5話:VS大剣士(仲間なし♪)
黒い海賊のような眼帯で生活する事を決めた。
「にゃ〜ん☆ 格好良いにゃん! 惚れ直しちゃうにゃあ〜」
ウザっ…………俺はナレーター感情はない俺はナレーター感情はない…………よし。
「ダーリンにならちょっと荒い方法で抱かれても文句は言わないにゃん…………でもやっぱり優しくしてほしいにゃん、だって女のコだからにゃんっ……ほぐぅっ!」
思わずぶん殴ってしまった。最近は感情が表に出やすくなっている。気をつけなければ………
「イチャイチャするのはいい加減にしろよ……いでっ!!」
思わずラックで殴ってしまった。誰がイチャイチャしてんだ。
「わ……わるかっ……だからナイフつきつけるのを止めてくれ!」
む、手が勝手に動いていたようだ。段々俺の体の制御がきかなくなってきている。
「ん……むぅー……朝から……うるさいぞ……」
シーフィスが起きてきた。
「ついにダーリンと一晩を共に……にゃん」
シーフィスとティリも居るっての。
俺は全員の目の前に『紙』を出す。
「紙? えーと……『強者募集! 〜集え冒険者〜 パーティで協力して頂点を狙おう 興宴戦大会 優勝商品は豪華船』……この大会に出るのか?」
説明感謝するぞ、ティリ。
「成程……俺とクロはこの大陸全土、粗方まわったしな。船で他の大陸に行ってもいい頃合だ」
「そうなのにゃ?」
「マジか!?」
ちなみにこのサーノフレル大陸はそれなりに広さがある。シーフィスと俺が出会ったのは隣の大陸『クク大陸』(凄く小さい)。クク大陸もまわり終わったけど。
七年かけてまわり終わったこの大陸そして国。離れる時がやってきた。
思えばミルフィーユが美味かっ…………未練が残るような真似は止めるんだ、俺。
「会場も近いしな」
「船にゃ〜……泳げないけど大丈夫かにゃ?」
「運転どうすんだ」
ティリの一言に全員固まった。
「次の……会場のある町って大きい港町だし、他の大陸の文献ぐらいあるだろ。俺がそれ見て適当な町にウィンドテレポートすれば……」
「その案は却下だ」
皆シーフィスを見る。
「何でにゃ?」
「船旅は冒険の醍醐味だろう」
ティリとナーエが固まった。俺はシーフィスがそう言う事を予想して、この大会に出る事を持ちかけたわけだが……
「クロ、お前も船派だろ」
俺は頷いた。
「何でだ? クロってなんか、楽っていうかこう……安全度が高いとか、確実なのを選びそうっていうか……」
まあな。
しかし船旅には、かなり良いメリットがある。
『海賊狩りは懸賞金が高い』と口パクで伝える。
「………」
ティリはまだ納得がいかない様だ。
『高い魔具も楽勝で買える』
「よし出場するぞ」
安全より確実より、目先の欲望。
詳しい説明を見た。
大会はトーナメント方式で行われ、パーティでの参加が義務付けられている。
しかし一人でもパーティと言えるので、不利になるだけで言い張れば出れる。
戦闘方法は戦う者達で決める。一人づつでも全員でもどちらでも良い。
ただし、奇襲や決めたルールに従わなかった者については、負け。
力づくで押し通そうとしても、会場全員が敵であるからして、無理だ。
戦闘場はプールで囲まれており、落ちると負け。
八組が参加するらしい。意外に少ない。
何か強いパーティが参加するそうで、勝ち目が無いと沢山のパーティが危険したらしい。
ちなみに俺達は当日飛び入り参加。なのでいきなりの戦闘。
二十代前半らしい、一人の男性だった。大きな大剣を担いでいる。
「さて、どうする? アンタら全員でかかってきてもいいぜ」
それより人目が気になるな。いっぱい居るし。
「友達居ないのにゃん?」
ナーエが同情っぽく男を見た。
「う、うるせぇ! 俺様は強いから、仲間なんていらねぇんだ!」
強がりか。
「寂しいな」
シーフィスが呟いた。
「黙れー!」
シーフィスに悪気はない。
「可哀想だな……」
ティリが本気で同情した。
「……」
微妙に感動してるし。同情されるって悲しくないのか? 一人の気持ちは分からない。
男が俺を見る。
同情待ちか? まあ、俺は喋らないので……
鼻で笑ってやった。
「ぬあぁぁぁぁ!!」
俺に斬りかかってきた。俺は本心を精一杯伝えようとしたつもりだ。
咄嗟に避ける。男は振り下ろした大剣が、大理石の床から抜けないらしく焦っている。
「クロ、男はお前との一騎打ちを希望しているぞ」
待て待て、今のは奇襲じゃないのか?
「挑発、つまり一騎打ちに納得したと見て、只今の行動は戦闘開始の合図だと認めよう!」
司会者が言った。そんなのありか。
俺はようやく出番のまわってきた『ナイトクロス』を構える。
……怪しい店で買ったあれだ。黒い短剣。
鎖と十字架は取りはずせるらしく、今は短剣のみだ。
やっと抜けた大剣を振りかざし、男は俺に攻撃を仕掛けた。
動きは意外と素早く、俺は避けるのに必死だ。
…………やばいな、俺は体力が無いのだ。
もう息が上がってきた。
「オラ、どうした!? 動きが鈍くなっているぜ」
とりあえずナイトクロスを振ってみる。
ドゴっ!!
俺も驚いた。
男は咄嗟に避けた様だが、驚愕の表情を浮かべている。
男がさっきまでいた場所に、クレーターが出来ていた。
…………なんて物買ってしまったんだ、俺。
恐らく膨大な魔力が込められてるんだろうが……それにしたって使いにくいな、これ。
使い方を見直す必要がある。下手に使用すれば死亡するだろ。
男は危険だと判断したらしく、距離をとった。
ナイトクロスをコートにしまう。今は使えない。
男はすぐに来た。眼帯をしている、俺の右の方を狙ってきた。
ナイトクロスの魔力で体力が回復している俺。しかしそれもすぐに無くなる。
避けるが、剣が右頬を掠った。その拍子に眼帯の紐が切れ、金の瞳が露和になる。
ざわざわと客席がどよめく。男も驚きを隠せていない。
今度は俺が距離をとった。
すると、俺の髪とコートがなびき始めた。
体中から光が出る。ずっと魔力を発動させていなかった分か、ナイトクロスの膨大な魔力のせいか。
とにかく俺の漏れ出した魔力が、他の魔術師、魔導師、魔法使い達にも影響し始める。
ティリとナーエもしかり。
「うわっ」
「にゃっ」
膨れ上がっていく魔力。しかし魔法使い達は慣れているのだろう。すぐ何かの詠唱を始め、魔力を抑えていく。
だが、俺は。
俺の足元に大きな魔力封じの魔法陣。おそらく大会の責任者などが俺を危険だと判断したのだろうが、すぐに消える。
俺の魔力が巨大すぎて、追いつかないのだ。
俺も止めようと必死だが、どうにもならない。
………運試しだ。
ラックを抜き、空へと構える。
魔力銃であるラックはすぐに俺の魔力を吸い、反応し始め、銃身は光り始める。
威力の低いもの出てくれよ、と祈る。
打った。
バシャア、と水が出た。噴水っぽい。
量が尋常ではないが、広い範囲に渡って出たので、雨のように降り注ぐ。
男は足を滑らせ、プールに落ちた。阿呆か。
俺はその場に座りこむ。
あー怖かった……焦った……
久しぶりだな、こんな感情。
「ウィナー! 『ダーリンとアタシとその下僕にゃん☆』パーティ!」
司会者が言った。
「……ナーエ?」
ティリがナーエを睨む。シーフィスは気にも止めず、男を突いていた。 |