40話:VS山賊(何様俺様王子様♪)
王子の護衛を任されました。
「アウスレグ=ファイナーションです」
「よろしく頼むよ。この紹介状を持っていって向こうの城の兵に渡してくれ。報酬を貰えるから」
……俺達は、この依頼を受けた事を存分に後悔する事になる。
王子様は十三歳茶色い髪に青い瞳、活発そうな顔つきをしている。
そして、その表情は……城を出て少しした森の中で、ベールがはがされた。
「あーあ、何でこんなシケた奴等に守られなきゃいけないワケ?」
王子様のその言葉は、パーティの表情を凍りつかせるには十分だった。
「……申し訳ありません。何分この道には、A、Bランクのモンスターがごろごろといますので。城の兵士ではかないません」
「それにしたってもっと強いパーティ居たんじゃねえの? 父上ももうちょっと考えろよなー」
……俺の拳の震えよ、治まれ。
いやまあパーティ全員同じような状態になってはいたが。
「疲れたー」
王子様が不満を漏らした。
「誰かおぶれよー。あーるーけーなーい」
こ、コイツ……
残念ながら、俺はそんなに気が長い方ではないぞ。
王子は座りこんだ。
「歩かないとつきませんよ。私達とは一緒にいたくないんでしょう?」
「何だお前、喧嘩売ってんのか? 王子様の命令が聞けないっていうのか? 縛り首にしてもいいんだぞ」
我慢だ我慢! 報酬報酬!
……シーフィスとシュヴァでさえ青筋浮いてるぞ。
「あ、お前は助けてやってもいいけどな」
王子がシュヴァに向かって言った。
「乳でかいし」
シーフィスの目がうっすらと金色の光を帯びた。
ついでに……おい、耳。耳隠せ。
えーと、あの後、力が強くなったナーエは、シーフィスの呪いをほぼ完璧に解いた。
ただ、理性はそのままで狼になるかもしれない、らしい。
他人を傷つけるのだけは嫌だとシーフィスが言って、ナーエがその部分を集中的に押さえつけたところ……体力の減少と、理性が飛ぶ事はなくなった。
しかし、シーフィスが望めば一時的に狼になれる事、それから怒ればなるかもしれないそうだ。
「……マセガキが……」
シーフィス、こえーよ地味に。
「……世間知らずのクソガキ……」
ナーエ。語尾語尾。
「……ウザイ」
ティリが見た事もない表情に……
「……暗殺……」
ベル。ヤバイ事言うな。
「……ふふふ」
シュヴァ、その笑い声が怖い。
俺も勿論イラついてますが。
しかし王子はまったく気付いていないらしい。
「なあ、お前女?」
「……おれは男だ」
「敬語ぐらい使えよな」
「……」
「お前胸ねえな?」
「……ほっといてくれませんかにゃ?」
「語尾変だな。絶対もてねえよ」
「……」
「年上は敬えよ」
「……そうですね。非力だから何も出来ませんよ」
「ちっ。役立たず」
「……」
「なあお前、髪」
俺は、シーフィスに放たれようとした言葉を止めようと、思わず王子の口を抑えた。
「むーむーむー!」
王子は暴れた。
もう抑えっぱなしで行こうと決めて、俺達は歩いた。
王子はとりあえず大人しくなり、俺に抱きかかえられている。
ナーエの鋭い視線には気付いていないフリをする。
「ハッハー! 本当だぜ、ありゃあ王子様だ!」
「ククク! 攫えば身代金が大量に手に入んぞ!」
「ボディーガードはぶち殺しちまえ!」
王子は顔を青褪めさせ、俺達に助けを求めるような視線を送った。
俺達は何処吹く風。
「!?」
……王子には気絶してて貰う。
俺は抱える体勢を少し変えて王子の首筋に手刀を叩きこんだ。
そしてそのまま、後ろに放る。
「あん?」
俺はラックを構えて、山賊の足を狙って発砲した。笑顔で。
シュヴァは近くの山賊にハイキックを繰り出した。笑顔で。
ティリは風の精霊と炎の精霊を呼んだ。笑顔で。
ナーエは黒い刃と光る刃を出現させた。笑顔で。
シーフィスは剣を構えた。笑顔で。
ベルはドラゴンを呼んだ。笑顔で。
超スッキリ。
……でも、王子との旅はもう少し続く様です。最悪だ。
〜シーフィス観察記、モンスターとの戦闘の巻〜
「おい、モンスターだ」
見りゃ分かるわ。
小さな鳥みたいなモンスターだ。
「ははははははははははははは!」
シーフィスはモンスターをさくさく切り刻んでゆく。正直怖い。
俺に一匹のモンスターが飛びかかってきた。
咄嗟にラックを撃ったが、出てきたのはティッシュだった。
薄い紙。
ヤバイと思ったが上手い具合に顔に被さって何とかなった。
とりあえず銃身で殴り落とした。
「さて、行くか」
シーフィスの顔が心なしかつやつやしていた。
コイツやっぱり怖い。 |