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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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九十話 キッカの精霊契約

 水路が開通して翌日。ディーネ、ノモス、ドリーとも契約できた。そろそろ迷宮都市に行って、報酬を受け取らないといけないな。

 たぶん冒険者ギルドは俺の事を突き止めているはずだから、後悔している頃だろう。ふふ、どんな態度で出迎えられるのかがとっても楽しみだな。

「裕太。悪い顔してるわよ。どうしたの?」

「そんなに悪い顔してた? いや、そろそろ迷宮都市に行くから、詐欺師呼ばわりされた嫌がらせの仕返しを考えてたんだ」

 シルフィが長いタメ息を付いた。

「気持ちは分からなくも無いけど、サラ達やベル達に悪影響を与えるような顔はしないようにね。出来るだけ心の中に収めておきなさい」

 マジで? 俺、子供達に悪影響が出るような顔をしてたの? 自分の顔をペタペタさわるが良く分からない。

「分かった。出来るだけ表情に出さないように注意するよ」

 俺のせいでサラ達やベル達の性格が悪くなったら……うん。申し訳ないよね。

「そうしておきなさい。もし、ベル達が歪んだ笑顔を浮かべるようになったりしたら、分かってるわよね?」

 シルフィが凍えてしまいそうな笑顔で俺を見た。よく分かってはいないが、危険な事は良く分かった。今度からめそうな時には、ベル達には何処かに遊びに行っていてもらおう。みにくいものは見せてはいけない。

「肝に銘じておくよ。それで、ため池の様子を見に行った後、キッカに風か土どっちの精霊と契約したいか聞くから、連れて来てくれる?」

「分かったわ。ふふ、あの子はどちらを選ぶのかしら?」

 別にキッカが風の精霊を選ばなかったからって怒らないよね? ……大丈夫だ。ベル達の面倒を見るまで、下級精霊の事はあまり意識してなかったって言ってたから、そんなにこだわりは無いはずだ。でも一応、フォローしておくか。

「どうだろう。兄のマルコが土の精霊を選んでいるから、同じにするかもね」

「そう言えばそうだったわね。お兄ちゃんと一緒が良いのなら、ウリに似た子を連れて来たら喜ぶかしら?」

「どうか分からないけど、ウリとウリに似た子が一緒に居れば、ホンワカしそうだよね。サラ達には見えないけど」

 プギャプギャと絡まり合って遊ぶ二匹のウリ坊。その光景は心が和む事間違いなしだ。

「ふふ、そうね」

 どんな精霊がキッカに似合うのかを話し合いながら泉に到着する。

「あっ、ディーネ。ため池はどう? 悪い所は無い?」

「裕太ちゃん。問題ないわー。とっても素敵よ」

 素敵? 普通に穴を掘っただけなんだが……まあ、気に入っているのなら良いか。ため池を確認すると綺麗な水が溜まっていて透明度が抜群だ。昨日水が入った時はにごっていたけど、沈殿したかディーネが綺麗にしてくれたみたいだ。

 確認しようとした時「きゃはははー。れいんもっとー」っと言う声と共に水しぶきを上げてベルとレインが泉に突入してきた。

「あー。ゆーたー」「キューー」

 俺に気が付いたベルとレインが、ふよふよと飛びながら胸にポスンと収まった。

「二人とも水路で遊んでたんだ。楽しい?」

「とってもたのしー。ひろくなったからたくさんあそぶのー」「キュキュー」

 そう言ったベルとレインが、いかに水路が楽しいかをリアクションたっぷりで説明してくれる。内容は良く分からないが、興奮度合いを見ると、相当楽しいのは良く分かる。

「そう。よかったねー。そう言えばトゥルとタマモは?」

 基本的にいつも一緒に遊んでるんだけど、珍しいな。

「あのねー。もりのおてつだいをするってー」「キュキュキュー」

 ベルとレインが両手と両ヒレを大きく広げて大きさをアピールしている。森の管理をしてくれているのか、後で様子を見に行ってみよう。

「そうなんだ。良く分かったよ。ありがとう、ベル、レイン。俺はもう少し用事があるから、遊んでおいで」

「あそんでくるー」「キュー」

 そう言ってベルはレインにまたがり水路を爆走して行った。水路は結構な距離があるから、水路を爆走するのも楽しそうだな。

 何となくため池を確認し終わった気になったのでディーネと別れて森を見に行く。森で頑張っていたトゥルとタマモと存分にたわむれてから、訓練をしているサラ達の所に向かった。

 今はウリが幾つも土の的を作って、フクちゃんがサラの指示通りに壊しているみたいだな。ゾンビも簡単に倒すようになったし、キッカが契約したら直ぐに巣に行くか?

 でも、そろそろ迷宮都市にも行きたいし、今日と明日はキッカの訓練をして、明後日から迷宮都市に行くか。冒険者のランクも上げたいし依頼を受けるのも良いな。

「あっ。お師匠様」「師匠」「おししょうさま」

 毎日のレベル上げの成果か、キッカが俺の事をおししょうさまと呼んでくれるようになった。初めて呼んでくれた時は驚くほどテンションが上がったな。

「お疲れ様。訓練は順調?」

「はい。フクちゃんも仲良くしてくれますから、出来る事が増えました」

「師匠! そうなんだ。あのな、同時攻撃が出来るようになったんだ。色んな事を試して、ウリと仲良くなった」

「へー。凄いね。精霊と仲良くなってお互いの事が良く分かるようになれば、もっと出来る事が増えるから頑張ろうね」

「「はい」」

 やる気に満々だよね。大雑把なアドバイスしか出来ないのに、この子達は自分で出来る事を考えてしっかり訓練しているから偉い。

 出会ってから二十日も経っていないのに、だいぶ明るくなった気がする。サラはよく笑うようになったし、マルコとキッカは警戒心がだいぶ取れたと思う。

 お腹いっぱいご飯を食べて眠れるだけで結構違うんだろうな。でも夜中に偶に泣いている事がある。戦いやここでの生活が辛いのかと聞いてみたが、両親の事を思い出して寂しくなってしまったと言っていた。

 サラにスラムにいた頃は、両親を思い出す余裕も無かったので良かったですと微笑まれた時、何と言って良いのか分からなかった。自分の人生経験の薄さが嫌になるな。   

「お師匠様。どうかしましたか?」

「いや。何でも無いよ。頑張っていて偉いなって思っただけ」

 何となくサラ達の頭を撫でる。勢いと精霊術師の悪評を払拭ふっしょくする為に弟子に取ったんだけど、中途半端は駄目だよな。独り立ちできるまでしっかり面倒みないとな。

 でも三人ともしっかりしているから速攻で独り立ちしそうな気もする。今でも冒険者として食べて行けるぐらいの実力はあるんだよね。俺ももう少ししっかりしないと師匠として胸を張れないよな。

「それでね、今日はキッカの精霊契約をしようと思うんだ。キッカは風の精霊か土の精霊、どっちと契約するか決まった?」

「おししょうさま。キッカは風のせいれいさんとけいやくしたい」

 おっ、ちょっと予想外。

「そうなんだ。どうして風の精霊を選んだのか聞いても良い?」

「おにいちゃんが守ってくれるから、キッカはおねえちゃんと風をつよくするの」

 なるほど……? えーっと、守りはマルコに任せて、攻撃はサラと協力して風の威力を増すって事か?

「ねえ、シルフィ。風の精霊が二人いて、魔法を重ねたら威力って上がるのか?」

「そうね。魔法の種類にもよるけど、威力が上がるのは間違い無いわね」

 合体魔法って事か……漫画もアニメも見た事が無いはずなのに凄い事を考えたな。合体魔法とか心をくすぐられるんですけど。

「いい考えだね。シルフィも威力が上がるって言ってるから、頑張ると強くなれるよ」

「おねえちゃんと、おにいちゃんといっしょに、たくさんかんがえたの」

 キッカが自慢げに胸を張っている。頑張って皆で考えたんだな。俺に相談が無かったのが少し寂しいが頑張ったのは間違い無いんだ、しっかり褒めよう。みんな頑張り屋さんだから褒めて伸ばす教育で行くぞ。

「そう言う訳だから、シルフィ。風の精霊を連れて来てくれる?」

「ええ、じゃあ探して来るわ」

「お願いね」

 飛んで行くシルフィを見送る。今度はどんな子が来るんだろう? 楽しみだな。キッカも落ち着かないのかウロウロしている。自分が契約する精霊が気になるんだろうな。


 ***


「ただいま」

 昼食を取っているとシルフィが戻ってきた。肩には豆フクロウが乗っている。フクちゃんじゃないよね?

「シルフィ、お帰り。その子が風の浮遊精霊? フクちゃんじゃないよね?」

「ええ、魔法を重ねるって言ってたから、似た子が良いでしょ。それに土の精霊だったらウリと同じ子を探す予定だったけど、風の精霊だからフクちゃんと似た子にしたわ」

 豆フクロウ二体の合体魔法……可愛い気がする。フクちゃんも自分とそっくりな豆フクロウが気になるのか、近くに移動して何かを話している。あっベル達も乱入した。楽しそうにしているから問題は無さそうだな。

「キッカ。シルフィがフクちゃんとそっくりな豆フクロウを連れて来てくれたから、名前を考えてね。ご飯が終わって名前が決まったら契約するからね」

 コクンと頷くキッカ。それからキッカは上の空でご飯を食べている。いつもならご飯に真剣に向かい合っているんだけど、名前を考えるのに意識が行ってるみたいだ。


 ***


「キッカ。名前は決まった?」

「マメちゃんかロウちゃん」

 ……豆フクロウでサラがフクちゃんだから、マメちゃんかロウちゃんなのか……ウリもウリ坊から取ったし、みんなシンプルな名前を考えるんだな。

「んーっと。マメちゃんにする」

 マメちゃんか。何となく犬っぽい名前な気もするが、異世界だし問題無いか。 

「シルフィ。その子をキッカの前にお願い」

 シルフィが連れて来た豆フクロウをキッカの前に連れて来る。

「キッカ。名前を付けてあげて」

「うん。マメちゃん。なまえはマメちゃんでだいじょうぶ?」

 羽をパタパタとしながら頷くマメちゃん。契約が成立したな。

「キッカ。契約が成立したよ。サラとマルコを見ているから分かっていると思うけど、沢山話し合って仲良くなってね」

「マメちゃんとたくさんおはなしして、なかよくなる」

 真剣な顔で応えるキッカ。マメちゃんも一緒に頷いているし大丈夫だよね。これでサラ。マルコ。キッカで協力してレベル上げが出来るようになった。これからが楽しみだ。
読んでくださってありがとうございます。
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