パーティはのんびり旅します。(21/53)縦書き表示RDF


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パーティはのんびり旅します。
作:摩璃藻



21話:VS勇者(呪われし者)


 俺達はチェリア、ミト、キルーム、ヨルと分かれ、一晩を森の近くで過ごし、次の町に向かっている。

 …………ん?

 「像にゃ?」
 「像?」
 「像ですか?」
 「像なの?」
 「像か?」

 大きめの石像が見つかった。
 青年をかたどったらしいその石像の足元には、『勇者像』と書いてある。
 「壊したくなるな!」
 「なるにゃ!」
 「意気投合!? 駄目ですよそんな事をしては!」
 「わりと楽しそうだね?」
 「っておい、ベル!?」
 面白そうだけどな。

 「壊されるのは困るな。これ、俺だし」

 ……今の、誰だ?
 全員振り向く。
 そこには、黒髪黒目の青年が立っていた。二十歳を過ぎたぐらいだろうか。
 青年はうっすらと笑いながら俺達に話しかけた。
 顔立ちは、俺達とは少し違う。そういえばこの像は、青年と似ている気もする。

 「久しぶりに『来て』みたら、面白そうな奴らだ」
 青年は猫の様に、喉の奥を鳴らしてクックっと笑った。
 「誰にゃ?」
 ナーエが素直に聞く。
 「俺は、数十年前にこの世界を救った『勇者』さ。……言い変えると、呪われてるんだけどな」
 青年はどこか遠くを見つめながら、何の感情も込めずに言った。
 「数十年? ……私には、貴方は20代前半程にしか見えません」
 シュヴァが疑わしそうに聞く。
 「見た目は、な。俺は、色んな世界をいくつも救ったんだぞ。……今日は、何か怪しかったからこの世界の様子を見に来ただけだ。お前らが解決してくれそうだし、俺は帰るかな」
 その瞳は、嘘を語っている様には見えない。何故か。
 「何を言っている?」
 シーフィスは青年を少し睨む。
 「…………」
 青年は、舌なめずりをした。
 「お前ら全員、格上と戦って世界を見ておいた方がいいな。見せ付けてやるよ」
 これには皆、カチンときた。
 「一人でどうする気だ?」
 ティリが多少挑発的に言う。
 「俺一人で十分さ。ホラ、かかってこいよ」
 もっと挑発で返す青年。ムカ。

 「はっ!」
 シュヴァがレイピアで斬りかかった。青年の腕に当たる。
 バキン!
 「な!?」
 レイピアが、折れた。
 シュヴァが目を見開く。
 「こんな物に頼らない方がいいぞ、お前。その方が強い」
 青年は手をシュヴァの腹に持っていき、その手が光る。
 「っが!」
 シュヴァが吹っ飛ばされた。
 シーフィスが向かっていく。
 青年は自分に向けられたカトラスの刃を、軽く掴んだ。シーフィスは青年を睨む。
 「これも。もっとお前向けの剣があるんじゃないか? それから、隠してばかりじゃどうにもならない」
 そのまま、折る。
 「ぁあああっ!」
 青年が吼えると、シーフィスも吹っ飛ばされた。
 「ぐぅっ……」
 「大いなる風の精霊よ、かの者を縛りつける鎖、ウィンドチェーン!」
 ティリが魔導を唱えた。
 青年は腕を一線に引き、飛んできた風の鎖をかき消した。
 「甘いな。まずは過去と決別しろ。失ったものを取り戻せ」
 青年がティリの頭に手を向ける。ティリまで空を飛んだ。そして地面に叩きつけられる。
 「っぐあ!」
 ベルが言葉を発した。
 「来て、ドラゴン!」
 ベルがベジーアドラゴンを呼んだ。
 「ドラゴンか。お前はまあ、ドラゴンを強くする魔法か何か覚えればいいだろう。後は少し冷徹になれ」
 青年は、ドラゴンに一瞬で近づくと、ドラゴンの腕を掴んで倒れさせた。
 ベルはいきなり意識を失って、倒れた。
 「全てを切り裂く闇の刃、」
 「お前には、大切に思う心。信じる心。それが必要だ」
 いつのまにかかなり近づいて来ていた青年は、ナーエの首に手刀を叩きこむ。ナーエは崩れ落ちた。
 「後は、チームワークかな。一人づつかかってこられてもな」

 俺はラックを構え、銃口を青年に向けた。
 「…………信じるだけじゃどうにもならないぞ。というかいい加減にしとけ。あいつは」
 青年が俺に向かって話しかけた。
 俺の口も動く。
 『黙れ』
 「……。知らないぜ。信じる心が強すぎるんだよ、お前は。いや、むしろ崇拝、だな」
 『黙れ』
 何発も撃ちこむが、効かない。チッ。
 「そんな物でどうするつもりだ? 玩具じゃないか。それならもっと腕を磨けよ」
 俺の発明品貶しやがったよコイツ。畜生。
 青年は俺の頭に触れた。
 「あいつを信用しすぎるなよ」
 何を言う? 『あの人』の事か? あの人は―――
 「どうしても無駄、か。まあとにかく、眠れ」
 青年は溜息を吐いた。
 俺の意識は、ここで途切れた。


 何だかシリアス続きだなぁ……勇者の正体わかった人。凄い。もし居てくれたら嬉しい。











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