パーティはのんびり旅します。(2/53)縦書き表示RDF


 モンスターが出て来ました。倒せるのでしょうか。
パーティはのんびり旅します。
作:摩璃藻



2話:VSグーセスプリンセス(大きな兎さん♪)


 仲間が増えてから三日。
 少年の名前は『ティリ=ラレノ』といった。
 十七歳。俺達と同い年。
 話を聞くと、彼はホビットだそうだ。だからこんなに小さいのかと納得。

 「……黒」
 ティリが俺に話しかけた。呼び捨てか……いや、同い年だが。
 俺は首を傾げ、『何だ?』という意思表示をした。
 「何で喋らないんだ?」
 単刀直入に来た。
 「俺が説明しよう。知らん」
 「駄目じゃん」
 ……俺の喋らない理由……口が裂けてもいえん。
 「そのおかげで本名教えて貰えな痛っ」
 俺は無言でシーフィスの頭を殴る。
 何度教えても覚えなかったのが悪い。
 ……口パクで伝えた。
 「あー、そっちの方がいい。おれ読唇術使えるから」
 ほお。
 「名前教えてくれよ」
 『クロストーム=シュタノン=セイミリナア=トラムスレーズ=フェリアーク』
 と口パクで伝える。
 「………。長っ」
 正直だな。
 「えっと、略して………クロでいい?」
 変わってないし。
 「いや、漢字じゃなくなったって!」
 そんな事言うな。区別つくか。
 早く『盗賊山』についてほしい。
 盗賊山とは、盗賊や山賊がアジトにしやすそうな洞窟が大量にある山だ。
 勿論モンスターも出る。俺達はそのモンスターの退治任務を受けた。
 報酬は七十万トト。なかなか良い仕事である。
 「モンスターが弱ければ楽なんだが」
 「まったくだっての」
 しかしこの報酬量だと、強いモンスターなのだろう。
 というか、お前達。魔力波と鞘に収めっぱなしの剣だけでよくそんなに倒せるな(ああ、魔力波っていうのは、魔力の波動の事で、魔力がある奴が集中すればまあ出せる)。
 しかも手元見てないし。俺の仕事はモンスターの物色だ。
 お、これはマンデノウサギ。兎っぽいが、ツノが生えており、紫色。めったに出てこない。
 肉が美味。毛皮は高級品。取らないでか。
 ……いっぱい……まてまて、報酬に目が眩んでよく内容も見ずに(勝手に)申し込んだが……
 もしかしてこの先にいるのは、グーセスプリンセスではないのか。
 グーセスプリンセス。マンデノウサギのボスのような存在。
 手下を大事にし、凶暴だが、めったに外には出てこない。
 ぬめりけの多い洞窟に生息。戦闘は洞窟になる……つまり足場最悪。
 ………。まあいいか。俺戦わないし、コイツら強いし。

 「ここのようだな」
 「ああ」
 二人は堂々と洞窟に入る。俺も一応付いてゆく。
 大きい不気味な紫色の、グーセスプリンセスが現れた。

 コマンド?

 こんな事やっても面白くない。なぜならツッコミがいないからだ。
 『フェェェェェェ!!』
 「グー……なんだっけか?」
 「グーセスプリンセスだ! こんな大物だなんて聞いてねぇよ!」
 教えてないし。知らなかったし。
 『頑張れ』と伝えた。
 「お前も戦え、クロ!」
 嫌だ。俺は洞窟の入り口で気配を消し、観察モード突入。

 グーセスプリンセスはその大きな巨体を活かして、体当たりをした。
 二人はギリギリで避ける……が、ティリは滑って転んだ。
 「いってー! シーフィス、詠唱時間稼いでくれ!」
 「どうやってだ!」
 「気でも引いとけ!」
 ティリは詠唱の体勢に入った。
 「大いなる風の精霊よ、我の肉体と友の肉体に力をかせ、全てを弾く鎧……ウィンドメタル!」
 ティリは補助魔導をかけた。俺にはしてくれなかったけど。
 「体が軽い」
 シーフィスはグーセスプリンセスに接近した。あ。
 俺はティリに視線を送った。ティリが振り向く。
 『毛は刈るなってシーフィスに言ってくれ。高く売れるから』
 ティリに呆れた目線を送られたが、一応言っておいてくれた。よし。
 シーフィスはカトラスを抜き、グーセスプリンセスの前足と後ろ足の間に突き立てた。
 グーセスプリンセスは動きが鈍い。しかし大きい。シーフィスの背丈より大分高い。
 『フィィィィィ!!』
 グーセスプリンセスは叫び声を上げ、前足でシーフィスの頭を殴ろうとする。
 間一髪避けたようだ。
 「大いなる風の精霊よ、かの者を縛りつける鎖」
 ティリはウィンドチェーンの詠唱を始めた。
 その時、グーセスプリンセスがティリに向かっていった。
 そして前足を振り上げる。シーフィスはどうやら、さっきの攻撃を食らっていたらしく、膝をついていた。
 あのままじゃティリ死ぬな。
 ちっ。

 俺は『ラック』をぶっ放した。
 ラックは俺の発明品、魔術がかかった銃だ。
 魔力球を打ち出し、後は運任せ。何故かって……
 ゴイーン。
 『フェッ!?』
 タライだった。あーよかった、動きは止まった。
 「ウィンドチェーン!」
 風の鎖がグーセスプリンセスを捕まえる。
 その頭に、シーフィスのカトラスが突き刺さった。
 グーセスプリンセスを倒した。ちゃららちゃっちゃらー。

 「……なんでタライ?」
 ティリが白い目で俺を見る。
 「ティリはクロの銃を知らないんだったな。ラックは魔法銃で、魔力球を打ち出す。打ち出した魔力球はランダムに姿を変えるんだ」
 そう、全部運任せだ。この前などティッシュペーパーが出てきて焦った。
 銃の弱点である玉切れを無くせないかと試行錯誤したところ、こんなのが出来た。
 魔力球のままでは威力が弱すぎて話にならない。しかし俺の魔術ではランダムが限界。
 仕様がなかった。
 あまり使わないからこれでもいいか、と。
 大体ナイフの方が多いし。
 「なるほどな……。魔術か」
 その通り。サ〇ンナイ〇のサ〇ンマテリ〇ルを想像してくれ。

 「しかしこのグーなんとやらは、どうやって持ち帰るのだ」
 『そこはティリに期待だ』
 「おれ? ああ、魔法か。大いなる風の精霊よ、空間を越えぐっ」
 俺はティリの頭を殴る。
 「何で……」
 『転送じゃなくて、軽くするだけでいい。俺達が町に着く前に盗まれたらどうする』
 「ああ、なるほど……でも、運ぶ奴に血が付くかもしれないぜ」
 『そこは運だ』
 勿論じゃんけんなどではない。
 「俺からいくぞ」
 「ラックを使うのか?」
 『地面に撃って、一番威力が低かった奴が持っていく』

 まず、シーフィス。
 ぱさ。
 「……タオル?」
 消えたりはしないから……使えるといえば使えるが。
 「おれだな」
 ティリも撃った。
 べちゃ。
 「海草?」
 むくむくと大きくなる。
 おお、これはアントレルじゃないか。食べるととてつもなく苦いが倒しがいがある。
 『キョエー!』
 「「モンスターかよ!」」
 初心者はまずアントレルで躓く。
 まあ俺達ぐらいの強さがあれば、楽勝だ。
 それからアントレルの根っこ(足)には医療効果があるので高く売れる。
 俺の番。
 ふわっ。
 『リールー♪(上がり調子で)』
 フェアリーだった。
 『リールルー♪(上がり調子で)』
 すぐに飛び去って行った。達者でな。
 「……結局?」

 ……じゃんけんで決めよう。


 コメントを頂けると、狂気乱舞します。











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