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お寝坊さん
誰かがそう嗤うのを夢心地に聴いた
鮮血ノ月
作:天海リョウ



[拾七] 遅い起床


「――――ただの太刀で魔性を切った? まさか……」

 昶は信じられないとばかりに思わず、氷室を振り返った。
 氷室は構わず続けた。
「あの時、私も信じられなかった。霊力で調伏するしか人間である退魔師には魔に対抗する術はないと思っていた概念をアイツはいとも簡単に覆してしまった。アレが何をしたのかはわからん………あとに残った残骸を燃やし尽くす青白い炎もそこにあった痕跡すら消して無くなった」
「いくら訊いても教えてくれなかったもんね、蒼助くん」
 苦笑する渚があとを引き継いだ。 
 そして、命の危うい状況下で信頼を含めた笑みを浮かべた。
「その一件以来、俺達の中じゃ蒼助くんは“侮れない人”って刻み込まれてるんだよ。誰にも出来ない事を……不可能を可能に出来るデタラメな人間なんだって。俺らが出来なかったこと……今回も……予測もつかないことして何とかしちゃうんじゃないかな」
「ふん…………ぐっ……げほっ」
 意識を保ち続けていた氷室は喉から競り上がってきた血に咽せ、ごふっと吐き出した。
 口元が更に新たに紅く染まる。
「マサっ………もう、喋るな……」
 重傷とは思えないほど沈着な口調に彼が瀕死だということを誰もが一時は忘れていた。
 だが、氷室の気丈な振る舞いももはや現界に来ていた。
「そん、な………顔をするな……………私が……っ……このぐらいの、ことで……死ねる身体では……ないと、いうことは……承知して、いる……だ、ろう」
「わかってる……わかってるよ……だから、もう……」
 しかし、それも何処まで通じるか渚は考えたくなかった。
 尋常ではない血を外に流してしまっているのだ。普通の人間ならとうにくたばっている。
 “普通の人間とは異なる存在”である氷室だからこそ瀕死ながらも命を繋ぎ止めていられる。
 だがそれも、このままではいずれそうも言っていられなくなる。 
 誤摩化し続けていた絶望が閉めた蓋から染み出て来た。
「………朝倉ちゃん」
 今まで話の間に入り込めなかった久留美が口を開いた。
 訝しげに顔を上げる渚の顔の前にポケットから取り出した御札を差し出す。
「使って。これって願えば大抵のことは叶えてくれるらしいから」
「何処でそんなものを………」
「護身用に使えってもらった。早く使いなさいよ、会長死んじゃうじゃない」
「でも……護身って……」
「見損なわないでよ。自分一人だけ助かろうなんてこすい人間じゃないわよ、私」
 それに、と久留美は上を見上げた。

「今聴いてた話から………アイツが何とかしてくれんでしょ?」

 ◆    ◆    ◆

 ―――――その女は返してもらうぜ。

 その言葉を合図に蒼助は駆け出した。
 俊速の動きで一気に接近して来る蒼助に神崎は無数の球体エネルギーが撃ち出された。
 先程蒼助が斬ったもの程威力と大きさはないが、代わりに注ぎ込まれた霊力が少なく軽い分スピードがあった。
 一発一発絶え間なく撃ち込まれるそれらが一斉に蒼助に襲いかかる。
「……っ!」
 蒼助は足を止めずそのまま上半身を捻り着弾する寸前に刀を振るった。 
 無数の球体エネルギーが蒼助の周囲に被弾する。爆発音が何度も鳴り響き、辺りに煙が立ちこめる。
「………は、ははっ……や、やったか?」
 自らの攻撃が蒼助を打ちのめしたと思った神崎は渇いた笑い声を上げる。 
 下は大量の土煙が充満していてどうなっているか見えないだけに不安は残ってはいたが。 
「馬鹿が……口先だけかよ」
「そりゃてめぇのこったろう」
 背後から聞こえた声に神崎はゾッと寒気立ち、その場から跳躍した。背に迫る殺気がそうさせた。  
 宙に浮かぶ中、たった今まで自分が居た場所を見ると刀を振り切っている蒼助がいた。  
「いつの間にっ……煙に紛れて後ろに回りやがったのか」
「ちっ……惜しかったな」
 千夜を抱えたまま飛躍していた神崎が着地する。
 双方は入れ換わった立ち位置で戦闘態勢を整えた。
「はぁ……はぁ……何なんだ、ちくしょう……」
 神崎は先程の体験に冷や汗をかいていた。
 直前まで殺気が消されていたので攻撃の寸前に発生したそれに気付かなければ確実に首を切り多されていただろう。
 幾ら斬りつけられようと再生出来るが、蒼助には先程見せた奇妙な技があった。
 あれを受けては自分の再生力も効果があるか怪しいものだ。
 しかし、蒼助が狙ったのは首ではなかった。
「もう少し鈍ければ、その無駄にデカイ腕をぶった斬ってやれたのにな………」
 どうやら蒼助の目的は千夜を捕らえる左腕を切り落とし彼女を解放する事にあったようだ。
「てめぇ………俺をそっちのけでこの女を狙ってやがったのか。何なんだ、一体何なんだ玖珂ぁ! 何でこの女を俺から離す事にこだわる!? この女はお前の何だってんだ!!」
 その問いに蒼助は表情を険しくした。
「理由だぁ?……ンなもん俺が知りてぇくれぇだ…………ただなぁ」
 出入り口の上から再び下へ降り立ち神崎を鋭く見据えた。  
 己の中でぐるぐると渦巻く疑問に対する苛立ちを絶叫に乗せて吐き出す。
「そいつがてめぇの腕の中に収まってんのがムカつくんだよっ!!」
 そう、見ているだけ腸が煮えくり返りそうだ。
 終夜千夜という女を所有物と主張されるその様が。
 叫びと共に蒼助は弾かれるように走り出す。
 その先は神崎。
「野郎っ……」 
 このままではまずいと焦る思考で判断した神崎は蒼助の周囲に数体の《屍鬼》を出現させた。
 コンクリートの地面に点々と発生した澱んだ輝きを放つ場所から這い出て来る《屍鬼》達の登場に蒼助は侵攻を急遽中断した。
「てめっ……まだ残してやがったのか」
「お前ら、そいつをこっちに近付けるな!」
 ここまでの交戦で蒼助は霊力は低いがそれと相反するように剣術の腕は滅法立つ事を思い知らされた。おまけに分析不能な奇妙な技まで持っている。まともにぶつかれば不利な事はここまで肝を冷やされれば嫌でも理解出来た。
 下手に“力”をぶつけてもあの奇妙な力によって打ち消されてしまう。
 かと言って接近戦に持ち込んでもスピードもテクニックも向こうが上回っており、巨体である神崎に対し小回りが利く事を利用して一方的に攻められるだろう。
 なら……、と神崎はここである『奇策』に出た。
「邪魔だぁぁぁっ!!」
 行く手を阻む《屍鬼》を蒼助は容赦無く叩き斬る。
 目の前を一体を倒したばかりの状態で隙だらけの背中を背後から襲いかかるワンピースを着た亡者を蒼助は上半身を捻り無理矢理向きを変えて胴を真っ二つに分つ。
 二つに分かれて地面に転がるそれに見向きもせずに新たな標的に眼を向ける。
 目を血走らせ牙を剥き出しにして飛びかかって来る《屍鬼》の爪を身体を僅かにずらして避け、露になった青白い喉目掛けて刀を滑り込ませれば、首と左腕が宙に舞った。
 素早く辺りを見回すと斬り殺した《屍鬼》達が転がっている。
 立っているのは最早たった一体だけ。 
「こいつで最後か……!」
 仲間がやられても怯みもせずに向かって来るそれに対し蒼助は動かない。
 刀を真っ直ぐ構え、正面から迎える構えをとった。
 そして、右の肩から袈裟斬りするように、左の腰まで振りかぶった刀が通る。
 最後の一体はそうして沈黙した。
「………お、俺の《屍鬼》が……」
 倒されるの事は予想の範疇にあった。 
 だがしかし、その後の起こった出来事に神崎は目を見開かざる得なかった。
 息絶えた《屍鬼》達が斬られた場所から燃えていた。
 その炎はやがて全身にまわると、たちまち肉体を燃やし尽くしてしまった。
 絶句する神崎は震える喉から声を絞り出す。
「……いったい……何なんだ、その力は…………」
「ネタバレ無し……特に」
 蒼助はそう答えると視線を神崎に向ける。
 鋭い眼光が神崎を射抜く。
「これから死ぬ奴にはな。知る必要ねぇだろ?」
 口端を吊り上げ凄絶な笑みを浮かべる。
 まるで修羅を錯覚させるそれに神崎は背中が凍るような感覚に襲われた。
 考えを改めさせられた。 
 この男は退魔師として出来損ない。そう侮っていたばかりに今自分は追いつめられている。
 何故気づかなかったのか。
 研がれた剣術。
 抜群の運動神経と瞬発力。
 そして、濃密な魔力の塊すらも一太刀で切り裂く正体不明の異能。
 この男は、“戦士”としては超一級だったのだ。
 どれだけ高密度な霊力もこの男の前では意味を為さない。
「観念しな神崎……こちとらこの戦り方でこの世界を生き残って来たんだ……てめぇの馬鹿デカイ妖力と怪力に頼った戦法は術中心の氷室には通じても俺には通じねぇぞ。……ま、それも“あの状態”の氷室に限るがな」
 式神の召喚によって大きく霊力を消費して疲労していた氷室。
 万全の状態であったら、ああも簡単にやられはしなかっただろう。
 そう思った後、蒼助はもう一度言った。
「お前じゃ俺には勝てねぇよ」
「ぐっ………」
 蒼助の放つ威圧感プレッシャーに押され神崎は一歩後ろに後ずさる。
 怖じ気づいたその表情には当初の余裕は微塵も感じない。
「あばよ、神崎」
 言葉だけの別れを告げ、蒼助は視線の先に神崎を捉え、迷わず駆け出した。
 向かって来る刃の接近に神崎はそれ以上逃げなかった。
 最後の抵抗か、空いている巨腕を蒼助を弾き飛ばす為に横に振るう。
「ちっ」
 無駄な足掻きに舌打ち、向かい来る障害をまず叩き落とそうと蒼助は得物を振りかぶった。
 その瞬間、神崎が薄ら笑みを浮かべたのにも気付かず。  
 そして、

 ドシュッ……

 蒼助は僅かな衝撃と共に胸の付近に異物感を感じた。
 ゆっくり、とそこへ視線を下ろすとがら空きになった右胸に突き刺さる青白い手が映った。
 向かって来ていたはずの“腕から”這い出るように出現した《屍鬼》の鋭い爪が深く食い込んでいた。
 引き抜かれると同時にたがを失い血管を破られ溜まっていた大量の血液が噴き出て目の前が真っ赤に染まる。
「ごふっ…………!」
 流れる血液と共に全身から抜けていく力。
 支えを失った膝が地面についた。
「て……め、どっから出して……」
 込み上げて来た血を吐く蒼助をしてやったりの笑みで見下ろす神崎は、
「……こりゃとんだ形勢逆転だなぁ? どうだ、この前ボコにした奴に膝つかされる気分は、よっ!」
 容赦ない蹴りが抉るように蒼助の傷口に見舞う。
 無防備な体は勢いを殺すことが出来ず、軽く宙に浮き数メートル離れた場所へ背中から叩き付けられる。
「――――……っ!!」
 傷を蹴られた痛み、背中から伝わった衝撃が重なり声にならない悲鳴が上がった。
「《屍鬼》はその魂の所有者の意のままに創れる。だから、思ったんだよ………“俺の中に入った状態”でも創れるんじゃないかとな………」
 しかし、試した事も無い事をそう簡単には出来ない。
 出来るという保証も確信もないそれを実現するには幾分か時間を要する。
 その前に蒼助に斬られては意味が無い。
 だから、相手にならないとわかっている《屍鬼》を仕向けたのだ。
「……つー、こと…は……俺は囮の相手をさせ……られて、たのか……よ」
 血が喉に張り付いて途切れ途切れの蒼助の言葉に神崎は、そうだ、と答えた。
「玖珂、てめぇさっき言ったな? “お前の戦り方じゃ俺には勝てねぇよ”。そうがどうだ、今お前はどんな様だ、俺の戦り方にはまって血反吐吐きながら倒れてるじゃねぇか」
 笑いが止まらない。
 愉快だった。
 数日前の自分と同じように不様に地べたに這い蹲っている玖珂の姿。
 これを笑わずして何を笑う?、と誰に問うわけでもなくそう尋ね嗤った。
「なぁ、気分はどうだ?玖珂よぉ」
「単細胞の、粗チン野郎が………苦し紛れに考えついたセコい作戦に、はまって……これ以上に……ねぇくらい………最悪だ、くそったれっ」
 追い詰められても口の減らない男。それが玖珂蒼助だった。
 そのあらゆる悪意が込められた発言は優越に浸っていた神崎の感情を怒りへと変換させる。
 やべ、と思った頃には既に神崎は幾つもの紫色に変色した青筋を額に浮かべていた。
 目が完全にイッちゃっているだけにさすがに蒼助も怖いと素直に思った。
 ブチ切れている神崎は足下に置き去りにされている蒼助の刀を踏みつけ叩き折り、
「てめぇ……自分がどんな状況かわかってんのか?そんなにとっとと死にてぇのか?上等じゃネェか今すぐこの手でそのムカつく面をグチャグチャに叩き潰してそれから―――――」
 怒りに任せてそれを実行しようとした時、不意に思考に理性が戻る。  
 このまま原型を残さないまでにミンチにしてやるのもいいが、それだけで自分の気は済むのか。
 否、あの時の敗北感と屈辱はそれだけでは収まりがつかない。
 それに今の蒼助は満身創痍。神崎の力ではあっと言う間に死んでしまう。
 じわじわと痛めつけて、苦しめながらあの余裕が崩れるくらいの十分な恐怖を与えたい。
 いっそこの世からその肉片残さず消し去って―――――  
 そう思った神崎の脳裏にある考えが浮かぶ。
 自分が考える限りの中で最も残酷で苦しく恐怖を与えられるこれ以上にない方法が。
 蒼助は猪のような勢いでこちらに来ようとしていたのを止めて動かない神崎を訝しげに見つめる。
 当然、痛みで顔を顰めながら。
「で………俺の末路はリンチで惨殺でミンチか?」
「―――――と思ったが、予定変更だ。もっと、イイのがある」
 不気味な笑みに蒼助は凄絶なまでに嫌な予感を感じた。
 何をするつもりだ、と血の抜けた身体に力を入れようと足掻いた時、周囲に蒼助を囲むように再び《屍鬼》数体が出現する。
「今からそいつらがお前を喰う。端からじっくり時間を掛けて喰い尽くす。一思いになんて死ねない。地獄から抜け出せない。逃れられない恐怖に侵されて狂いやがれ―――そして」
 小脇に抱えられていた千夜が前に出され抱え直される。
 瘴気に侵された彼女の目は焦点を失い虚ろだった。
 ただ、胸がゆっくりと上下している為、まだ生きている事は確かだった。
 神崎はそんな彼女の形のいい顔の輪郭を常人の三倍はある巨大な指でなぞり、
「俺は終夜をヤりながらそれを眺める、最高だろぉ……」
 その言葉が蒼助の耳には死刑宣告に聞こえた。
「喰われながら見てやがれ……この女が俺のものになるのをよぉ」
「………っ……!!」
 地面を掻き毟りながら蒼助は起き上がろうとする。
 突然、力が入った身体がもう少し起き上がれそうになったところを傍に来ていた《屍鬼》達に押さえつけられる。
 頭をまともに打ち目の前が眩む。
 再び、起き上がろうとするが、もう二度目はなかった。
 視界には獲物を前にして牙を剥き出し血走る眼の《屍鬼》。
 隙間から見える神崎と千夜。
 神崎の指がブラウスの第二ボタンにかかり、爪が括る糸を切る。
 そうして次々と外れて地面に落ちるボタン。落ちた時の音が妙に良く響いているように聞こえた。
 虚ろでありながら美しい顔を神崎はうっとりと喰い入るように見つめる。
「本当にイイ女だなぁ………なぁ、お前もコイツに惚れてんだろ? このウマそうな身体を犯してぇんだろ? 嬲って自分と同じ真っ暗な底へ堕としてぇんだろ?」
 見せつけるように、べろりと首筋に唾液に濡れた舌を這わす。   
「だが、ダメだ。――――これは俺のだ」
 ぶつり、と唇が噛み切れ新鮮な血の味が口に広がる。
 自分の中でどうしようもない憤りと恐怖が沸き上がるのを蒼助は感じた。
 何故、そう思うのかはやはりわからない。 
 阻止する事も、何も出来ない自分に苛立った。
 血に飢えた亡者共がそれぞれ己の身体のどの部分を粗食するかを決めているのも気にならないくらい。
 全てのボタンが外れブラウスの間から見える千夜の白い肌。
 汚い指が這い形の良い胸を保護するブラジャーを切ろう爪がかかるのを見て、蒼助の苛立ちは頂点に達したその時、

 ――――――許し難いか、あの男が。  

 目前に死を控えて気が触れてしまったのか、聞き覚えの無い男の幻聴が聞こえた。

 ――――――何が許し難い?

 彼女に触れているのが、と蒼助は答えた。
 すると幻聴は、殺されようとしている事にはないのか、と尋ねる。
 違う。
 そんな事よりもあれが彼女に触れているのが許せない。
 罪があるとすればそれは彼女を己とものと主張するその愚かさだ。
 
 ――――――全くもってその通りだな、己の程度さえも見極められず挙げ句の果てに“アレ”に手を出すとは………身の程知らずが

 幻聴の声に確かな苛立ち、憤怒の意を感じた。

 ――――――あの程度のものなら貴様でも何とか出来ると思っていたが………期待はずれだったな。もういい、あとはおれがやる………お前は代わりに“沈んで”いろ………………邪魔だ

 失望したような声が聞こえたかと思うと急速に意識が朦朧とし始める。
 まるで泥濘に意識が沈むような感覚だ。
 もがく暇もなく蒼助はそのまま沈んで行った。
 
 ――――――愚か者が…………“それ”が誰のものか、思い知らせてやろう……

 沈む直前に聞こえた声は蒼助の意識に僅かな波紋を残して消えた。
 
 ◆    ◆    ◆

 迎えた事態に男の我慢は現界を越えた。  
 首を向け、鬼気迫る表情で少女に詰め寄る。
「黒蘭様っ!! この期に及んでも尚……」  
「――――来たわ」
 唐突な少女の言葉に男は相手を捻り潰しかねないほどの怒りを一瞬忘れた。 
 目を瞬かせる男に少女は一瞥し黒真珠の如き瞳宿る双眸を細め、

「ようやくお目覚めよ、お寝坊さんが……」

 微笑った。


明日から学校です。
授業はまだないだろうけど、文化祭の準備です。
絵、描くです。レンタルしたライオンキングが参考資料。せっかく熱がこもる図書室で資料探したのに……。
一ヶ月半なんてあっという間です…………そんな私も最終日迎える度にあと一ヶ月続けと思う年をあと何回残っているのでしょうかぁ……。
夏って激しくて儚いですよねぇ。
まだ春の彼らもこれから激動の展開を迎えることになるのですが、いつになるのやら……。











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