4話:VSフリルドラゴン(ミカン汁♪)
シーフィスは髪留めを買っていた。
なんでも敵からの魔を弾くらしい。髪は長いけどタオルで覆っているし……どうやってつけるんだ?
ティリはブレスレットを買っていた。
魔力を上げるらしい。
俺は先程のナイフを購入した。
猫少女を見たときの二人の台詞。
「「そういう趣味だったのか?」」
この少女は好みじゃない。
口パクで説明した。
「この人恥ずかしがって喋ってくれないの。にゃん」
「俺もクロが喋ったところ見た事ないな」
「おれも」
「クロさんっていうんですにゃん?アタシは『ナーエ=キニミナ』にゃん♪」
ナーエ、か。
それよりもナイフに名前をつけたい。
「と・こ・ろ・で、だ」
シーフィスが俺の頬を抓る。
「その眼はどうしたのか、聞きたいものだな?」
そう。
何故か俺の眼は……右眼だけ金のままだった。
興奮が治まっても金のままということは、俺には勇士の資格があったという事だ。
でも片方だけなので『少しは』あるという事か。
ああ恥ずかしい。
ぺたぺた。
「何やってんだ、ナーエ」
ティリが言った。
「オッドアイの人に触ると幸せになれるにゃん!」
「何!?」
ぺたぺたぺたぺた。
「俺も幸せになれるのか」
ぎううぅぅ。
捻って捻るのは止めてくれ。
それより、右眼がさっきから痛い。痛い。痛い。
…………っ!!
俺は右眼を抑え、その場に蹲った。
「どうしたんだ?」
「お、おいっ?」
「大丈夫ダーリン!?」
誰がダーリンだ。
ポタポタ。
「右眼から血が垂れてる」
「実況してる場合か!! ちょっとは焦れ!」
「クロ様ー!」
ナーエ、せめて統一してくれ。
余裕はあるように見えて全然まったくないぞ。
「赤の光よ血を止め癒せ……レッドヒアー!」
……あ、血が止まった。ナーエは白魔法も使えるのか。
「これは……勇士の儀式にゃん! えーと、確か、ドラゴンの血を飲むと勇士として認められ……白魔法で一時的に止める事は出来るけど、この症状が現れてから三時間以内に飲めないと死亡。にゃん」
「ヤバイじゃねーか!」
ド…ドラゴン……無理じゃないか?
「クロを死なせるわけにはいかないな」
シーフィス……ちょっとジーンと
「飯が食えなくなる」
こなかったぞ馬鹿ヤロー。
「大いなる風の精霊よ、空間を越え『フリルドラゴン』の巣窟『エレノル山』へと我等を運べ、ウィンドテレポート!」
行ってくれるのか。流石ティリ。
パッ。
「「「あ」」」
『あ』
フリルドラゴン……いきなりか。
ちなみにフリルドラゴンはわざわざ人語を覚えたという珍しいドラゴンだ。
『人間だー!!』
『うろたえんなよボケ!』
「すまんが」
『『ひぇっ』』
何コイツら。あ、子供か。
流石に殺すわけにはいかないし……
「血をくれ」
正直だな。
『な、なんでそんなものがいるんだよぉ!』
「仲間が勇士の儀式とやらでな」
『あ、それ俺知ってる! いいよ、俺の血やるよ』
「すまない」
フレンドリー。
しかし、そんなに上手くいくはずも……
『大丈夫か!?』
やっぱり?
現れたのは、大人のフリルドラゴンだった。
『ぱぱー!』
『おじちゃん!』
『この人間達に殺されそうになったんだな!? よし、私が退治してやる! 下がってろ!』
『いや、この人達は……』
「いや、俺達は……」
大人のフリルドラゴンはもう既に聞く耳を持ってない。
火炎を吐いた。
「む!?」
「どわっ!?」
「にゃん!?」
後ろに逃げるな! 俺は動けないんだぞ!
俺だけが皆を庇い、フリルドラゴンの前にたっている。ように見える。
ドラゴンが咆えた。
俺以外動けなくなった。俺って運がいいのか悪いのか……
『アイツ等は後で丸焼きだ! 勇気あるお前を先に殺す!』
どうしようもないな。
右手で右眼を抑えつつ、左手でラックを抜く。
こうなったら運試しだ。
撃った。
ボッ。
『炎を撃ち出す銃か? 残念だったな、私達フリルドラゴンに炎は効かない』
連射する。
ぺちっドコッパン。
胡瓜下駄国旗いっぱい。
『………何がしたいんだお前』
まったくだ。効く物出せよラック。
ちょっと半泣きになりつつもう一発。
プシッ。
ミカン汁。
目に。
『ぐわぁぁぁぁぁぁ!?』
うわー……。酷いな、ラック。
フリルドラゴンが悶えている間に、シーフィス達が復活した。
『はい』
「ありがとう」
シーフィスが血を貰っ……
「クロ、飲め」
お前、魔物使いの資格あるんじゃないか。
飲むと、痛みがすぐに引いてゆく。
魔力と集中力が高まっていく………………気がする。
肩上の黒髪と黒のロングコートがなびく。
俺の体から光が。
………これってやばいんじゃ………
ドカッ、と音がした。
『ガアァァァァァ!?』
魔力の暴発か! 俺だけど!
「ナーエ!」
「わかったにゃ! 全てを切り裂く闇の刃……」
「阿呆! とどめさしてどうする!」
ぼかっ
「痛いにゃ!」
「フリルドラゴンを回復するんだ!」
「うう……光の癒し、ライトヒアー。にゃ」
フリルドラゴンの傷が治ってゆく。
やがてぴったり塞がった。すまなかったな、フリルドラゴン。
『ガ……何故……』
「攻撃を加えるつもりはなかった。仲間に死なれると困るので、ここに助けを借りに来た」
『む……』
「勇士の試練とかで、三時間たったら死ぬらしいのでな」
『? …………勇士の試練は三時間我慢すれば元の瞳の色に戻るだけだぞ……勇士になりたいのなら別だが』
………は?
「……ナーエ?」
「ナーエ?」
『ナーエ』
「………………………………えっと、勘違いだったにゃ♪」
「「ふざけるなぁー!!」
ふざけるな!! 俺は勇士になど、半分でもなりたくなかったのに! |