「ちょっと…。足、踏んでるんだけど?」
「ん?…うん」
「なにその態度…?」
「んー…」
「どうしたの?」
「…なぁ、雨の反対が晴れだったら、曇りの反対って?」
「うーん……微妙に…曇り?」
「…。やっぱ、俺ら駄目だなぁ」
「なによ、それ」
「なんか、毎日バイトして、飯食って、飲んで、ヤッて…の変なサイクルが板についてて…」
「それって、曇りの反対と関係なくない!?」
「俺こう見えても美大目指してたんだ。…つっても、美術の成績は悪かったけど」
「…前にも聞いた」
「俺の記憶上最後の作品は―…」
「隕石、でしょ?粘土丸めて終わりの」
「そうそう。そんなんだった」
「…ねぇ、行きなよ。バイト」
「ああ、もうそんな時間か」
「あたし、家で待ってる。何か、美味しいもの作って」
「んん。じゃ、行くか」
「頑張って。…あ、あとさ、たぶんだけど、あたしその変なサイクルが好き」
「ん?あ、そっか。なんだろうな、曇りの裏」
「わかんない。じゃあ、いってらっしゃい」
例えば、この世界が俺には理解できない科学的な理由で滅びることがあったとしても、俺の周りだけはなにも変わらず、ちょっとべたべたした気分のままだと思う。
根拠とか、理屈とか、今だってあるようでないんだからきっとそうなるって俺は自信を持って言える。
今日の晩御飯が何かはわからないけれど、それだけはわかるんだ。 |