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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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八十五話 木材

 精霊樹のテッペンまでシルフィに連れて行ってもらい、精霊樹の良い香りに包まれながら、十分に森林浴を楽しんだ。その後はせっかくなので、精霊樹の木陰にテーブルを出して昼食を取る。大きな木陰が出来るとそれだけで暮らしやすく感じるな。

「サラ達は昨日の実践をまえて、フクちゃんとウリと訓練しておいで。分からない事があったら聞きに来ること。その後お昼寝ね。今日の夜も実践だからしっかり寝ておくように」

 頑張りますと気合を入れて走って行くサラ達を見送る。ちょっと放任過ぎるかな? でもあんまり教える事も無いし、俺は俺で作業をしていた方が効率的なんだよな。側に居るべきなのかちょっと悩ましい。

「裕太さん。私が子供達の側に付いていましょうか?」

 俺の考えている事が分かったのか、ドリーが付き添いを申し出てくれた。

「見守ってくれると助かるけど、いいの?」

「構いませんよ。私も裕太さんと契約しましたからね。お手伝いします」

 ニコニコと微笑んで、請け負ってくれた。なんか癒される。

「ありがとう。お願いするね」

 分かりましたと言って、ドリーがサラ達の所に飛んで行った。ドリーがいるなら危険な事は無いだろう。

「さて、ベル達は畑と森予定地の管理をお願いね」

 そう言えばトマトのなえも手に入れて来たんだよな。後で植えないと、どうせならサラ達も一緒に畑仕事をするのも良さそうだ。今は訓練に行かせたから次の機会にするか。

 しかし、よく考えたらトマトの苗は普通に収納出来たけど……植物って何処まで収納できるんだ? 今度実験してみるか。

「はーい」「キュキュー」「つちのていれがんばる」「クーー」

 張り切ってお仕事に飛んで行くベル達を見送る……森予定地もドリーに成長させてもらった方が良いのかな? あそこは俺がでっち上げた土だから急成長は危険か。ノモスと契約したら土を混ぜ合わせてくれるって言ってたし、成長させるのはその後だな。

「裕太ちゃん。お姉ちゃんもお手伝いするわよ!」

 ディーネが張り切って宣言する。うーん、何か仕事があったかな? ドリーにも付き添いをお願いしちゃったし、ここで何も無いと言うのもねる気がする。

「うーん、じゃあベル達の付き添いをお願い出来る? レインが水をくと思うから、色々アドバイスをしてあげて」

「分かったわ。お姉ちゃんがしっかり監視をしておくから安心してね」

「うん、お願いね」

 契約したばかりだからか、ディーネもドリーも張り切ってるな。ある程度自由に力が使えるのが楽しいのかもしれない。

「裕太はこれから何をするの? 開拓?」

「ん? 開拓の前に木材を加工しようかなって思ってる。取って来た木を乾燥させる場所を用意して、枝を落とすよ。そう言えばシルフィの力で木材を乾燥出来る?」 

「熱い風を当てれば乾燥は早くなるけど、ディーネに水分を抜いてもらった方が早いわね」

 おお、水分を抜いてもらえれば確かに乾燥するよね。凄く便利。

「じゃあ、乾燥させる場所は必要ないね。取り敢えず枝を落として乾燥出来る状態にするよ」

 枝も乾燥させれば燃料に使えるけど、炭を大量に仕入れたし、他の何かに利用した方が良いか? 穴を掘って葉っぱを入れて水を掛けておけば、良い肥料になるってテレビで言ってたけど、腐葉土も森でしっかり回収して来たし、使い道に困る。

 なんか貧乏性と言うか、流木が無くなって燃料が枯渇こかつする事を恐れてたから、木の枝とかも簡単に捨てられない体になってしまった。一応乾燥させて、焚き付け用に取っておくか。

「確か結構な量を間伐してたわよね。私も手伝うからさっさと終わらしちゃいましょう」

「うん、頼むね」

 間伐して来た生木を全部取り出す。……移動しながらコツコツと間伐していたから、あんまり実感が無かったけど、全部をいっぺんに見ると凄い量だな。

 もしこれで家を建てるとしたら、木の種類は出来るだけ統一した方が良いよな。家作りにむいている木の種類は、ドリーとタマモに頼めば見極めてくれるだろう。

 俺は魔法のノコギリを取り出し、スパスパと枝を落とす。素晴らしい性能だ。何の苦労も無く簡単に一本目の処理が終わる。このペースならそんなに時間が掛からないな。そう思ってシルフィの方を見ると……。

 沢山の木が空中に浮かび、スパパパパっと枝が切り離されている。楽に終わるのは嬉しいんだけどね、なんて言うかその、俺のチートスキル、開拓ツールがかすんでしまうよね。

 負けられない! っと無意味な対抗心を燃え上がらせ、ノコギリを振りかざし全力で枝を切り落とす。

 ………………燃え尽きた。燃え尽きたぜぇ。

「裕太。何でそんなに疲れてるの?」

 それはね。無意味に対抗心を燃え上がらせて、全力で作業したのに、シルフィの方が倍ぐらい簡単に処理してしまったからだよ。心なしか魔法のノコギリもヘニョってる気がする。

 そうか。チートなお前もリアルチートの前では形無しか。ごめんね。俺がもっと上手に使ってあげられれば……。

「何をブツブツ言ってるの? 何かあった?」

 シルフィが心配そうに聞いて来る。人はこうやって無自覚に他人を傷つけてしまうんだな。才能って恐ろしい。

「いや、何でも無いよ。ちょっと頑張り過ぎただけ。手伝ってくれてありがとう」

「そう? あんまり無理しないようにね」

「うん。ありがとう。もう大丈夫。木材はここに置いて、後でディーネに水分を抜いてもらうよ。次は開拓するね」

 少し休んだらとシルフィに心配されたが、精神的な疲れだから問題無い。むしろ体を動かしたい気分だ。サラ達とベル達の様子を確認して開拓予定地に向かう。


 ***


「ディーネ。そこに並べている木材の水分を抜き取る事は出来る?」

 予定していた面積の開拓を終えて、ディーネに声をかける。ちなみにサラ達はお昼寝中でベル達は新しく生えた精霊樹で遊んでいる。

 ベルいわく「ぐーんってなってぎゅーんってできる」らしく大変楽しいそうだ。何がグーンでギューンなのかはよく分からなかった。

「うふふー。お姉ちゃんなら簡単よー」

 自信満々で宣言するディーネ。簡単らしいのでお願いするか。 

「助かる。木材が変質しない程度に水分を抜いてくれ」

 りょうかいーっと言って鼻歌を歌いながら木材に向かうディーネ。ディーネって氷も出せるし木材の水分も抜けるし、水の扱いはお手の物だし、優秀なんだよな。

 気まぐれで子供っぽい性格が、大精霊の威厳いげんと優秀さを覆い隠してしまう所が残念だ。

「えい!」

 ディーネが声を出すと、木材からモヤモヤと水蒸気が出て来た。

 ………………

「ふいー。裕太ちゃん終わったわよ」

 ディーネが腕で汗を拭く仕草しぐさをしながら乾燥が終わったと教えてくれた。うーん、まず精霊は汗をくのか? その仕草は何処で覚えて来たんだろう? 疑問がいっぱいだ。

「ありがとう。助かったよ」

「お姉ちゃんに任せなさい。むふふー」

 やり切ったって感じのディーネの見て思う。初めて会った時のディーネは何処に行ったんだろう? 

 取り合えず木材を魔法の鞄に回収する。触ってみると確かに水分はしっかりと抜けている感じだ。しかし真っ直ぐな木は使いやすいが、曲がりくねった木はどうしよう。どう利用すれば良いのか分からない。

 うーん。魔法の鞄は容量無限なんだし、収納しておくか。いずれ何かの役に立つだろう。たぶん。

 全部回収して腰を伸ばす。うーん夕食まで中途半端に時間が余ったな。余裕があるし、出来合いの物じゃ無くて、ドラゴンステーキいっちゃうか?

 いきなりファイアードラゴンと言いたいところだけど、まずはアサルトドラゴンからだな。マリーさんの話では超高級肉らしいから美味しいはずだ。ファイアードラゴンは更に美味しいらしいけど、俺は取って置きを最後に食べるタイプだ。

「ねえ、シルフィ。ディーネ。今日はアサルトドラゴンのステーキにしようかと思うんだけど、食べる?」

「そう言えば、お肉だけ先に貰って来てたわね。私は頂くわ」

「お姉ちゃんもたべるわ。今日の夜はお酒も出るのよね?」

 そう言えば、ドリーとの契約が終わったらお酒を出すって昨晩約束したな。

「お酒は出すけどサラ達のレベル上げがあるからその後にね。夕食はドラゴンステーキとパンとサラダかな」

「えー、赤ワインだけ駄目?」

 くっ、ディーネのくせに上目遣いでお願いだと。何処でそんなテクニックを……。さっきまで飛んでたから、俺よりも頭は高い位置にあったはずなのに。

「一杯だけなら良いよ」

「ふふ。裕太ちゃんありがとー。お姉ちゃんとっても嬉しいわ」

 ディーネとシルフィが喜び合っている。ドラゴンステーキよりも赤ワイン一杯の方が嬉しいのか? ドラゴンステーキでワインとか樽で買えそうな気がするんだけどな。

 なんか釈然しゃくぜんとしない気持ちを抱えながら、夕食の準備に取り掛かる。取り敢えず焼き台を出して小枝と炭を敷いて、焼き網を乗せる。生活魔法の種火で小枝に火をつけてベルを呼ぶ。

「ゆーた、なーにー。おてつだい?」

 ピューっと飛んで来たベルが小首を傾げながら聞いて来る。

「そう。お手伝い。この炭に優しく風を吹かせて、炭火をおこして欲しいんだ。できる?」

「できるー」

 自信満々に宣言したベルは、焼き台の前に移動して真剣な顔で風を吹かせ始める。どうすれば良いのかはしっかりと把握はあくしているらしく、程よい空気が炭火に送り込まれ、小枝の火が炭火に燃え移っていく。完璧な仕事ぶりだ。

「シルフィ。そう言えば火の精霊ってどうなの? やっぱり常に火が灯っていないと此処にはいられないのかな?」

 地火風水が四大属性っぽいのに、いまだに火の精霊と契約していないのも違和感がある。

「そうね。今のままだと無理があるわね。契約すれば何とかならない事も無いけど、それでも死の大地は辛いと思うわ。快適に暮らせる設備を整えたら連れて来るわね」

 うーん、やっぱりか。出来れば一日中、火が燃えている施設があった方が良いんだよな。鍛冶屋とかは夜に火が消えるし、意外と難問だ。

「何か考えてみるよ。その時になったらよろしく」

「分かったわ」

 そろそろ料理に取り掛かるか。おっ、サラ達が起きて来たみたいだ。……そういえば寝起きにドラゴンステーキとか大丈夫かな? 俺は平気だしマルコも平気だろうけど、サラとキッカには聞いておくか。

 せっかくのドラゴンステーキ美味しく食べたいもんね。
読んでくださってありがとうございます。
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