第64.5話 学術王国と学園祭
本当に短い短編です。ある種の一発ネタと言う奴です。
イメージとしてはアニ○イトとかのショートストーリシート的な長さです。
書くのに負担がなくて、ネタさえあれば書けて、キャラクターの設定を深掘り出来る素晴らしい題材です。
アト諸国連合には12の小国が属している。
しかし、一言で小国と言っても、当然その中には差が存在する。
ネイチュン学術王国は、アト諸国連合に属する国の中でも、最大規模の領土面積と人口を誇っている。
当然、ネイチュン学術王国の規模が大きいのには理由がある。
名前が示す通り、この国には多くの学者たちが集まるのだ。そして、この国には世界でも最大規模の『学園』が存在する。
『学園』は日本で言えば幼稚園から大学までの一貫校のようなものだ。様々な年齢、様々な種族の者が共に学んでいる。
研究室の類もかなり充実しており、各地から集まった優秀な頭脳を持つ者たちが鎬を削り、研究費の奪い合いをしている。
様々な学部、専攻があり、「魔法研究」、「魔法の道具研究」と言ったファンタジーらしいものはもちろん、普通の科学に近い「物理法則研究」のようなものもある。
エステア王国の迷宮専用アイテムの研究者たちも、この『学園』の卒業生がほとんどを占めている。
「お兄ちゃん、ネイチュン学術王国の『学園』に興味ない?」
親子丼を頬張っているサクヤからそんな話題が出てきた。
「何で急にそんなことを聞くんだ?」
「ちょっと、伝手があってね。今度ネイチュン学術王国の『学園』で開かれる学園祭の招待券が手に入ったのよ。代理で渡しても構わないものだから、お兄ちゃん達が行きたいのならプレゼントしようと思ったの」
そう言って取り出したチケットを俺の方に見せる。
「ふむ……」
異世界の学園祭か。普通に考えて日本の学園祭とは趣が異なるだろうな。
「観光を楽しみたいお兄ちゃんなら興味が沸くんじゃないかなと思ってね」
「確かに面白そうだよな」
「学園編!学園編が来るの!?」
ミオが嬉しそうにはしゃいでいる。
「もしそうなら私は迷わず家庭科部ね。料理で学園を征服するわ!」
「本当にできそうな辺りが怖いよな……」
そこにいる大国の女王が、既に征服されているのだから、小国1つ征服するくらい訳はないだろう。
「私は……行きたくありません……。学校なんて……」
「「あっ」」
学校でいじめられていたさくらが、異世界とは言え学校に行きたいと思うかは微妙なところだ。どうやら、さくらは異世界でも学校に拒絶反応があるようだった。
少し考えればわかることを完全に失念していた俺とミオが固まる。
「仁君、私のことは気にせず、みんなで楽しんできてください……」
「ふんがー!!」
-ビリビリ-
サクヤが手に持っていたチケットを破り捨てる。
「さっきの話無し!無しだからね!お兄ちゃんも何も聞かなかった!いい!?」
「ああ、もちろんだ」
「いえっさー!」
サクヤの男気溢れる行動に、俺とミオも迷わず頷く。
こうして、学園祭、もしくは学園編はお流れとなったのだ。
ぶっちゃけると『学園編の予定はないよ』と言う意思表示です。
ああ、クロード辺りは依頼か何かで行くかもしれませんね。
今回は1本ですけど、今後もやるとしたら数本まとめて投稿しないと短すぎますね。