わかったわ。族長、ありがとう。じゃあ、ご主人様、いきましょ……、あ……」
「どうした?」
ブルーは立ち上がって、檻の外に出ようとしたところで足を止めた。
自分の身体を見て、少し顔を赤くしている。
「私の格好が汚すぎて恥ずかしいのよ!もう、そんな事言わせないでよ!」
「まあ、それどころじゃなかったみたいだしな。『清浄』」
あえて言及していなかったが、ブルーの身体は酷く汚れていた。死の恐怖により、トイレどころではなかったのだからある意味当然である。
こちらも当然のごとく『清浄』を発動する。
「……ありがと。じゃあ、今度こそ行きましょ?」
そうして、俺、マリア、ブルー、族長の4人は監獄を後にした。
「おっ!無事にテイムできたみたいね。おめでと!ご主人様!」
「貴女達は……、ご主人様と一緒にいた人達よね?どういう関係なの?」
近づいてきたミオ達を見てブルーが質問してきたので、他のメンバーたちを紹介する。
「全員俺の配下だな。檻について行ったのがマリアで、ここにいるのは左からミオ、セラ、さくら、ドーラだ。シラユキじゃなくてドーラだからな?」
「きゅー《ドーラはドーラだからまちがえないでねー》」
ブルーはドーラを見て表情を曇らせる。
「ドーラ……」
「きゅー?《なにー?》」
「今更謝っても遅いかもしれないけど、追い出してしまってごめんなさい」
そう言って、ブルーはドーラに向かって頭を下げて謝罪をした。
族長候補であるシラユキを邪魔に思って、『竜人種の秘境』から追い出したブルーだったが、ドーラのことを殺したいとは思っていなかったようだ。
もちろん、追い出した時点で死ぬ可能性が高かったことは事実だが、出来れば死んでは欲しくないと言う事で、転移先には数日分の食料も用意していたらしい。
事実、その食料を食べることでドーラは人里まで移動することが出来たようだ(その後盗賊に掴まる)。
「きゅいー。きゅうー《きにしなくていいよー。そのおかげでごしゅじんさまとあえたからー》」
「うん。それは本当に羨ましいわね……。ところで、ドーラも騎獣なの?私……2番目?」
ブルーが少し悲しそうに言う。
「いや、ドーラは俺のペット兼抱き枕だ。ドーラに乗って戦うつもりはない。そもそも、乗って戦うより、そのまま戦わせた方が強いしな。もっと言えば乗れるほど大きくないし……」
「きゅ、きゅー!《ちょっとざんねんだけど、だきまくらの方が良いー!》」
「そう。(……良かった)」
最後の『良かった』は、かなり小さい声だったが聞こえてしまった。
アルタ曰く、天空竜は従順であると同時に嫉妬心も強いらしい。
馬車に乗るくらいならいいが、馬に直接乗ったり、ましてや他のドラゴンに乗ろうものなら本格的に不貞腐れてしまうとのことだ。
「おっと、片方だけ紹介するのも何だな。こっちはブルー、みんな知っての通り、元々はテンリって名前だったけど、テイムした段階で新しく名前を付け直したんだ」
「青いからブルーって、安直よね」
ブルーの紹介をしたら、ミオが呆れたような声で言う。
「でも、月夜さんと常夜ちゃんの時よりは良いと思いますよ……?」
「アレはないですわ。あり得ないですわ」
「全く否定できる要素がない……」
ちなみにさくらの言う金狐の『月夜』と『常夜』は、テイム後に元の名前をそのまま使っているが、もし俺が名付け直していたら、『クロワッサン』と『レーズン』になっていた。
俺の名付けには、時々大ハズレが潜んでいるようだ。
「で、俺達が秘境を出るまではブルーも同行していいってことだから、最後にブルーのために秘境を見て回ろうと思う。ブルーは行きたいところとかあるか?」
「そうね。分家の家族の元に最後の挨拶に行きたいわね。それと、出来ればご主人様を乗せて『竜人種の秘境』を飛んで回りたいわ」
「そうだな。折角の騎獣だ。乗らなきゃ損だよな」
「何よその理屈……。まあいいわ、乗ってちょうだい」
呆れつつもブルーは竜の姿に変身した。
思っていた通り、天空竜は全身が青くて美しいドラゴンだな。
ブルーと同じように目は澄んだ空色で、翼は羽毛ではなくて蝙蝠タイプだ。光にかざすとうっすら透けて見えるようだ。
「仁様、こちらをどうぞ」
「ああ、ありがとう」
そう言ってマリアが手渡してきたのは、鞍と鐙……みたいなものだ。
簡単に言えば、騎獣に乗るための椅子とペダルである(かなり雑な説明)。
もちろん、手綱も付いている(やっぱり雑な説明)。
A:天空竜を騎獣にするという話を聞いたルセアが用意しました。アドバンス商会のネットワークを用い、世界最高級の道具が準備されています。
うん、何となくそんな気はしていた。
勿論、ありがたいのは事実なのだが、如何せんやり過ぎの感はある。
早速、ブルーに騎乗用具を取り付け、そのまま跨ってみる。
「うーん、今まで人を乗せたりしたことがなかったけど、結構気持ちいいモノね」
天空竜の本能が刺激されているのか、やたらとブルーが上機嫌である。
かと思ったら、急にブルーの身体から力が抜けていった。
背中から降りてブルーの様子を伺う。
「ブルー、どうした?」
「あれ……?あ、お腹が空いて……。しばらく何も食べてなかったから……」
どうやら、空腹による体力の不足だったようだ。
ずっと呟いていたのなら、その間何も食べていなくてもおかしくはない。
「いきなり、兵糧玉と言うのも可哀想だし、ミオ!」
「らじゃ!」
こういう場合、カロリーと栄養だけを摂取できる『エナジーボール』を食べさせるのがベストなのだが、テイムしたばかりの奴にそれは可哀想だ。
折角なんだから、最初は飛び切り美味しい物を食べさせてやりたい。まあ、俺は料理を作れないんだが……。
「はい!ドカンと一枚ステーキよ!」
「ホントにドカンって感じだな」
「きゅいー!《おっきー!》」
ミオが取り出したのは、これでもかと言うくらいに分厚くてデカいステーキだった。
直径30cm以上、厚みは5cm以上あるし、普通の人は1枚食べきることも出来ないだろう(セラは除く。そもそも普通の人ではない)。
「美味しそうですわね。私も後で1枚お願いしたいですわ」
「いいわよー!」
<無限収納>に出来たてを入れていたため、ジュージューと鉄板の上で音を立て、香ばしい匂いを辺りに振りまいている。
「何これ……。ヨダレが止まらない」
見ればブルーの口からは涎がダラダラと零れ落ちていた。
ブルーも所詮は竜人種。食欲の前には自制心など塵に等しいだろう。
「はい、ご主人様。これ持ってね」
「なんだ?」
ミオはヨダレまみれのブルーの前を通り過ぎて、俺にステーキの乗った皿を手渡す。
「ご主人様の騎獣なんだから、餌はご主人様が与えないと駄目よ」
「それもそうだな」
毎回、俺が食事を与えると言う訳にはいかないと思うが、せめて最初の1回くらいは俺手ずから餌を与えるべきだろう。
次いでミオに手渡された巨大なフォークでステーキを刺し、持ち上げた状態でブルーの前に差し出す。
「よし、ブルー食べていいぞ。熱いから気を付けろよ」
「うん!」
そう言ってブルーはステーキに齧り付く。
一口でステーキは竜形態のブルーの口の中に収まった。その後もモグモグ口を動かすブルー。飛び散るヨダレを全て回避する俺。
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あの人は今
ミドリ:仁の従魔、ドリアード
<秘薬調合>のレベルが上がり、少し余裕が出てくる。ノルマ増加が心配事。
ポテチ:ミオの従魔、ヘタレ犬
ミオの外出により、スキンシップ不足。意外と寂しく感じている自分に驚き。
ユリーカ:蘇生者、記憶消滅
Cランク冒険者。『プラントキラー』の2つ名が広まっている。
ミドリ《ここ、お気に入りの、日陰……》
ポテチ「zzz……。くーん……」
ユリーカ「草の魔物……。違う、あれは仲間……」
カスタール冒険者組:8名の奴隷冒険者、Sランクを目指す
全員揃ってAランク試験突破。見事Aランク冒険者となる。
ココ「Aランク試験はパーティで挑めなかったから、今まで以上に大変だったわよね」
ノット「ああ、それにしても、意外とAランク以上の魔物って多いんだな」
イリス「そんな訳ないじゃない。馬鹿なの?」
ユリア「確かに、8匹もAランクの魔物が同時多発的に出て来るなんて異常事態です」
ロロ「特にクロードはお疲れ様です。Sランクの魔物が相手だなんて、相変わらずですね」
シシリー「ガシャス王国に里帰りをするシェリアちゃんの護衛依頼だよねー?」
アデル「周囲にいた人達が急に動けなくなったとか言っていたよね……」
クロード「うん、僕は無効化できたけど、<怠惰>ってスキルの効果だったみたいだね」
ルセア:仁の奴隷、第2の信者、元女王騎士
アドバンス商会、メイド長業務を後進に引き継いで主担当から外れる。決して忙しくなくなったわけではない。
ロマリエ:幼児退行魔族美少女
ルセアの指導の元、順調に信者化。元の年齢が高いせいか、普通の子供よりもはるかに精神的成長が速い。
シオン:謎の幼女
メイド修行中。何故かロマリエと仲良くなる。
ルセア「その内、子守りも引き継がないといけませんね」
シオン「ロマちゃんのおせわはわたしがするっ!」
ロマリエ「ううー!」
ミラ:元人間の吸血鬼
メイド業に慣れてきて、余裕ができた時間を音楽活動に振る。
フィーユ:元ガーフェルト公爵令嬢、音楽家
最初からほぼ音楽活動に全振り。メイド業も嫌いではない。貴族からの勧誘を受けている。
ミラ「最近、エステア王国貴族からの公演依頼が増えてきましたねぇ」
フィーユ「心当たりがある(と紙に書いてある。念話は使わない派)」
エステア探索者組:4名の奴隷探索者、自力の迷宮踏破を目指す
34層(墓地エリア)を攻略中。
シンシア:突撃型勇者、撲殺型勇者
ケイト:天才、ガチ狂信者
カレン:双子の赤い方
ソウラ:双子の青い方
ケイト《シンシアちゃんが『光属性付与』を使ってくれたおかげで、随分と楽になりました》
シンシア「あまり気が進まないのです……。殴り足りないのです……」
ソウラ「頑なだね……カレンちゃん」
カレン「頑固だね……ソウラちゃん」
サクヤ:カスタール女王、のじゃロリ(余所行き)
女王業務が忙しい中、仁の屋敷で食事をとるときが一番の癒し。仁がいなくて少し寂しい。
カトレア:エステアの王女、超絶美人で有名
最近、少し二の腕が気になって来た。食べ過ぎた。
ニノ:奴隷メイド少女料理長、信者
ミオから『竜人種の秘境』の食事情を聞いてウズウズしている。
ルージュ:真紅帝国の皇女、偉そうだが失言が多い
仁から許可をもらって、屋敷で料理を食べた。堕ちた。あ、そう言えば迷宮攻略中。
サクヤ「もぐもぐ」
カトレア「ぱくぱく」
ルージュ「むしゃむしゃ」
ニノ「また王族が増えたのです、はい……」
魔物娘傭兵組:3匹の従魔による傭兵団(的なモノ)
<憤怒>の呪印を持った魔物を討伐。
ティラミス:恐竜娘、萌え要素ごった煮
メープル:大海蛇娘、下っ端
ショコラ:鳥人娘、ハーピィ軍団のリーダー
ショコラ「手ごわい相手だったな」
メープル「そうっすね。死を覚悟したっす」
ティラミス「固有名詞が出てこないから、情報が何も伝わらないよ☆」
月夜:エロ狐、傾国の美女
仁の屋敷でモフモフ係①。仁から受けたモフモフが忘れられない。
常夜:子狐、無口
仁の屋敷でモフモフ係②。仁のモフモフで女が芽生え始める。
常夜「また、モフモフしてほしい」
月夜「ええ、一緒にしてもらいましょうね」
キャロ:主任迷宮保護者、東の遺児
迷宮保護者をある程度揃えたので、仁から依頼された50層以降の改築に着手。
アーシャ:魔物使い、弄られ役
新たなる従魔をテイムするために奮闘中。最初の従魔はスライム。
アーシャ「何でほぼ無関係なキャロさんと一緒にいるんだろ?」
キャロ「なんでも、『余ったから』らしいですよ、ピョン」
ドーラ:ペット兼抱き枕。
ブルー:騎獣=乗り物
まともな人の扱いじゃねえ!
まあ、魔物なんですけど。
そして欄外で減っていく七つの大罪。