14話:VS黒髪と赤髪とお嬢様(敵じゃないね♪)
科学の町、『レイダー』。
今日はここで宿を取る事になりました。
この町では色々と物を買おうと思っています。科学の町だし。
今回は俺1人か。
しかし、今は特に買いたい物とか無いな。
『ビレッタ』っていうこの地方のみに出る鳥風モンスターの肉らしいが、結構美味い。
流石は科学の町……宙に浮いている機械と、羽根の様な機械をつけた空を飛ぶ人間とか。
……ちょっと欲しい。どこかで売っているのだろうか。
「旅人さーん! そこの黒い旅人さーん!」
……俺か。
「これこれ! この『フォスティクス』いらない!? 旅には軽いの必要でしょ!? 安いよ、たったの10万トト!」
フォスティクスって……人が背中につけて空飛んでたあれか。
「旅人さん、こっちは8万トトだよ!」
「いやいやこっちは6万5千トト!」
…………流石は別名『商人の町』…………。
「……2千トト」
安っ!
「う、ええい1千トトだ!」
安いと逆に怖いな。
さっきの、2千トトと言った……フォスティクスが沢山入ったかごを持った少女が言った。
「……原価は100トトぐらい。200トトで売るよ」
100トトを10万トトで売るなら、それはそれは儲けだろうな。
俺は少女から一つ、フォスティクスを受け取る。
「……黒いお兄さん、上の方に浮いてるワーバードの町『ウィデン』に行くなら、フォスティクス必要だよ。1人1個……」
……ワーバード、は気になるな。全員分買えという事か。商売上手だ。
俺は合わせて6個のフォスティクスを受け取った。
クレープ美味い。
焼き加減が絶妙だ。噂は本当だった……。
俺がまるで『休日』を満喫していた時。
「助けてー!!」
豪華な装飾、服装の少女が男2人に追いかけられている。
「ま、まてー」
「……」
困り顔の黒髪の青年と、呆れ顔の赤髪の男性。
執事の様な黒いスーツ……ってまんま執事だな、この2人。
少女が俺の懐に飛び込んできた。…………ふむ。
俺は少女の手の中から金貨の袋を取り、自分のコートの中に戻した。盗賊にしては手腕が甘い。
「……。こんな可憐な美少女にお金を恵んであげようとか思わないの?」
言っては悪いが、ナーエの方が顔は良い。
執事2人は、赤髪が鉤爪、黒髪がメリケンサックを出した。やる気か?
少女は小さな銃を出した。
この町ってすぐにストリートファイト行うのか? まわりはちっとも驚いてないし。
まず赤髪が俺に爪を振り下ろす。俺はバックステップで避ける。
すると、黒髪が殴りかかって来た。横に避けるが、体勢が崩れた。
そこに少女が、銃の引き金を引いた。
カチッ。
「……あれ?」
俺は少女の首に後ろから手を回す。
それなりに良いコンビネーションだったが、玉が込められていないとな。
さて、これで俺が起き上がれば、少女の首は折れるわけだが。
「は、放しなさいよぉっ!」
「お嬢様ぁ!」
「阿呆、誘拐される事決定だな」
赤髪、お前執事失格だろう。嬢が殺されそうだというのに、煙草か。
黒髪も、ちょっと阿呆すぎるぞ。大丈夫か?
「アンタら執事でしょ!? さっさと助けなさいよボケナス共!」
キツイ事言うなぁ。
「しっ……しかしですねっ……」
「強いから無理」
正直者、赤髪。シャン〇スではない。
「あんたらねえ! 私はその強さだけを見込んで雇ったっていうのに……」
ああ、成程。そうでなきゃコイツら執事としてなんて働けない性格だよな。
「お嬢様を放して下さい! で、でないと……」
俺はぱ、と手を離し、少女を解放する。
「え?」
だってなあ…………俺は死にたくないだけだし。
金はあるし。
誘拐とか、拘束したままでいる理由がない。
「…………れ、礼は言わないわよ!」
どちらかと言うと謝ってほしいが。
「す、すいませんでした…………。お嬢様は、その、旅に出る資金を稼ごうとしておいでで……」
へえ? なかなか興味深い話だな。何不自由のないお嬢様が旅、か。
「一言も喋らないな、お前。黒いし」
黒いは関係ない気もするが。
喋らない理由? 読者の皆様にはお教えしようか? ……フッ……教えない。教えるならとっくに教えているさ。
俺はぱくぱくと口を動かした。
『何故旅を?』
「ん? あーお嬢様はな、もーちょっとしたら国王候補の嫁になる。政略結婚というやつだ」
ああ、成程。それで家出、か。
「お嬢様には好きな人が居るそーでぶっ!?」
お嬢様が、さっきまで喋っていた赤髪の頬を殴った。なかなかの威力。どころではないな。
俺とそう変わらん身長の男がこの細腕に……ねえ。
「はあ、はあ…………。この馬鹿リレイズが!」
そういう名前なんだな。
「……お嬢様はリレイズが好きなんです……」
黒髪が俺に耳打ちする。うーわー物好き。
その時、俺の腰に何かが飛びついて来た。
「ダーリーン! にゃ」
ナーエ。最近思ったんだが、わりと無理矢理つけてないか? 語尾。
「探したにゃん! そろそろこの町出るってシーフィスが言ってたにゃ。次はワーバードの町に行きたいとも言ってたにゃ」
ふむ、わかった。
「それで行くために、何か機械が居るって……」
ああ、俺が買った。
「本当にゃ? じゃ、さっさと行こうにゃ!」
…………? まてまて、何故お前今の分かったんだ。
「愛の力にゃ」
……そういう物か? ワーバード……ちょっと楽しみだな。
「あ、あの……」
黒髪が俺とナーエに話しかける。
「何にゃ? っていうか誰にゃ?」
「僕の名前はストラウスと言います。お願いします! お嬢様を助けてください!」
土下座した。はあ?
「にゃ? にゃ?」
「相手の男はタラシで有名なんですっ! お嬢様はこのままじゃ幸せにはなれません! どうか、どうか……」
そこまでお嬢様に恩があるのか?
「クロ、探しましたよ……って何ですか、この状況は?」
シュヴァを筆頭に、全員来た。そりゃまあ怪訝な顔するだろうな。
「助けるって、どうすればいいのにゃ?」
ナーエ、引き受ける気か?
「男の悪評を広めて貰えると……」
ある事ない事言いふらすとかすればいいんじゃないか……?
「俺からも頼む」
リレイズも頭を下げた。
「今日、ソイツ主催のパーティがあるんだ。お嬢様の母はいないし、父は家にこもりきりで、今日のパーティぐらいしか外に出る事もない。しかもソイツを信じきってる。悪評を実際に見ない事には信じてくれない。そのパーティで、そうだな、そこの綺麗な女の人……」
リレイズがシュヴァを指差した。
「ソイツを誘惑してくれないか?」
「……話の大筋はわかりましたが、誘惑といわれても……」
話の大筋わかったのか?
「そういう事なら、良いアイデアあるよ?」
ベルが言った。
「クロとシーフィスと、ロリコンの可能性考えてティリも女装する♪」
…………はあ? |