パーティはのんびり旅します。(8/53)縦書き表示RDF


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パーティはのんびり旅します。
作:摩璃藻



8話:VSパルゲーゼ(タコタコ嫌がらせ♪)


 「運転は問題ありません。私操舵術特級ですから」
 の一言で出発した俺達。
 今操舵室にいる彼女、シュヴァレイン……愛称シュヴァ。
 美しい金髪に、整った顔、抜群のプロポーション。道を歩けば振り返らずにはいられないだろう美女だ。
 しかし船旅って優雅だな。潮風が気持ち良い。まだ動いていないが。
 「はうっ………ダーリン格好良いにゃ〜ん……」
 悶えているナーエは置いといて。
 「ところでどこへ向かうのです?」
 シュヴァが聞いた。そう、それだ。

 俺はシーフィスを指差す。寝ていた。
 「……クロ、何でシーフィスなんだ?」
 ティリが聞く。
 『一応リーダーだからだ。シーフィスに従わなければ』
 「マジか!? クロの方がリーダーっぽ……いや、クロもリーダーには見えねえけど……」
 ティリはうーんうーんと唸り始めた。
 シュヴァは俺を見て、不思議そうな表情をする。
 「……何故、喋らないのです? 私も読唇術は使えますが……何か、呪いか病気にでもかかっていらっしゃるのですか?」
 …………それはちょっと言えない。その純真な疑問が痛い。
 「おれも知らない。教えたくねえってさ」
 考えるのを放棄したティリが言った。
 『病気や呪いの類ではないから安心してくれ』
 やはり口パクで伝える。
 「……? 別に良いのですが……」
 喋りたくないだけだしな……。

 「ああ、そういえばシーフィスさんを起こして頂けますか? 行き先が分からないとどうしようもありません」
 …………俺は嫌だ。シーフィスを起こすのは昔から嫌いだ。
 『ティリ、頼む』
 「? 別にいいけど……。おーい、シーフィス、起きろ」
 ティリがシーフィスの体を揺さぶった。

 「………んぅ……………ゃぁぁ………」

 …暫しの沈黙。これだからシーフィスは……。起こしにくいったらありゃしない。
 「……あー、シーフィス?」
 ティリが改めて起こそうとする。

 「ふ……ぇ?」

 シーフィスが目をこしこし擦る。上目遣いでティリを見つめた。
 「…………っこれ以上は無理だぁぁぁーっ!!」
 青褪めた顔のティリがシーフィスから離れて、俺に助けを求めた。……やれやれ、往生してても……なあ。

 『起こすから、下がってくれ』
 「あ、ああ」
 ティリが答えた。
 『後、縛り系の魔法を詠唱しておいてくれ。全員。出来れば魔力も封じるやつも』
 「わかった」
 「わかりました」
 「わかったにゃん」
 俺は詠唱を始めた3人を確認してから、シーフィスの顔に自分の顔を近づける。骨は拾ってくれよ。

 シーフィスの頭を思い切り殴り、目を開かせる。
 シーフィスが何か言う前に俺は口を開いた。

 『し』『ら』『が』

 ゆっくりと確実に。
 そしてダッシュで逃げた。
 シーフィスの瞳が金の輝きを宿す……。
 「……誰が白髪だとおーっ!?」
 シーフィスが怒った。怖っ!
 「ウィンドマジックチェーン!」
 「ブラッディマジックリボン!」
 「ダークマジックチェーン!」
 魔法名に『マジック』などという呪文を付けると補足効果が生まれる。ちなみにこの場合は、対象の魔力を抑える。
 切れたシーフィスでも、流石に3重なら。
 「があああああ!!!」
 『すまん』
 シーフィスが暴れる。さして被害はない。凄い腕だな、この三人。
 「次はどこの大陸に行くのですか?」
 シュヴァが聞いた。
 「………はっ? ゆ、夢か? ……ああ、『レムネ大陸』」
 「わかりました。後は船に指定しておけばほぼオートです」
 この船、魔力船だったのか。レムネ大陸といえば……
 確かクレープが美味いらしっ………俺は何も言っていないぞ? 考えていないぞ?
 こんな感じにのどかに、船は進む。

 ……筈だったが、まあそういう事は無く。

 大きなタコ形モンスター、『パルゲーゼ』が現れた!

 コマンド?
 →ぶっ殺せ♪
 →ぶっ殺せ♪
 →たーこ焼き♪
 →美味しいぞ♪

 そして食神と化した俺は、問答無用で2本のナイフを投げる。
 俺のナイフ投げの腕前はなかなかに素晴らしく、両方の目に当たる。
 『キョゲェェェェェ!!』
 たこ焼き(もうそれにしか見えない♪)が悲鳴をあげる。うんうん、活きが良い方が美味いよな。
 俺はタコが大好物……というわけではなく。
 いやまあ俺は、この世界の人としては『珍しく』、タコが結構好きなのだが。
 「……た、タコか……」
 シーフィスの顔が引きつる。タコは人気がほとんど無い。まず皆無に近い。好きなのはマニアのみ。
 「……おれ、パス……タコって不味いし……」
 ティリは顔を青褪めさせる。タコは見た目もだが、味と触感の方が人気が無いのだ。戦おうとする冒険者は物好きだけである。
 「にゃっ……た、食べごたえがありそうにゃ……♪」
 ナーエはかーなーり、無理してるな。俺の眼が輝いているのを敏感に感じ取ったのだろうか。
 「私……あれとは戦ったり食べちゃいけないっていう病気なんです……」
 シュヴァは無理矢理な言い訳をする。色んな所をまわったが……未だかつてそんな病気、見た事無いぞ。
 俺が目を輝かせた理由? そんな事、決まっている。
 ……ふっ、『嫌がらせ』だ。

 俺はちゃんと直した愛銃、ラックを構えた。
 目の上が弱点だったな。
 しっかりラックを抑え、撃った。

 ドゴン。

 俺はラックに改造を施した。ちゃんと使えるように。
 右眼の魔力がそれを可能にさせた。
 ラックは『運試し銃』ではなく、『魔法銃』になった。
 ランダムで属性の違う攻撃魔法が出せるようになったのだ!
 さっきのは風だったらしく、タコの目の上に風穴が空く。
 タコが流れていくのを防ぐため、鎖は伸ばせたらしいナイトクロスの短剣の方を、タコの体に突き刺して……捻った。これで外れない。

 それから俺は4人の方を向き、にやりと口角を吊り上げる。
 俺の口は、こう動いていた……
 『今日の飯はタコ三昧』
 4人は頭を抑え、青い顔で俯いていた。


 クロさん? 彼はサドです。ええ。
 「町」ネタ大募集〜! よろしくお願いします。











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