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精霊達の楽園と理想の異世界生活 作者:たむたむ
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七十九話 再びの死の大地での生活

 死の大地に戻って来て初めての朝食を終える。フクちゃんとウリは料理を食べるのが初めてだったらしく、パタパタ、プギャプギャ大興奮で素晴らしく可愛かった。

 浮遊精霊は進化が早いと言っても、普通の動物に比べたら長くかかるだろう。小っちゃくて愛らしい姿を長く愛でられるのは、凄くラッキーなのではないだろうか?

「よし。まずはこの拠点。泉の家って呼んでるんだけど、ここを案内するね」

「はい。お師匠様。お願いします」

「サラ。そんなに堅苦しくならなくて良いよ。師匠で良いし、敬語を無理して使う必要も無い」

「あ、あの。こちらの方が落ち着くんですが、駄目でしょうか?」

 敬語の方が落ち着く子供ってどうなんだろう?

「サラがそうしたいのならそれで良いよ。無理はしないでって話だからね」

 ホッとしたようにうなずくサラ。まあ、サラがそれで良いのなら良いか。マルコとキッカも問題無いみたいだし、そろそろ行くか。

 外に出るとシルフィ達がそろっていた。そう言えば顔合わせをしていなかったな。今の内に紹介しておこう。

「サラ。マルコ。キッカ。ここに精霊が居るのが分かるよね。シルフィ以外は契約していないんだけど、水の大精霊のディーネと土の大精霊のノモス、森の大精霊のドリーだ。みんなこの場所に居てくれて、力を貸してくれているんだ。みんなもお世話になる事があるかもしれないから、気配を覚えておくようにね」

 俺は直接見えるから気配とか良く分からないけど、サラ達は何となく気配の強弱でベル達を見分けているらしいから、たぶん大丈夫だろう。

「は、はい。サラと申します。大精霊の皆様。よろしくお願い致します」「マルコです。よろしくお願いします。こっちは妹のキッカです」「……よろしくおねがいします」

 みんなちゃんと挨拶が出来て偉いな。サラの影響かもしれない。シルフィ達はニコニコと子供達の様子を見守っている。シルフィ達は人が好きな訳では無さそうだけど、子供は微笑ましいらしい。

 忘れているみたいだから、契約している精霊の紹介もしておくと良いとアドバイスをする。慌ててフクちゃんとウリを紹介している。まだ精霊と契約したって感覚があまり無いんだろうな。

 シルフィ以外の大精霊達に別れを告げて、案内を開始する。……と言ってもあんまり案内する場所は無いんだけどね。プール。泉。畑。森の予定地を案内するだけなので、直ぐに終わってしまう。

 最後に昨日約束した、空の上から全体を見せて終了だ。人の住処として発展している訳では無いが、周辺の死の大地との明らかに違う雰囲気に、サラ達が驚きの声をあげる。ちょっと頑張りが認められたみたいで嬉しい。

「まあ、こんな感じだよ。まだまだ足りないものが多いけど、ここに居る間は開拓とサラ達の訓練がメインになる。まあ、当分はここと迷宮都市を行ったり来たりする予定だ。何か質問は?」

「あ、あの。お師匠様。お一人でここまで開拓されたんですか? 死の大地は水も出ない。植物も生えない。本当に死んでしまった土地だったはずなんですが」

 色々案内している時に、サラが物凄く驚いていたのは、ある程度、死の大地について知識があったからか。敬語も話せるし、教育を受けた雰囲気もある。サラは良い所のお嬢さんだったのかもしれないな。

「一人じゃ無いよ。精霊達の力を借りて開拓したんだ。冒険者ギルドでは嫌われているけど、精霊術師はちゃんと出来れば凄いんだ。やる気になった?」

 俺の言葉にベル達がエッヘンってしている。俺にしか見えないんだけどね。

「師匠。精霊って凄いんだな。俺も畑が作れるか?」

 マルコが畑に食い付いて来た。戦いに興味があるとばかり思ってたんだけど違うのか?

「うーん、今のままだと精霊術師としては未熟だから、難しいかな。マルコは畑がやりたいの?」

 俺には開拓ツールがあったけど、マルコには無いし、今のままで土の精霊だけだと畑は難しいよね。

「強くもなりたいけど、出来る事も増やしたい。畑が出来るようになれば、何とか生きて行けそうだ」

 マルコは知識……いや、生きる為の知識に貪欲どんよくなんだな。それだけ厳しい環境で育ったんだろう。

「畑なら、精霊術を磨いて水の精霊と森の精霊と契約できれば、大丈夫だと思うよ。実力をつけて色々考えてみるといい」

 少しは師匠っぽい事が言えた気がする。真剣に考え込むマルコを見ながら思う。俺がマルコ位の時は、遊ぶ事しか考えてなかったよな。宿題から目をらし、目の前の楽しい事に夢中になって、あとで先生に怒られていた。そう考えると日本って恵まれているな。

「俺はこれから虫の確認をするから、サラ達は自分の精霊とコミュニケーションを取るように。ベルとレインはサラ達を涼しくしてあげて。あとキッカ。キッカも精霊と仲良くなる練習をしようね。ベルとレインが側に居るから、色々と聞いてみるといい」

 キッカは急に話しかけられてビクッっとしたが、小さくうなずいてくれた。はやく話しかけても驚かれないようになりたい。

「ベル。レイン。お願いね」

「まかせてー」「キュー」

 小さな右手と右ヒレで胸をドンっと叩く仕草しぐさをするベルとレイン。なんかドンドンリアクションが増えてるな。何処で覚えてるんだ?

「トゥルとタマモは、虫の仕分けを手伝ってね。俺は良く分からないから、毒を持っていたり、畑の作物を荒らすような虫は極力取り除いて欲しい」

「だいじょうぶ」「クーー」

 トゥルはタマモを抱っこしながら、自信ありげに頷いてくれた。右手がタマモをモフっている。土と森の精霊だから相性が良いのかな? タマモもトゥルに撫でられて気持ちよさそうだ。見ていると俺もモフりたくなる。

「よし。頑張ろう。あっシルフィ。火山で使ってくれた涼しくなる魔法、お願い出来る」

「ええ、良いわよ」

 にっこり笑って涼しい風をまとわせてくれる。知らない時ならこの環境も耐えられたけど、涼しい世界を知ってしまうと耐えられないよね。

 クーラーを知ってしまうと、クーラーがない事に耐えられないのと同じだ。真夏のコンクリートジャングル。動くはずのクーラーが動かなかった時の恐怖。

 修理を諦め新たにクーラーを購入したのに、沢山の予定が詰まっていて、直ぐに取り付け工事がおこなわれないと聞いた時の切なさ。文明の利器を失うと人はもろい。

 仕事が終わって家に帰っても蒸し暑い部屋にダメージを受ける。平日に友人の家に泊めて貰うのも気まずく、漫画喫茶にお世話になったっけ。

「お師匠様。どうしたんですか?」

 懐かしくも辛かった出来事を思い出していると、サラに声を掛けられた。意識を別の所に飛ばしていたようだ。

「何でもないよ。じゃあ、今言った事を頑張ろう」

 サラ達に声を掛け、作業の準備をする。よし! っと面倒な作業にくじけないように自分を奮い立たせて、虫がワンサカ入っている袋を開ける。……挫けそうです。


 ***


 トゥルとタマモの指示に従い、気合で虫の選別を終わらせた。こう、なんて言うか、集団でごちゃまぜになった虫達を見ると精神が削られて、何気に辛かった。

「トゥル。タマモ。これを畑と森予定地に放せば良いのか?」

 フルフルと首を横に振るトゥルとタマモ。シンクロしていてちょっと可愛い。

「まだここの土は良くないから。森の土を入れてそこに放す」

 ……なるほど。小魚や海藻をすり潰して混ぜ合わせた良く分からん土に放すよりも、住んで居た森の土が居心地は良いに決まっているな。自分で言うとちょっと悲しい。

「じゃあ、拡張の為に掘り進めていた場所に土を入れるか。森予定地の隣が良いよね?」

 トゥルとタマモがコクンと頷いたので、森予定地の隣のブロックに移動して、魔法の鞄から直接土を流し込む。肥料を混ぜ合わせたりしないで済む分、かなり楽だ。

 満遍なく森の土を敷き詰めた後に、一ヶ所に固まらないように虫を埋める。トゥルが魔法で土に溝を掘ってくれたので、種を撒くように虫をバラ撒く。乱暴でごめんなさい。

 虫を撒いた後は、トゥルが魔法で埋め直してくれる。単純な作業だったけど、量が量だけに結構な時間が掛かってしまった。環境もだいぶ変わってしまったし、どのぐらい生き残ってくれるんだろう? 虫の生命力に望みを託すしかないな。

 予定より時間が掛かってしまった。サラ達もお腹を空かせているだろう。直ぐに昼食にするか。

「トゥル。タマモ。お疲れ様。お昼ご飯にしようね」

「うん」「クー」

 喜んで飛び付いて来たタマモを抱っこして、トゥルの頭を撫でながらサラ達の元に移動する。……なんか楽しそうだな。 

 サラとマルコはフクちゃんとウリと楽しそうに会話? ……コミュニケーションを取っているし、キッカがベルとレインと追いかけっこをしている。あっ。俺に気が付いたキッカがマルコの所に走って行った。まだまだ仲良くなるには時間が掛かりそうだ。

「みんな、昼食にするから家に行くよ」

 サラ達にはしっかりとご飯を食べさせるって約束したからな。信頼はコツコツと積み重ねていくものだ。まずはしっかり約束を果たそう。


 ***


 子供達と精霊達との賑やかな昼食を終え、次に何をするべきか考える。取り敢えず家を増築しないと、キッチンで寝る事になるな。あと、夜に子供達のレベル上げもするんだから、お昼寝をさせておかないとダメだ。

 食べた後にすぐ寝かせるのは良く無いし……そうだ。ベルとトゥルに頼んでフクちゃんとウリに俺がよく使う魔法を伝授してもらおう。サラ達はどんな魔法があるかを見学させて、その後お昼寝だな。

 予定を伝えるとベルが大喜びだ。どうやら魔法を後輩に教えるって所が琴線きんせんに触れたらしい。

「ふくちゃん。べるがたくさんおしえてあげるー」

「ホーホー」

 パタパタと小さな羽を動かすフクちゃん。どうやら喜んでいるようだ。トゥルの方を見るといつの間にかウリを抱っこしてナデナデしている。こちらも問題ない……のか?

「サラ。マルコ。キッカ。魔法を見せるから、どんな魔法かしっかりと見て覚えておくように。ある程度時間が経ったら、夜にそなえてお昼寝をするんだよ」

「はい」「わかった」「うん」

 素直に返事をしてくれたけど、魔法を見る事に興奮しているのか、マルコの目がきらめいている。うーん、気持ちは分かるんだけど、眠れるのかな? 出来るだけ様子を見に来るか。

 俺もさっさと住居を作って、噴水作りに取り掛からないと、ディーネがスネそうだ。よく考えたら、もうドリーとの契約条件は整ってるな。噴水を作り上げれば一気に二人の大精霊と契約出来るのか……チートが加速する。

「あっ、ノモス。ドリー。今日新しく土を入れた場所に虫も放したから様子を見ておいてくれ。何かあったらアドバイスも頼む」

「うむ。確認しておく」

「ふふ。楽しみです。私もしっかり見ておきますね」

 ノモスが重々しく、ドリーは上品に請け負ってくれた。この二人が同じ大精霊って事も結構違和感だよね。

「うん。よろしくね。よし、シルフィ。住居用の大き目も岩を切り出しに行きたいんだ。運んでくれる?」

「ええ、良いわよ。裕太が操縦する?」

 ……そうだな。自分で空を飛んだ方が楽しいし、近くならそんなに時間も変わらないか。頷いて風の繭を張って貰う。少しだけど、空を楽しもう。
読んでくださってありがとうございます。
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