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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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八十一話 ディーネとの契約

 やっとこさ噴水が完成した。魔法の鞄に収納して、泉の家に戻ろうとすると素晴らしく透明度の高い海が目に飛び込んで来た。

 今度サラ達を連れて来て、海水浴も良いかもな。あっ、水着を買わないと。そもそも水着ってあるのかな? 迷宮都市に行ったらマリーさんにでも聞いてみるか。ディーネと契約できたら、海で遊んでも安全だろう。

 シードラゴンを天まで打ち上げたって言ってたからな。大概の魔物が来てもディーネに対処してもらえるよね。

「裕太。どうしたの?」

「ん? ああ、ディーネと契約したら、サラ達を連れて海水浴に来ようかと思ったんだ。海には強い魔物がいるらしいけど、ディーネがいたら安全に遊べるよね」

「ディーネがいれば安全に遊べるでしょうけど、大精霊の力を遊びに使うの?」

「えっ? 駄目なの?」

 いや、よく考えたら駄目だろう。精霊って身分にこだわらないって言ってたけど、それでも王様の一つ下。貴族階級で言ったら公爵って事になるのか? そんな精霊に、海で遊ぶから守ってねって言うのは怒られる気がする。訂正ていせいしておこう。

「駄目じゃ無いわよ。ただ、予想外だったから驚いただけ。ディーネも一緒に楽しむでしょうけど、まあ、問題無いわ」

 訂正する前に許可が下りた。問題無いなら良いか。海中散歩とかも連れて行ってくれるかもしれないし、夢が広がるな。

「良かった。死の大地で遊べる場所があると、あの子達も訓練のはげみになるよね。海で遊ぶ為にもディーネに噴水を見せに行こうか。シルフィ、お願いね」

 シルフィに風のまゆで包んで貰い、泉の家まで飛ぶ。頑張って歩いていたのが悲しくなるぐらいの速度差だ。

 直ぐに到着して泉の前に降り立つと、ベル達が直ぐに気付いて飛んで来た。その後にサラ達も走って来ている。サラ達も起きたのか。しっかり昼寝が出来たのなら夜は大丈夫……かな?

「ゆーた。おかえりー」「キュー」「おかえり」「クーー」

 言葉と同時に突撃してしがみ付いて来るベル達。そんなに長い時間離れた訳じゃ無いのに、こうやって出迎えて貰えると凄く嬉しいな。撫でまくっているとディーネの声が真後ろから聞こえた。

「裕太ちゃん。噴水できた?」

 振り向くと好奇心いっぱいでニコニコしているディーネがいた。いつのまにって言いたいけど、泉に溶けてたんだろうな。

「ああ、ディーネが気に入るかどうか分からないけど頑張ったよ」

「うふふー。裕太ちゃん。お姉ちゃんの為に頑張ったのねー。良い子ねー」

 あれ? 軽くイラッっとするな。……まあいい。落ち着くんだ。サラ達も来たから、ここで声を荒げても怖がらせるだけだ。あとディーネ。クネクネしないで欲しい。

「お師匠様。お帰りなさい」「お帰り師匠」「………………お帰りなさい」

 おお、キッカが時間が掛かったものの普通の声でお帰りって言ってくれた。まだ死の大地に来て一日だけど進歩している。

「ただいま。みんなしっかり眠れた? 今日から夜に少し訓練するけど、大丈夫そう?」

「はい。頑張ります」「おれもがんばる。ウリがまほう沢山みせてくれたんだ」

 サラもやる気があるみたいだけど、マルコも気合が入っている。ウリが使った魔法で精霊術師に対する印象が良くなったのかもしれない。

 ……ディーネ、いま子供達と話しているんだからそでを引っ張らないで欲しい。待ちきれないぐらい楽しみなのか? そんなにハードルが上がっているとこまる。しょうがないので、サラ達に離れているように告げて、ディーネに向き直る。

「ディーネ。噴水を設置するから、泉の水をどうにかしてくれ」

「分かったわ。ちょっと待っててね」

 ニコニコしながら、手をふいっと振ると泉の水がズズズっと井戸まで割れる。なんか凄い預言者が海を割った光景を思い出した。まあ、海と泉だと随分違うけど、ディーネなら海を割れるんだろうか?

「裕太ちゃん。お姉ちゃんが抑えておくから、もう入って良いわよ」

「わ、分かった」

 ちょっと不安だが、ファンタジーな光景で少しドキドキする。両サイドに分かれた水はピタリと固定され、太陽の光でキラキラしている。魚を入れたら水族館も出来そうだ。これだけの事が出来るのに、噴水が本当に必要なんだろうか? ……ディーネの考えなんて分からないよな。頭が痛くなりそうだから考えるのは止めておこう。

 好奇心で水の壁に触れてみるとスルっと手が水の壁に入る。えーっと、水が固形化している訳では無いんだな。水は水のままって事なんだろう。理屈は魔法だからで済ませないと、頭がパンクしそうだ。ある意味幻想的な今を楽しもう。

 一メートルの段差をピョンピョン飛び降りながら井戸に到着する。上を見上げると井戸の部分は円柱形に水が退しりぞけられていて、光が乱反射して眩しいぐらいだ。まだ契約前なのにこんなに力を使って貰って良いのか? ノモスの時みたいにディーネの要請に応えた形だから問題無いって事なんだろうか。

 ボーっと上を見上げていると、ベル達にフクちゃんウリが加わって泉の中を泳ぎ回っている。水が押し退けられている部分を通るのがお気に入りらしく、左右に行ったり来たりして、全力で楽しんでいる。ちょっと羨ましいな。

 いかんいかん。さっさと噴水を設置しないとな。シルフィに体を浮き上がらせて貰いながら、岩のパイプを設置していく。水面まで岩のパイプを繋げ、噴水を慎重にはめ込む。遠くからディーネの声が聞こえるが、今は大事な所なので無視だ。

「これで完成……だと思う」

「何だか自信なさげね」

「元々建築なんてした事無いし、噴水を作るのも始めてなのに、自信がある方がおかしいよ」

 それもそうねって感じでシルフィもうなずいてくれた。だよね、俺、結構無茶な事を言われてるよね。そのまま飛行してディーネの隣に降りる。

「ディーネ。ゆっくり水を元に戻して」

「うふふ。わかったわー」

 ご機嫌のディーネが手を振ると、ゆっくりと水が元に戻っていく。完全に水が元に戻ると「しっかりみてくるわねー」っとディーネが飛んで行った。評価が気になる。

「あの、お師匠様。どうなってるんですか?」

 サラが頭に疑問符を浮かべて聞いて来た。突然泉を割って噴水を設置しだしたら、疑問にも思うよね。あれが噴水と認識されていなかったら、更に疑問だろうな。 

「ん? ああ、あのねディーネ……水の大精霊のディーネとの契約する条件が、噴水を作る事だったんだよ。だから、噴水を作って設置したんだ」

「そ、そうなんですか。精霊と契約するには条件があるんですね」

「いや。普通は条件とか無いから安心して良いよ。俺の場合は話が通じるから、何となく条件を追加された感じだね。サラ達は精霊が条件を出そうとしても会話が出来ないから、何か条件を出される事は無いと思うよ」

 俺が通訳として使われる可能性も無きにしも有らずだけどその時はその時だ。おっ、ディーネが戻ってきた。

「裕太ちゃんありがとー。お姉ちゃんとっても気に行ったわ。シンプルだけど、お姉ちゃん、裕太ちゃんの気持ちを確かに感じたわー。愛が沢山詰まって素敵ね」

 両手を広げてクルクル回るディーネ。どこのヒロインだとツッコミたい。しかし……俺の気持ち? 面倒だなー。なんか納得いかないなーって気持ちでいっぱいだったんだけど……何処かに愛を込めてたんだろうか? うーんディーネにも色々助けて貰っているし、何処かで感謝の気持ちがあるんだろうけど……まあ喜んでるのならいいか。

「頑張ったから、気に入ってくれて嬉しいよ。これで合格で良いか?」

「うーん、中央の穴は問題無いんだけど、その他の穴は倍ぐらいに広げて欲しいの。それで合格よ」

 それぐらいなら簡単だな。シルフィにもう一度噴水に連れて行って貰い、ディーネの意見を聞きながらハンドオーガーで穴を広げる。十分もかからずに穴を広げ終わった。

「うん。これで十分ね。ささ裕太ちゃん。お姉ちゃんと契約しましょうか」

 いきなりだな。何かもう少し雰囲気とかも重視して欲しいんだけど。言っても無駄なんだろうな。

「分かった。頼むね」

「ふふ。お姉ちゃんに任せなさい。シルフィちゃん裕太ちゃんを噴水の前の水面に降ろして」

 えっ? 水面に降ろすって? あっ、シルフィ。高度を下げないで。

「ちょ、ちょっと待って。水に浸かるなら服を脱ぎたいんだけど」

「大丈夫よ」

 何が大丈夫なんだ? 良く分からない内に水面に到着する。……あれ? おお、なんかちょっとモニュってするけど、水面が俺の足を受け止め沈まない。あはは、水の上に立っちゃったよ。空を飛ぶのとは違った感動があるな。まさに忍者だ。

 レインにも頼んだら出来たのかな? なんかまだまだ気が付かなくて出来る事が沢山ありそうだ。色々と考えて聞いてみるようにしないと。

「じゃあ裕太ちゃん。はじめるわよ。シルフィちゃんの時とたいして違いは無いから落ち着いてね」

「わかった。始めてくれ」

 俺の言葉にディーネが微笑、両手を前に出す。それと同時に噴水から水が噴き上がり、泉の水も踊るように波立つ。噴水の水と泉の水が魔力を帯びて輝き、俺の周りを意思を持った龍のように飛び回る。

 噴水の水は落ちる事無く上空で大きな球体になり、圧縮されたように光を増しながら小さくなってディーネの両手に下りて来た。

「私は水の大精霊ディーネ。契約を望むのであればこの水玉すいぎょくを取り、心臓に当てなさい」

 凛とした表情で話すディーネ。こうしてみると圧巻の美女だ。なんか勿体もったいないな。

 シルフィの時は風だから良く分からなかったけど、水があれだけ凝縮されると流石にビビるな。水って小さく出来るのか? 科学的にはありえない現象……ファンタジー世界だもんね。魔法だよね。

 ディーネの両手にある水玉を受け取り心臓部分に押し当てる。風玉ふうぎょくの時と同じように、水玉もほどけ、俺の体に吸い込まれていく。

「契約は成った」

 凛としたディーネの宣言と同時に飛び回っていた水が弾け、雨のように降りそそいだ。

「ふふ。契約完了。これで裕太ちゃんとお姉ちゃんはパートナー。大切にしてね」

 ふわふわと笑いながらディーネが言う。……なんか違う気がするのは俺だけなのか?
読んでくださってありがとうございます。
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