第11話 欠損回復と奴隷達の事情
皆様から頂いたコメントへの返信や、修正内容などは活動報告の方に記載させていただいています。「以前と設定が違う」などと思った場合はまずそちらから参照していただければ幸いです。これが言いたくて週1投稿の宣言を破ってしまいました。すいません。
後、11話には若干エロイ描写があります。人によってはこの程度、とも思うかもしれませんが念のため。
名前:マリア
性別:女
年齢:12歳
種族:獣人(猫)
称号:仁の奴隷、獣人の勇者
「勇者ですか?この子も異世界から来たということでしょうか?」
さくらが質問してくる。
「いや、転生でも転移でもなさそうだから、この世界で生まれた勇者ということだろう。ご丁寧に『獣人の』って付いているからな」
「あのー、ところで称号って何ですか?ご主人様があまりにも自然に使っているんですけど…」
その辺の説明も後にしたいな。
「ゲームでよくあるような称号ですか?ご主人様にはそれが見えると…。鑑定みたいな力があるのですか?」
説明しないでも大体わかってくれたようだ。意外とそういう方に詳しい子だったようだ。
「ああ、細かい説明は後でするが、その認識で間違っていない」
「わかりました。ますますこの後が楽しみになってきました」
にこりと微笑む。マヨネーズで成り上がろうとしていたからな。異世界に行くような話は好きなのだろう。
「せっかく珍しい称号だったからな。詳しい話を聞いてみたいと思って買ってみることにしたんだ。まあ、このままじゃ話なんて聞けそうにないけどね」
体中がボロボロで部位欠損も酷い。HPを見るとペナルティなのか相当低い。ほっときゃ確実に死ぬ。そして買っておいて死なせるつもりはない。
俺がさくらの方を見ると、さくらも気づいたようだった。
「もしかして、私の異能でこの子を治す魔法を?」
この世界に欠損を直す魔法はない。つまり、さくらが<魔法創造>で作ることができるはずだ。ちなみに、さくらに1番最初にどんな魔法を作りたいか聞いたら、『仁君の役に立つ魔法』と答えた。それが叶えられる機会をうかがっていたのだが、これ以上にふさわしいものはないと思う。
「そのつもりだ。頼めるか?」
「はい、大丈夫です。魔力とMPをお借りしてもよろしいですか?」
「もちろんだ。ドーラもいいよな?」
《まりょくとえむぴーあげるー》
いや、動かすのは俺だけどな。
「それでも足りなければ外に奪いに行こう」
魔力とMPは高いやつが少ないからな。その分は数で補おう。
「魔法…今度は何をするんだろう…」
俺たちの話を聞いて、小声でミオが言う。好奇心が抑えられない様子でこちらを期待した目で見る。
俺とドーラの魔力とMPのほとんど全てをさくらに譲渡する。
「…いけそうです」
さくらの足元に魔法陣が浮かび上がり、光り輝く。
「…<魔法創造>「リバイブ」!!」
数秒すると光が消えた。さくらのステータスを確認すると、新しく魔法が追加されていた。
<固有魔法>「リバイブ」
対象の身体部位欠損を修復する。死亡者には無効。欠損ペナルティも解除される。HP自体は回復しない。
無事に獣人奴隷のマリアを治せる魔法の創造に成功したようだ。
「ふう。…できた…」
さくらが肩で息をしているので、残っているMPを確認してみると半分以上無くなっていた。MPが残っていても、急激に大量のMPを消費すると疲労感が生じるらしい。前に道具屋で買ったMP回復薬(お店での名前は魔力回復薬だった)をさくらに手渡す。
「これでも飲んどけ」
「あ、ありがとうございます」
このままさくらに魔法を使わせるのも悪いな。魔法を作るときが1番MPを消費するらしいが、さくらの作る魔法はMP効率もそれほどよくないらしいからな。
「さくら、回復の方は俺がやっても構わないか?」
「あ、お願いします。少し休ませていただきます」
さくらはベッドに腰掛けて休むことにしたようだ。俺はさくらから固有魔法と譲渡した魔力、MPをもらう。ちなみに異能<魔法創造>は奪えないが、それによって生まれた<固有魔法>は奪えるらしい。
判定基準が謎だ。
「マリア、これから魔法によってお前の欠損を治す。具体的にどうなるかは俺らも知らないが、今より悪くなることだけはないだろう。受け入れるか?」
マリアの目にはずっと絶望しか映っていなかった。俺の話を聞いても、希望があらわれるようなことはなかった。すでに諦めきっているのだろう。しかし、諦めている以上、文句も特にないらしく、ゆっくりとだが頷いた。
「わかった。今から詠唱を始める」
マリアの正面に立ち、詠唱を始める。MPががりがり削られる。もっと魔力とMPがほしいな。そろそろ戦いに余裕ができるだろうし、魔力優先の狩りをするのもよいかもしれない。
詠唱が完成した。10分くらいかかったのではないだろうか。戦闘中に使うのは難しそうだな。
「リバイブ」
光がマリアを包む。よくは見えないがシルエットが徐々に変化しているようだった。
光が収まると、四肢の欠損が治り、茶色のショートヘアの上に猫耳のついた、可愛らしい少女が現れた。
魔法の説明文にあった通り、減少したHPまでは回復していないようだった。ギリギリ残ったMPでヒールを詠唱する。
「うん。無事に治って何よりだね。HPは減ったままだからね。…ヒール」
これで元通り。マリアはぽかんとしている。周りを見るとミオもぽかんとしている。何にも説明していないからね。さくらは満足そうな笑みを、ドーラの目はマリアの猫耳にくぎ付けだ。
マリアは自分の体を見つめる。顔を触り、手を触り、体中を触っていく。
「あれ、しゃべれる。手もある。なんで…。もう死んじゃうんだとばかり…。うぇ、」
「うぇ?」
マリアが変な声を出した。顔が見る見るうちにクシャクシャになっていく。もしかしてこれ…。
「うぇええええええええん。びええええええええええ」
思った通り、マリアが泣き出した。マジ泣きだ。号泣だ。マリアはそれから10分近く泣き続け、泣き終わると俺の前に跪いた。何これ。
「えっと、マリア。そのポーズは何だ?」
俯いたままマリアが答える。
「忠誠を形にして示そうと思いました」
あ、やっぱりそういう意味のポーズでしたか。
「今まで、何も言えていませんでしたので、改めて言わせていただきます。私の名前はマリアといいます。仁様。私を助けて下さったこと心から感謝しております。今の私にできることはほとんどございませんが、せめて生涯の忠誠を捧げさせてください」
いきなり重いことを言うマリア。いや、生涯の忠誠って…。まあ、奴隷だから俺が解放しなければ、生涯奴隷なんだけれどさ。この時点でそれを受け入れちゃっているんだ、この子。
あ、ミオは犯罪奴隷だから、勝手に解放できないようになっていますよ。その場合は奴隷商に売ることになる。犯罪者を奴隷として買ってすぐに解放できたら、社会やばいよね。
「えーと、生涯の忠誠ということは、奴隷からの解放を望まないということか?」
「はい、解放を望むつもりは全くありません。あの傷で、いつ潰えていてもおかしくなかった命です。もし救ってくれるような人が現れたら、その人にすべてを捧げようとずっと考えていました。奴隷紋があろうがなかろうが、逆らうつもりなどありません。ですから、解放されることに利点がないのです」
確かに奴隷紋の有無にかかわらず言うことを聞くなら、解放されるメリットもないな。しかしこの子、言動の中にちらほら重いものが混じるな…。
「まあ、可愛い女の子から忠誠を示されて、嬉しくないわけないんだが…」
「可愛いだなんて…」
顔を真っ赤にして、心底嬉しそうな顔をするマリア。まあ、奴隷なんてやってたら可愛いなんて言われなれてるわけないよね。というか奴隷商にいた頃は、顔は基本隠してたしな。
「いいのか?実際俺がしたのは魔法を使っただけで、その魔法はそっちのさくらが作ったものだ。俺だけでしたことじゃないし、負担としてはさくらの方が大きかったはずだぞ。なのに俺に感謝してもいいのか」
実際に俺がしたのはリバイブの発動と、おまけのヒールだけだ。1番頑張ったのはさくらだろう。
「魔法を作る、というのがいまいち分からないのですが、まず奴隷として買ってくださったのは仁様です。そして、そちらのさくら様に治すよう頼んだのも仁様です。さくら様にももちろん感謝はしていますが、私を治すという意思決定をしたのは仁様です。ですから、私の1番の忠誠は仁様に捧げます」
このパーティの意思決定は基本俺にある。そういう意味ではマリアの考えは間違っていないのだろうな。ならありがたくその忠誠を受けとろう。
「わかった。マリア、お前の忠誠を受け取ろう」
「はい、よろしくお願いいたします」
そこまで言うとマリアは立ち上がり、手を組んで恋する乙女のような表情で言う。
「それにしても私の体を治す仁様のお姿はまさに神といった風情でした。片目が潰れ、半分しかその姿を見れなかったことが悔やまれます」
「あっ、神様には少し恨みあるんで、神様呼びは止めて」
「あっはい」
神様呼ばわりには釘を刺さないわけにはいかないよな。元の世界に神がいたのかは知らないが、この世界には本当に神がいる。そしてその神が嫌いな人間が神様呼ばわりされて気分がいいわけないよな。
とりあえず、奴隷2人の名前は紹介したし、詳しい話に入ろうかな。
「2人の名前を紹介したところで、少し詳しい話に入っていくぞ。ああ、まず最初に命令しておく、これから話す内容には絶対に秘密にしなければならないことが多数含まれている。誰にも口外するなよ」
一応最初に伝えておく。ミオはなんとなく察するかもしれないが、明確に宣言しておく方がいいだろう。
「はい、わかりました」
「そうよね、ご主人様たちどう見ても普通じゃないもの」
ミオ、それは酷いんじゃないか?異能もまだほとんど見せていない状態で異常呼ばわりって…。
「まずはもう1度俺の名前だ。進堂仁。進堂が名字で仁が名前だ」
「名字…。仁様は貴族なのですか?」
マリアが手を挙げて質問する。その扱いも嫌だな。
この世界では貴族しか名字を持っていない。だから、呼び方を仁とさくらに固定したんだ。
「違う。俺の故郷では全員が名字を持っていた」
「この町の住民ではないのですね。もしよろしければ、どこから来たのかお教えいただけないでしょうか?」
口外を禁止したんだ。言っても構わないだろう。
「異世界だ。召喚魔法によってこの世界に呼ばれた」
「仁様は勇者だったのですか?」
マリアが驚いたように言う。あれ?その話をミオとした時、マリアのもその場にいたような…。ああ、それどころの状態じゃなかったな。それにしても勇者か…。
「違う。神様呼びも、貴族呼びも、勇者呼びも禁止しておくぞ」
「も、申し訳ございません…」
少々怒気をはらんだ声でマリアに忠告する。
悪気はないのだろうが、さっきから呼ばれたくない呼び名を連発しすぎだろう。
「俺から言ってしまうけど、そっちの女子は木ノ下さくら。俺とさくらは、他の大勢の学生とこの世界に呼ばれた。だが俺たち2人は神から祝福がもらえなかった。異世界から来た祝福持ちが勇者だ。祝福のない俺たちは勇者ではない」
「ありゃ、勇者じゃなかったのか。ちょっと予想が外れていたみたいね。でもまあ、転移者だから同じか…。最初見た時からあまりにも日本の顔立ちのままだから、そうじゃないかと思ったのよ」
ミオは黒髪黒目だが、若干顔立ちが西洋風だ。整った容姿ではあるが、日本人的には若干の違和感がある。金髪碧眼とかが似合いそうな造形だ。
「二ホン、それが仁様の故郷の名前ですか。というかどうしてあなたはそのことを知っているのですか」
「おっ、次はあたしのターンね。さっきも言ったけど、あたしの名前はミオ。ご主人様と同じ世界で生きていたけど死んじゃって、記憶を持ったままこっちの世界に生まれ変わったのよ」
「生まれ変わり…。そんなものが実在するのですね」
マリアの言い方から察するにおとぎ話レベルでしかないのだろう。
この世界は転移だけでなく、転生も受け付けているようだ。探せばもっといるのかもな。
「転生者とはいえ、なぜその年齢で犯罪奴隷なんかになったんですか?」
「えっと~…」
さくらの質問に対し、すごい言いにくそうにもじもじする。俺に伝えた時は必死だったろうが、いざ冷静に考えると少し間抜けな感じもする。そりゃ、言いにくいだろう。
「手っ取り早く成り上がろうと思って、マヨネーズを広めようとしたら、この世界の人にとってマヨネーズの大量摂取って毒みたいで、中毒出しちゃったのよ…」
そんなことで鉱山送りにされそうになってたんだよな、コイツ。
「私の家はね、大して裕福じゃなかったの。というかどちらかといえば貧乏村の貧乏人って言った方がいいわね。で、いい生活したいから、簡単に作れて人気の出そうなマヨネーズをその第1歩としたわけ」
現代知識による成り上がりを目指したということだ。
「で、村人に振舞って、人気が出そうなら大々的に売るつもりだったの。結論から言えば村では人気だったんだけど、気に入って大量に食べてた人が倒れたの。マヨネーズ好きに倒れる人が続出したからね…私が配っていたのは知られているし、あっという間に捕まって犯罪奴隷よ」
マヨネーズはこの世界では毒で、しかも大量摂取しないと症状が出ないから味見だけのミオは無事だったようだ。
「毒を扱った犯罪奴隷はまず売れないし、この街に来たのも鉱山に送る準備みたいなもので、カウントダウン始まってたのよね…。ううっ、危ないところだった」
鉱山行きは致死率が滅茶苦茶高いらしく、すごいビビッていたそうだ。眠れぬ夜も過ごしたらしい。
「改めて言います。買ってくれてありがとうございます。誠心誠意ご奉仕しますから、可愛がってくださいね?」
茶目っ気たっぷりに言う。
俺は気になっていたことをミオに質問してみる。
「そういえば、享年何歳なんだ?こっちでは8歳くらいだが」
「うっ、女性に年齢を聞くのは失礼ですよ」
「いや、8歳くらいの女の子に聞くのは問題ないだろ」
今は8歳だから聞いても問題ない。でも聞いている年齢自体は年頃の女の子かもしれない。複雑だ。
「16歳よ。事故で死んじゃったの」
ほぼ同い年か。いや…。
「精神的には24歳か」
「足さないで…」
嫌そうな顔をするミオ。見た目8歳、精神年24歳、享年16歳。うん、わけわからん。
「さっきも言ったけど、料理には自信があるからね、任せておいて。それ以外にも家事は一通りできるわ。ちゃんと働くから、捨てないでね?」
上目づかいでそんなことを言う。可愛いので近づいて頭を撫でながら言う。
「捨てないよ。安心してくれ」
「あうえええ」
ミオが真っ赤になる。茶目っ気に対して真面目に返されるとうろたえるようだ。反応が意外と可愛いので撫で続けると、やっぱりドーラが寄ってきた。
《なでてー》
当然撫でる。幼女2人を撫でている間はこの世のあらゆるしがらみから解放されているような気分になる。これが神か。いや、神嫌いだけど。
ふとマリアを見ると、青い顔をしていた。
「料理…。出来ません。捨てられる…」
マリアは絶望的な声色でそんなことをつぶやく。料理1つで大げさな…。
「いや捨てないからな…、それにこれから覚えればいいんだから」
「は、はい。頑張ります。ミオちゃん、料理教えてください」
マリアの顔がすごく真剣だ。ミオも若干引きながらも笑顔で答える。
「い、いいわよ、ご主人様の奴隷同士仲良くしようね」
「うん!」
仲がいいのはいいことです。次はマリアのターンだな。
「マリアはどうして奴隷になったんだ。もちろん言いにくいならそう言ってくれればいいからな」
「いえ、大丈夫です。私は色々な獣人の集まった集落に住んでいたのですが、口減らしで、奴隷として売られました。輸送中の奴隷商が魔物に襲われ、囮として使われたときに怪我をしました」
なるほど。よく生きていたものだ。しかし、魔物にやられたとなると、戦闘に出すのは難しいか?
「獣人の勇者に心当たりは?」
「全くありません」
となると、生まれつきの勇者か?そういえばクラスメイトどもは「異世界の勇者」という称号だったな。何が違うんだろう?
「獣人の」とつく以上、他の種族にもいるのだろう。機会があったら探してみたい。奴隷として売られていたら衝動買いしちゃいそう。
「私自身に心当たりはありませんが、もし私が勇者であることで、仁様のお役に立てることがありましたら、何でもおっしゃってください」
そういうと再び跪くマリア。よく考えたらこの態勢、猫耳を相手に突き出す形になるんだよな。
ちょっと気になるから、ヘルプ先生に質問してみる。
Q:猫の獣人の猫耳を触ることに特別な意味ってあるの?
A:あります。猫の獣人の猫耳を触っていいのは同性の家族と恋人、夫婦。あるいは忠誠を示す相手だけというのが常識です。跪いて猫耳を突き出しているときは触ってもいいという合図でもあります。
どうやらOKらしいので、突き出された猫耳を撫でる。
「ふにゃっ!」
変な声を出すマリア。撫でて、揉んで、揉みしだく。
「ふにゃん、ふうにゃ、あふん」
気持ちよさそうだ。というか、凄く蕩けたような笑顔を見せている。これ、アカン奴だ。恋人、いや夫婦でもなければ絶対に見せちゃいけない表情だ。しかし俺は止めない。マリアが足をもじもじさせているがそれでも止めない。
一通り満足するまで撫でた。マリアはすごい表情のまま腰砕けになっている。さくらとミオとドーラは何も言わない。ドーラはよくわかっていないのだろう。さくらは真っ赤になっているが、実はガン見している。ミオは納得したような顔をしているから、獣人の習慣を知っているのだろう。
……えーっと、何の話してたっけ。ああ、勇者の話だ。ついでだから2人の仕事の話もしておくか。
「コホン。話を戻そう。マリアには勇者であることを求めるつもりはない。そもそも2人に求めているものを全ては説明していなかったな」
「料理じゃないの?」
ミオを買った第1の理由はもちろん料理だが、それだけではない。
「まず、俺たちは旅をしている。理由は後で伝えるが、遠からず、いや出来るだけ早くこの国は出ていく。で、2人にはその間の俺たちの身の回りの世話をしてもらう」
「旅ですか…」
マリアは自分とミオを見て少し不安そうにする。マリアが12歳、ミオは8歳。不安になるのも無理はない。一般的には旅に出るような年齢ではないからな。
「後、俺たちは冒険者ではないが魔物とは戦っている。2人にも戦いには参加してもらう予定だ」
「魔物との戦いですか…」
魔物に大けがをさせられたマリアが青い顔をして言う。この反応からすると厳しいかもしれんな。一応フォローを入れておくか。
「ああ、ただし安心しろ。これも後で話すが、お前たちも簡単には魔物に負けないようにしてやる」
元気付けるように言うと、マリアが安心したような顔になる。
「仁様が大丈夫というのなら、大丈夫でしょう。任せてください。魔物なんていくらでも倒してみせます」
これ、信頼って言葉で済ませていいのかな。具体的な話を何もしてないのに俺が大丈夫って言っただけで、青い顔どころか自信が漲っている顔になっているんですけど…。
盲信?あ、それっぽい。
とりあえず1回戦わせてみよう。ステータスがあるから酷いことにはならないだろう。細かい検証はそれからだ。
「魔物に負けないようにする。それが、ご主人様の『秘密』ですか?」
「ああ。じゃあその話を次にしようか。一応言っておくと、旅の間の世話と戦闘が2人の主な仕事だから、よろしく頼むな」
「はい、任せてください」
俺の指示に対し、当たり前のようによい返事をするマリア。ミオの方は…。
「あれ?よと…」
「シャラップ!」
ミオが余計なことを言いそうだったので、上から声をかぶせる。女子率80%(ドーラ含む)の空間で言うことではありません。
基本的に奴隷に主の意向に逆らう権利はないから、その気になれば何でもできるけど、それを仕事として明文化する勇気は俺にはない。
2人の主な仕事は、旅の世話と戦闘です。それ以外の細かい仕事は主人である俺が必要に応じて指示を出します。主な仕事にアレやコレの奉仕は含めません。
「2人の仕事との話はこれで終わりだ。次は俺たちに関する話をしていこうと思う」
「待ってました!」
ミオが元気よく言う。
「仁様のお話…。一言一句聞き逃しません…」
マリアはアレだね。少し愛の重い子なんだね。俺に受け止めきれるといいんだけど…。
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進堂仁
LV15
スキル:<剣術LV6><槍術LV4><棒術LV6><弓術LV5><格闘術LV5><暗殺術LV2><斧術LV5><火魔法LV2><水魔法LV2><風魔法LV2><土魔法LV2><雷魔法LV2><氷魔法LV2><闇魔法LV3><回復魔法LV2><呪術LV1><憑依術LV1><統率LV2><鼓舞LV3><魔物調教LV3><鍵開けLV3><泥棒LV4><恐喝LV4><拷問LV2><調剤LV2><身体強化LV8><跳躍LV4><夜目LV3><狂戦士化LV1><索敵LV6><固有魔法 new>「リバイブ new」
異能:<生殺与奪LV3><千里眼LV><無限収納LV-><契約の絆LV-><???><???><???>
装備:ゴブリン将軍の剣
木ノ下さくら
LV9
スキル:<棒術LV5><火魔法LV3><水魔法LV2><風魔法LV2><土魔法LV2><雷魔法LV3><氷魔法LV2><闇魔法LV3><回復魔法LV1><身体強化LV6><跳躍LV3><索敵LV1>
異能:<魔法創造>
装備:ゴブリン魔術師の杖
ドーラ
LV7
スキル:<棒術LV5><盾術LV3><竜魔法LV3><火魔法LV1><水魔法LV1><風魔法LV1><土魔法LV1><雷魔法LV1><氷魔法LV1><闇魔法LV><回復魔法LV1><身体強化LV6><飛行LV5><突進LV5><咆哮LV5><噛みつきLV4><跳躍LV3><索敵LV1>
装備:僧兵のバトルスタッフ、鋼の楯
ミオ
LV1
スキル:<料理LV5><家事LV4>
装備:なし
マリア
装備:なし
キャラを掘り下げるとどうしても説明回になってしまいます。主人公たちが一歩も動かない説明回がしばらく続きます。申し訳ありません。
20150912改稿:
修正(6)の内容を反映。