日本で最も高く聳えて天国に近いと云うツインタワー
その高層ビルでは、ジンの銃撃が原因となった込み入った事件が起きた。
壁に弾丸が貫いた事からエレベーター故障が起きて事態が起きた。
それからは、僅かな可能性に掛けてビルからの脱出をした。
現在は、それから2日の時が過ぎた。
今は、学校の授業は終わってそれぞれの帰路へと向かっている途中。
他愛も無い会話が重なった状態で聞き通る。
勿論少年探偵団一同も他愛も無い日常の話題を繰り広げては、話している。
その後ろには、見ための年齢に会わず冷然とした態度を表示している小学生が二人。
実年齢が小学一年生ではないと云うのもあるが示す態度に駆け離れたものがあった。
「おお――うな重じゃねぇかよ!」
歩いている途中に間の抜けた歓声が耳に通じて不意に声の響いた方向へと振り向く。
一同が振り向いた矢先には、店の前に置かれたガラス棚の中のうな重の模造品に興味津々に見据えていたガキ大将がいた。
そんな他愛も無い光景を目にして一斉に呆れる。
”その光景”を見慣れて気疲れたのか肩の力を抜く。
「元太君…君はうな重の事ばっかりですね…」
「そうよ。元太君もうすぐ家よ」
光彦と歩美は、苦笑い混じりで元太に訴えかける。
元太の目の前に来て諭すような口調で呟く。
「いいんじゃねぇかよ。腹減ったんだからよ…」
自分の弱点を付かれた事を隠すかのように言い返す。
照れのせいか頬が赤らみを帯びている。
「でも、元太君給食沢山おかわりしたでしょ?」とか
「君は食いしん坊ですね」等々の他愛の無い言葉の投げ掛けを繰り返す。
そんな呆気ない姿を見据えているコナンは退屈そうに立ち尽くす。
(こいつら、本当に元気だよな)
微かに苦笑いを浮かべては、ため息をまじえる。ざわめいた少年探偵団一同を凝視して呆れた様子になる。
それからは、いつもの仕草でポケットに手を突っ込む。
「オイ、おめーら行くぞ」
なかなか対話を割り切らない少年探偵団に対して伸びた感じのない語調で呼び掛けをする。
虚ろな目をして退屈である事を表した態度に変える。
訳もなく不満足そうな態度にして通学路の道を通る。
コナンの言動に従うように続いて一歩一歩足を運ぶ。
「でも、灰原大丈夫か?お前言っていたじゃねぇかよ。『私には、席がない…』とか何とかかんとか……それに脱出する時だってお前車に乗るのを拒んでいたしよ…。どういう意味なんだ?『私には、席がない…』ってどういう事だ?」
歩いて間もない時に元太が何気なさそうに質問を訊ねる。
ストレートな問いかけをした元太に対して灰原は見据える。
暫くの間、唇を噛み締めて出る声を封じた状態にする。
一旦元太を視界内から見えなくなるように顔を逆の方向へと向ける。
顔の角度を斜め下に向けてうつむいた姿勢にする。
それから、口元を歪めて軽く『ふっ』と不意に声をこぼし自嘲する。
「別に何でもないわ。今は、私も気にしていないから大丈夫よ」
笑みを漏らした時と連続していつもの声のトーンで冷静沈着に語る。
それと同士に灰原の茶髪がリズム良く揺れるように靡く。清爽な風が流れるように吹き渡る。心地よさを実感する。
「あっ、コナン君…僕達、家此方だから……」
「おう。じゃーなおめーら」
仲の良い同級生同士の別れのような雰囲気でそれぞれの家路がある方角に別れる。
別れを済ませた後、一安心した安心感を持つ。肩の荷が下りた感じがする。
周りに会話が聞き取られないかの確認の為に四方八方見渡す。
何も無い事の確認をしてから念を押して小声で囁く。
「なあ、灰原…本当は奴等の事について…」
「ええ…」
コナンの囁いた言葉を遮って応答をする。
コナンよりも声をひそめて語調に震えが入る。
「彼らの事だから今、必死になって元の私を探している筈よ。しかも、あの時園子さんが私と同じ髪型にしていたから園子さんが…」
さっきよりも微妙に声のトーンを下げて話し掛ける。
「いや、まずそれは断じて有り得ねーだろ。脱出したあと、ジンは一切行動を起こさなかった。エレベーターが故障した時に気づいたんだよ。人違って事に…園子の行動範囲を見てあれは紛れもなく別人だってそれに園子を殺したいのならばもうとっくの昔に殺しているだろうしな」
分かりきった口調で語る。
その後に灰原の居る方向を一瞥する。
その瞬間に脳裏に幾度なく殺戮を繰り返していた黒の組織を浮かべる。
(でも、奴等は限りなく灰原を探し続けている。見付かるのも時間の問題だ。早く奴等をぶっ倒さなければならねぇ…灰原の為にも)
一旦落ち着くようにして毛利探偵事務所の方角に視線を送る。
――『生きて新一を待つ』
その決意を胸に刻んだ蘭の思いが鮮明に甦る。
――”蘭の思いを無駄には出来ない。”――
その決意を受け止めて思い浮かべる。
(あと、オレを待っていてくれる蘭の為にも絶対に奴等を倒さなければならねぇ。いや、黒の組織だけは、必ずオレが倒す!!)
コナンは歩みを遅くしてから一旦止まる。
「どうしたの?」
「いや、別に…何でもねぇ…」
何度目なのかこの日は強く誓った。
黒の組織を倒す。そして、待ち続けている蘭の為に、恐怖に怯える灰原の為に |