パーティはのんびり旅します。(50/53)縦書き表示RDF


 かなり遅い番外編ですが、楽しんでいただければ幸いです(汗)
パーティはのんびり旅します。
作:摩璃藻



番外:15年後


 隣が非常にウザイ。

「ダ〜リ〜ン♪」
「何だ」
「にゃ。ちょっと冷たいにゃあ〜……ぷん。あい どんと らいく だーりん! にゃ」
「me,too」
「にゃ!? ごめんなさいにゃああああ!」

 母親がウザイ。

「……もうちょっと静かにして。煩い」

「ナーエに言え」
「にゃ!? じゃあこの迸る愛をどこにぶつければいいのにゃ!?」

『谷』

「……ダーリンと本当にそっくりにゃ」

 ったく。それからそっくりじゃない。

「とーさーん! かーさーん! 愛しき妹よー!」

 ……嗚呼。
 もっとウザイのがいた。

 私の兄。
 名前はナイト。

「元気かー!?」
「暑苦しい」

 私は、抱き付いてきた兄に言う。
 でも、兄のこの金髪と、青い瞳は嫌いじゃない。
 ……ミツアミはどうかと思うけど。

「兄さん、姉さん」

 弟、リオが言った。
 猫耳に尻尾、黒い髪、青い瞳。
 この親から生まれたとは思えない大人しさである。
 顔は、父を優しく……可愛くした感じだろうか?
 どっちにしても、何か、両親二人や兄弟とは少し違う。

「おおっ、愛しの弟よー!」
「うわわっ」

 兄がリオに抱きついた。

「アハハっ、ねえねえ皆でお昼寝しない!?」

 妹、クレネが言った。ちなみにリオと双子だ。
 金髪に黒目。でも顔つきは父。
 目が鋭い。
 でも明るくて可愛い、と、思う。

「俺は眠くない。お前らは寝てろ」

 本当に父親か? お前は。

「……父親をお前呼ばわりする娘もどうかと思うが」

 はっ。口に出してた。

「ダーリン、そろそろ行くにゃ〜」
「? ……ああ、そうか」

 父が立ち上がる。母はその腕にくっついている。

「行く〜!」
「おー!」

 まったく、クレネと兄は元気だ。

「待ってー!」

 リオはなんか可愛い。

「ふー」

 本も一段落したし。
 私は立ち上がった。



「いらっしゃい」
「久しぶり、おばちゃん!」

 兄がシュヴァさんに喧嘩を売った。

「うふふふふ、そんな心にもない嘘つくのはどのお口?」
「いひゃいいひゃいいひゃい!」

 頬を抓られる兄。自業自得。
 これをいつもやっているのだから、本当に阿呆だ。

 ……シュヴァさんは、私の憧れでもある。
 何でも出来るし、美人だし。

「褒めても何も出ませんよ?」
「俺とナーエから生まれた事が失敗だったな」

 ……。また口に出してた。

「シーフィスは寝てますよ」
「よくあんなに寝れるよな……」

 それは私も思う。
 父は家に入って行き、リビングの、シュヴァさんの夫である……シーフィスさんの寝ているソファに辿り着いた。

「おい」
「…………ぅ、んん…………」

 変わらないなあ。シーフィスさん。

「おい」
「…………は、ぁっ…………」

 何度も蹴っているけど、起きない。
 ある意味凄い。
 この人顔はいいのになあ。

「……」
「止めてくださいね」

 父がシーフィスさんの首元に短剣を持っていく。

「死にはしない」
「死にますよ。起きてください、シーフィス」

 シュヴァさんが、シーフィスさんの腹に踵落としをかました。
 凄い音。

「ぅぐおぁっ!?」

 滅茶苦茶苦しそうな声。
 アーメン。

「……こ、殺す気か?」
「いいえ」
「死ねにゃ」
「表でろや」
「上等にゃ」

 生きてた。
 相変わらず、母、ナーエとシーフィスさんの仲は悪い。

 その時、玄関の鈴が鳴った。

「こんにちは」

 入ってきたのは、青い髪に緑の瞳の、男の人。
 ベルさんだ。

 ……誰にも言わないでよ。
 私の、好きな人だ。

「ハッ」

 うぐ……我が父ながらムカツク。

「今日はフィアちゃんの誕生日だよね」

 フィアっていうのは、シーフィスさんとシュヴァさんの娘だ。
 私の親友でもある。

「フィアちゃんどこにいるの?」
「引きこもってます」

 ……フィア。あれさえなければ、凄く良い子なのに。

「自分の事を祝ってもらうのがこの上なく恐ろしすぎるそうです」

 超ネガティブ&ひきこもり体質&加害妄想被害妄想。
 あれさえなければ、って割に多いけど。

「一体誰に似たんだろうな」
「よく寝るところは貴方にそっくりですけどね」

 確かに。親子だよな。

「じゃ、フィアちゃん呼んできまーすっ!」

 兄が、二階へと駆け出した。
 あの奇跡的な鈍臭さは筋金入りだから、絶対に途中でこけるだろう。

「うぎゃっ!」

 ほら。
 まためげずに走り出したみたいだけど。

「大丈夫かな、ナイト君……」
「死にゃしないだろ」
「やっぱ兄さん似だよねー」
「ほっとけ。っていうか、俺はあんなに阿呆じゃない」

 頭は母さんに似てるな、確かに。

 呼び鈴が鳴った。

「わりい、遅れた!」
「フィアちゃん誕生日おめでとう!」

 ティリさんとファニーナさんだ。
 ティリさんは赤い髪に茶色い瞳の青年で(背は低い)、ファニーナさんは金髪黒目の女性。
 二人も結婚していて、息子さんが二人居る。
 どうせまた、シルヴァさんに悪戯しに行ってるんだろう。

「いでぇええええええええ!?」

 やっぱり。

「たっだいまー」
「おっなじくー」

 赤毛黒目の青年二人。とてもそっくりな双子さんだ。
 よく右眼をつぶっているのがディルさん、よく左眼をつぶっているのがディスさん。

「シルヴァくんに何やってんだ!? お前等そこに直れ!」

 ティリさんが怒った。
 見た目は、ディルさんディスさんにそっくりだ。三つ子にも見える気がする。それは、彼がホビットだから。本当にそれだけ。

『しゅーん』
「……大体お前等はいつもいつも! 俺とファニーナは何人に謝らなきゃいけねえんだ!? いい加減にしろ! シルヴァ君も被害にあう人も可哀相だろ!? もっと人の気持ちを……」

 正座させられてる……。

「いつもいつもすいませんわ。うちの息子が」
「いえ、いいですよ。シルヴァも近頃生意気ですし。反抗期ですかね?」
「あいつはいっつも生意気だろう」
「それもそうですね」
「まあ、お灸にもなるかもしれんし」
「でも、これもいつもの事ですけど」
「その内」
「その内」

 会話がまとまった。怒ってないな、二人とも。

「よっ、元気かお前ら!」

 赤い髪に白い目の女の人が入ってきた。
 シェンラさんだ。

「今日も可愛いなあリオ! 流石俺が名づけた子っ……」
「無理矢理だろうが」

 シェンラさんはリオが大好き。
 確かに可愛いとは思うが、これは行きすぎだと思う。
 リオに抱き付こうとしたシェンラさんの頭に、父の蹴りが直撃した。

「昔のお前はこんなふーに可愛かったのに……ちょっぴり舌足らずな発音で「しぇんらぁー」だぜ? あー、萌」
「気持ち悪いにゃ。大体同い年だったにゃ」

 悦に入ったシェンラさんに、母のつっこみが入る。
 リオはよく分かってない。

「久しぶりだねー、シェンラさん」
「あー……可愛いなあリオっ」
「むー……。可愛いって言わないでよ。僕だって男なんだからっ」
「……ああああああーっ、萌えっ!」

 リオにシェンラさんが抱き付いた。
 まあ確かに、可愛いとは思うけど。恐るべし、リオ。

「ま、待って下さいぃ……」
「はーやーく。今日の主役だろー」

 兄、ナイトに手を取られて、フィアが姿を現した。
 白い髪に翡翠色の瞳をした彼女は、贔屓目無しでも、どこか儚げで、凄く可愛いと思う。

「ぅううううううう……」

 後ろに、ぐったりとした、兄と同い年の彼、フィアの兄、シルヴァさん。
 緑の髪にオーシャンブルーの瞳。
 頬に洗濯ばさみの跡がある。フッ。

「畜生……ディル、ディス! お前らだろ!」
『モチ☆』
「『モチ☆』じゃねえよ! ブッコロス!」

 シルヴァさんが両手を上げた。黒い球体が生み出される。
 詠唱も呪文も無しで、よくこんな高等魔法使えるな。

「はああああああああ!」
「はいはい」
「がはっ!?」

 シュヴァさんがシルヴァさんの腹に肘を入れた。
 やっぱりシュヴァさんは最強だと思う。

「誕生日おめでと、フィア」
「あ、ありがとうございます……」

 兄とフィアは何か微妙に二人の世界だ。
 ……フィアの片思いだけど。

「……ぅ……はっ! おい、ナイト! フィアに何してる!? ラヴんな!」

 いつも通りシスコンだな、シルヴァさん。

「フィアに失礼だろー。俺はそんな気無いしさ。友達だよ」
「あっ……ぁぅ……」

 憐れフィア。兄が鈍くてごめん。

「誕生日おめでとう、フィア。生まれてきてくれて、ありがとう」
「おめでとう。俺達を選んでくれて、ありがとう」
「……ありがとう。パパ、ママ」

 当たり前だけど、家族って感じがする。
 私の誕生日の時なんて、親は忘れてるのに。

「おめでとうにゃ、フィアちゃん。髪の色さえ違ってれば素直に喜べたのに―――」
「おめでとう。うちのガキとは凄い違いだ」
「……あ、ありがとうございます……」

 悪かったな、可愛げのカケラもないガキで。
 フィアもちょっと困惑している。

『ハッピーバースデーフィアちゃん♪』

 ディルさんとディスさんがそう言うと、フィアの手に花束が現れた。
 ちなみに魔法ではない。ディルさんとディスさんは、魔法より剣、剣より手品が得意なのだ。

「わ……ありがとうございます。なんて言う花ですか?」
「カラーっていうんだ」
「花言葉は【敵意】♪」

「……え?」

「ちょっ、そんな顔しないでよ!」
「冗談だって! 本当は、【乙女のしとやかさ】【すばらしい美】【夢のように美しい】だよ」
「えっ!? そ、そんな大層な……あ、ありがとうございます」
「ま、ホントは花束とかじゃなくて、切花とか生け花とかに使うんだけどね」
「フィアちゃんに似合うと思ったから、わざわざこれにしたんだよ〜」

 笑顔のディルさんとディスさん。つられてフィアも笑った。

「今度はお前らか!?」

 ……シルヴァさん……。

「おめでと、フィアちゃん」
「誕生日、おめでとうございますですわ」
「はい、ありがとうございます。ティリさんにファニーナさん」

「おめでと!」
「おめでとう」
「ハピバ、フィアねーちゃん!」
「ありがとうございます、シェンラさんリオ君クレネちゃん」

「おめでとう、フィア」
「ありがとう、お兄ちゃん」

「誕生日おめでとう、フィアちゃん」
「ありがとうございます。ベルさん」

 丁寧だな、フィア。

「おめでとう、フィア。我が親友よ」
「わ、我が親友って……。ありがとう、クロス。これからも親友でいてね?」
「ああ。勿論」

 ……クロス? 私の事だ。
 父親と被るのが気に入らん。後、何か男みたいだし……。

「……つくづく、親め……」
「何が気に入らん」
「全てが」
「愛してるぞ?」
「鳥肌が立つ」
「俺もだ」

 父親とのやり取りが殺伐すぎると言われるが、こんなもんだ。思春期の娘なんて。

「あ、愛してるって……アタシも言われた事にゃいのに……」

 ……憐れ、母。だからって娘に嫉妬してんじゃねえよ。

 後二日で、私とフィアは魔法学園の中等部に。兄とディルさんとディスさんとシルヴァさんは高等部に。リオとクレネは小等部に入る。
 中々、楽しみだ―――。


 ……微妙にグダグダ?
 機会があれば、また書きたいですねー。











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