48 掲示板で相談してみた
街の領主であるヴァイゼとの交渉を終え、俺は孤児院へと帰って来た。
「で……。なんでお前たちまで付いて来てるんだ?」
その際になぜかエイミーとトラバントの2人も一緒について来ていたのだった。
「おいおい、コウヤ。僕を放り出すというのかい?」
「酷い言い様ね。私に野宿でもしろと?」
2人揃って、何故か俺に対する非難の声をあげている。
「いやいや、普通はそのまま侯爵様の館でお世話になるもんじゃないのか? 特にトラバント、お前、皇子様だろ?」
皇子様が孤児院暮らしって、色々とまずくはないのだろうか?
「まあ細かい事は気にしなくてもいいじゃないか。それにこちらの方がどうも気楽にやれそうだしね」
「私も貴族の館暮らしなんて、あんまり性に合わないからね」
そう言って譲らない2人に対して、結局俺は客室を用意してやる羽目になったのだった。
◆
その後、諸々の雑事を終え、遅めの夕食を終えてから自室に戻った俺は、スマホを取り出す。
そして某巨大匿名掲示板を専用ブラウザで開き、質問スレを立ててみた。
何か有用な意見が、得られないかモノは試しといった所だ。
【緊急】異世界でも使えるMitsurinの商品って?【質問】
1 : 風がそよぐ名無し
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれは 異世界に行かされたと
思ったら いつのまにか荒事に巻き込まれてた」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…
そんな訳でスレタイだ
誰かアドバイスをくださいorz
2 : 風がそよぐ名無し
お薬増やしておきますねー(AA略
3 : 風がそよぐ名無し
そんな訳ってどんな訳だよ
状況がサッパリ分からんのだが
4 : 風がそよぐ名無し
異世界って何かの隠語?
じゃなきゃ1が只の頭オカシイ奴ってことになるが……
5 : 1
初スレ立てで舞い上がってました。すいません。
状況を説明すると、
①ひょんな事から異世界に
②なぜかネットが出来る。Mitsurinも利用できる。
③住んでいる街が荒事に巻き込まれそうなので、手助けしたい。
からのスレタイです。
一応、異世界にいる証明って事で、画像をいくつか。
〈画像添付〉
〈画像添付〉
〈画像添付〉
6 : 風がそよぐ名無し
古いヨーロッパの街並みって感じやなぁ
CGにしても良く出来てるな
7 : 風がそよぐ名無し
たしかに良く出来てるけどさ
これだけで異世界って言われてもね?
8 : 風がそよぐ名無し
状況説明がガバガバ過ぎて草も生えない
9 : 風がそよぐ名無し
まあいいじゃん。
こんだけのクオリティのCGをわざわざ用意するのも大変だと思うよ?
折角だし1に乗ってやろうぜ!
で、見た感じ中世っぽい感じの街並みだけど、文明レベルとかもそのくらいなの?
10 : 1
>>9
ありがとうございます。
文明レベルは、大体そのくらいで合ってます。
鉄砲とかは無しで、剣や槍を振り回して戦う感じですね。
ただ、魔法が存在したりするので、その辺が地球とは事情がちょっと異なりますが。
11 : 風がそよぐ名無し
なるほどね。
魔法ってのは、使い勝手はどんな感じなの?
火の玉を飛ばしまくったり、みたいな?
12 : 1
>>11
魔法は一撃の威力は高いけれど、連射が利かないって感じですかね?
あと射程も短いので、ちょっと効果範囲の広い弓矢? みたいな印象かな?
13 : 風がそよぐ名無し
ガチで語りあっててなんか吹いたわ
14 : 風がそよぐ名無し
>>12
それくらいなら、Mitsurinで買える商品でも上手く使えば、かなり役立ちそうだね。
例えば、これなんかどうかな?
〈Mitsurin URL〉
金属製の物より大分軽いし、使い勝手もいいと思う。
これで剣や槍、魔法を防げるかは、分かんないけどね。
ちなみに予算は、どのくらいあるの?
15 : 1
>>14
防弾シールドですか。
確かにいいかも……。
実際にちょっと使ってみて、良さそうだったら大量購入を検討しますね!
予算はかなり余裕があるので、今の所は気にしなくて大丈夫です。
16 : 風がそよぐ名無し
予算無制限とか、ホントの話ならウラヤマシ過ぎる……
17 : 風がそよぐ名無し
あと思いつくのは、そうだなぁ。
中世レベルなら、望遠鏡とか双眼鏡あたりあるとかなり便利なんじゃないかな?
地形にもよるけど、周囲を一望出来れば、かなり有利だしね。
18 : 風がそよぐ名無し
>>17
それならいっそドローンでも使えばいいんじゃね?
あれ使って、事前に様子探れば、奇襲とかやりたい放題じゃね?
たしかMitsurinにも売ってたよな?
19 : 風がそよぐ名無し
無線機なんかは?
連絡手段って結構重要よ?
20 : 1
>>17-20
どれも良さそうですね!
レス感謝です!
こんな感じで、俺は掲示板から使えそうなアイディアを色々と得る事が出来た。
特にドローンを使うアイディアなんかは、俺だけじゃとても思いつかなかった気がする。
挙げられた商品を次々と注文していく。
そうしている内に気が付けば、段ボール箱の山が出来ていた。
それらを俺は一つ一つ開封し、ちゃんと扱えそうか確認していく。
これで問題なければ、明日また行われる会議の場で、これらの使用について提案をしようと思う。
ただ、黙って提供するのは癪なので、その対価は当然得るつもりだ。
俺は少々底意地の悪い笑みを浮かべながら、一人確認作業に没頭していったのだった。