9話:VSマイラ(過去最低文字数♪)
青空の下。船の上。
食材は海で獲ればいい。
全員見事に同じ考えだったようで………
つまり、他の食料は積んできていない。
そんなわけで………
「絶対に魚を釣るぞ……」
シーフィスが皆に声をかける。
「ああ、当然だ……」
ティリはそれに返事を返す。
「釣れなかった奴は死あるのみにゃ……」
ナーエは恐ろしい宣言を下す。
「本気で参ります……」
シュヴァは怖いぐらいマジな目をしている。
あれか、そんなにタコが嫌いか、お前達。
俺も一応、のーんびりと釣り糸を垂らしているが……。
お、糸が引いた。
竿を引っ張ると、ピチピチとした魚があがった。
大きさは20センチと少し。『スレーナ』という青魚で、煮ると最高に美味。
レストラン等では、スレーナの煮物は人気商品である。
俺はスレーナをバケツに入れる。結構ウキウキするな。
まだ他のメンバーは釣れていない。俺は一番か。
俺は全員からもの凄く睨まれている。
今の所の釣りの成果は……
シーフィス……0。
ティリ……0。
ナーエ……0。
シュヴァ……0。
俺……スレーナ8匹、『トロメ』(白身魚。刺身にするとプリプリしていて美味い)10匹、『クシィン』(ハーブ焼きにすると香ばしくて美味い)6匹。
……何故だろうな。運がいいんだろうか。
「クロ、お前……最低だな」
シーフィス……そんな事言われても……釣れてしまったものは仕方がないし。
「にゃああああああ!!!」
ナーエ? 海に飛び込んで何がしたいん……海!?
「『マイラ』がっ、にゃあああああ!!」
マイラ……大きい物は体長20メートルにもなる魚だ。釣られたのか、ナーエ。
「ちょっ……マイラって肉食だったよなぁ!?」
「た、大変です……!」
ティリとシュヴァは焦っている様だが……しかしそんな事を言いつつお前達、目が輝いているぞ。凄く。確かにマイラは身が引き締まってて美味いが。
ティリが魔導の詠唱を始めた。
「大いなる風の精霊よ……我が前に姿を現せ……!」
召喚魔導。それは精霊魔導のパワーアップバージョンみたいなものだ。
巨人系の魔導が一番これに近い。……確かに強いが、魔力消費も馬鹿にならない。
ティリ、こんな大変な魔導使えたのか?
美しい風の精霊が現れる。
具体的に説明すると、碧の髪をした女性だ。優しそうな顔をしている。
『お呼びですか?』
風の精霊が澄んだ声で、ティリに話しかける。
「あのマイラを倒してくれ」
『分かりました』
精霊はマイラの元に……向かう前に消えた。
「……やっぱり無理だった……」
倒れたティリ。……ああ、見栄か。
ティリが倒れる寸前に、シュヴァが海に飛び込んでいた。武器も持たずに。
シュヴァはマイラに近づき、まるで飛魚のように水面を跳ねた。
そしてそのまま、マイラの頭に踵落としを繰り出す。
「はぁぁぁぁ!」
ズゴォン!!
巨大な鉄球を空高くから落としたような……そんな凄い音がした。
……そういえばあの蹴り、銀製のナイフも砕いていたな。
マイラを倒した! ちゃららちゃっちゃらーん♪
「今日はマイラ尽くしか?」
特に……というか何もしていないシーフィス。
「助かったにゃん……二つの意味で」
ほとんど襲われただけのナーエ。
「あー疲れた……」
頑張ったかもしれないが役に立たなかったティリ。
「鍋でもしますか?」
一発でトドメをさした貢献者シュヴァ。
ナーエとシュヴァはまあ……いいとして。
俺は男二名の襟首を掴んだ。
「む?」
「へ?」
シーフィスとティリが不思議そうに振り向く。
その時、俺の顔はさぞ悪魔の様だっただろう。
俺の口が動く……
『無貢献のお前等はこっちでタコ三昧だ』
ティリとシーフィスは、青褪めた顔どころでは無かった。
まあ……昼飯時に俺の笑顔と男二人の泣き声と女二人の哀れみの表情が絶えなかったのは言うまでも無いだろう。
ああ、俺の釣った魚と残ったマイラは晩飯です。 |